515 / 1,121
夜会 11
しおりを挟む
「承知しましたわ。
……では私も、貴族社会に生きる者の一人として、お力になれればと思います。
それに、私にとっても人ごとではないですわ……。私だって、囲いのない蝶……などと言われている身ですもの」
耳飾を得るためには自分の今後の人生を決定しなければならない。あのライアルドのような者にも、身を任せなければならない……。
なのに、そのような重大な事柄が、自分の意思で選べないどころか、政略に使われる場合もあるのが貴族社会だ。
全部が悪いとは言わない。それによってしか進めなかった道もあったろうし、守れなかったものもあったろう。
だけど、やはり『それしか選べない』は、違うと思う。
また、その政略の一環として、女性を追い詰め、貶める行為を肯定するのは、絶対に間違っている。
「ありがとうございます……」
だから、こうやって賛同してくれる一人が、貴重だ。とても有難いと思った。
その思いから礼を述べたのだけど、リヴィ様は「で、どうやって周知を広げるおつもりでしたの?」と、俺に問うてきた。
「それは……。
このまま夜会に参加して、まずは、見知っていただいて……そこから理解を広めていこうと……」
「遅いですわ。
それではサヤが成人するまでかけたところで、終わらなくってよ」
「……まぁ、正直厳しいとは思いますが、そうやって少しずつでも、実績を積み上げていくしか方法が……」
無い。
俺もサヤも、夜会への参加自体が初めてだし、自領に閉じこもって生活していた俺には、そういった伝手も無いのだ。
とにかくアギーの社交界でお披露目しておいてから、バート商会や拠点村の活動を通して周知を広げていこう。そんな風に考えていた。
その間中サヤを危険に晒しているのだと思うと身を切られる思いだが、無理やりでも一歩ずつ、進んでいくしかない。
けれどリヴィ様は、そんな俺たちに溜息を吐いて。
「レイ殿、社交界において流行とは、どこから発信されるものだと思いまして?」
「…………どこ?」
「礼服の意匠然り、襟飾のような、新しい習慣然り、どこから発せられ、広がっていくのだと思われます?」
「…………え……と……」
そんなの、分かるわけがない……。
答えられない俺に対し、リヴィ様は厳しい表情。
ご教授いただけますか? と、問うと、また溜息を吐いて、居住まいを正した。
「必ず成功する。という手段は無くってよ。けれど、いく筋かの道筋がありますの。
私は……アギーとはいえど、さしたる権威は持ち合わせておりませんし、あまりお力にはなれませんけれど、その道筋について、少々伝手を持つ身内ならば、おりますわ。
今、その者を呼びにいかせているのですけれど……遅いですわね」
頬に手をやり、ふぅ……と、息を吐く。
呼びに行かせてるって……クオンティーヌ様をだろうか?
先ほど名が出たクオン様というのは、おそらくそうだと思う。
「まぁ、ならば来るまでに、こちらも勝率を上げるための打ち合わせをしておきましょうか」
「勝率……ですか?」
「ええ。ではレイ殿、よくお聞きになって」
真剣な表情で身を乗り出したリディ様に、俺とサヤも居住まいを正した。
そうして、まず大切なことは……と、リディ様が口にしたのは……。
「恥ずかしい言動ほど、クオンは喜びますわ」
「…………はい?」
「甘い言葉や、絵物語の王子様のような所作などです。幸いレイ殿は女性的で見目も麗しいと思いますし、威圧感もございませんから、外見に関しては、クオン好みの王子様だと思いますの」
「……………………あの…………?」
「お茶会の時のような感じでよろしくってよ。
できればもう少し、サヤと密着して……あ、でもクオンはまだ十五ですから、あまり破廉恥な行為は慎んでいただけます?」
「いや……えぇ?」
俺たちは今……いったい何を真剣に語られているのだろう……?
意味が分からず困惑するしかない俺たちに、リヴィ様は想像を膨らませる余地を残した言動が鍵だと念を押す。
「全部を語ってしまわずとも良いのですわ。思わせぶりな隠語で誤魔化す等もクオンは好みます。
とにかく、あの娘の興味を引くことが肝要。気に入れば、そこかしこで吹聴して回りますし、話の種とネタ帳に記しますわ。でもそれだけでは一過性で終わるか、ネタの備蓄にされていつ日の目を見るやら分からぬことになってしまいますから、それ以上の興味を引き出す必要がございましてよ」
「あっあのですね……確認しますが、今俺たち、耳飾周知の手段について話し合っているのですよね⁉︎」
「ええ、その通りですわ」
いや、ならなおのこと意味が分かりませんが⁉︎
正直なところ、もう困惑を通り越して、この人どうしちゃったんだろうと不安を掻き立てられるまでに思考が進んでしまっていたのだけど、そこでコンコンと扉が叩かれた。
で、返事も待たず開いたかと思うと、何故か女装版クリスタ様がズカズカと部屋に踏み込んできたので、唖然とする……。
「……あの……何か?」
「クオンに用があると聞いてな。ほれ」
「もぅ! 姉様のバカッ。折角どこぞのお貴族様の逢瀬を盗み見る絶好の機会だったのに!」
「覗きの現場を抑えてな、説教しておったところだったのだ。遅れてすまぬな」
ディート殿に担がれた女性。ディート殿が担いでいるという時点でなんかこう……え? と、なったのだけど、皆様驚いていらっしゃらないご様子。
それどころか、リヴィ様は大きな溜息を吐いて……。
「クオン…………貴女まだ夜会に紛れ込もうとしていらしたの?」
「だって! 折角夜会に出れると思ってたのに直前で鞍替えよ⁉︎ 男爵家ごときの小倅が私を捨てたせいで絶好の機会を逃したのよ⁉︎
ならそいつの顔を拝んでやろうと思うのが普通じゃなくって? で、忍び込んでみたら丁度中庭の露台で逢瀬を楽しんでる人たちがいたから、後学のために見ておこうと思って!」
「そもそもお主、その男爵家の小倅に全く興味無かったではないか。それであっさり縁を繋げる話を切ることも承諾しておいて、今更なんだ」
「知らなかったのよ! もう夜会参加は決定だと思ってたのにそれも無しなんて! それに例のディート様とやりあう美麗幼従者の主人だって先に言っててくれてたら断らなかったもんっ!」
「とまぁ、こんな具合でな。手を焼いておるのよ」
「………………」
担がれた女性……というか少女が喚く言葉の内容が、なんか俺のこと言ってませんか……。
そしてなにその『美麗幼従者』って。そんな言葉初めて聞いたんですけど……。
どう反応して良いのかも分からず呆然と見ていたのだけれど、その視線に気付いた少女はギッと俺を睨んで「何見てんのよ! 見世物じゃないわよ!」と、噛み付いてきた。
そしてジタバタ暴れ出したのだが、ディート殿は当然、こ揺るぎもしない。
………………え……今ここ、修羅場?
「とりあえずどうする。話にならんようならこのまま持ち帰るぞ。
折角その、男爵家小倅と美麗幼従者を目の前にしてもこれではな。話もできんだろうし」
絶対に分かってて言っていますよね、それ。
姫様の言葉にピタリと暴れるのをやめた少女。目を皿のようにして部屋を見回し始めた。
その様子にほくそ笑みながら姫様は、固唾を飲んで状況を見守っていたサヤに視線をやって……。
「あぁでも、丁度二人が揃うておるし、ここで話しておくのも良いな。
オリヴィエラ。サヤとは仲良うやっていけそうか?」
「ええ。元よりサヤは気に入っておりましたし、強さも、勇気も、心根の優しさも、尊敬できる方でしてよ。
ただ……それを考えれば、私はまだまだ未熟……本当に、宜しいのでしょうか……そちらの方が、不安ですわ」
また意味のわからない会話が始まった。
だけど俺はともかくサヤの名が出たことで、思考の放棄をしている場合ではないと、自分を奮い立たせた。
「あ、あの……クリスタ様。うちのサヤが、何か?」
「ん? んー……まぁ良いか。ここで伝えておこう。
先日渡した襟飾だがな、あれは新たに設けることとなった近衛部隊の襟飾なのだよ。
それで、その近衛部隊にそこなオリヴィエラも推挙しておるのだが、まだ本人の気持ちが定まらぬようでな」
新たな近衛?…………え? でもリヴィ様は女性……。
「流石にこの国では、女性武芸者を探すこと自体がなかなか難しくてな。とはいえ貴族が一人もおらぬでは困るし……本当に其方が頼りなのだ。
どうか引き受けてもらえぬものかな、オリヴィエラ。サヤも確かに所属させるが、こやつはまだ成人しておらぬのだ。
どうせレイシールとともに行動させることになろうし、私の守りにはならぬ。せいぜい、式典の時などに借受けるくらいしか無理だろう」
「ちょっと待ってください⁉︎ サヤの引き抜きはやめてくださいって前にも言いましたよ⁉︎
そもそも俺はサヤを手放す気なんてありませんし、彼女は俺の将来の妻です‼︎ 成人したって王都にやりはしませんからね⁉︎」
「分かっておるわ! だが、其方が参列する式典の時などはどうせついてくるではないか! その時ちょっと仕事を任せるくらいは承知してもらうぞ!」
「拒否権無し⁉︎ サヤに無理強いなんてそんなの許さないですよ!」
「ちょっと手伝わせるだけだろうが!」
「あ、あの……あの、ちょっと待ってください。話が分からないです。もう一回、初めから説明していただけませんか⁉︎」
「サヤ……サヤってあのサヤよね⁉︎……でもこの人女性……あ、でも黒髪! お身内⁉︎ あああぁぁ、もう離してよこの手!」
「クオン、慎みがなくってよ。ディート殿にも失礼ですわ!」
「こんな体勢なのにどうやって慎み持てっていうの⁉︎」
ギャーギャー始めてしまった俺たちを、ただ黙って見守るディート殿。
一通りが騒ぎ疲れて落ち着いてきた頃に、爽やかな笑顔を振りまいて言ったことは……。
「言いたいことは出尽くしたかな?
ではとりあえず、自己紹介から始めることを勧めよう。その方が、話が早いぞ」
……では私も、貴族社会に生きる者の一人として、お力になれればと思います。
それに、私にとっても人ごとではないですわ……。私だって、囲いのない蝶……などと言われている身ですもの」
耳飾を得るためには自分の今後の人生を決定しなければならない。あのライアルドのような者にも、身を任せなければならない……。
なのに、そのような重大な事柄が、自分の意思で選べないどころか、政略に使われる場合もあるのが貴族社会だ。
全部が悪いとは言わない。それによってしか進めなかった道もあったろうし、守れなかったものもあったろう。
だけど、やはり『それしか選べない』は、違うと思う。
また、その政略の一環として、女性を追い詰め、貶める行為を肯定するのは、絶対に間違っている。
「ありがとうございます……」
だから、こうやって賛同してくれる一人が、貴重だ。とても有難いと思った。
その思いから礼を述べたのだけど、リヴィ様は「で、どうやって周知を広げるおつもりでしたの?」と、俺に問うてきた。
「それは……。
このまま夜会に参加して、まずは、見知っていただいて……そこから理解を広めていこうと……」
「遅いですわ。
それではサヤが成人するまでかけたところで、終わらなくってよ」
「……まぁ、正直厳しいとは思いますが、そうやって少しずつでも、実績を積み上げていくしか方法が……」
無い。
俺もサヤも、夜会への参加自体が初めてだし、自領に閉じこもって生活していた俺には、そういった伝手も無いのだ。
とにかくアギーの社交界でお披露目しておいてから、バート商会や拠点村の活動を通して周知を広げていこう。そんな風に考えていた。
その間中サヤを危険に晒しているのだと思うと身を切られる思いだが、無理やりでも一歩ずつ、進んでいくしかない。
けれどリヴィ様は、そんな俺たちに溜息を吐いて。
「レイ殿、社交界において流行とは、どこから発信されるものだと思いまして?」
「…………どこ?」
「礼服の意匠然り、襟飾のような、新しい習慣然り、どこから発せられ、広がっていくのだと思われます?」
「…………え……と……」
そんなの、分かるわけがない……。
答えられない俺に対し、リヴィ様は厳しい表情。
ご教授いただけますか? と、問うと、また溜息を吐いて、居住まいを正した。
「必ず成功する。という手段は無くってよ。けれど、いく筋かの道筋がありますの。
私は……アギーとはいえど、さしたる権威は持ち合わせておりませんし、あまりお力にはなれませんけれど、その道筋について、少々伝手を持つ身内ならば、おりますわ。
今、その者を呼びにいかせているのですけれど……遅いですわね」
頬に手をやり、ふぅ……と、息を吐く。
呼びに行かせてるって……クオンティーヌ様をだろうか?
先ほど名が出たクオン様というのは、おそらくそうだと思う。
「まぁ、ならば来るまでに、こちらも勝率を上げるための打ち合わせをしておきましょうか」
「勝率……ですか?」
「ええ。ではレイ殿、よくお聞きになって」
真剣な表情で身を乗り出したリディ様に、俺とサヤも居住まいを正した。
そうして、まず大切なことは……と、リディ様が口にしたのは……。
「恥ずかしい言動ほど、クオンは喜びますわ」
「…………はい?」
「甘い言葉や、絵物語の王子様のような所作などです。幸いレイ殿は女性的で見目も麗しいと思いますし、威圧感もございませんから、外見に関しては、クオン好みの王子様だと思いますの」
「……………………あの…………?」
「お茶会の時のような感じでよろしくってよ。
できればもう少し、サヤと密着して……あ、でもクオンはまだ十五ですから、あまり破廉恥な行為は慎んでいただけます?」
「いや……えぇ?」
俺たちは今……いったい何を真剣に語られているのだろう……?
意味が分からず困惑するしかない俺たちに、リヴィ様は想像を膨らませる余地を残した言動が鍵だと念を押す。
「全部を語ってしまわずとも良いのですわ。思わせぶりな隠語で誤魔化す等もクオンは好みます。
とにかく、あの娘の興味を引くことが肝要。気に入れば、そこかしこで吹聴して回りますし、話の種とネタ帳に記しますわ。でもそれだけでは一過性で終わるか、ネタの備蓄にされていつ日の目を見るやら分からぬことになってしまいますから、それ以上の興味を引き出す必要がございましてよ」
「あっあのですね……確認しますが、今俺たち、耳飾周知の手段について話し合っているのですよね⁉︎」
「ええ、その通りですわ」
いや、ならなおのこと意味が分かりませんが⁉︎
正直なところ、もう困惑を通り越して、この人どうしちゃったんだろうと不安を掻き立てられるまでに思考が進んでしまっていたのだけど、そこでコンコンと扉が叩かれた。
で、返事も待たず開いたかと思うと、何故か女装版クリスタ様がズカズカと部屋に踏み込んできたので、唖然とする……。
「……あの……何か?」
「クオンに用があると聞いてな。ほれ」
「もぅ! 姉様のバカッ。折角どこぞのお貴族様の逢瀬を盗み見る絶好の機会だったのに!」
「覗きの現場を抑えてな、説教しておったところだったのだ。遅れてすまぬな」
ディート殿に担がれた女性。ディート殿が担いでいるという時点でなんかこう……え? と、なったのだけど、皆様驚いていらっしゃらないご様子。
それどころか、リヴィ様は大きな溜息を吐いて……。
「クオン…………貴女まだ夜会に紛れ込もうとしていらしたの?」
「だって! 折角夜会に出れると思ってたのに直前で鞍替えよ⁉︎ 男爵家ごときの小倅が私を捨てたせいで絶好の機会を逃したのよ⁉︎
ならそいつの顔を拝んでやろうと思うのが普通じゃなくって? で、忍び込んでみたら丁度中庭の露台で逢瀬を楽しんでる人たちがいたから、後学のために見ておこうと思って!」
「そもそもお主、その男爵家の小倅に全く興味無かったではないか。それであっさり縁を繋げる話を切ることも承諾しておいて、今更なんだ」
「知らなかったのよ! もう夜会参加は決定だと思ってたのにそれも無しなんて! それに例のディート様とやりあう美麗幼従者の主人だって先に言っててくれてたら断らなかったもんっ!」
「とまぁ、こんな具合でな。手を焼いておるのよ」
「………………」
担がれた女性……というか少女が喚く言葉の内容が、なんか俺のこと言ってませんか……。
そしてなにその『美麗幼従者』って。そんな言葉初めて聞いたんですけど……。
どう反応して良いのかも分からず呆然と見ていたのだけれど、その視線に気付いた少女はギッと俺を睨んで「何見てんのよ! 見世物じゃないわよ!」と、噛み付いてきた。
そしてジタバタ暴れ出したのだが、ディート殿は当然、こ揺るぎもしない。
………………え……今ここ、修羅場?
「とりあえずどうする。話にならんようならこのまま持ち帰るぞ。
折角その、男爵家小倅と美麗幼従者を目の前にしてもこれではな。話もできんだろうし」
絶対に分かってて言っていますよね、それ。
姫様の言葉にピタリと暴れるのをやめた少女。目を皿のようにして部屋を見回し始めた。
その様子にほくそ笑みながら姫様は、固唾を飲んで状況を見守っていたサヤに視線をやって……。
「あぁでも、丁度二人が揃うておるし、ここで話しておくのも良いな。
オリヴィエラ。サヤとは仲良うやっていけそうか?」
「ええ。元よりサヤは気に入っておりましたし、強さも、勇気も、心根の優しさも、尊敬できる方でしてよ。
ただ……それを考えれば、私はまだまだ未熟……本当に、宜しいのでしょうか……そちらの方が、不安ですわ」
また意味のわからない会話が始まった。
だけど俺はともかくサヤの名が出たことで、思考の放棄をしている場合ではないと、自分を奮い立たせた。
「あ、あの……クリスタ様。うちのサヤが、何か?」
「ん? んー……まぁ良いか。ここで伝えておこう。
先日渡した襟飾だがな、あれは新たに設けることとなった近衛部隊の襟飾なのだよ。
それで、その近衛部隊にそこなオリヴィエラも推挙しておるのだが、まだ本人の気持ちが定まらぬようでな」
新たな近衛?…………え? でもリヴィ様は女性……。
「流石にこの国では、女性武芸者を探すこと自体がなかなか難しくてな。とはいえ貴族が一人もおらぬでは困るし……本当に其方が頼りなのだ。
どうか引き受けてもらえぬものかな、オリヴィエラ。サヤも確かに所属させるが、こやつはまだ成人しておらぬのだ。
どうせレイシールとともに行動させることになろうし、私の守りにはならぬ。せいぜい、式典の時などに借受けるくらいしか無理だろう」
「ちょっと待ってください⁉︎ サヤの引き抜きはやめてくださいって前にも言いましたよ⁉︎
そもそも俺はサヤを手放す気なんてありませんし、彼女は俺の将来の妻です‼︎ 成人したって王都にやりはしませんからね⁉︎」
「分かっておるわ! だが、其方が参列する式典の時などはどうせついてくるではないか! その時ちょっと仕事を任せるくらいは承知してもらうぞ!」
「拒否権無し⁉︎ サヤに無理強いなんてそんなの許さないですよ!」
「ちょっと手伝わせるだけだろうが!」
「あ、あの……あの、ちょっと待ってください。話が分からないです。もう一回、初めから説明していただけませんか⁉︎」
「サヤ……サヤってあのサヤよね⁉︎……でもこの人女性……あ、でも黒髪! お身内⁉︎ あああぁぁ、もう離してよこの手!」
「クオン、慎みがなくってよ。ディート殿にも失礼ですわ!」
「こんな体勢なのにどうやって慎み持てっていうの⁉︎」
ギャーギャー始めてしまった俺たちを、ただ黙って見守るディート殿。
一通りが騒ぎ疲れて落ち着いてきた頃に、爽やかな笑顔を振りまいて言ったことは……。
「言いたいことは出尽くしたかな?
ではとりあえず、自己紹介から始めることを勧めよう。その方が、話が早いぞ」
0
お気に入りに追加
836
あなたにおすすめの小説
義娘が転生型ヒロインのようですが、立派な淑女に育ててみせます!~鍵を握るのが私の恋愛って本当ですか!?~
咲宮
恋愛
没落貴族のクロエ・オルコットは、馬車の事故で両親を失ったルルメリアを義娘として引き取ることに。しかし、ルルメリアが突然「あたしひろいんなの‼」と言い出した。
ぎゃくはーれむだの、男をはべらせるだの、とんでもない言葉を並べるルルメリアに頭を抱えるクロエ。このままではまずいと思ったクロエは、ルルメリアを「立派な淑女」にすべく奔走し始める。
育児に励むクロエだが、ある日馬車の前に飛び込もうとした男性を助ける。実はその相手は若き伯爵のようで――?
これは若くして母となったクロエが、義娘と恋愛に翻弄されながらも奮闘する物語。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
※毎日更新を予定しております。
「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。
チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。
なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!
こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。
※注:すべてわかった上で自重してません。
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス3巻が発売しました!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍のイラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
7巻は6月17日に発送です。地域によって異なりますが、早ければ当日夕方、遅くても2~3日後に書店にお届けになるかと思います。
今回は夏休み帰郷編、ちょっとバトル入りです。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
【完結】愛する人にはいつだって捨てられる運命だから
SKYTRICK
BL
凶悪自由人豪商攻め×苦労人猫化貧乏受け
※一言でも感想嬉しいです!
孤児のミカはヒルトマン男爵家のローレンツ子息に拾われ彼の使用人として十年を過ごしていた。ローレンツの愛を受け止め、秘密の恋人関係を結んだミカだが、十八歳の誕生日に彼に告げられる。
——「ルイーザと腹の子をお前は殺そうとしたのか?」
ローレンツの新しい恋人であるルイーザは妊娠していた上に、彼女を毒殺しようとした罪まで着せられてしまうミカ。愛した男に裏切られ、屋敷からも追い出されてしまうミカだが、行く当てはない。
ただの人間ではなく、弱ったら黒猫に変化する体質のミカは雪の吹き荒れる冬を駆けていく。狩猟区に迷い込んだ黒猫のミカに、突然矢が放たれる。
——あぁ、ここで死ぬんだ……。
——『黒猫、死ぬのか?』
安堵にも似た諦念に包まれながら意識を失いかけるミカを抱いたのは、凶悪と名高い豪商のライハルトだった。
☆3/10J庭で同人誌にしました。通販しています。
もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!
結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)
でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない!
何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ…………
……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ?
え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い…
え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back…
ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子?
無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布!
って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない!
イヤー!!!!!助けてお兄ー様!
【R18・完結】おっとり側女と堅物騎士の後宮性活
野地マルテ
恋愛
皇帝の側女、ジネットは現在二十八歳。二十四歳で側女となった彼女は一度も皇帝の渡りがないまま、後宮解体の日を迎え、外に出ることになった。
この四年間、ジネットをずっと支え続けたのは護衛兼従者の騎士、フィンセントだ。皇帝は、女に性的に攻められないと興奮しないという性癖者だった。主君の性癖を知っていたフィンセントは、いつか訪れるかもしれない渡りに備え、女主人であるジネットに男の悦ばせ方を叩きこんだのだった。結局、一度も皇帝はジネットの元に来なかったものの、彼女はフィンセントに感謝の念を抱いていた。
ほんのり鬼畜な堅物騎士フィンセントと、おっとりお姉さん系側女によるどすけべラブストーリーです。
◆R18回には※がありますが、設定の都合上、ほぼ全話性描写を含みます。
◆ヒロインがヒーローを性的に攻めるシーンが多々あります。手や口、胸を使った行為あり。リバあります。
婚約も結婚も計画的に。
cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。
忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。
原因はスピカという一人の女学生。
少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。
「あ、もういい。無理だわ」
ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。
ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。
ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。
「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。
もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。
そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。
ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。
しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~)
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる