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地位と責任 11
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「ユミルぅ、お願いこっち手伝っとくれ!」
食事処入るなり、エレノラのそんな声が飛んできた。
「え? はい!」
「ごめんねぇ、洗い物に手が回らないんだよ。
半時間くらいで目処が立つと思うから」
「いえ、全然大丈夫です。入ります!」
小走りにユミルが調理場に向かい、俺たちは店の端を陣取っていたマルに手招きされ、そちらに向かう。
食事処は見事に職人でごった返しており、机二つを占拠している自分たちが彼らの邪魔をしていそうで、申し訳ないほどだ。
「如何でしたか?」
「カバタすげー面白かった!」
「それはそれは、楽しめたようでなによりですねぇ」
とてもご機嫌のカミルにマルもにっこりと微笑む。
そしてマルの隣にウーヴェもいた。俺たちが村を見学している間に、メバックより到着した様子だ。
「食事処の二階をひと部屋借り受けております。食事が終わったら、まずはそちらに。
湯屋の準備は、その後にお願いします」
ウーヴェに今後の予定を聞いていたら、エレノラが早足でやって来て、俺たちの前に賄いを並べていく。
「レイ様、ひと段落したらガウリィを二階にやるから、食事処の使用感はそこで伝えるよ」
「分かった。悪いな、忙しい時に」
「いいのよ。ユミル手伝ってくれるみたいだから」
「俺も食ったら手伝う!」
「あらぁ、カミル、男前ねぇ。じゃあ頼むよ」
とりあえず早く食べてしまおう。席を空けないと、外で食事待ちをする職人も出てきそうだ。
皆で急ぎ食事を済ませる。
味は申し分なく、量がやや多いと感じるのは、肉体労働者向けであるからだろう。
と、そこで複数の女性が食事処に入ってきて、あっけにとられてしまった。
「エレノラ~、少なめ三人前~」
「汁物は多め~。ずっと水使ってるのはやっぱ冷えるわぁ」
「ねー。やっぱり洗いと干し、交代制が良くない?」
「洗いが追っつかないじゃん」
男物のような細袴を履いた女性三人組だ。
十代から二十代かと思われる……はすっぱな口調で仕草もどこか荒々しい……。
今まで現場に女性がいるのを見たことがなく、唖然としていたのだが、俺の視線に気付いたらしい一人が、ギョッとし、慌てて他の二人の肩を叩く。
「あっ、忘れてたっ」
「ちょっと、男なの? あたしらよりよっぽど……うそぉ」
「ほ、ほほほ、ちょっとあんたたち、首飛ぶよっ。し、失礼しましたあ!」
そそくさと店の端に移動して、そこからはコソコソとこちらを伺いつつ何かを話している。
そんな様子を伺いながら席を立ち、二階に借りた部屋へと移動することとなった。
「ウーヴェ? なんで女性がいる?」
「彼女らは、ここの雑務を担当してくれています。 洗濯や、道具の整備と管理などです。
日中に雑務をこなしておいてもらえると、職人の仕事が捗るので」
「あぁ……そうか」
メバックより通いで来ている女性らであるらしい。
日中に住み込みとなっている職人の、洗濯や部屋の掃除。そして使用した道具の洗浄などをしてくれるという。
それのおかげで、職人は仕事に専念できて効率が良いらしい。
大きな現場ではよく雇われるものなのだそうだ。
「雪が積もるまでに、進めておきたい仕事が多いので、効率優先してるんですよぅ。
あとふた月程しかありませんしねぇ」
食事処の二階は、セイバーン同様生活空間となっている。
そのうちの一部屋を借りて、俺たちは状況報告等を行うこととなった。
あ、カミルはもう調理場の手伝いに行っている。ユミル同様、皿洗い担当らしい。
シザーはいつも通り寡黙に小さくなっているのだが、ジェイドが全く喋らないのは、単に興味のある話題がないだけなのだろう。
「女性の雇用、もう少し人数を増やした方が良いでしょうか……なにやら話していましたね」
「人数より効率ですねぇ。
所属職人増えてきましたし、手が付けられる品があれば試作して頂いてますから、それを試験導入してみますか。
レイ様、紙袋の交渉、通りましたよ。
書類用としては不良扱いとなった紙を優先し、こちらに回していただけるように取り計らいました。
あと、秘匿権即時公開というものに対しての謝辞をいただいてますよ。紙製品の発展に大きく期待を寄せている。何かあれば協力を惜しまないので述べてくれとのことです。
それから、十の月が終わる頃には、借家が数軒完成する予定です。
そろそろ夜間の冷え込みもありますしねぇ、湯浴みでは寒い時期になってきましたし、ユミル一家には早々に家移り願いたいんですけど、良いでしょうか?
それと、さっきの女性らですけど、彼女らも通いはきついから現場に移りたいとのことですよ。
仮小屋に女性を放り込むのはどうかと思うので、こちらも借家一軒を女性用に開けようかと。
でもそうなると治安の問題があります。
早々に警備担当者の手配を進める必要がありますね。
あ、そうそう。エルランドさんから連絡がありましたよ。玄武石の搬送第一弾だそうです。例の傭兵団については何も述べられていないので、まだ接触していない様子ですね」
報告をずらずらと並べられる。
俺が西へ行っている間に、随分と色々進んでいる様子だ。
所属職人の中で、作業ができる者には、既に所持秘匿権の中から試作に取り掛からせているらしい。
「ですが、今年中の干し野菜、導入は難しそうですね……。
いえ、試作に関しては腐る様子もなく、順調に品質を保っていますけど、民間に広めるとなるとそうもいきません。
やはり今年は、ロジェ村に試験導入……くらいが限界ですかね。
エルランドさんがいらっしゃることですし、そちらに品を渡してみますか。
冬までにもう少し試作を増やして、冬の間に利用して頂くのが良いかと思いますよ」
「やはりそれが限界かな……。半端な知識のままを提供して、大きな問題が起こると今後に関わるしな……。
だが、数はこなしておきたい……俺たちが日常業務の合間に作っていたのでは、数が圧倒的に足りないだろう?」
むぅ……と、唸っていると。
それまで黙っていたジェイドが口を開く。
「冬までの期間、臨時雇いってことなら、吠狼の女を貸してやってもいいぜ……。
その代わり、その干し野菜っていう保存食、俺らの分も確保させてもらうのが条件だ。
当然、作り方も覚えちまうンだろうし、今後も利用するだろうが、それで良いンだよな?」
それは願ってもない申し出だ。
使用感の報告をしてもらえるなら、尚良いということで、是非お願いしたいということになった。
「問題は、その干し野菜を製作する場所だよな……。
長期間滞在できて、謎の行動が怪しまれない場所……となると…………」
なかなかに難しい。そう思ったのだが、ジェイドには心当たりがある様子。
「ンなん、あンだろうが。目立たなきゃ良いンだろ?
ならよ、あの山城。あそこを使えば良いだろ。俺らなら移動に道なンざ関係ねぇし、一日ありゃ行ける場所だ。
あの傭兵もどきの連中は隠れ下手だったが、俺らはそんなヘマしねぇよ」
あそこなら調理場もあり、生活に支障もない。火を利用すれば煙等、存在を示してしまう可能性があるぞと指摘すると、誤魔化し方なんかいくらでもあると言われた。
そんなのも含めて得意分野らしい……。
「なら、吠狼の女性を数人借り受けて、まずそちらに指導しましょう。
その上で更に、他の吠狼の面々に伝えていただく形はどうでしょう。ロジェ村の人数が分かりませんが、隠れ里ですし、千人単位ってことは無いでしょうし、それでなんとか……。
ただ、竹炭だけは、相当量の煙が長時間立ち昇ることになりますから、誤魔化すのも難しいかと。
あれはこちらで用意するようにしましょうか……」
サヤがそのように進言してくれた。
山城からロジェ村までは、やはり彼らにとっては一日程度の距離であるらしい。
我々であれば、セイバーン村から馬車で五日ほどかかる計算になる……。西の道が通っても、三日ほどか。それを考えると、品を届けるにしても、彼らが山城で作業してくれるのは効率が良い。
ギリギリまで保存食製作をして、村に届けることを考えて、そこでお願いすることにした。
「早急に確保できる人数はどれくらいだろう」
「まず教え込む人数なら、五人ってとこか。明後日には到着できる。その後は、元から山城に向かわせた方が良いと思うぜ。
それならまあ、三十人くらいは確保できンじゃねぇか」
報酬は、保存食を現物支給と決まった。硝子瓶等の保存容器と大きめの竹笊も高くつくので、それも含めてだ。
サヤの指示する大きさと形を、各々街を巡っている間に一つ二つ程度、買い集めてもらう指示を添えて、山城に集合してもらうこととなった。料金は後で請求してもらうことにする。
「では本日戻りましたら、バート商会より乾燥剤製作用の器材を受け取り、採寸した竹、硝子瓶と共にセイバーン村へ送ります。
明日中に到着できると思います。それと、製紙組合からの紙を確保できるだけ加えておきます。
こちらは、拠点村に立ち寄り、倉庫に保管しておくということで」
「あっ、数十枚程度で良いので、荷物に残しておいてもらえると嬉しいです……。
紙袋が作れるなら、竹炭を入れておく袋に紙袋を使えます。その方が、炭が溢れないと思うので」
そんな風に保存食製作の計画を大体まとめられた頃、ガウリィが上がってきた。休憩であるらしい。
盆に賄いを一食乗せてやって来たのだが。
「ありゃ駄目だ」
開口一番がそれだった。
「駄目……とは? 店の構造はほぼ注文通りにしてあると思うんですけどねぇ」
「店のつくりは問題無い。
思いつく限り、最良だと思うぜ。けどよ……カバタが合わねぇんだよ。
そりゃ便利だぜ。水汲み不要ってのは、俺らの仕事にゃこの上もない救世主だがよ……水があんなチョロチョロとしか出てこねぇんじゃ、鍋に溜めるだけでかなり時間が掛かんだよ。
おかげで色んな作業が後ろに押しちまう……。今からでも井戸をどこかに設置できねぇもんか、ちょっと検討してくれよ」
そう言って大きく溜息を吐く。
「……管を太いものに変更すれば、水量はもう少し確保できそうですけど……そうするとその水量が常に流れますし、それはそれで不便ですよね……。
うーん……やっぱり水道じゃないと色々、勝手が違う……」
ガウリィの訴えに、サヤがそんな風に呟いた。スイドウ……って、なんだろうな……。
って、今はそんなことより!
想定外のことに、俺たちも少々慌てる。まさか水量が足りないという訴えが来るとは……。それは想定していなかった。
食事処入るなり、エレノラのそんな声が飛んできた。
「え? はい!」
「ごめんねぇ、洗い物に手が回らないんだよ。
半時間くらいで目処が立つと思うから」
「いえ、全然大丈夫です。入ります!」
小走りにユミルが調理場に向かい、俺たちは店の端を陣取っていたマルに手招きされ、そちらに向かう。
食事処は見事に職人でごった返しており、机二つを占拠している自分たちが彼らの邪魔をしていそうで、申し訳ないほどだ。
「如何でしたか?」
「カバタすげー面白かった!」
「それはそれは、楽しめたようでなによりですねぇ」
とてもご機嫌のカミルにマルもにっこりと微笑む。
そしてマルの隣にウーヴェもいた。俺たちが村を見学している間に、メバックより到着した様子だ。
「食事処の二階をひと部屋借り受けております。食事が終わったら、まずはそちらに。
湯屋の準備は、その後にお願いします」
ウーヴェに今後の予定を聞いていたら、エレノラが早足でやって来て、俺たちの前に賄いを並べていく。
「レイ様、ひと段落したらガウリィを二階にやるから、食事処の使用感はそこで伝えるよ」
「分かった。悪いな、忙しい時に」
「いいのよ。ユミル手伝ってくれるみたいだから」
「俺も食ったら手伝う!」
「あらぁ、カミル、男前ねぇ。じゃあ頼むよ」
とりあえず早く食べてしまおう。席を空けないと、外で食事待ちをする職人も出てきそうだ。
皆で急ぎ食事を済ませる。
味は申し分なく、量がやや多いと感じるのは、肉体労働者向けであるからだろう。
と、そこで複数の女性が食事処に入ってきて、あっけにとられてしまった。
「エレノラ~、少なめ三人前~」
「汁物は多め~。ずっと水使ってるのはやっぱ冷えるわぁ」
「ねー。やっぱり洗いと干し、交代制が良くない?」
「洗いが追っつかないじゃん」
男物のような細袴を履いた女性三人組だ。
十代から二十代かと思われる……はすっぱな口調で仕草もどこか荒々しい……。
今まで現場に女性がいるのを見たことがなく、唖然としていたのだが、俺の視線に気付いたらしい一人が、ギョッとし、慌てて他の二人の肩を叩く。
「あっ、忘れてたっ」
「ちょっと、男なの? あたしらよりよっぽど……うそぉ」
「ほ、ほほほ、ちょっとあんたたち、首飛ぶよっ。し、失礼しましたあ!」
そそくさと店の端に移動して、そこからはコソコソとこちらを伺いつつ何かを話している。
そんな様子を伺いながら席を立ち、二階に借りた部屋へと移動することとなった。
「ウーヴェ? なんで女性がいる?」
「彼女らは、ここの雑務を担当してくれています。 洗濯や、道具の整備と管理などです。
日中に雑務をこなしておいてもらえると、職人の仕事が捗るので」
「あぁ……そうか」
メバックより通いで来ている女性らであるらしい。
日中に住み込みとなっている職人の、洗濯や部屋の掃除。そして使用した道具の洗浄などをしてくれるという。
それのおかげで、職人は仕事に専念できて効率が良いらしい。
大きな現場ではよく雇われるものなのだそうだ。
「雪が積もるまでに、進めておきたい仕事が多いので、効率優先してるんですよぅ。
あとふた月程しかありませんしねぇ」
食事処の二階は、セイバーン同様生活空間となっている。
そのうちの一部屋を借りて、俺たちは状況報告等を行うこととなった。
あ、カミルはもう調理場の手伝いに行っている。ユミル同様、皿洗い担当らしい。
シザーはいつも通り寡黙に小さくなっているのだが、ジェイドが全く喋らないのは、単に興味のある話題がないだけなのだろう。
「女性の雇用、もう少し人数を増やした方が良いでしょうか……なにやら話していましたね」
「人数より効率ですねぇ。
所属職人増えてきましたし、手が付けられる品があれば試作して頂いてますから、それを試験導入してみますか。
レイ様、紙袋の交渉、通りましたよ。
書類用としては不良扱いとなった紙を優先し、こちらに回していただけるように取り計らいました。
あと、秘匿権即時公開というものに対しての謝辞をいただいてますよ。紙製品の発展に大きく期待を寄せている。何かあれば協力を惜しまないので述べてくれとのことです。
それから、十の月が終わる頃には、借家が数軒完成する予定です。
そろそろ夜間の冷え込みもありますしねぇ、湯浴みでは寒い時期になってきましたし、ユミル一家には早々に家移り願いたいんですけど、良いでしょうか?
それと、さっきの女性らですけど、彼女らも通いはきついから現場に移りたいとのことですよ。
仮小屋に女性を放り込むのはどうかと思うので、こちらも借家一軒を女性用に開けようかと。
でもそうなると治安の問題があります。
早々に警備担当者の手配を進める必要がありますね。
あ、そうそう。エルランドさんから連絡がありましたよ。玄武石の搬送第一弾だそうです。例の傭兵団については何も述べられていないので、まだ接触していない様子ですね」
報告をずらずらと並べられる。
俺が西へ行っている間に、随分と色々進んでいる様子だ。
所属職人の中で、作業ができる者には、既に所持秘匿権の中から試作に取り掛からせているらしい。
「ですが、今年中の干し野菜、導入は難しそうですね……。
いえ、試作に関しては腐る様子もなく、順調に品質を保っていますけど、民間に広めるとなるとそうもいきません。
やはり今年は、ロジェ村に試験導入……くらいが限界ですかね。
エルランドさんがいらっしゃることですし、そちらに品を渡してみますか。
冬までにもう少し試作を増やして、冬の間に利用して頂くのが良いかと思いますよ」
「やはりそれが限界かな……。半端な知識のままを提供して、大きな問題が起こると今後に関わるしな……。
だが、数はこなしておきたい……俺たちが日常業務の合間に作っていたのでは、数が圧倒的に足りないだろう?」
むぅ……と、唸っていると。
それまで黙っていたジェイドが口を開く。
「冬までの期間、臨時雇いってことなら、吠狼の女を貸してやってもいいぜ……。
その代わり、その干し野菜っていう保存食、俺らの分も確保させてもらうのが条件だ。
当然、作り方も覚えちまうンだろうし、今後も利用するだろうが、それで良いンだよな?」
それは願ってもない申し出だ。
使用感の報告をしてもらえるなら、尚良いということで、是非お願いしたいということになった。
「問題は、その干し野菜を製作する場所だよな……。
長期間滞在できて、謎の行動が怪しまれない場所……となると…………」
なかなかに難しい。そう思ったのだが、ジェイドには心当たりがある様子。
「ンなん、あンだろうが。目立たなきゃ良いンだろ?
ならよ、あの山城。あそこを使えば良いだろ。俺らなら移動に道なンざ関係ねぇし、一日ありゃ行ける場所だ。
あの傭兵もどきの連中は隠れ下手だったが、俺らはそんなヘマしねぇよ」
あそこなら調理場もあり、生活に支障もない。火を利用すれば煙等、存在を示してしまう可能性があるぞと指摘すると、誤魔化し方なんかいくらでもあると言われた。
そんなのも含めて得意分野らしい……。
「なら、吠狼の女性を数人借り受けて、まずそちらに指導しましょう。
その上で更に、他の吠狼の面々に伝えていただく形はどうでしょう。ロジェ村の人数が分かりませんが、隠れ里ですし、千人単位ってことは無いでしょうし、それでなんとか……。
ただ、竹炭だけは、相当量の煙が長時間立ち昇ることになりますから、誤魔化すのも難しいかと。
あれはこちらで用意するようにしましょうか……」
サヤがそのように進言してくれた。
山城からロジェ村までは、やはり彼らにとっては一日程度の距離であるらしい。
我々であれば、セイバーン村から馬車で五日ほどかかる計算になる……。西の道が通っても、三日ほどか。それを考えると、品を届けるにしても、彼らが山城で作業してくれるのは効率が良い。
ギリギリまで保存食製作をして、村に届けることを考えて、そこでお願いすることにした。
「早急に確保できる人数はどれくらいだろう」
「まず教え込む人数なら、五人ってとこか。明後日には到着できる。その後は、元から山城に向かわせた方が良いと思うぜ。
それならまあ、三十人くらいは確保できンじゃねぇか」
報酬は、保存食を現物支給と決まった。硝子瓶等の保存容器と大きめの竹笊も高くつくので、それも含めてだ。
サヤの指示する大きさと形を、各々街を巡っている間に一つ二つ程度、買い集めてもらう指示を添えて、山城に集合してもらうこととなった。料金は後で請求してもらうことにする。
「では本日戻りましたら、バート商会より乾燥剤製作用の器材を受け取り、採寸した竹、硝子瓶と共にセイバーン村へ送ります。
明日中に到着できると思います。それと、製紙組合からの紙を確保できるだけ加えておきます。
こちらは、拠点村に立ち寄り、倉庫に保管しておくということで」
「あっ、数十枚程度で良いので、荷物に残しておいてもらえると嬉しいです……。
紙袋が作れるなら、竹炭を入れておく袋に紙袋を使えます。その方が、炭が溢れないと思うので」
そんな風に保存食製作の計画を大体まとめられた頃、ガウリィが上がってきた。休憩であるらしい。
盆に賄いを一食乗せてやって来たのだが。
「ありゃ駄目だ」
開口一番がそれだった。
「駄目……とは? 店の構造はほぼ注文通りにしてあると思うんですけどねぇ」
「店のつくりは問題無い。
思いつく限り、最良だと思うぜ。けどよ……カバタが合わねぇんだよ。
そりゃ便利だぜ。水汲み不要ってのは、俺らの仕事にゃこの上もない救世主だがよ……水があんなチョロチョロとしか出てこねぇんじゃ、鍋に溜めるだけでかなり時間が掛かんだよ。
おかげで色んな作業が後ろに押しちまう……。今からでも井戸をどこかに設置できねぇもんか、ちょっと検討してくれよ」
そう言って大きく溜息を吐く。
「……管を太いものに変更すれば、水量はもう少し確保できそうですけど……そうするとその水量が常に流れますし、それはそれで不便ですよね……。
うーん……やっぱり水道じゃないと色々、勝手が違う……」
ガウリィの訴えに、サヤがそんな風に呟いた。スイドウ……って、なんだろうな……。
って、今はそんなことより!
想定外のことに、俺たちも少々慌てる。まさか水量が足りないという訴えが来るとは……。それは想定していなかった。
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★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~)
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
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