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試練の時 12

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 サヤも落ち着いて……。
 お茶でももらおうと階下に降りてみたら、予想外の人物が調理場に立っていて、俺は唖然と、足を止めた。

「……ガウリィ?」

 なんでガウリィがいる?

「賄い作りに来たに決まってらぁ」

 そっけない言葉が返って来たけれど、いや、お前の職場は拠点村だろ?
 だけど驚きは、ガウリィだけに留まらず……。

「……えっ⁉︎    女中頭もどうした⁉︎」

 食事処の隅の席で、当然のように座っている女中頭。
 俺の言葉にスッと立ち上がった女中頭は、折り目正しくお辞儀をしつつ「お支度にあがりました」と、口にした。

「到着が遅れましたこと、お詫びいたします。
 私共が参りましたのは、マルクスさんのご指示ですわ。
 こちらの食事処の女将、カーリンさんが、この度、急なご出産とのこと。
 予定よりも随分お早いそうで、ナジェスタさんが、治療院への入院が必須となるとおっしゃいました。
 とはいえ、出産直後のご婦人に、そのための手続きや準備など無理でしょうから、私がお手伝いに伺うことにいたしましたの。
 ご家族の方へも、私からお伝えしに参りますので、お任せください」
「……入院?」

 そういえば、さっきそんなことを言ってた……。

「赤子が無事成長すると判断できるまでとなりますので、ふた月程は見越していただく必要があるとのことです。
 そうなりますと、こちらの賄い作りに支障が出てしまいますため、臨時として、ガウリィさんにこちらへ戻っていただく手筈となりました。
 拠点村の食事処は、エレノラさんと、こちらのダニルさんにお任せする形になさるそうですわ。
 出産直後の夫婦、しかもお子様が長期入院となっては、離れ離れでは仕事も手につかないでしょうから……とのことです」

 ナジェスタの到着が遅れたのは、この辺りの調整に時間を取られていたからだと理解した。
 マルは、出産のことだけに留まらず、その後のことも考えて、準備してくれたのだ。

「誤算でしたのは、カーリンさんが思いの外安産だったことですわね。なんとか間に合ったようで、ようございました」

 到着した時は肝を冷やしましたと女中頭。
 上階からの叫び声を聞き、ナジェスタも慌てて身支度を整え、現場に飛び込んでいったのだそう。
 だが、そのことより、女中頭の発言の方が、俺には重要だった。

「…………安産?」

 ………………。
 いや……いやいやいや、あれが安産って……。カーリンもサヤも、ほんと大変だったんだぞ⁉︎

「安産ですわ。
 破水からたった四時間程度……しかも初産だそうではございませんか。この上なく安産でございます」

 ……あんなに大変だったのに、四時間しか経ってなかった……。

 呆然としている間に、処置を済ませたナジェスタも下りてきた。
 赤子を洗うのに使った湯や荷物ひと抱えを、腰に括り付けるまでして一度に全部持ってきている……。なんというか、案外物ぐさだな……半分ずつにしようよ、危ないから。

「焦ったぁ!    間に合わなかったらどうしようかと思った。
 だけどサヤさんが良くしてくれてたから、あの子全然大丈夫だったよ。
 胎盤も無事出たし、母体も申し分ないから、すぐに治療院まで来てもらえそう。
 そんなわけだからエリーゼさん、お母さんも落ち着いたし、上がってもらって大丈夫。支度お願いします」
「承知致しましたわ。では、暫し失礼させていただきます」

 ぺこりとお辞儀をして上階に向かった女中頭。……エリーゼっていうのか。名前、初めて聞いたな……。
 女中頭の前は女中長だったし、全然名前を聞いたことなかったんだよな……と、半ば頭が安産発言を拒否していたのだけど……。

「ナジェスタさん、荷物お持ちします」

 先ほどまでフラフラだったサヤが、両手いっぱいどころか腰にまで荷物をぶらさげたナジェスタを気遣い、動いた。手に持った盥を受け取ろうと腕を伸ばし……。

「あ、いいのいいの!    これ、胎盤入ってるし……」

 ナジェスタの言葉は一歩遅く……中を見たサヤが悲鳴にならない声をあげ、へたり込んだ。

「あはは、肉々しいからびっくりしたよね。これが胎盤と、臍の緒。丁度良いから盥借りちゃった」

 盥の中には……赤い肉の塊と、白と灰色に斑らの管が放り込まれており、それはそれは……なんというかこう……臓物っぽいし、えぐい光景だよね……。
 赤子を洗った湯は窓から投げ捨てたそう。うん、豪快だ。

「これを食べる地域もあるんだけど、ここら辺はしないみたいだね」
「ったっ、食べる⁉︎」
「うん。栄養多いんだよ。ほら、野生の動物なんかは大抵食べるでしょ」

 これがとどめとなってしまった。

「サヤ⁉︎」

 色々張り詰めていたし、精神的にも肉体的にも疲労困憊だったのだろうサヤは、フラッと傾いで、そのまま意識を手放してしまった。
 あああぁぁぁ、こういうの苦手そうだったもんな。鹿の皮を剥ぐだけで震え上がっていたし。

「ありゃ……悪いことしちゃった?」
「いや……疲れてたろうから……」

 きっと胎盤を見たことだけが理由じゃないだろう。
 とりあえずサヤを抱きとめたは良いものの……どうしような。上の部屋に寝かせようにも、ダニルの寝台を借りるわけにもいかない。あそこは寝具も剥いでしまったし……。
 そんな風に考えていたら、ハインが外から戻ってきた。見かけないと思ったら、外に出ていたらしい。

「おや、サヤは眠ってしまったのですか?」
「うん……まぁ……」

 似たようなものかな……。

「ならば、馬車を整えてきましたから、そちらに寝かせますか?」
「馬車?」
「カーリンを拠点村の治療院まで運ばねばなりません。
 六人乗りの馬車が来ておりますから、カーリンを寝かせても余裕がありますので、サヤもそちらで連れ帰ってはいかがでしょう。
 ……馬で帰るのも危険です。サヤは夜駆けには慣れていないでしょうし、途中で寝てしまって、落馬しては目も当てられませんから」

 そうだった。ここから更に、馬で戻るのだ。
 外はもう日が暮れてしまって随分と経つ。真っ暗だから、慣れないサヤに馬は危険だろう。
 それでも翌日を待たず本日中に戻るのは、赤子とカーリンの産褥経過を気遣ってだろうし、どうせこの村に泊まっていくのは無理だしな……。
 だけど、六人乗りで、カーリンは中に寝かせなきゃならないとして……赤子はダニルが抱く……となると、あと乗れるのは二人くらいだぞ?

「ガウリィは残るのだとしても……女中頭とナジェスタが乗れば定員限界じゃないか?」
「荷物を馬に積みます。そうすればもう一人くらいは余裕が出ます」
「あら、私、今日はこちらへ残らせていただきますわ。
 カーリンさんのご実家にも伺いますし、私を待っていては日を跨いでしまいますから」

 荷物を抱えて下りてきた女中頭がそう言い、外に向かう。それを慌てて追って、荷物を受け取ったシザー。手伝うらしい。
 残るったって……じゃあ女中頭はどこに泊まるんだ?

「実家です。明日は非番に調節していただけたので、一日ゆっくりさせてもらいますから、お気になさらず」
「非番の日に、仕事させてしまってすまない……」
「あらあら、本日は違いますからお気になさらないでくださいまし。
 それより若様、いつまで女性を床に座らせておくつもりですか?」

 女中頭にひと睨みされ、俺は苦笑しつつサヤを横抱きに抱え上げた。
 去年の今頃だったら、こんな風にはできなかったけれど……身体を鍛え直した甲斐あり、なんとかサヤを抱き上げられてホッとする。
 指を使うことは無理だけど、サヤを抱くくらいできるようになって良かった。
 ……いや、だってさ、ハインが去年軽々こうしてて……なんかこう、同じ男として色々思うことがあったんだよ、俺も。

 食事処の外に出てみると、空はすっかり晴れ、満天の星空だった。
 あの凄い雨が嘘のよう。雨に洗われた空はいつも以上に澄み渡っているようにみえる。

 シザーが馬車の扉を開けてくれたので、そのままサヤを中へ。
 ふむ……俺が膝枕する形にすれば、ナジェスタも乗れるか。
 一旦サヤを寝かし、俺も荷運びを手伝おうとしたのだけど、邪魔なのでそのまま乗っておいてくださいと追い返された……。
 いや、そりゃ力仕事は無理だけどさ……サヤが担げたんだから、少しくらい俺だって……。
 ぐちぐちそんなことを言っていたら、立場を忘れるなと女中頭に叱られた。
 はい、そこ失念してました。ごめんなさい。大人しくしておきます。

 ハインとシザーは、空いた馬に荷物を積み、それを引きつつ馬で並走する形となった。
 とりあえず今は最低限の荷物だけ運び、残りは明日、女中頭が帰宅する時に運んで来てくれるそう。

 ダニルもカーリンを抱えてやって来た。カーリンは腕に赤子も抱いており、それでも軽々担いでて……力の差が垣間見えた……もう少し鍛えよう……。

 二人は賄いを届けるために何度も拠点村に来ている。最近は無かったとはいえ、知らない場所じゃないし、まぁ大丈夫だろう。

「ガウリィ、なんて?」

 調理場の前を通る時、ダニルはガウリィに何か言われ、頭を小突かれていたから、そう聞いたのだけど……。返事は無く……。

 馬車が動き出し、手を振る女中頭と、腕を組んで仁王立ちのガウリィに見送られて、食事処を後にした。
 ナジェスタも馬車に乗るのかと思いきや、馬に乗ってみたいと言いだし、シザーに相乗りさせてもらっていた。飽きたら戻るらしい……。
 ……もしかしたら、俺たちに気を使ったのかもしれないなと思っていたら、馬車が動きだしてすぐ、カーリンもうとうとと微睡みだし、さして待たず、夢の中に旅立った。
 そうして、暫く揺られ、俺も少々、眠気を催してきた頃……。

「…………腹、括れって……」

 囁くような小声が、俺を現実へと引き戻した。
 なんの話かな?と、一瞬分からなかったのだけど、どうやら俺の質問に対する返答らしい。

「今更……いいんすかね……。
 俺、こいつが本当に大変な時、何も…………」

 そう続いた言葉。
 そして、ダニルの肩にもたれかかり、腹に赤子を抱えて眠るカーリンの手から、やはり眠っている赤子を、そっと受け取って……。

「俺が、父親でいいんすかね……。
 何して良いかも分かんねぇし、肝心な時に、逃げた……こんな俺でも…………」

 先程より、随分と馴染んだ抱き方……。
 このほんの少しの間にだって、ダニルは父親となるための努力を、始めている。
 ならば、もう答えは出ていると思う。俺に聞かずとも、もうお前は、結論を得ているんだろう?
 それでも……俺が言葉を口にすることが、少しでも、前に進むための糧になるなら……力になるなら……。
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