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高二ノ秋2
懐かしい顔ぶれ
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「うわ~久しぶり、元気してたか?」
夜。龍次の部屋に向かうと、さっそく皆月に電話をした。
ちなみに、龍次と相部屋の神田啓斗は風紀委員の後輩で、夜間の見回りがあるからごゆっくりとのことだった。風紀委員忙しいな……手当を出してやってほしいレベルだ。
放課後の間に、龍次の方から話は通っていたらしい。タブレットでのウェブ会議アプリを使って通話を繋げると、画面には何人も見知った顔があった。超懐かしい。
『司さんこそ、元気なようで良かったです』
『二年ぶりの総長……ウッ』
『相変わらず顔が良い……』
『寧ろ麗しさが増してないか?』
『は?これ以上顔の良さに磨きがかかったら国宝に申請した方がいいんじゃね?』
「お前ら相変わらずだな~」
たまにわけわからんこと言ってるが、気の良い連中だ。
『というか龍次さん、司さんと同じ高校行ってんならもっと早く教えてください』
『そーだそーだ!』
「確かに、俺ももっと早く知りたかった」
「悪りぃって。どこに司の家の目があるかわからなかった以上、迂闊に近づいて司に迷惑をかけるわけにはいかなかったんだよ」
「え、学校内でも見張られるかもしれないってことか?」
「お前、それくらい考えられるだろ」
呆れたように龍次が言う。
こんな隔離された学園に突っ込んだのだから(しかも休暇も里帰りを許さないというクソ仕様)、てっきりそれで終わりだと思っていた。あとスマホ遠隔チェックされてるし。
「だから、風紀委員として生徒を呼び出す大義名分ができるまで様子を見ていたんだよ」
「そうだったのか……」
そこまでやるかクソ親父よ。
『龍次さん、風紀委員なんてやってんですか?あの盗んだバイクで走り出すを地で行ってた龍次さんが?』
「しかも風紀委員長だぞ」
『世も末ってヤツっすね』
画面の先で失礼なことを言っている。マ、確かにグレてた時の龍次のやらかしは結構すごいので、否定はできなかった。
「で、学園内に見張りっていたの?」
「ああ、いたぞ」
「マジ!?」
非実在であって欲しかった。こっちの言動を逐一あのクソ親父に報告している奴がいるのかと思うと、ほんと腹立たしい。
「誰?親父が手を回したって言うと、教師とかか?」
「いや、生徒だ。風紀委員として司の周辺を見回っていたときに、お前を尾行して報告している姿を見かけた」
「エエエ……ほんとクソだな」
『誰なんですか、そのクソ野郎は!』
話を聞いていた画面の向こうの連中が、妙にヒートアップしている。
「……聞くか?」
「お前にしては歯切れ悪いな。さっさと教えろよ」
「じゃあ、耳貸してくれ」
「ん」
迂闊にチームの奴等に教えて、あっちから乗り込んで来られたりしたら一大事だ。
ひとまず俺自身が聞くことにした。
「お前の親父のスパイとして動いているのは……同室の、我孫子だ」
「は!?」
思わぬ名前に、俺は素っ頓狂な声を上げざるを得なかった。
夜。龍次の部屋に向かうと、さっそく皆月に電話をした。
ちなみに、龍次と相部屋の神田啓斗は風紀委員の後輩で、夜間の見回りがあるからごゆっくりとのことだった。風紀委員忙しいな……手当を出してやってほしいレベルだ。
放課後の間に、龍次の方から話は通っていたらしい。タブレットでのウェブ会議アプリを使って通話を繋げると、画面には何人も見知った顔があった。超懐かしい。
『司さんこそ、元気なようで良かったです』
『二年ぶりの総長……ウッ』
『相変わらず顔が良い……』
『寧ろ麗しさが増してないか?』
『は?これ以上顔の良さに磨きがかかったら国宝に申請した方がいいんじゃね?』
「お前ら相変わらずだな~」
たまにわけわからんこと言ってるが、気の良い連中だ。
『というか龍次さん、司さんと同じ高校行ってんならもっと早く教えてください』
『そーだそーだ!』
「確かに、俺ももっと早く知りたかった」
「悪りぃって。どこに司の家の目があるかわからなかった以上、迂闊に近づいて司に迷惑をかけるわけにはいかなかったんだよ」
「え、学校内でも見張られるかもしれないってことか?」
「お前、それくらい考えられるだろ」
呆れたように龍次が言う。
こんな隔離された学園に突っ込んだのだから(しかも休暇も里帰りを許さないというクソ仕様)、てっきりそれで終わりだと思っていた。あとスマホ遠隔チェックされてるし。
「だから、風紀委員として生徒を呼び出す大義名分ができるまで様子を見ていたんだよ」
「そうだったのか……」
そこまでやるかクソ親父よ。
『龍次さん、風紀委員なんてやってんですか?あの盗んだバイクで走り出すを地で行ってた龍次さんが?』
「しかも風紀委員長だぞ」
『世も末ってヤツっすね』
画面の先で失礼なことを言っている。マ、確かにグレてた時の龍次のやらかしは結構すごいので、否定はできなかった。
「で、学園内に見張りっていたの?」
「ああ、いたぞ」
「マジ!?」
非実在であって欲しかった。こっちの言動を逐一あのクソ親父に報告している奴がいるのかと思うと、ほんと腹立たしい。
「誰?親父が手を回したって言うと、教師とかか?」
「いや、生徒だ。風紀委員として司の周辺を見回っていたときに、お前を尾行して報告している姿を見かけた」
「エエエ……ほんとクソだな」
『誰なんですか、そのクソ野郎は!』
話を聞いていた画面の向こうの連中が、妙にヒートアップしている。
「……聞くか?」
「お前にしては歯切れ悪いな。さっさと教えろよ」
「じゃあ、耳貸してくれ」
「ん」
迂闊にチームの奴等に教えて、あっちから乗り込んで来られたりしたら一大事だ。
ひとまず俺自身が聞くことにした。
「お前の親父のスパイとして動いているのは……同室の、我孫子だ」
「は!?」
思わぬ名前に、俺は素っ頓狂な声を上げざるを得なかった。
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