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夜会 3

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 奇怪な椅子に座った父上に、目元以外を全て覆い隠した女性。
 目立つのは仕方がないことであったのだけど、目一杯、目立っている。

 夜会の会場である大広間は、まさしく豪華絢爛。会場自体も、参加する方々も、皆煌びやかに着飾っていてとても華やかだった。
 普段ならば埋没してしまうであろう、下位貴族である我々だけれど、本日ばかりはそうもいかない。
 入り口から入場した瞬間だけでなく、その後もずっと、数多の視線が俺たちに張り付いている。
 はじめこそ堂々としていたものの、サヤはどんどん不安になっているのか、会場の端で待機する最中、今はもう、ずっと視線を床に落としたままだ。
 彼女の耳に、この会場のざわめきはどう聞こえているのか……少し心配になる。

「……サヤ、大丈夫?」
「大丈夫、です……」

 車椅子の取っ手を握るサヤの手が、ずっと力んでいるのが、さっきから気になっていた。
 明らかに指が強張っていて、緊張が見てとれるのだ。サヤの国では社交界など一般的ではなく、サヤ自身も経験が無いと言っていた。
 祝賀会の時はそれでもまだ、平気そうだったのだけど……あまりに予備知識がなさすぎて、逆に振り切れていたのかな?
 ……いや、あの時も多分、いっぱいいっぱいだったんだ……。
 だから普段なら浅慮な行動などしないサヤが、あんな風に失敗をしてしまい、色々と問題が尾を引いた……。

 サヤは、祝賀会と同じ失敗をしてはいけないとか、そんな風に気負っているのじゃないか……。
 周りの無遠慮な視線や、値踏みされているであろう会話に、傷付けられているのじゃないか……。
 いや、そもそも男として振舞っていたのに、今更女性の装いをしていることに、気後れしているのか……。
 でも一番心配なのは、サヤを不埒な目的で見てるの者がいないかどうかだ。
 確認したいことは山とあったけれど、口から出せない。
 こういった場で弱音を吐くような娘じゃないし、下手に庇えば彼女の矜持をも傷付けることになりかねないうえ、周りの貴族方の心証にも影響が出るだろう。
 そんな余計なことを考え、つい手を出しあぐねていたのだが。

「ふふ。何やら気分が良いな。
 アギーのお客人らは猛者揃いだというのに、たかだか男爵家の、新参者でしかない我々が、会場中の注目をさらっている」

 父上がそんな風に言い、サヤの方を見上げた。

「我が義娘が、私のために用意してくれたこの椅子が注目を集めているのだから、更に心地良い」
「あ……」
「サヤのおかげで、私は私の仕事ができる」

 そう言い微笑んでから、俺の方にちらりと視線を寄越した。

 お前の華だぞ。とでも、言うように。……分かってます。

「……大丈夫だよ、サヤ。
 社交界はね、周りの注目を集めることが重要なんだ。
 今回は、サヤのおかげでそれがとても容易にできた。普段ならあり得ない高待遇なんだよ」
「そう、なんですか?」
「うん。とても助かってる」

 そう言うとサヤは、ホッと、息を吐いた。
 そうしてやっと、少しだけ表情を緩めるから、ついでに今の状況を説明しておくことにした。

「祝賀会の時は、貴族が俺たちしかいなかったから、勝手に注目が集まる形だった。
 だけどここでは父上の言う通り、新参者のたかだか男爵家。本来なら、相手をしてもらうために出向き、挨拶をして回ったり、下手に出たりしなきゃいけない立場なんだ。他の方々も、俺たちがどんな行動に出るかを見て、情報収集を進める。
 けれど今回は、それが必要無さそうだ。本当に、助かってるんだよ。
 だから、はじめの値踏みは、気にしなくて良い。印象や前情報を適当に吟味して述べているだけだから、どれもこれもだいたい荒唐無稽だ。
 心配しなくても、こんなものだよ」
「むしろ、悪印象を持ってもらえている方が良いくらいだ。反動でより印象が良くなる。
 こちらは誠意を示すだけで良いからな、手間もない」

 無論、良い面ばかりではない。けれど、今のサヤにその面を伝えるのはまだ早いと思った。
 社交界の駆け引きは、一朝一夕でどうこうできるものではない。とにかく場数。経験値の積み重ねだけが、場を読む能力を磨く唯一の方法。
 本日のサヤには、とにかくこの空気に慣れることだけに、集中してもらいたかった。

 俺たちが賓客まがいの高待遇を得ていることや、この会場の雰囲気からして、同位やもう一つ上くらいの方々は、こちらが出向かずとも、機会を得ようと動く可能性が高そうだ。
 そう言うと、父上も同意だと頷くから、俺の見識や判断は外れてはいない様子。

「まぁ……アギーの社交界は初めてだけど、場数だけはこなしてきたし、アギーの関係者には詳しいよ。安心して」

 姫様の影をやっていた関係上、その辺は叩き込まれている。相手は俺を知らないけれど、俺はよく知っているというこの状態は、勿論有利に働く。
 三年ほど情報は古いが、そう入れ替わってもいない様子。
 アギー傘下の勢力図はマルからも得ているし、その辺りの情報は一応父上にもお伝え済みだ。

「気をつけておくべき人物が近付いてきたら、サヤに合図する。そうしたら父上にも知らせて」
「畏まりました」

 役割をはっきり伝えた方が、サヤは安心するみたいだからそう伝えると、唯一見える瞳がきりりと引き締まった騎士のそれになる。
 まったくこの娘は勤勉というか……これも民族性なのかな?    そんなところも可愛いのだけど。

 そんな風に話していたら、入り口が開き、ざわりと会場が沸いた。
 なんだろうか?    と、視線をそちらに向けると、見知った人物が会場入りしていた。
 その人物はぐるりと周りを見渡して、俺と視線が合うと、さも当然といった風にこちらに歩いてくる。うええぇぇ⁉︎

「何故こんな隅で縮こまっている」
「何故も何も……俺たちは新参で……」
「賓客は前だ。ついてまいれ」
「い、いや、賓客というか、あれは連行ですし…………」
「来いと言っている。其方との再会を心待ちにしておるのは、なにもクリスだけではないぞ。
 こんな所にいては、挨拶がいつ回ってくるか、分からぬではないか」

 リカルド様……。相変わらず猛々しい。
 けれどそれが演技込みの態度であることを、俺はもう知っている。
 口調や態度はともかく、多分俺たちが浮きまくっている現状を見て、質の悪い連中に絡まれては大変と、気を使ってくださったのだろう。
 ここで大丈夫ですからと我を通せば、リカルド様に失礼だろうし、内心でちょっとどうしよう……と、思いつつも、逆らえず付いていくことに。
 周りの視線が今まで以上に……これはあれだな……上位の方々もリカルド様にかこつけて絡みに来ることに、なるんだろうな……。
 なんかどんどん大仰なことになってきてる。

 正直心臓が痛いくらいにバクバクしていたけれど、そんなことを知る由もないリカルド様は、いつも通り泰然としている。そして足を進めながらも、こちらに話を振る余裕ぶりだ。
 いや、上位貴族の方々には恐れるものなど無いも同然なのだが……。

「また変わったものを……車輪の付いた椅子とは」
「これが無いと、亀よりも歩みが遅いのですよ」
「あぁ……クリスより伺った……。ジェスルからの謝罪等は無いのか?」
「……痴情のもつれ……家は関わらぬ。とのこと」
「…………そう言い切れる辺りがジェスルよな」

 父上とリカルド様が小声でそんな会話を交わしつつ、会場の中心をさも当然と前に進む。
 そうして、どう考えても周りは上位者ばかりと思われる場所に到達した時だった。

「ところで……そこな娘は?」

 父上の車椅子を押していたサヤに視線をやって、リカルド様が何か不審気味に眉を寄せる。
 あ、そうだった。リカルド様はサヤが女性であること、まだ知らないのだ。

「本日、皆様にご紹介したく伴いました。私の華です」
「……其方ら、華は同行しておらぬと聞いたが?    後に到着したとも聞いておらぬ……」

 噂になっていたとリカルド様。貴方も聞いてたんですか……。
 リカルド様の耳にまで入っているとは思わず、つい苦笑してしまった。いったいどんな風に言われていたのやら……。
 だがそんな俺の反応など意に介さず、リカルド様はサヤを見据えていた。

「……?    どこかで……?    面識など無いはずよな……」

 恥ずかしげに俯くサヤを一心に凝視。不審気味な表情であった理由は、サヤを疑ったからではなく、既視感ゆえであるようだ。

「いいえ、何度もお会いしております」
「…………何度もだと?」
「ええ」

 リカルド様は、女装時のサヤも見ている。あの時は、姫様の影として女性の衣装を身に纏い、目元を隠し、口元のみを晒していた。
 だから、既視感があるのは当然だろうが、うまく記憶と擦り合わないのだろう。
 しばらくじっと、サヤを見据えていたリカルド様は、どんどん眉間のシワを深くし、そして……。

「レイシール、勿体をつけるな。さっさと答えを出せ」

 少しイラつきを滲ませてそんな風に言うものだから、当の本人が慌ててしまった。

「あ、あの……申し訳ありません。私です……サヤです」
「その声!    其方…………また影役か?」

 小声になってリカルド様。そして、お前は従者に何をやらせているんだ。と、今度は俺を睨む。
 どうも、サヤを女装させ、華の代役をさせていると考えたようだ。

「レイシール……代役を立てるにしてもこれは……」
「違います。こちらが本来の彼女です。普段が、偽りでしたから」
「………………どういうことだ?」
「彼女は元から女性です」

 そう言うと、しばらく呆然とサヤを見据え……。

「なん、だと⁉︎」

 つい声を抑え損ねたのか、リカルド様の声量が跳ね上がった。
 おかげで視線が一気に集中する。

 慌てたのは俺も同じだ。まさかそんなに驚かれるとは。

クリスタ様あのかたとて同じでしょう⁉︎」
「馬鹿者、同じなものか!
 私を、投げ飛ばした猛者だぞ⁉︎」
「声はもう少し、控えてくださいっ。
 それは、それだけの努力を、積み重ねたがゆえです」

 冗談抜きで女性であり、その強さを兼ね備えているのだ、彼女は。

 と……。
 そこで、アギー家の一同が会場にいらっしゃった様子で、ご入室!    と、声が上がり、周りがざわめいた。
 この話は、一旦ここまでだ。
 サヤがサッと、纏っていたニカブを取り払う。
 晒された素顔に、リカルド様は息を飲んだ。視線が、顔から、足先までを唖然と見下ろす。
 周り中の視線もサヤに突き刺さったが、サヤは何も言わず、父上が椅子より立ち上がるのを手伝った。そして、三人揃って頭を下げる。
 リカルド様は同位であるためその場で待機だ。
 サッと視線を走らせると、もう一人、頭を下げぬ方がいらっしゃったが、その他は皆礼を尽くしていた。

 開かれた中央を、着飾った一団が颯爽と歩き進んで来るのを、大理石の床が鳴る音で察した。
 俺たちの前を通り過ぎる一同。
 だが中で一人だけが、目前で足を止めた。
 視界の端に、檸檬色の袴。

 けれどそれは一瞬で、そのまま俺たちの前を通り過ぎた。
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