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失った地 7
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アレクを解放し、逃げる背中を見えなくなるまで見送ってから、踵を返した。
俺の後ろをついてくるアイルも、喋れない狼姿のウォルテールたちも、当然無言。
ウォルテールに乗って駆けた距離を、脚を引きずってゆっくりと歩き、その間に心を落ち着けた。
まばらな木々の間を縫って、赤々と燃える松明がいくつも立った、屋敷の跡地へと戻ってきた。
そこももう、戦いは終わっており、生き残った影らは縛られ、死体も集め、荷車に積み重ねられ、血に染まった雪すら埋める処置が進められている。
その中に立つ、何処か小さく丸まってしまったように見える背中……。
「エルピディオ様。お怪我はございませんでしたか」
「あぁ、こちらは大事ない。……司教はどうされた?」
「お帰りになられました。誤解は解けましたから、もう、ご安心ください」
笑ってそう言った俺に、なんとも難しい顔をするエルピディオ様。
右手を失い、地位を追われて逃げた俺が、夜半に妻を伴い、侵入不可能であるはずの公爵家別邸二階にある、エルピディオ様の私室の露台から、のこのこ顔を出して来た時にも、だいぶん呆然とされていたけれど、今はそれに輪を掛け、少々放心しているよう。
まぁね、無理もない。それで内密の話があると言われた挙句、語られたのがアレクのことだったのだから。
だけどアレクから、秘密裏に会わせたい人がいる……という趣旨の手紙が届いた時、もう無理やりにでも、腹を括るしかなかったし、それがアレク本人ではなく、髪色を似せた別人を連れて来た……となっては、罠なのだと、理解するしかなかった。
この方も、この現実を受け止めるには、時間が必要だろう。
「……そうか」
ぽつりと添えられた、ただ音だけの返事。
思うことはあるだろうし、もう少し俺に問いただしたいとも考えている。
けれど、オゼロの配下の方々は事情を知らない。アレクの正体も伏せてある。
だから、この場では触れられない。
「心優しき方ですから、訴えを鵜呑みにされたのでしょうね……。
でも今後はもう、このようなことはございませんよ。きっとね」
「そうだな……。そうだろうとも」
増援を二段階に分けたのも、俺たちがオゼロ騎士に扮したのも、フィルディナンドという存在を死んだままにしておくためだった。
今回のこの事件も、スヴェトランの策謀のひとつで、人の良い司教を利用し、オゼロ公爵を亡き者にしようとしていた陰謀である。という形で纏めるつもりだ。
遠方のアギーが管轄の司教に取り入ったのも、事情を悟らせまいとした、スヴェトランの策。
まだ若く経験の浅かったアレクが、標的にされたのだと。
その利用された司教は、これから神殿に戻り、神殿内部にスヴェトランと繋がった組織があることを洗い出し、告発することとなっている。
それが、陛下からの指示である、『神殿関係者から、言い逃れできない証拠を掴め』に、繋がる予定だ。
そもそも、俺の手配書が出回っていない件も、アヴァロンが動いていない件も、やはり陛下の手だった。
いや、そりゃ彼の方しかそんなこと、できるわけがないのだけれど……。どうやってクロードたちを納得させたのかと思うじゃないか。
だが、王家と公爵家には、下々である俺たちには伏せられている、代々の王と、領主にしか伝えられない口伝があった。
それが、今回のことに大きく関わっていたのだ。
その口伝というのが、マルが聞けば踊り狂って喜ぶのじゃないかと思われる新情報。
フェルドナレンの興りが、人と獣人の交わりにあったことだ。
俺たちがアヴァロンを追われた時、陣痛のはじまっていた陛下は、それから一日、出産に掛かりきりとなった。
そうしてやっと御子を産み落としてみれば、もう、全てが終わった後……。
俺は右手を残してアヴァロンを去り、獣人を使う悪魔とその使徒に仕立て上げられていた。
本当の、真実を知っている陛下は、ただ唖然とするばかりだったという……。
三年前の夏、陛下がクリスタ様としてセイバーンへとお越しになった時は、陛下もご存知なかった……。
そして王となられ、戴冠式等の一通りを済ませた後、先王より口伝を伝えられ、頭を抱えたのだそう。
陛下は聡い方だ。己を蝕む白の病と、この獣人が人より生まれ出る形が似通っていると、当然感じた。
けれど……だからどうだと言う話だ。
今更、深く根付いてしまった因習を、どうやって覆せば良い? と……。
だから、代々の王と公爵家領主は、神殿の力を少しずつ削ぐことを行なって来た。
かつて、力の脆弱だった時代の王国が犯した過ちだ。少しずつでも正していくしかない。
そしてそれでも、神への信仰が、国を支えている事実に変わりはない。
危うい天秤の傾きを、少しずつ、少しずつ、正していくしかない。子に、孫に、繋げていくしかない。
だが、どうすれば良いのだろう。
一度は潜って消えたと思っていたものが、こんな風に現れるなど、知らなかった時代の者が犯した過ちは、難題すぎた。
己の血に、獣人の血が流れることを、どうやって広めれば?
神殿の信仰がある限り、獣人は悪魔の使徒だと教え込まれていく。
かと言って神殿を糾弾することも、駆逐することも不可能だ。
信仰は、民の支えでもある。貴族は皆、アミの民でもあるのだ。
そうして神殿を牽制する王家に、神殿も勘付いていた。
だから、王家を内側から蝕むことを、考えたのだろう……。
そんな水面下の攻防を、俺たちは知らず、日々の安寧を願い、過ごしていたなんて……。
しかし。
陛下が無事御子をお産みになられたことが、状況を変えた。
まず神殿だ。大司教は唖然と固まってしまったという。
王家が御子を授かり産み落とす。それは、アミが陛下の選択を認めたことに他ならない。子を授かるとは、即ち神の祝福そのもの。
大司教は、慌てて帰路についたという。今後のことを、神殿内で話し合わなければならないからだろう。
そしてホライエン伯爵様は、歓喜したものの、困惑することとなった。
俺が陛下を匿い、無事出産するまでの守りを担っていたと、知ったからだ。
陛下が後継を孕まないのは、アミがその婚姻を認めていないからだと、神殿は主張していた。
公爵家との正しい婚姻を結ばなかったから、子が授からないのだと。今からでも公爵家と婚姻を結べと、そう言っていたのだ。
もし万が一、ご懐妊が神殿関係者に知られれば、それを認めたくない輩からの妨害だって有り得る。だからこそ陛下は、ご懐妊を隠し、出産した。
そこに更に、俺の部屋を捜索していた俺の部下だったひとりが、とあるものを見つけた。
それはまずクロードに渡され、更に陛下へと渡された。俺の遺言としてだ。
陛下はそれを見て、大いに笑ったそう。涙を流し、まだ産後の出血が続いていたお身体に負担を掛け、ナジェスタに寝台を出てはならないと言い渡されるほどに。
何も知らないはずの俺が知っていたこと、調べていたこと、進めていたことがまさか、国の秘密にこうも関わっているなんて。と……。
それにより、陛下は腹を括った。
即座に公爵四家へ、レイシールを保護せよ。神殿に奪われるな! という伝令を走らせた。
なにぶん、視察中という建前の、人員不足甚だしい状況であったから、信頼に足る部下も少ない。そこで、アギーより応援を頼み、伝令には近衛からも人員が選別された。
このオゼロに向かい、走らされることとなったのは……。
「レイシール様」
そう呼ばれ、顔を上げた。
橙色の髪の長身が、松明に照らされた髪をより一層明るく燃やし、こちらに脚を進めて来ていた。
「……様は必要無い。今の俺は、地位など持っていないから」
「…………そうもいきません。……その、お怪我は?」
「大丈夫、無いよ」
そう返すと、少し困ったように手を首にやるロレン。
オゼロへの伝令は彼女だったのだ。
本当は俺の心配などしたくないのだろうが、とある人物を納得させるために、怪我の有無を確認したのだと思う。
「これより、屋敷に戻りますが……ご一緒されますか? それとも、まだここの処理がおありですか?」
「ん、そうだな。サヤとオブシズは……」
「あちらで手当を」
ロレンの言葉をぶっちぎって振り捨て、慌てて足を進めた。
まさか怪我をしていたなんて! なんてことだ、全く気が回っていなかった。
命に別状は⁉︎ 手当と言っていたし、現場が慌ててないから、然程の傷ではないと思いたい!
必死で足を進めると、後から到着したであろう幌馬車があり、そこに毛布に包まる二人の姿があった。
簡易かまどが置かれ、湯気を立てていて、流石公爵家の幌馬車は一味違うと普段ならば思っていたろうけど、そんな余裕も無い。
「サヤ!」
右手を上げようとして、籠手が付いていることに慌てて気付いた。危ない。サヤを刺してしまうところだった。
「怪我は、どこを……⁉︎」
「あ、平気です。ちょっと掠った程度なので。雪で足元が、滑ってしまって……」
ほんの少しだけ掠めてしまったのだと、肩の裂けてしまった女中衣装を見せられ、背筋が凍った。布を当てられているが、それだけだ。
「知らない人は、まだちょっと……」
肌を見られたり、触れられたりしたくなかったのだそう。男性が怖いサヤだものな。
それで応急処置をオブシズに頼んだのだと言うが……。
「いや、俺がやるのもちょっと……」
と、視線を泳がせるオブシズ。
肩をということは、衣服を脱がなければならない……。野外で、しかも男の目が多数ある中で。
「よし分かった。屋敷に急いで戻ろう。
ロレン、至急戻りたい!」
ロレンに頼るという選択をしないでくれて良かった……。
そうされていたら、俺は理性を保てた気がしない!
そうしてまた慌てて戻って来た俺に、ロレンは呆れた息を吐いて……。
「そうでしょうね」
と、肩を竦めた。
俺の後ろをついてくるアイルも、喋れない狼姿のウォルテールたちも、当然無言。
ウォルテールに乗って駆けた距離を、脚を引きずってゆっくりと歩き、その間に心を落ち着けた。
まばらな木々の間を縫って、赤々と燃える松明がいくつも立った、屋敷の跡地へと戻ってきた。
そこももう、戦いは終わっており、生き残った影らは縛られ、死体も集め、荷車に積み重ねられ、血に染まった雪すら埋める処置が進められている。
その中に立つ、何処か小さく丸まってしまったように見える背中……。
「エルピディオ様。お怪我はございませんでしたか」
「あぁ、こちらは大事ない。……司教はどうされた?」
「お帰りになられました。誤解は解けましたから、もう、ご安心ください」
笑ってそう言った俺に、なんとも難しい顔をするエルピディオ様。
右手を失い、地位を追われて逃げた俺が、夜半に妻を伴い、侵入不可能であるはずの公爵家別邸二階にある、エルピディオ様の私室の露台から、のこのこ顔を出して来た時にも、だいぶん呆然とされていたけれど、今はそれに輪を掛け、少々放心しているよう。
まぁね、無理もない。それで内密の話があると言われた挙句、語られたのがアレクのことだったのだから。
だけどアレクから、秘密裏に会わせたい人がいる……という趣旨の手紙が届いた時、もう無理やりにでも、腹を括るしかなかったし、それがアレク本人ではなく、髪色を似せた別人を連れて来た……となっては、罠なのだと、理解するしかなかった。
この方も、この現実を受け止めるには、時間が必要だろう。
「……そうか」
ぽつりと添えられた、ただ音だけの返事。
思うことはあるだろうし、もう少し俺に問いただしたいとも考えている。
けれど、オゼロの配下の方々は事情を知らない。アレクの正体も伏せてある。
だから、この場では触れられない。
「心優しき方ですから、訴えを鵜呑みにされたのでしょうね……。
でも今後はもう、このようなことはございませんよ。きっとね」
「そうだな……。そうだろうとも」
増援を二段階に分けたのも、俺たちがオゼロ騎士に扮したのも、フィルディナンドという存在を死んだままにしておくためだった。
今回のこの事件も、スヴェトランの策謀のひとつで、人の良い司教を利用し、オゼロ公爵を亡き者にしようとしていた陰謀である。という形で纏めるつもりだ。
遠方のアギーが管轄の司教に取り入ったのも、事情を悟らせまいとした、スヴェトランの策。
まだ若く経験の浅かったアレクが、標的にされたのだと。
その利用された司教は、これから神殿に戻り、神殿内部にスヴェトランと繋がった組織があることを洗い出し、告発することとなっている。
それが、陛下からの指示である、『神殿関係者から、言い逃れできない証拠を掴め』に、繋がる予定だ。
そもそも、俺の手配書が出回っていない件も、アヴァロンが動いていない件も、やはり陛下の手だった。
いや、そりゃ彼の方しかそんなこと、できるわけがないのだけれど……。どうやってクロードたちを納得させたのかと思うじゃないか。
だが、王家と公爵家には、下々である俺たちには伏せられている、代々の王と、領主にしか伝えられない口伝があった。
それが、今回のことに大きく関わっていたのだ。
その口伝というのが、マルが聞けば踊り狂って喜ぶのじゃないかと思われる新情報。
フェルドナレンの興りが、人と獣人の交わりにあったことだ。
俺たちがアヴァロンを追われた時、陣痛のはじまっていた陛下は、それから一日、出産に掛かりきりとなった。
そうしてやっと御子を産み落としてみれば、もう、全てが終わった後……。
俺は右手を残してアヴァロンを去り、獣人を使う悪魔とその使徒に仕立て上げられていた。
本当の、真実を知っている陛下は、ただ唖然とするばかりだったという……。
三年前の夏、陛下がクリスタ様としてセイバーンへとお越しになった時は、陛下もご存知なかった……。
そして王となられ、戴冠式等の一通りを済ませた後、先王より口伝を伝えられ、頭を抱えたのだそう。
陛下は聡い方だ。己を蝕む白の病と、この獣人が人より生まれ出る形が似通っていると、当然感じた。
けれど……だからどうだと言う話だ。
今更、深く根付いてしまった因習を、どうやって覆せば良い? と……。
だから、代々の王と公爵家領主は、神殿の力を少しずつ削ぐことを行なって来た。
かつて、力の脆弱だった時代の王国が犯した過ちだ。少しずつでも正していくしかない。
そしてそれでも、神への信仰が、国を支えている事実に変わりはない。
危うい天秤の傾きを、少しずつ、少しずつ、正していくしかない。子に、孫に、繋げていくしかない。
だが、どうすれば良いのだろう。
一度は潜って消えたと思っていたものが、こんな風に現れるなど、知らなかった時代の者が犯した過ちは、難題すぎた。
己の血に、獣人の血が流れることを、どうやって広めれば?
神殿の信仰がある限り、獣人は悪魔の使徒だと教え込まれていく。
かと言って神殿を糾弾することも、駆逐することも不可能だ。
信仰は、民の支えでもある。貴族は皆、アミの民でもあるのだ。
そうして神殿を牽制する王家に、神殿も勘付いていた。
だから、王家を内側から蝕むことを、考えたのだろう……。
そんな水面下の攻防を、俺たちは知らず、日々の安寧を願い、過ごしていたなんて……。
しかし。
陛下が無事御子をお産みになられたことが、状況を変えた。
まず神殿だ。大司教は唖然と固まってしまったという。
王家が御子を授かり産み落とす。それは、アミが陛下の選択を認めたことに他ならない。子を授かるとは、即ち神の祝福そのもの。
大司教は、慌てて帰路についたという。今後のことを、神殿内で話し合わなければならないからだろう。
そしてホライエン伯爵様は、歓喜したものの、困惑することとなった。
俺が陛下を匿い、無事出産するまでの守りを担っていたと、知ったからだ。
陛下が後継を孕まないのは、アミがその婚姻を認めていないからだと、神殿は主張していた。
公爵家との正しい婚姻を結ばなかったから、子が授からないのだと。今からでも公爵家と婚姻を結べと、そう言っていたのだ。
もし万が一、ご懐妊が神殿関係者に知られれば、それを認めたくない輩からの妨害だって有り得る。だからこそ陛下は、ご懐妊を隠し、出産した。
そこに更に、俺の部屋を捜索していた俺の部下だったひとりが、とあるものを見つけた。
それはまずクロードに渡され、更に陛下へと渡された。俺の遺言としてだ。
陛下はそれを見て、大いに笑ったそう。涙を流し、まだ産後の出血が続いていたお身体に負担を掛け、ナジェスタに寝台を出てはならないと言い渡されるほどに。
何も知らないはずの俺が知っていたこと、調べていたこと、進めていたことがまさか、国の秘密にこうも関わっているなんて。と……。
それにより、陛下は腹を括った。
即座に公爵四家へ、レイシールを保護せよ。神殿に奪われるな! という伝令を走らせた。
なにぶん、視察中という建前の、人員不足甚だしい状況であったから、信頼に足る部下も少ない。そこで、アギーより応援を頼み、伝令には近衛からも人員が選別された。
このオゼロに向かい、走らされることとなったのは……。
「レイシール様」
そう呼ばれ、顔を上げた。
橙色の髪の長身が、松明に照らされた髪をより一層明るく燃やし、こちらに脚を進めて来ていた。
「……様は必要無い。今の俺は、地位など持っていないから」
「…………そうもいきません。……その、お怪我は?」
「大丈夫、無いよ」
そう返すと、少し困ったように手を首にやるロレン。
オゼロへの伝令は彼女だったのだ。
本当は俺の心配などしたくないのだろうが、とある人物を納得させるために、怪我の有無を確認したのだと思う。
「これより、屋敷に戻りますが……ご一緒されますか? それとも、まだここの処理がおありですか?」
「ん、そうだな。サヤとオブシズは……」
「あちらで手当を」
ロレンの言葉をぶっちぎって振り捨て、慌てて足を進めた。
まさか怪我をしていたなんて! なんてことだ、全く気が回っていなかった。
命に別状は⁉︎ 手当と言っていたし、現場が慌ててないから、然程の傷ではないと思いたい!
必死で足を進めると、後から到着したであろう幌馬車があり、そこに毛布に包まる二人の姿があった。
簡易かまどが置かれ、湯気を立てていて、流石公爵家の幌馬車は一味違うと普段ならば思っていたろうけど、そんな余裕も無い。
「サヤ!」
右手を上げようとして、籠手が付いていることに慌てて気付いた。危ない。サヤを刺してしまうところだった。
「怪我は、どこを……⁉︎」
「あ、平気です。ちょっと掠った程度なので。雪で足元が、滑ってしまって……」
ほんの少しだけ掠めてしまったのだと、肩の裂けてしまった女中衣装を見せられ、背筋が凍った。布を当てられているが、それだけだ。
「知らない人は、まだちょっと……」
肌を見られたり、触れられたりしたくなかったのだそう。男性が怖いサヤだものな。
それで応急処置をオブシズに頼んだのだと言うが……。
「いや、俺がやるのもちょっと……」
と、視線を泳がせるオブシズ。
肩をということは、衣服を脱がなければならない……。野外で、しかも男の目が多数ある中で。
「よし分かった。屋敷に急いで戻ろう。
ロレン、至急戻りたい!」
ロレンに頼るという選択をしないでくれて良かった……。
そうされていたら、俺は理性を保てた気がしない!
そうしてまた慌てて戻って来た俺に、ロレンは呆れた息を吐いて……。
「そうでしょうね」
と、肩を竦めた。
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★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~)
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
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※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
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