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開戦 1
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そこからは一分一秒も惜しむ話し合いの時間。
「まずはなんとか削りたいんだがな……。隊列を組み直される前に叩くべきだ」
「丁度長く伸びた隊列ですもんね。後方からなら、少しずつ切り離すことは可能かと」
「獣人を含む部隊だからな。風下確保が必須か……攻めにくいな。極力悟られずにいきたいが……」
「そうは言ってられないでしょうね……とりあえず、あちらの現在の目標は拠点確保で確実でしょうから、後方からの切り崩しでは隊列を止められません。
行軍を止めることを考えませんと」
「止める……か」
ユストが戻り、即席で作られた平箱の中に砂が入れられた。マルが左奥の砂を外側に押しやり、浅い窪みを作り、そこからせっせと砂を押しやっていく。
頭の中の図書館にある周辺地図を、砂の上に写し取る作業は思いのほか簡単だった。更にその箱庭の中に、貨幣を並べる。
銀貨が百、銅貨が五十、半銅貨が二十五、四半銅貨が五を表し、隊列の伸びを図にしていく。
そこから、話はどうやって進軍を止めるかに移った。
「然程深くなくて良い。ここやここならどうだ」
「それならここですかね。あ、確認したいことがあるので今一度鍛冶場に使いを頼みます。
今ある武器、今日中に製造できる数、一日で作れる量を正確に申告してください」
「あと獣化できる者は何名だ? 騎狼部隊を作りたい」
シザーやユスト、吠狼らにも走ってもらい、得られる情報は全て拾った。
そしてこれならばという方策を片っ端から吟味する。
学舎で繰り返し行った軍事演習。あれも貴重な経験だったのだと、今更有難さを痛感した。
指揮も取り、一兵卒としても動いた。あれはこういった時のための実技だったのだな。
「彼らが拠点確保より優先するようなものがあるとすれば、俺だろう……。
知りすぎてる俺を生かしておくと、色々ややこしいだろうから」
「それ以外にしたいんですよ。
分かってます? 貴方が死ねば、こっちは先の交渉役を失うんですよ?」
「その前に現状を打破できなければ意味が無いだろ。
万が一があった時はグラヴィスハイド様を頼ってくれ。それ以外はお前が頑張るしかないかな」
「嫌ですよ! あの方が僕を信頼するはずないでしょ!」
マルは強く反対した。けれど……。
「守る」
と、シザーが声を発した。
「今度は俺の番。俺がレイ様の盾」
命に代えても、必ず守る……と。
……ハインがその役を担った時、きっとシザーは歯痒い思いを抱いていたのだと思う。
本来なら、武官である彼が残り、壁になるべきだったのにと……。
けれど、あの役は、ハインでなければ成り立たなかったろうし、異国人風の様相をしている彼では、捨て駒として捉えられられた可能性が高い。
あの場で囮役となったのがシザーであったとしたら、半数以上を釣り上げるなどできなかったろう。
だが今度の戦場ならば、彼の存在は活きる。浅黒い肌も、雪の中ならきっととても目立つ。
俺を必死に、命懸けで守ろうとすることが、俺の価値を高めてくれる……。
「マル……これで行こう」
結局、他に良い獲物を見つけることができず、俺の案を採用するしかないという結論に至った。
「絶対嫌だったのに……」
「匂いでバレるって言ったのはお前だろ。もう諦めろ。
で、どうだ……いけそうか」
「残念ながらね……。準備が必要なので時間は掛かりますが……でもそれよりも問題は、貴方が片手で騎狼できるかどうかです」
「最悪身体を縄で括り付けてでも乗れれば良いんだ」
そう言うと、見目が悪いのでやめてください……と、マル。軽口を叩く余裕が出てきたようで何よりだ。
そんなやりとりをしている途中で呼び出しが掛かった。
空き地に皆が集まったという。すっかり失念していたが、だいぶん時間が過ぎていたらしい。
席を立つと、駆け寄ってきたユストが、籠手を着けますかと俺に問うた。
まだ必要ないかなと考えたけれど……見た目も大切かなと思い直し、着けてもらうことに。
シザーが丁寧に俺の腕へと革を巻き、籠手を装着してくれた。
そうして毛皮の外套を纏い、エリクスの家を出て、空き地に向かう。
強く降りしきっていた雪は、折り合い良く控え目になっていた。
そうして足を進めた先には、紺色の装束に上から毛皮の外套を纏った吠狼らと、幾人かの職人。頭蓋の仮面を頭上に押し上げた長ら。狼に変じた獣人たち。その後方には更に、狩猟民の出で立ちをした者たちがひしめいていた。どうやら現場を離れられない者以外、皆で来てしまったようだ。
長だけと言ったのだけどな……。でもまぁ、良いか。二百人程なら全員収まるのだし。
更に町民らが強張った表情で、獣人らを囲むように集まっている。
斧や棒を握りしめた民らは、警戒を露わに獣人らを見つめていた。
それに対し獣人らは平坦な表情。特に威嚇したりもせず、整然と並んでいる。
彼らにとって、町人らの反応は当然予想していたものであるのだろう。
「あの町人らの避難は?」
俺の後を追ってきていたエリクスに問うと。
「引っ込んでられなかったんですよ……晴れてないのに、武装した狩猟民がこの町に踏み込んできてるんです」
しかも、素顔を晒して……な。
成る程。獣人らを警戒したがゆえに、空き地を取り囲んでいるのか。
ならば、彼らには状況を正しく理解してもらおう。
そう思い、「道を開けよ!」と、俺は声を張り上げた。
町人らが声に飛び上がり、人垣が割れた。その中心を真っ直ぐ歩き、獣人らの前に進み出る。
あれは誰だ……ほら、聞いたろう、例の男爵様だ。何故他領の男爵様が、狩猟民らをここに引き入れたんだ? などという、サワサワと雪に溶けるような囁き声が広がった。
白い布を集めるよう言われたどこかの家の娘が、敷布の束を抱きしめ、耳や鼻を赤く染めて白い息を吐きながら、こちらを見ている。
恐怖に瞳を染めたご婦人が、唇を戦慄かせて獣人らを悪しく罵る声がした。強い警戒を抱いた猟師らしき男性が、手斧を握りしめて尾のある者らを睨み据えている姿も……。
そんな視線の中にもやはり、誰かを探すように彷徨う視線も見受けられた。もしくはただ一人を、じっと見つめる瞳も……。
いつか狼に捧げたはずの命が、目の前にあるのだものな……。
あの時の子の色を、表情を、特徴を、忘れられる親などいやしないだろう……。
忘れられるわけがない……。
集まった人々を見渡して……俺は用意されていた空箱の上に上がった。舞台代わりになるよう、マルが用意させたのだ。
俺の横手後方に、サヤ。シザーとマルも付き従う。
この町の名士扱いであるというマルの登場に、町人らは口々、現状の説明を求めたが。
「男爵様の御前です。許し無く口を開く行為は不敬にあたります。控えなさい」
と、言われ、口を閉ざした。
慌ててエリクスが謝罪の言葉を述べ出すが、それを良い。と、手で制す。
当然、村の者らは貴族慣れしていないわけだ。
ならば……例え他領の血であっても、貴族出身者であるということが、絶大な威力を発揮するだろう……。
そう思ったから、敢えて慇懃に。周りのざわめきには視線も移さず、眼前の戦士らのみに告げる。
「先程、スヴェトランより山脈を越えて進軍する部隊を発見した」
ザワリ……と、町人らが揺れた。並んだ皆はすでに了解済みという無反応。
「かねてよりスヴェトランの動向は警戒していたが、山脈越えは想定外。しかも越冬の最中だ。あちらもそれだけ本気なのだろう。
敵兵は約千。この里を占拠し、侵略の足掛かりとする目的での進軍とみているが、その場合……ここの者らに求められるのは、死か、里の放棄だ」
「まずはなんとか削りたいんだがな……。隊列を組み直される前に叩くべきだ」
「丁度長く伸びた隊列ですもんね。後方からなら、少しずつ切り離すことは可能かと」
「獣人を含む部隊だからな。風下確保が必須か……攻めにくいな。極力悟られずにいきたいが……」
「そうは言ってられないでしょうね……とりあえず、あちらの現在の目標は拠点確保で確実でしょうから、後方からの切り崩しでは隊列を止められません。
行軍を止めることを考えませんと」
「止める……か」
ユストが戻り、即席で作られた平箱の中に砂が入れられた。マルが左奥の砂を外側に押しやり、浅い窪みを作り、そこからせっせと砂を押しやっていく。
頭の中の図書館にある周辺地図を、砂の上に写し取る作業は思いのほか簡単だった。更にその箱庭の中に、貨幣を並べる。
銀貨が百、銅貨が五十、半銅貨が二十五、四半銅貨が五を表し、隊列の伸びを図にしていく。
そこから、話はどうやって進軍を止めるかに移った。
「然程深くなくて良い。ここやここならどうだ」
「それならここですかね。あ、確認したいことがあるので今一度鍛冶場に使いを頼みます。
今ある武器、今日中に製造できる数、一日で作れる量を正確に申告してください」
「あと獣化できる者は何名だ? 騎狼部隊を作りたい」
シザーやユスト、吠狼らにも走ってもらい、得られる情報は全て拾った。
そしてこれならばという方策を片っ端から吟味する。
学舎で繰り返し行った軍事演習。あれも貴重な経験だったのだと、今更有難さを痛感した。
指揮も取り、一兵卒としても動いた。あれはこういった時のための実技だったのだな。
「彼らが拠点確保より優先するようなものがあるとすれば、俺だろう……。
知りすぎてる俺を生かしておくと、色々ややこしいだろうから」
「それ以外にしたいんですよ。
分かってます? 貴方が死ねば、こっちは先の交渉役を失うんですよ?」
「その前に現状を打破できなければ意味が無いだろ。
万が一があった時はグラヴィスハイド様を頼ってくれ。それ以外はお前が頑張るしかないかな」
「嫌ですよ! あの方が僕を信頼するはずないでしょ!」
マルは強く反対した。けれど……。
「守る」
と、シザーが声を発した。
「今度は俺の番。俺がレイ様の盾」
命に代えても、必ず守る……と。
……ハインがその役を担った時、きっとシザーは歯痒い思いを抱いていたのだと思う。
本来なら、武官である彼が残り、壁になるべきだったのにと……。
けれど、あの役は、ハインでなければ成り立たなかったろうし、異国人風の様相をしている彼では、捨て駒として捉えられられた可能性が高い。
あの場で囮役となったのがシザーであったとしたら、半数以上を釣り上げるなどできなかったろう。
だが今度の戦場ならば、彼の存在は活きる。浅黒い肌も、雪の中ならきっととても目立つ。
俺を必死に、命懸けで守ろうとすることが、俺の価値を高めてくれる……。
「マル……これで行こう」
結局、他に良い獲物を見つけることができず、俺の案を採用するしかないという結論に至った。
「絶対嫌だったのに……」
「匂いでバレるって言ったのはお前だろ。もう諦めろ。
で、どうだ……いけそうか」
「残念ながらね……。準備が必要なので時間は掛かりますが……でもそれよりも問題は、貴方が片手で騎狼できるかどうかです」
「最悪身体を縄で括り付けてでも乗れれば良いんだ」
そう言うと、見目が悪いのでやめてください……と、マル。軽口を叩く余裕が出てきたようで何よりだ。
そんなやりとりをしている途中で呼び出しが掛かった。
空き地に皆が集まったという。すっかり失念していたが、だいぶん時間が過ぎていたらしい。
席を立つと、駆け寄ってきたユストが、籠手を着けますかと俺に問うた。
まだ必要ないかなと考えたけれど……見た目も大切かなと思い直し、着けてもらうことに。
シザーが丁寧に俺の腕へと革を巻き、籠手を装着してくれた。
そうして毛皮の外套を纏い、エリクスの家を出て、空き地に向かう。
強く降りしきっていた雪は、折り合い良く控え目になっていた。
そうして足を進めた先には、紺色の装束に上から毛皮の外套を纏った吠狼らと、幾人かの職人。頭蓋の仮面を頭上に押し上げた長ら。狼に変じた獣人たち。その後方には更に、狩猟民の出で立ちをした者たちがひしめいていた。どうやら現場を離れられない者以外、皆で来てしまったようだ。
長だけと言ったのだけどな……。でもまぁ、良いか。二百人程なら全員収まるのだし。
更に町民らが強張った表情で、獣人らを囲むように集まっている。
斧や棒を握りしめた民らは、警戒を露わに獣人らを見つめていた。
それに対し獣人らは平坦な表情。特に威嚇したりもせず、整然と並んでいる。
彼らにとって、町人らの反応は当然予想していたものであるのだろう。
「あの町人らの避難は?」
俺の後を追ってきていたエリクスに問うと。
「引っ込んでられなかったんですよ……晴れてないのに、武装した狩猟民がこの町に踏み込んできてるんです」
しかも、素顔を晒して……な。
成る程。獣人らを警戒したがゆえに、空き地を取り囲んでいるのか。
ならば、彼らには状況を正しく理解してもらおう。
そう思い、「道を開けよ!」と、俺は声を張り上げた。
町人らが声に飛び上がり、人垣が割れた。その中心を真っ直ぐ歩き、獣人らの前に進み出る。
あれは誰だ……ほら、聞いたろう、例の男爵様だ。何故他領の男爵様が、狩猟民らをここに引き入れたんだ? などという、サワサワと雪に溶けるような囁き声が広がった。
白い布を集めるよう言われたどこかの家の娘が、敷布の束を抱きしめ、耳や鼻を赤く染めて白い息を吐きながら、こちらを見ている。
恐怖に瞳を染めたご婦人が、唇を戦慄かせて獣人らを悪しく罵る声がした。強い警戒を抱いた猟師らしき男性が、手斧を握りしめて尾のある者らを睨み据えている姿も……。
そんな視線の中にもやはり、誰かを探すように彷徨う視線も見受けられた。もしくはただ一人を、じっと見つめる瞳も……。
いつか狼に捧げたはずの命が、目の前にあるのだものな……。
あの時の子の色を、表情を、特徴を、忘れられる親などいやしないだろう……。
忘れられるわけがない……。
集まった人々を見渡して……俺は用意されていた空箱の上に上がった。舞台代わりになるよう、マルが用意させたのだ。
俺の横手後方に、サヤ。シザーとマルも付き従う。
この町の名士扱いであるというマルの登場に、町人らは口々、現状の説明を求めたが。
「男爵様の御前です。許し無く口を開く行為は不敬にあたります。控えなさい」
と、言われ、口を閉ざした。
慌ててエリクスが謝罪の言葉を述べ出すが、それを良い。と、手で制す。
当然、村の者らは貴族慣れしていないわけだ。
ならば……例え他領の血であっても、貴族出身者であるということが、絶大な威力を発揮するだろう……。
そう思ったから、敢えて慇懃に。周りのざわめきには視線も移さず、眼前の戦士らのみに告げる。
「先程、スヴェトランより山脈を越えて進軍する部隊を発見した」
ザワリ……と、町人らが揺れた。並んだ皆はすでに了解済みという無反応。
「かねてよりスヴェトランの動向は警戒していたが、山脈越えは想定外。しかも越冬の最中だ。あちらもそれだけ本気なのだろう。
敵兵は約千。この里を占拠し、侵略の足掛かりとする目的での進軍とみているが、その場合……ここの者らに求められるのは、死か、里の放棄だ」
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