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椿油

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 父上の車椅子製作が続く中、サヤは長屋に出入りすることが増え、意欲的に動いていることが功を奏しているのか、仕事を無理やり詰め込んでいる様子が少なくなった。
 また少し肉も戻ってきているなと思っていたのだけど……。

「あの、そろそろ……頃合いかなと思うんです」
「……頃合い?」
「種の乾燥。それで、搾油作業を行いたいのですけど……あれ、多分半日くらいかかっちゃうんですよね。
 それでその……時間をいただけないでしょうか」

 そう言われ……!

「うん!    じゃあハイン、俺とサヤ、明日は一日休む。良いかな」
「どうぞ。とりあえず進めなければならないことだけ済ましておいていただければ問題ありません」
「分かった。今日中に全部終わらせる」
「え?    レイシール様?    あの、私だけで大丈夫……」
「俺もしたい!    あの小石みたいな種からどうやって油を作るのか、見たい!」

 種を取って帰り、すぐに搾油できるのかと思いきや、サヤはそうしなかった。乾燥させなければなりませんからとそう言い、種はずっと日当たりの良い場所に置かれていて、気が気じゃなかったのだ。
 サヤの髪は、まだ艶を保っていたけれど、やはり少しずつ、その潤いを失っていっているように思えていたし、早くしなければ櫛がどうにかなってしまいそうで、不安だった。
 それがやっと、やっとだ!

「今年だけじゃない。来年もすることになるのだろうし、やり方を知っておきたい!
 邪魔なら、見学だけでも良いから……」
「邪魔だなんて!    そんなことはないんですけど……あの、結構色々大変ですよ?」
「ならなおのこと手伝いたい!」
「でも……結構面倒くさい、地味な作業ばかりですし……」
「二人ですれば、気も紛れる。お願いだサヤ、一緒にやりたい」

 力一杯そう言うと、クスクスと笑い声。

「サヤくん、付き合ってあげてくださいよ。
 レイ様がこんな風に何かしたいだなんて言い張ってる姿、僕初めて見ますよ。その熱意を汲んであげてください」

 駄々をこねる子供をあやすみたいな言われ方をされ、少々恥ずかしくなった……。
 けれど、マルの援護射撃は効果があったらしい。
 少し悩むように視線を伏せたサヤであったけれど……。

「分かりました。じゃあ、明日お願いします」

 そう、言ってくれたのだ!

「サヤ、私の調理場をどうぞ。あそこなら一日中掛かっても問題ありません。明日は貴方の貸切にしておきます」
「え、良いんですか?」
「構いません。調理場では、ガウリィらの作業の邪魔になってしまうかもしれませんし、サヤもそれでは気を使うでしょう?
 あるものも、適当に使ってください。大丈夫ですから」
「ありがとうございます!」

 ハインにまで背中を押される形となり、皆も心配していたのだと知る。
 そして、サヤは愛されているよな……と、改めて感じた。

 承知が得られたことで、俺は俄然やる気になった。
 書類仕事が捗ること……。サヤと二人で過ごせると思うと、いくらでも頑張れる気がする。

「あの、明日は汚れても問題ない服装で作業しなければいけませんから、服装には気をつけてくださいね」
「分かった」

 その辺はハインが言わずもがなで朝、支度してくれることだろう。
 あぁ、明日が楽しみだ!


 ◆


 竹笊の上に広げられた黒い沢山の小石。
 言わずと知れた椿の種。これはサヤの部屋で、今日まで窓辺に置かれていた。

「本当は秋から冬にかけて収穫して、搾油するんやけどな……」

 そう言いながらサヤは、その種を手でかき回す。
 搾油の前にこうして、種を乾燥させるのだという。雪の中にあったから、特に念入りに。
 愛おしげに種を撫でる指が、そのうちの一つを摘み上げ、サヤの瞳の前に移動した。乾燥具合を確認しているのだろう。

 まるで陽の光にかざすようにして種を見るサヤが、自身も光を纏っているように見える。
 今日、晴れて良かった。晴れてほしい日だったから。

「大丈夫そう。
 予定通り、今日搾油しよう」

 そう言って振り返った彼女を抱き寄せた。
 今日まで我慢したのは俺も一緒。この日を本当に待ち望んだ。
 早く来てくれと、願い、祈った。

「まず何からすればいい?」

 種からの搾油。
 これは一緒に行いたいと、ずっと前から考えていたのだ。
 奇跡の種……サヤの世界との繋がり……これは二人の特別なものだと思えたから。
 だから本日、俺の仕事はサヤと一緒に、一日休みである。
 休みであるから、今日は男装じゃないサヤでお願いした。
 館の中で過ごすとはいえ、俺にとっては久しぶりすぎる休日。仕事仕様ではないサヤと楽しみたかったのだ。

「まずは、鍋で乾煎り」

 調理場に笊ごと持って移動した。
 この館にはいくつか調理場がある。その中のひとつ、予備の小さめな調理場が設けてあるのだが……ようはハインの趣味を満たすための場、ハイン専用の調理場だ。今日はここを借りている。
 平鍋に種を全て投入して、木箆キベラでかき混ぜる。火は小さい。

「殻ごと?」
「うん。あまり熱加えすぎるのもあかんって話。殻ごとがええって、おばあちゃんはいつもそうしてはったから」

 本日下ろしたままのサヤの髪は、出会った当初からするとずいぶん伸びたなと思う。
 胸にかかるくらいだったものが、背の中ほどになっていた。

「……おばあちゃん……と、毎年こうしてた?」
「うん。庭の椿の木から、実を集めといてな。……種やのうて、実のうちに。
 実が開いたら種を取り出して乾燥。それから、乾煎り。
 弱火でゆっくり……炒りすぎひんよう気を付けて十分くらい」

 故郷の話だ。
 それをこんな風に、普通の会話みたいにするのは初めてだった。
 サヤが穏やかだ……。今までになく、彼女の心が満たされているように思える。
 それは多分、安堵から来ていて、その安堵はこの種から……。
 サヤの世界から来たかもしれない、同じ異邦の木の種。

 そんなサヤの表情を暫くずっと見ていたら、急に彼女が。

「はいっ、ここからちょっと大変やし、頑張ろう!」
「んん?」
「炒った種を、割る。槌で叩いて中を取り出す。それから中身を引いて、細かく粉にする。
 どっちかを私がするから、レイはどっちする?」
「じゃあ、粉にする方?」

 石の台を用意して、金槌で種を叩き割ると、中から黄色い胚が出てきた。それを俺は薬研で粉にする。
 サヤは力持ちだし、硬い殻もどんどん割られて取り出されていくものだから、粉にする作業が追いつかない……。
 結構な量の種を叩き割ったサヤは、鉢に山となっている胚を包丁でザクザクと切り、粉にする作業を手助けしてくれた。
 香ばしい、豆のような良い香りがする。扁桃に似た香り。油はほぼ無臭なのにな。

「美味しそうな香りだ……」

 ついそう呟いたら、サヤが聞き咎めて、急に笑い出した。

「食べたら後悔するけど、味見してみる?」
「後悔するの?」
「する。ものすっごい、渋い。ずっと後まで渋い。口が大変なことになる」

 眉間に皺を刻んで力一杯力説する。なんだか妙に実感のこもった言い方……。

「………………食べたの?」

 そう聞くと、ハッと口元を押さえたサヤが、恥ずかしげに視線を逸らした。
 背中の黒髪からひと房が、肩を流れて胸に落ちる。
 そうやって恥ずかしがる姿が無性に可愛いって、サヤは気付いているだろうか……。

「こ、子供の頃にやで?    はじめて私の椿から種が取れた時……それを……ほんのちょっとだけ…………」
「私の椿?」

 そう聞くと、サヤは「丁度私が生まれた月に、収穫した椿の種から、おばあちゃんが植えてくれたんや」と、言葉が続いた。

「おばあちゃんの椿が、元から庭にはあってな。その翌年の春に、無事発芽した種を、植えてくらはったんやって。
 その木が始めて花を咲かせて、実をつけたのが、私が十歳になった年…………」

 楽しげに話していたサヤの瞳が、急に陰った。
 視線を逸らし、若干の微笑みを口元にはりつかせたまま。まるでその後にあったことから視線を背けているような仕草。
 なんの記憶を引っ張り出してしまったのかは自ずと知れた……。
 だから薬研を操る手を離して、サヤを抱き寄せる。

 腕の中のサヤは少しだけ震えていたけれど、抱き締めて頬に口づけすると、肩の力を抜いた。
 そうしてしばらく身を委ねていたけれど、そのまま何事もなかったように、話の続きを始める。

「……私も、おばあちゃんに同じこと言うて、ほんにちょっとだけにしときいやって、そう言われて……。
 すぐにぺって吐き出したけど、その後もずっと渋かった。とんでもない味やった」
「じゃ、やめておいた方が良いかな……」
「せやね。どうせやったら、後で油を少しだけ、食べてみる?」

 貴重な油なのに……って、食べる分には食べれるんだ。
 俺の驚きは腕に伝わったんだろう。サヤがまた、くすくすと笑う。

「食べれる。ていうか、むしろ美味しいで、実は。食用に売ってる油もあるけど、高価やし、料理には量も沢山必要やし……うちは取れた油はだいたい肌と髪に使うて、それでお終いやった。
 あの時も……渋くて……私が、酷い顔をしてたんやろね。油になったらとても美味しいでって。おばあちゃんが笑って言わはってな。
 できた油で粉吹き芋を食べた。少しだけ油を掛けて。凄い美味しかった」

 自分で作った油やし、余計にそう思うたんやろうね。と、サヤ。
 俺も食べたいと言ったら、じゃあ後でちょっとだけと言う。

「……やっぱりやめておこう。大切な油だし……」
「レイが見つけてくれた種やし…………これからは秋になったら、取りに行けるし……これだけあれば、秋まで充分保つから、大丈夫。
 収穫時期がずれてるから、あんまり美味しくないかもしれへんけど……」

 そのためにも、頑張って粉にせな。
 そう言うサヤを名残惜しいけど腕から解放した。
 そのあとは二人で黙々と、胚を細かくすることに専念。一時間程かかってやっと思うところまで粉になった。

「次はこれを、水に入れて湯がく」
「……この粉を?」
「うん。この粉を」

 大きな鍋に全ての粉を投入し、水を入れて火にかける。
 聞けば二時間近くに渡ってひたすら煮出すのだという。暫くそうしておけば、上に油が浮いてくるから、それを杓子で掬って取ると、なんとも根気のいることを言う。

「薪も沢山いるし、本当は越冬中にこんなんしたら、あかん思うけど……」
「いい!    これは大切なものなんだから、優先!」

 春まで待っていられない。サヤの艶やかな髪も、大切な櫛も、ただそれだけのものではない。たったこれだけしかない、異界の思い出やご家族との、大切な繋がりなのだ。

 立ち上る湯気の中、極力上澄みだけを掬う努力をした。
 とはいえ、細かくした胚や湯がどうしても混ざる。
 俺がかなり深刻な顔をしていたのだろう。サヤが「少しくらい仕方がないから、気にしいひんと掬うたらええで?」と、俺に言う。

「だけど……サヤの持ってた油はそんな感じじゃなかった。ちゃんと澄んでて綺麗で……」
「ゴミとか水は、後で取り除けるから問題無い」
「そうなの?」
「そら、少ないにこしたことないけど、ゴミは後で掬い取ればええし、水は煮沸して飛ばす。そのあと濾すと、ちゃんと出来上がるから」

 そう言われホッとした。

 少しでも多く油が取れるようにと、お互いがもう無理だと思うまで上澄みを掬い続けた。
 結構沢山の種を取ってきたと思ったのに、掬い上げたものは思いの外少なく……これが更に減るのかと思うと、不安すら覚える……。

「大丈夫。私の瓶はちゃんといっぱいになるし、あれで半年は保つんやし」

 そう言いつつサヤは、手拭いを敷いた小鍋の上に、集めた油を注いだ。
 手拭いで実やゴミを濾し取って、比較的綺麗になったものを改めて火にかける。
 後は、ゆっくりと水気を飛ばす。たまに鍋を傾けたりしつつ、湯気が上がらなくなるまで。
 そうして、少し香ばしい香りがしたと思ったところで、火から小鍋を下ろした。

「これが最後。紙で濾す」
「紙?」
「うん。本当は和紙……やけど、紙で大丈夫や思う。念のため二重にして濾す」

 そう言って、用意していた掌ほどに切られた紙を取り出した。二つ折りにしてから、紙の両端を上中心に向かって、更に折り曲げる。「こっぷ」という折り方らしい。同じものを二つ作り、上部を開いてから中に入れ込むように重ねた。
 それを……。

「あっ」
「椿油やし、椿の瓶に入れなね」

 少し恥ずかしそうにそう言い、俺が贈った香水瓶の細い口に、その濾紙を嵌めて、紙の内側に油を小匙で垂らすようにして入れて…………。

「……出てこないけど?」

 全く出てこないよ?
 するとまた、笑い声。

「ここからは、また時間がかかる。
 ゆっくりな、一滴ずつ、そのうち落ちてくるから……それを待つんやで」

 そう言ったサヤはただ黙って瓶の口に差し込まれた紙を見た。
 紙の縁まで油を入れ、ただじっとそれを見つめる。
 だけど……いくら待っても、出てこない。

 これ本当に大丈夫?

 もう一回そう聞こうと思ったのだが……。

「ほら、滲んできた……」

 紙に染み込んだ油が、そのうち少しずつ滲み出てきだし……かなりの時間をかけて、やっと一滴、ポタリと落ちた。

「ここからは、もう少し早くなる」

 そのサヤの言葉通り、ポタリ、ポタリと滴る油。一滴ずつ、ゆっくりと。
 濾紙の油が少なくなったらまたひと匙足して、じっと見つめて……それを繰り返す。

「この時間が好きやった……」

 そのうちぽつりと、サヤがそう呟いた。

「静かやし……綺麗やろ。この世界では、この光景は無い思うてた……。もう二度と無い時間や思うてたのに……不思議」

 そう言ってから、またひと匙を掬って入れて……。

「また秋に、これができたらええなと、思う……。
 できれば、これからずっと……毎年…………………………一緒に」

 聞き取れるギリギリの、小さな声と、肩にかかる重み。
 毎年、ずっと、二人で一緒に……。
 それは、サヤがやっと、自分の意思で、俺との未来を望んでくれた瞬間だった。

 ずっと。
 その言葉が嬉しくて、愛しくて、口付けたくて仕方がなくなった。
 なのに、腰に腕を回して、引き寄せて、頤に手をかけると、恥ずかしがって首を竦める。

 だから頬に口づけして「来年は、種も植えよう」と、言葉を紡ぐ。

「毎年植えよう。二人で過ごす時間を、ここに増やそう」
「花が咲くまで長いんやで?    ヘタしたら十年かかるのに……」
「十年じゃ足りない……もっと、一緒にいるんだから」

 唇の横に口付けすると、観念したのか、俺の手に逆らうのをやめた。
 上を向いたサヤの唇が少しだけ開く。だけどまずは、啄む口付けだけをして。

「でも、あそこには毎年、二人で行こう。たくさん椿が増えても、必ず一緒に」
「領主になっても?」
「サヤがいれば、護衛は充分……」
「また怪我しいひん?」
「雪山じゃなければ大丈夫」

 そこで二人して吹き出して、しばらく笑って、今度こそサヤの唇を塞いだ。
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