1,028 / 1,121
決戦の地 4
しおりを挟む
結局弟に口を塞がれたマル。
情緒も配慮もない兄で本当に申し訳ない! と、平謝りするエリクスを宥め、マルに人前でそんな話するなと説教すること半時間……。
サヤが戻り、居た堪れない雰囲気を誤魔化しつつ俺も、身支度に向かった。
サヤが若干居心地悪そうにしてたのは、あの大騒ぎが聞こえているからだろう……ううぅ、防音効果がどうだろうがサヤの耳には筒抜けなんだよ! 後で部屋でどんな顔して休めっていうんだ⁉︎
まぁそれはともかく、ハインを失い、ルフスもいない状況だから、俺の従者は現在サヤのみ。しかも片手であるので自分のこともなかなか自分でできない身だ。
そこでこの町の中では、ユストが従者の真似事をしてくれることになっていた。
いつもはウォルテールが手伝ってくれているのだけど、獣人の特徴が顕著な彼は、流石に町の中にまで連れて来れない。
「というか、サヤ様にしてもらえば良いと思うんですけどねぇ」
「お前まで言うなよ⁉︎ そんなことしたらどうなるか分かるだろう!」
俺の我慢がきくと思うのか⁉︎
「いや……なんで我慢するのかって話じゃないですか?」
夫婦なんですし……湯浴みくらい、一緒にされたら良いんじゃないですか? と、ユスト。
正直聞きたくなかったが、耳を塞ごうにも片手しかないのでそれもできないし、不貞腐れるしかない。
そっぽを向く俺に、ユストはなんでそんな頑ななんですかと苦笑い……。
そんなの……この前思いっきり怪我させてるからに決まってる!
まだ半月しか経ってないのに、傷が癒えてる保証無いだろ⁉︎
心の中では大音量で叫んでいたのだが、口に出すことは憚られ、ぐぬぬと口を閉ざすと、しょうがないものを見る目で見られ、あまつさえ溜息……。
「いや、サヤ様を大切にされているのは重々承知してるんですよ? ですけどほら……これから、あれじゃないですか」
戦になれば、共にいることも難しくなるんですよ。と、ユスト。
そうしてそれまでの笑みを引っ込め、真剣な表情で……。
「万が一ということも、可能性としてはあるんです……。
なのに、サヤ様に何も……残さないおつもりですか」
そう言われた。
「戦が何年続くかも分からないんですよ? お互いに、何があるかも分からない……。
ならせめて今のうちにって、マルさんも考えたんだと思います」
「だからってあの言い方はないと思う!」
「はい、まぁ……言い方は良くなかったですけど……」
肩からざばりと湯を掛けられた。
部屋は暖かかったけれど、それでも北国の冬だ、寒い……。
さっさと済ませて、濡れた身体を拭いてもらい、夜着を身につけた。
それを手伝いつつ、それ以上は黙っていたユストだったのだが……。
「俺も、こんなことは言いたくないんです。万が一なんて、絶対にあってはならないんですから。
でも……やっぱり、マルさんの言うことも、一理あると思います……。
折角今、共にいられるんですから。
次が本当にあるかなんて、誰にも分からないんですから……」
肩に羽織りを掛けられ、ポンと両腕を包むように叩かれた。
その視線が俺の右手に注がれており、これを失った時、命も失っていたかもしれないことを、再確認する。
そうして少しだけ、人生を先に歩く先達としての助言ですと、俺に……。
「後継云々は抜きにして、愛しているということを伝える手段は、多いに越したことはないです。
言えないままぐるぐるして、離れ離れになってから後悔したくないでしょう?」
そういう衝動が失せたわけじゃないんでしょうし。と、ユスト。求める方が健全な夫婦ですよと言われた。
そりゃまぁ……と、いうか……思い出すのすらやばいと思うくらいに、あれは至福の時間だった。……俺にとってはだけど……。
でもサヤは、もう嫌だと思っているかもしれない。
「一回許していただけたんですから、二回も三回も変わりませんよ」
「ゔ……だって……」
ここではほぼ常に視線があった……それに子供らに全部筒抜けてると思うと……色々とこう……やりにくかったのだ。
…………いや、やっぱり言い訳かな……。
こんな状況にサヤを置いている。右手まで失って、いちいち全て、サヤの世話になっているということも、引け目になっている。
「サヤ様も待ってらっしゃると思いますけどね……。
あかんって言ってても……本気で拒否されてたことなんて、無いじゃないですか。
あの方も色々気を使う方です。貴方の負担になってはいけないとか、余計なことを気にされてると思いますよ……」
そう言われ、髪のことも、湯浴みのことも、不満ひとつ溢さないサヤが、どれだけ我慢を重ねているのだろうかと、また考えた。
それに俺は……華折りすら他にけしかけられ、その上でサヤに、手引きされたようなものだったものな。
男としてはかなり情けないことだったよな、やっぱり……。
いや、でも言われたからって仕切り直しするのも…………。
あああぁぁ、またそういうことぐだぐだ考える。だからヘタレだって言うんだよっ。
「まぁ今すぐとは言いませんから……。そのうちに」
「…………うん、まぁ……そのうち……」
「えぇ。そのうちに」
にっこりと微笑みそう言われ、こうやって筒抜けるから余計にやりにくいんだよな……と、まだぐだぐだ考えている俺の思考を、頭の中でぶん殴った。
◆
そして翌日より、先ずは武器の運び出し。
朝からサヤとは離れ、シザーとユストを伴って鍛冶場に向かった。
サヤには、村の女性らとの交流任務が課せられていた。クレフィリアと共に、料理教室を開くとのこと。
そうして小型高温炉の設置された鍛冶場へと訪れた俺は、ヘカルに届ける荷を使用人に扮した吠狼の面々が運び出す間、職人たちとの再会を果たすことも叶った。
「レイ様……っ」
「主、よくご無事で!」
職人の代表者と、隣接している休憩室を借りての対面。
俺たちがアヴァロンを追われたことは伏せているから、大っぴらに話すことも憚られたからだ。
「このようなことになってしまい、大変申し訳なく思っている。その上更に……」
「やめましょう! 貴方は何も悪くない!」
「そうですとも。あれは貴方を陥れる策謀だった。不意を突かれたのは皆同じです」
職人の彼らも吠狼の一員であるから、事情はきちんと通っているようだ。
そう言ってくれる彼らに、ありがとうと言葉を続けた。
このような状況を招きながらも慕ってくれる……それがどれほど有難いことか……。
「それに……主は約束を違えたりしておりませんよ」
「えぇ。我らが獣人であることを公にすることは、アヴァロンに入る時から仰っておられました。
そして公にした時は、こうなる可能性もあると、我々はちゃんとうかがっておりました」
「このような結果になったのは残念なことですが……それでも我々は、貴方が獣人を裏切り者の駒として切り捨てなかったことに、感謝しかございません」
ウォルテールが裏切っていたことも、それが主に縛られての所業であったことも、全て聞いたという。その上で彼らは、そう言ってくれた。
「ウォルテールを切り捨てないでくださった……」
「たとえ縛られていても、彼はもう我らの仲間でした。だから……あれを守ってくださったことには、感謝しかございません」
「主との関係性や群れの約束事を貴方は尊重してくださる。けれどその上で、彼を守るとしてくれました」
主が切り捨てるとしたのなら、獣人は逆らわない。けれど、切り捨てない方を選んでもらえたことが何故か、我がことのように嬉しいのだと、彼らは言ってくれた。
駒と割り切って済ませることの方が、正しかったとしても。
「どう表現すれば良いか……言葉が上手く見つかりませんが……。来世を望めない我らには、今しかないのです……。
ですから、何も残せない死ほど、恐ろしいものはない。
仲間のため、後世のためと思えるならばまだ良い。けれど、主から存在することすらを否定され死ぬのは、生まれ出たことすら認めないと言われたようなもの……」
「役割の中で死ねることは幸せです。
この命にも求められるもの、存在の価値があったということ。それを成すために命を燃やしたということです。
ですから、あのお役目の中で命を失った者らにも、どうか詫びないでください。代わりに、よくやったと褒めてやってくださいませんか」
そう言ってくれる彼らに……俺が今から、返せるものはなんだろう……。
やはり、彼らの死を、無駄な死にしないことだよな……。
「……この戦いを乗り切ることができれば……お前たちだって来世を望める時代になる。
命を賭して役目を全うしてくれた者たちにも、来世を贈るよ。
次の人生こそ、平和に、思うままに生きられるようにしよう。
必ず勝って、そうするから」
誓いを、そう言葉にすると、彼らは、はい。と、力強い返事を返してくれた。
情緒も配慮もない兄で本当に申し訳ない! と、平謝りするエリクスを宥め、マルに人前でそんな話するなと説教すること半時間……。
サヤが戻り、居た堪れない雰囲気を誤魔化しつつ俺も、身支度に向かった。
サヤが若干居心地悪そうにしてたのは、あの大騒ぎが聞こえているからだろう……ううぅ、防音効果がどうだろうがサヤの耳には筒抜けなんだよ! 後で部屋でどんな顔して休めっていうんだ⁉︎
まぁそれはともかく、ハインを失い、ルフスもいない状況だから、俺の従者は現在サヤのみ。しかも片手であるので自分のこともなかなか自分でできない身だ。
そこでこの町の中では、ユストが従者の真似事をしてくれることになっていた。
いつもはウォルテールが手伝ってくれているのだけど、獣人の特徴が顕著な彼は、流石に町の中にまで連れて来れない。
「というか、サヤ様にしてもらえば良いと思うんですけどねぇ」
「お前まで言うなよ⁉︎ そんなことしたらどうなるか分かるだろう!」
俺の我慢がきくと思うのか⁉︎
「いや……なんで我慢するのかって話じゃないですか?」
夫婦なんですし……湯浴みくらい、一緒にされたら良いんじゃないですか? と、ユスト。
正直聞きたくなかったが、耳を塞ごうにも片手しかないのでそれもできないし、不貞腐れるしかない。
そっぽを向く俺に、ユストはなんでそんな頑ななんですかと苦笑い……。
そんなの……この前思いっきり怪我させてるからに決まってる!
まだ半月しか経ってないのに、傷が癒えてる保証無いだろ⁉︎
心の中では大音量で叫んでいたのだが、口に出すことは憚られ、ぐぬぬと口を閉ざすと、しょうがないものを見る目で見られ、あまつさえ溜息……。
「いや、サヤ様を大切にされているのは重々承知してるんですよ? ですけどほら……これから、あれじゃないですか」
戦になれば、共にいることも難しくなるんですよ。と、ユスト。
そうしてそれまでの笑みを引っ込め、真剣な表情で……。
「万が一ということも、可能性としてはあるんです……。
なのに、サヤ様に何も……残さないおつもりですか」
そう言われた。
「戦が何年続くかも分からないんですよ? お互いに、何があるかも分からない……。
ならせめて今のうちにって、マルさんも考えたんだと思います」
「だからってあの言い方はないと思う!」
「はい、まぁ……言い方は良くなかったですけど……」
肩からざばりと湯を掛けられた。
部屋は暖かかったけれど、それでも北国の冬だ、寒い……。
さっさと済ませて、濡れた身体を拭いてもらい、夜着を身につけた。
それを手伝いつつ、それ以上は黙っていたユストだったのだが……。
「俺も、こんなことは言いたくないんです。万が一なんて、絶対にあってはならないんですから。
でも……やっぱり、マルさんの言うことも、一理あると思います……。
折角今、共にいられるんですから。
次が本当にあるかなんて、誰にも分からないんですから……」
肩に羽織りを掛けられ、ポンと両腕を包むように叩かれた。
その視線が俺の右手に注がれており、これを失った時、命も失っていたかもしれないことを、再確認する。
そうして少しだけ、人生を先に歩く先達としての助言ですと、俺に……。
「後継云々は抜きにして、愛しているということを伝える手段は、多いに越したことはないです。
言えないままぐるぐるして、離れ離れになってから後悔したくないでしょう?」
そういう衝動が失せたわけじゃないんでしょうし。と、ユスト。求める方が健全な夫婦ですよと言われた。
そりゃまぁ……と、いうか……思い出すのすらやばいと思うくらいに、あれは至福の時間だった。……俺にとってはだけど……。
でもサヤは、もう嫌だと思っているかもしれない。
「一回許していただけたんですから、二回も三回も変わりませんよ」
「ゔ……だって……」
ここではほぼ常に視線があった……それに子供らに全部筒抜けてると思うと……色々とこう……やりにくかったのだ。
…………いや、やっぱり言い訳かな……。
こんな状況にサヤを置いている。右手まで失って、いちいち全て、サヤの世話になっているということも、引け目になっている。
「サヤ様も待ってらっしゃると思いますけどね……。
あかんって言ってても……本気で拒否されてたことなんて、無いじゃないですか。
あの方も色々気を使う方です。貴方の負担になってはいけないとか、余計なことを気にされてると思いますよ……」
そう言われ、髪のことも、湯浴みのことも、不満ひとつ溢さないサヤが、どれだけ我慢を重ねているのだろうかと、また考えた。
それに俺は……華折りすら他にけしかけられ、その上でサヤに、手引きされたようなものだったものな。
男としてはかなり情けないことだったよな、やっぱり……。
いや、でも言われたからって仕切り直しするのも…………。
あああぁぁ、またそういうことぐだぐだ考える。だからヘタレだって言うんだよっ。
「まぁ今すぐとは言いませんから……。そのうちに」
「…………うん、まぁ……そのうち……」
「えぇ。そのうちに」
にっこりと微笑みそう言われ、こうやって筒抜けるから余計にやりにくいんだよな……と、まだぐだぐだ考えている俺の思考を、頭の中でぶん殴った。
◆
そして翌日より、先ずは武器の運び出し。
朝からサヤとは離れ、シザーとユストを伴って鍛冶場に向かった。
サヤには、村の女性らとの交流任務が課せられていた。クレフィリアと共に、料理教室を開くとのこと。
そうして小型高温炉の設置された鍛冶場へと訪れた俺は、ヘカルに届ける荷を使用人に扮した吠狼の面々が運び出す間、職人たちとの再会を果たすことも叶った。
「レイ様……っ」
「主、よくご無事で!」
職人の代表者と、隣接している休憩室を借りての対面。
俺たちがアヴァロンを追われたことは伏せているから、大っぴらに話すことも憚られたからだ。
「このようなことになってしまい、大変申し訳なく思っている。その上更に……」
「やめましょう! 貴方は何も悪くない!」
「そうですとも。あれは貴方を陥れる策謀だった。不意を突かれたのは皆同じです」
職人の彼らも吠狼の一員であるから、事情はきちんと通っているようだ。
そう言ってくれる彼らに、ありがとうと言葉を続けた。
このような状況を招きながらも慕ってくれる……それがどれほど有難いことか……。
「それに……主は約束を違えたりしておりませんよ」
「えぇ。我らが獣人であることを公にすることは、アヴァロンに入る時から仰っておられました。
そして公にした時は、こうなる可能性もあると、我々はちゃんとうかがっておりました」
「このような結果になったのは残念なことですが……それでも我々は、貴方が獣人を裏切り者の駒として切り捨てなかったことに、感謝しかございません」
ウォルテールが裏切っていたことも、それが主に縛られての所業であったことも、全て聞いたという。その上で彼らは、そう言ってくれた。
「ウォルテールを切り捨てないでくださった……」
「たとえ縛られていても、彼はもう我らの仲間でした。だから……あれを守ってくださったことには、感謝しかございません」
「主との関係性や群れの約束事を貴方は尊重してくださる。けれどその上で、彼を守るとしてくれました」
主が切り捨てるとしたのなら、獣人は逆らわない。けれど、切り捨てない方を選んでもらえたことが何故か、我がことのように嬉しいのだと、彼らは言ってくれた。
駒と割り切って済ませることの方が、正しかったとしても。
「どう表現すれば良いか……言葉が上手く見つかりませんが……。来世を望めない我らには、今しかないのです……。
ですから、何も残せない死ほど、恐ろしいものはない。
仲間のため、後世のためと思えるならばまだ良い。けれど、主から存在することすらを否定され死ぬのは、生まれ出たことすら認めないと言われたようなもの……」
「役割の中で死ねることは幸せです。
この命にも求められるもの、存在の価値があったということ。それを成すために命を燃やしたということです。
ですから、あのお役目の中で命を失った者らにも、どうか詫びないでください。代わりに、よくやったと褒めてやってくださいませんか」
そう言ってくれる彼らに……俺が今から、返せるものはなんだろう……。
やはり、彼らの死を、無駄な死にしないことだよな……。
「……この戦いを乗り切ることができれば……お前たちだって来世を望める時代になる。
命を賭して役目を全うしてくれた者たちにも、来世を贈るよ。
次の人生こそ、平和に、思うままに生きられるようにしよう。
必ず勝って、そうするから」
誓いを、そう言葉にすると、彼らは、はい。と、力強い返事を返してくれた。
0
お気に入りに追加
837
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
浮気くらいで騒ぐなとおっしゃるなら、そのとおり従ってあげましょう。
Hibah
恋愛
私の夫エルキュールは、王位継承権がある王子ではないものの、その勇敢さと知性で知られた高貴な男性でした。貴族社会では珍しいことに、私たちは婚約の段階で互いに恋に落ち、幸せな結婚生活へと進みました。しかし、ある日を境に、夫は私以外の女性を部屋に連れ込むようになります。そして「男なら誰でもやっている」と、浮気を肯定し、開き直ってしまいます。私は夫のその態度に心から苦しみました。夫を愛していないわけではなく、愛し続けているからこそ、辛いのです。しかし、夫は変わってしまいました。もうどうしようもないので、私も変わることにします。
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる