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旧友 8
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カタリーナは、孤児院に幽閉されているが如く、敷地から一切外には踏み出さなかった。
そうしてそれは、ジーナも同じ。
「ジーナちゃんあーそーぼー!」
「はーあーいー!」
女長屋で仲良くなった子供らが、孤児院に遊びに来ても、孤児院の中で遊ぶように促した。
まぁ、雨も降っているし、長屋の子供らも半分それを目当てに来ているようなものなので、問題にはなってない。
俺としても、村の子供らと孤児らが交流するのは良いことだとも考えていたから。
雨季が終わったら、幼年院が始まる。
孤児院の建つこの敷地内にある、もうひとつの校舎。ここで学び、遊び、日々を共に過ごす。
親のいない引け目というのは、やはりあると思う……。
遊びに来る子らと仲良くする子もいれば、しない子もいたから。
けれど、幼年院が始まれば、皆が同じ屋根の下で学び合うことになる。だから、視界の端に触れさせるだけでも良いのだ。少しずつ、お互いを知ってほしかった。
◆
本日、孤児院の昼食はテイクの担当。
手が出せない女性だらけの環境は辛いと嘆かれ、未婚女性の沢山いる場所が良いと駄々をこねたからだ。
まぁ、いつもここというわけではなく、ユミルと日によって交代で担うのだけどな。
「確かに若いけどもね⁉︎」
「文句は受け付けません」
一番年上の子で十四だと言ったら、あと三年か……って呟いていたけど、十五になったら独り立ちだし、ここには残らないんだよな……。まぁ、教えるつもりは無いが。
ここの子らの安全は守らねばならないし。
「おとこなのにりょうりできんの⁉︎」
「バカ、ふつう料理人って男じゃん」
「すげー! てのうごき見えねぇ、なのに切れてる!」
「うわははははは! 崇め奉れっ、テイク様は料理人歴が年齢っ。これくらいのことは当然できるのさ!」
「…………赤子のうちに料理とかムリじゃん」
「こいつうそつきだ」
「嘘じゃないやい! その頃から野菜とか与えられて触れ合わされていたんだい!」
子供と張り合うなよ……。まぁ、満更でもなさそうだから良いんだけど……。
「それでは、いただきます!」
「「「いただきまーす!」」」
今日も昼食は子供達と一緒。食事の間に様子の変な子とかがいないかも見ていく。
配膳を終えたテイクも隣で一緒に食事をとっているのだけど……。
「なぁ、いっつもこうなの?」
「そうだよ。極力、一日一食は共にできればと思ってるんだけど……」
「…………まさかハイン以外にも、これだけ孤児拾ってるとは思わなかった……」
半ば呆れてそんな風に言われてしまった。
「ねぇ、はいんって?」
「いるだろ、レイ様にくっついてる顔の怖いやつ!」
「あぁ、あいつかぁ」
「怖い」
「いつもにらんでくるよ」
「いや、それ睨んでない。あれが地顔。ふつうにしてるだけで怖いって反則だよな」
子供達と前から知り合いみたいに、普通に話をするテイク。
この垣根を作らない感というか……妙に溶け込んでしまう馴染み感というか……独特の空気だよなっていつも思う。
「あいつがマジで睨んできたら夜寝られないからね⁉︎ 怖すぎて!」
「うそだぁ」
「マジだよ! そのせいで僕今日寝不足なんだよ⁉︎ 夢でまで睨んでくるんだからっ!」
あはははぁ! 何して怒らせたんだよ? と、笑われるテイク。サヤもくすくす笑っている。
仲良くやっていけそうでなによりだよ。
……っと。
そんな風にしている視界の端でコソコソとしている影があり、視線をやった。
トゥシュカ……。今日も食べ物を、周りの席の子に分けてしまっているようだ。
暫く見ていたら、俺の視線に気付いたのかギクリと手を止め、小さく縮こまって俯いてしまった……。
トゥシュカの食事は殆ど残っていない……。
つい眉を寄せてしまったのだけど、そんな俺の袖を、サヤが引いた。
視線をやると、小さく首を横に振る。言わないであげて……と、そういう動作。だけど……っ。
「…………」
俺の言いたいことはサヤにも伝わっていたと思う。それでももう一度、首を横に振る。
それで、今日は口を挟まないでおこう……ということになった。まぁ……いつもいつも指摘するのも……トゥシュカの負担になるよな……。
「みんな偉いなー! 好き嫌いとかないの? ツルッピカじゃん! まぁ、僕の料理がそれだけ美味いってことだけどっ!」
食後、食器を片付ける子供らを褒めてるんだか自分を担いでるんだか……。まぁ好きにさせておこうって思ったテイクが、トゥシュカの時だけ。
「ごめんなー。次はもっと美味いと思えるもん作るからさっ、今日は勘弁してな」
驚いた顔のトゥシュカ。
その頭をワシワシと撫でて、何事もなかったかのように次の子の食器を受け取るテイク。
こういうところはほんと……うん。テイクを好きだなって、思う時だよな。
食材の好き嫌いとかも関係なく、食べないということは、食べたいと思わせるだけの腕が自分にはまだ備わっていないのだと、テイクはそう考えるのだ。
そういう、やつなのだ……。
◆
「主、緊急連絡。
オゼロの使者を名乗る一団が村門に到着。入村を希望している」
「本館まで直行でお通ししてくれ。他の面々にも報告任せた。計画通りでと付け足しといて」
午後半ばの休憩を挟んだ直後、巡回中であった吠狼から知らせが入り、執務室は一気に慌ただしくなった。
「ヘイスベルトとウーヴェはそのままここで仕事しつつ待機。また緊急連絡が入ったら報告よろしく。
……あっ、その時は声に出しての報告は駄目だよ、きょくりょく……」
「紙に記してお渡しする感じで宜しいですか?」
「有難う。それでお願い。
オブシズ、孤児院へ。行きがけにシザーを見かけたら、上着だけ替えてくるように言っておい…………」
「レイシール様! ハインさんが早く着替えてくださいって。急いでお部屋にお戻りください!」
「分かってる今行く!」
指示を出しているそばからサヤが駆けてきて、サヤも早く支度しておいで! と、そう叫んで部屋に急いだ。
オゼロからの使者を迎えるならば、普段着では挑めない。少しの隙だってつくりたくなかったから、服装だって改める。
「女中頭がお茶とお菓子は、直ぐにお持ちして宜しいですかと」
「良いよ。俺もすぐ向かうから、もう準備を始めておいて……あっ、若い子は行かせないで。
粗相云々じゃなくて、ちょっと素行の悪い人物が混じってる可能性が高いから、極力慣れた人で」
「使者様、本館前にご到着されました。これより応接室にご案内しますとのことです」
「分かった、あと少しでいける……」
「五分で終わらせます」
着替えの最中もパタパタと女中や使用人が来て、それに指示を飛ばしつつ着替えを進めた。本日ばかりはハインも嫌味一つ挟まない。口を開く時間を惜しんで、こちらも客間の準備を指示。
「こんな時間に来るか…………敢えてだよな」
「でしょうね。初めから、長期戦で考えているのでしょう」
「万が一マルが出て来たら、すぐに食べさせて、それから風呂に叩き込んで。
あと、ユミルに使者の方々の食事分確保できるか食材の確認と……」
「そちらは人数が判明しましたら即動きます。部屋の準備は進めておりますので、三部屋以上必要であるならば早めに連絡をください」
「分かった、頼む」
髪を解いて梳っていたら、身支度を済ませたサヤが到着。俺の髪を手早く結い直してくれた。
「シザーさん部屋の前で待機されてます」
「有難う。揃ったな……では行こうか」
サヤの服装は女従者のそれ。けれど、右耳には魚の耳飾、化粧をきっちり目に直し、髪には簡素な髪留め。普段は着ていなかった中衣が、上着の中に追加されている。腰帯もベルトではなく、通常の腰帯だ。あまり奇抜になりすぎないよう意識したのだろう。
ハインに父上への報告をお願いして、俺はサヤとシザーを伴い、応接室に足を向けた。
その間に、今回の交渉で手に入れるべき戦利品を頭の中で反芻。木炭の値段交渉と、カタリーナの件を同時進行しなきゃいけない可能性があるから、気持ちを引き締めた。
そうして、応接室に到着する前に、もう一報が…………。
「ヤロヴィが来た。手筈通りにすンぞ」
やっぱり来たか……。きっと揃えて来るんだろうと、思っていた……。そしてやはりというか、メバックに引き返せない時間を選んできたな……。
「あぁ、頼む。…………宿泊目当てでこの時間だろうから、吠狼の巣を一つ進呈してやって……」
「勿論。野放しにする気なンざねぇよ。四六時中見張り付きでご招待だ。
ウーヴェと相対すンのはどうせあの男と少数だけだろ。他はもう宿に向かわせンぞ」
「そうしてくれ。極力村の中を彷徨かせたくない」
部屋の前に着くと、サヤがまず瞳を閉じた。中の音に耳を澄ましているのだ。
「……田舎のわりに、豪奢な造りですね。セイバーンは麦の生産で潤う領地だからな。豪奢? 王都かぶれの間違いではないのか? 口を慎め。ここの後継は其方と同じ、学舎出だ。
侮っていられるかどうかは其方自身が知っていよう……失礼いたしました」
「特にめぼしい会話は無さそうだな……」
そう言うと、サヤが振り返り、今一度俺の服装を確認。腰帯の紋章印を少し引き上げて、位置を調整してくれ……。
「……とっても素敵です」
そう言いにこりと笑ってくれたから、俺のやる気も充分満ちた。
では行こう。と、声を掛けると、応接室の前に待機していた使用人が、両開きの扉に手を掛け、一気に引く。
「お待たせ致しました。
本日は遠路遥々お越し頂きまして、誠に有難うございます。
私はレイシール・ハツェン・セイバーン。セイバーンの後継であり、この拠点村の責任者。
父は病床に伏しておりますゆえ、私がご来訪の要件を承ります」
そうしてそれは、ジーナも同じ。
「ジーナちゃんあーそーぼー!」
「はーあーいー!」
女長屋で仲良くなった子供らが、孤児院に遊びに来ても、孤児院の中で遊ぶように促した。
まぁ、雨も降っているし、長屋の子供らも半分それを目当てに来ているようなものなので、問題にはなってない。
俺としても、村の子供らと孤児らが交流するのは良いことだとも考えていたから。
雨季が終わったら、幼年院が始まる。
孤児院の建つこの敷地内にある、もうひとつの校舎。ここで学び、遊び、日々を共に過ごす。
親のいない引け目というのは、やはりあると思う……。
遊びに来る子らと仲良くする子もいれば、しない子もいたから。
けれど、幼年院が始まれば、皆が同じ屋根の下で学び合うことになる。だから、視界の端に触れさせるだけでも良いのだ。少しずつ、お互いを知ってほしかった。
◆
本日、孤児院の昼食はテイクの担当。
手が出せない女性だらけの環境は辛いと嘆かれ、未婚女性の沢山いる場所が良いと駄々をこねたからだ。
まぁ、いつもここというわけではなく、ユミルと日によって交代で担うのだけどな。
「確かに若いけどもね⁉︎」
「文句は受け付けません」
一番年上の子で十四だと言ったら、あと三年か……って呟いていたけど、十五になったら独り立ちだし、ここには残らないんだよな……。まぁ、教えるつもりは無いが。
ここの子らの安全は守らねばならないし。
「おとこなのにりょうりできんの⁉︎」
「バカ、ふつう料理人って男じゃん」
「すげー! てのうごき見えねぇ、なのに切れてる!」
「うわははははは! 崇め奉れっ、テイク様は料理人歴が年齢っ。これくらいのことは当然できるのさ!」
「…………赤子のうちに料理とかムリじゃん」
「こいつうそつきだ」
「嘘じゃないやい! その頃から野菜とか与えられて触れ合わされていたんだい!」
子供と張り合うなよ……。まぁ、満更でもなさそうだから良いんだけど……。
「それでは、いただきます!」
「「「いただきまーす!」」」
今日も昼食は子供達と一緒。食事の間に様子の変な子とかがいないかも見ていく。
配膳を終えたテイクも隣で一緒に食事をとっているのだけど……。
「なぁ、いっつもこうなの?」
「そうだよ。極力、一日一食は共にできればと思ってるんだけど……」
「…………まさかハイン以外にも、これだけ孤児拾ってるとは思わなかった……」
半ば呆れてそんな風に言われてしまった。
「ねぇ、はいんって?」
「いるだろ、レイ様にくっついてる顔の怖いやつ!」
「あぁ、あいつかぁ」
「怖い」
「いつもにらんでくるよ」
「いや、それ睨んでない。あれが地顔。ふつうにしてるだけで怖いって反則だよな」
子供達と前から知り合いみたいに、普通に話をするテイク。
この垣根を作らない感というか……妙に溶け込んでしまう馴染み感というか……独特の空気だよなっていつも思う。
「あいつがマジで睨んできたら夜寝られないからね⁉︎ 怖すぎて!」
「うそだぁ」
「マジだよ! そのせいで僕今日寝不足なんだよ⁉︎ 夢でまで睨んでくるんだからっ!」
あはははぁ! 何して怒らせたんだよ? と、笑われるテイク。サヤもくすくす笑っている。
仲良くやっていけそうでなによりだよ。
……っと。
そんな風にしている視界の端でコソコソとしている影があり、視線をやった。
トゥシュカ……。今日も食べ物を、周りの席の子に分けてしまっているようだ。
暫く見ていたら、俺の視線に気付いたのかギクリと手を止め、小さく縮こまって俯いてしまった……。
トゥシュカの食事は殆ど残っていない……。
つい眉を寄せてしまったのだけど、そんな俺の袖を、サヤが引いた。
視線をやると、小さく首を横に振る。言わないであげて……と、そういう動作。だけど……っ。
「…………」
俺の言いたいことはサヤにも伝わっていたと思う。それでももう一度、首を横に振る。
それで、今日は口を挟まないでおこう……ということになった。まぁ……いつもいつも指摘するのも……トゥシュカの負担になるよな……。
「みんな偉いなー! 好き嫌いとかないの? ツルッピカじゃん! まぁ、僕の料理がそれだけ美味いってことだけどっ!」
食後、食器を片付ける子供らを褒めてるんだか自分を担いでるんだか……。まぁ好きにさせておこうって思ったテイクが、トゥシュカの時だけ。
「ごめんなー。次はもっと美味いと思えるもん作るからさっ、今日は勘弁してな」
驚いた顔のトゥシュカ。
その頭をワシワシと撫でて、何事もなかったかのように次の子の食器を受け取るテイク。
こういうところはほんと……うん。テイクを好きだなって、思う時だよな。
食材の好き嫌いとかも関係なく、食べないということは、食べたいと思わせるだけの腕が自分にはまだ備わっていないのだと、テイクはそう考えるのだ。
そういう、やつなのだ……。
◆
「主、緊急連絡。
オゼロの使者を名乗る一団が村門に到着。入村を希望している」
「本館まで直行でお通ししてくれ。他の面々にも報告任せた。計画通りでと付け足しといて」
午後半ばの休憩を挟んだ直後、巡回中であった吠狼から知らせが入り、執務室は一気に慌ただしくなった。
「ヘイスベルトとウーヴェはそのままここで仕事しつつ待機。また緊急連絡が入ったら報告よろしく。
……あっ、その時は声に出しての報告は駄目だよ、きょくりょく……」
「紙に記してお渡しする感じで宜しいですか?」
「有難う。それでお願い。
オブシズ、孤児院へ。行きがけにシザーを見かけたら、上着だけ替えてくるように言っておい…………」
「レイシール様! ハインさんが早く着替えてくださいって。急いでお部屋にお戻りください!」
「分かってる今行く!」
指示を出しているそばからサヤが駆けてきて、サヤも早く支度しておいで! と、そう叫んで部屋に急いだ。
オゼロからの使者を迎えるならば、普段着では挑めない。少しの隙だってつくりたくなかったから、服装だって改める。
「女中頭がお茶とお菓子は、直ぐにお持ちして宜しいですかと」
「良いよ。俺もすぐ向かうから、もう準備を始めておいて……あっ、若い子は行かせないで。
粗相云々じゃなくて、ちょっと素行の悪い人物が混じってる可能性が高いから、極力慣れた人で」
「使者様、本館前にご到着されました。これより応接室にご案内しますとのことです」
「分かった、あと少しでいける……」
「五分で終わらせます」
着替えの最中もパタパタと女中や使用人が来て、それに指示を飛ばしつつ着替えを進めた。本日ばかりはハインも嫌味一つ挟まない。口を開く時間を惜しんで、こちらも客間の準備を指示。
「こんな時間に来るか…………敢えてだよな」
「でしょうね。初めから、長期戦で考えているのでしょう」
「万が一マルが出て来たら、すぐに食べさせて、それから風呂に叩き込んで。
あと、ユミルに使者の方々の食事分確保できるか食材の確認と……」
「そちらは人数が判明しましたら即動きます。部屋の準備は進めておりますので、三部屋以上必要であるならば早めに連絡をください」
「分かった、頼む」
髪を解いて梳っていたら、身支度を済ませたサヤが到着。俺の髪を手早く結い直してくれた。
「シザーさん部屋の前で待機されてます」
「有難う。揃ったな……では行こうか」
サヤの服装は女従者のそれ。けれど、右耳には魚の耳飾、化粧をきっちり目に直し、髪には簡素な髪留め。普段は着ていなかった中衣が、上着の中に追加されている。腰帯もベルトではなく、通常の腰帯だ。あまり奇抜になりすぎないよう意識したのだろう。
ハインに父上への報告をお願いして、俺はサヤとシザーを伴い、応接室に足を向けた。
その間に、今回の交渉で手に入れるべき戦利品を頭の中で反芻。木炭の値段交渉と、カタリーナの件を同時進行しなきゃいけない可能性があるから、気持ちを引き締めた。
そうして、応接室に到着する前に、もう一報が…………。
「ヤロヴィが来た。手筈通りにすンぞ」
やっぱり来たか……。きっと揃えて来るんだろうと、思っていた……。そしてやはりというか、メバックに引き返せない時間を選んできたな……。
「あぁ、頼む。…………宿泊目当てでこの時間だろうから、吠狼の巣を一つ進呈してやって……」
「勿論。野放しにする気なンざねぇよ。四六時中見張り付きでご招待だ。
ウーヴェと相対すンのはどうせあの男と少数だけだろ。他はもう宿に向かわせンぞ」
「そうしてくれ。極力村の中を彷徨かせたくない」
部屋の前に着くと、サヤがまず瞳を閉じた。中の音に耳を澄ましているのだ。
「……田舎のわりに、豪奢な造りですね。セイバーンは麦の生産で潤う領地だからな。豪奢? 王都かぶれの間違いではないのか? 口を慎め。ここの後継は其方と同じ、学舎出だ。
侮っていられるかどうかは其方自身が知っていよう……失礼いたしました」
「特にめぼしい会話は無さそうだな……」
そう言うと、サヤが振り返り、今一度俺の服装を確認。腰帯の紋章印を少し引き上げて、位置を調整してくれ……。
「……とっても素敵です」
そう言いにこりと笑ってくれたから、俺のやる気も充分満ちた。
では行こう。と、声を掛けると、応接室の前に待機していた使用人が、両開きの扉に手を掛け、一気に引く。
「お待たせ致しました。
本日は遠路遥々お越し頂きまして、誠に有難うございます。
私はレイシール・ハツェン・セイバーン。セイバーンの後継であり、この拠点村の責任者。
父は病床に伏しておりますゆえ、私がご来訪の要件を承ります」
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