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自覚 10
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久しぶりのメバックは、何やら様子が随分と違った。
雨季明けは旅人も一気にはけて、少々寂しい雰囲気であることが多い。
とはいえ、まだ明けて間もない為、それはこれからの風景とも言えるのだけれど……。
「数日で処理できそうな人数に見えないな……」
「お祭りでもあるみたいですよね」
帳を下ろした馬車の中、隙間からチラリと外を覗き見ながら、俺たちはコソコソとそんな話をしていた。
さっき門で、衛兵に止められた。
紋章を晒したまま進むのは少々厄介なことになりそうなので、どうか隠してお進み下さいと言われたのだ。
しかも一旦馬車を移動させられ、荷馬車用の門へ通された。こちらからの方が安全でしょうからと言われたのだが……。
「成る程……。そのまま進んでたら広場を突っ切れなかったかもな」
全然人が減ってる様子がない……。
「今年は何かあったのか? 土砂崩れで道がふさがったとか?
ハイン、まだ何も連絡は入っていないよな?」
「ええ。今のところはまだ何も」
小窓から御者台のハインに伺ってみるも、そんなふうに返事が返る。うーん……。
まあとりあえず、ギルに事情を聞こうか。というわけで、バート商会へそのまま足を進めたのだが……。
「なんでじゃねぇよ、お前のせいに決まってるだろうが。
とにかく準備だ、直ぐに!」
おなじみのバート商会裏手から歓迎された俺たちだったが、到着した途端、大股でやって来たギルに捕まって、応接室に連行された。
先ぶれ無しの急な訪問にも関わらず、熱烈歓迎だ。周りの使用人らの視線すら熱い。……なんなんだ?
「俺のせいって何が?」
「何がってそんなのひとつっきゃねぇだろうが。
あの交易路計画だよ馬鹿。商人が食いつかないわけねぇだろ。近いうちにもっとおおごとになるから覚悟しとけ」
「え⁉︎ まだ公にすらしてないだろ⁉︎」
びっくりして振り返った俺に、こっち向くなとギルが力技で頭の向きを直してくる。長衣の袖丈を調節していた針子が、それを待って針を打ち直した。
到着早々、今直ぐ衣装を用意しなければならないと言われ、今まで作ったことのなかった夜会用の礼服を仕立てるからと、上半身をいきなり剥かれた状態だった。そこで仮縫いの済ませてあった長衣を着せられ、今は袖の調節作業だ。
因みに、サヤも、ハインすら別室に拉致られた。全員分必要であるらしい。
「してるも同然なんだよ。そもそも資材の発注が全部メバック経由だし、人だって使ってる。
ここにごっそり金を落とす事業が発生してる時点で結構浮き足立ってんのに、公爵家の馬車やら近衛兵の一団やらが通過してったんだぞ? この片田舎に!
おかげでお前の名声は急上昇してんだよ。しかもやり口がまたアレだしな……」
アレなやり口……それはつまり、大店会議で問題となった資金調達についてだろう。
別の伝手で集めると言った資金……。その別の伝手というのが、貴族の知人からの支持と出資だったのだから。
そしてその友人の中に公爵家やら王家やら含まれていたわけで……しかもそれが、ここを通過していった方々によってまる分かりだったわけで……そこまで考えたら頭が痛くなった。それは確かに、おおごとになる……。しまった、異母様方への影響しか考えてなかったけど、よくよく考えたらそっちも問題だったか……。
しかしその公爵家と王家、同一人物だしな……。
「まあ、あの段階じゃ、手段なんか選んでられなかったんだし、仕方がない。
今のこの状況は、甘んじて受け入れるしかねぇ。
でだ。
その名声が急上昇しているお前とお近づきになりたい。って思ってる奴が、虎視眈々とお前に関わる機会を伺ってる。
だから、紋章を隠してここに来たのは上出来だ。時間が稼げた。
まずは祝賀会用の衣装を早急に用意する」
「いや……それ以前にさ、祝賀会って何……」
来て早々剥かれて測られて夜会用の礼服を作るとか言われても……しかも今度は祝賀会? 夜会用の礼服って、その祝賀会用ってこと? なんの祝賀会なんだ?
「何って……氾濫対策に成功した祝賀会だろ」
「……は⁉︎ え? 祝賀会なんか考えてないぞ? そういうんじゃなくて、ちょっとギルやルーシーとお祝いする程度のつもりで……!」
「それは分かってる。俺もそのつもりだったんだけどな。
マルが来やがってよ……大々的に開催すべきだからって、礼服用意しとけって言いやがったんだよ。
予定は休暇明け直ぐだ。だから早めに来てくれて助かった。
お前、また身長伸びてるからな。
袖丈が合わなくなってるから、まだ袖の部分が全く進んでなかったんだ。お陰で助かった。
で、この際だから今のうちに全部測り直す。んで、半年後に一番美しくなる寸法を今きっちり調べておく。
ふふふふふふ、なんて絶好の機会……っ。そしてサヤの意匠を売り込む最大の好機!
俺が妥協すると思うな⁉︎ 今まで散々お前に振り回されたんだから、今度はこっちに付き合ってもらうからな!」
……? いまいちよく分からないことを口にしている。そう思ったものの、今まで散々振り回したのは自覚しているので、付き合うのは吝かではない。
大人しく針を打たれつつ、なんで半年後? と、首を傾げたら、また首の位置を修正された。細かい……。
「……そんな、数粍の誤差なんか気にしなくても……」
ついぽろっと、本音が口をついて出る。
身長が伸びたって、もうたいした伸びじゃないだろうに。
言ってしまってからハッとした。……し、しまった……っ!
「ふざっけんな⁉︎ お前はうちの広告塔なんだぞ!
うちの製品しか身につけてねぇんだから、そこ自覚しろ!
半端なもん戴冠式で身に付けられてみろ、バート商会の沽券にかかわるんだよ‼︎」
ガーッ! と、凄い剣幕で怒られた。
服を疎かにする発言は厳禁だったのに俺の馬鹿!
だけどちょっと待て……。
……いま、戴冠式……って単語が、混じってなかったか……?
「えっと……ギル?
これ、祝賀会用の、礼服を作ってるんだよな?
今、戴冠式……って、言わなかったか?」
「勿論言った。
お前は絶対に呼ばれんだから、今のうちにそっちの準備も始めとく。半年しかないんだ、ギリギリなんだよ」
「なんでだよ⁉︎ 俺が戴冠式に呼ばれるわけないだろ⁉︎」
ギルの方を向いた頭を、今度は鷲掴みで戻された……。握力が尋常じゃないので頭が割れそうだ。大人しく頭の向きを戻す。
いやだって、半年後だろうと、俺はまだ成人してない。呼ばれるわけがないだろ……。
「承諾したんだろうが。矢面に立つって。
そうしたらもう、お前はこの事業の発案者で、戴冠式の場に立つって決まったも同然だ。賭けてもいい。絶対に呼ばれる」
「……なんで知ってる? まだ説明してなかったよな?」
「そんなん、手紙持ってきたマルを締め上げたに決まってんだろうが」
マル……俺を売ったろ、お前……。
「成人前だろうが、成人貴族と同じに扱われる。
だから、礼服もきっちり全種類揃える必要がある。最低五着!
そっちの準備は俺に任せとけば良い。
それよりもまずは、祝賀会だ。
こっちだって気を抜けねぇんだ。だから頭動かすな……黙って立ってろ」
…………ギルが、本気だ……。
悪魔に取り憑かれたのかと疑いたくなるような嬉々とした……というか鬼々とした、怒ってるのか笑ってるのか、なんとも表現しがたい表情で俺を睨め下ろす……。
逆らったら、ダメなやつだ……。
よく理解したので、とりあえず言われるがまま、忠実に協力することにした。
「それでだな……、土嚢壁完成の祝賀会。これに、お前は一人で参加すべきじゃない。
その意味は、分かるな?」
一通り測り終え、ひと段落したと思ったら、ギルに低い声でそう言われ、俺の眉間にもシワが寄る。
あぁ……まぁ、そっちの心配をしなきゃならないってことだよな……。
「お近づきになりたい連中が、厄介ってことだよな。
まあでもその辺は、ハインがいればだいたい大丈夫じゃないか?」
あの怖い顔が眉間にしわを寄せて睨め付ければ、八割は追い払える自信がある。
そう思っていたのだが、ギルには「違う」と言われた。
「そっちの心配はしてない。お前の言う通り、ハインが張り付くだろうしな。
俺が言ってんのは……サヤもカメリアで貼り付けとけってことだよ。
多分あれだ……蝶が、わさわさ寄ってくる」
蝶。
…………いや、なんで?
雨季明けは旅人も一気にはけて、少々寂しい雰囲気であることが多い。
とはいえ、まだ明けて間もない為、それはこれからの風景とも言えるのだけれど……。
「数日で処理できそうな人数に見えないな……」
「お祭りでもあるみたいですよね」
帳を下ろした馬車の中、隙間からチラリと外を覗き見ながら、俺たちはコソコソとそんな話をしていた。
さっき門で、衛兵に止められた。
紋章を晒したまま進むのは少々厄介なことになりそうなので、どうか隠してお進み下さいと言われたのだ。
しかも一旦馬車を移動させられ、荷馬車用の門へ通された。こちらからの方が安全でしょうからと言われたのだが……。
「成る程……。そのまま進んでたら広場を突っ切れなかったかもな」
全然人が減ってる様子がない……。
「今年は何かあったのか? 土砂崩れで道がふさがったとか?
ハイン、まだ何も連絡は入っていないよな?」
「ええ。今のところはまだ何も」
小窓から御者台のハインに伺ってみるも、そんなふうに返事が返る。うーん……。
まあとりあえず、ギルに事情を聞こうか。というわけで、バート商会へそのまま足を進めたのだが……。
「なんでじゃねぇよ、お前のせいに決まってるだろうが。
とにかく準備だ、直ぐに!」
おなじみのバート商会裏手から歓迎された俺たちだったが、到着した途端、大股でやって来たギルに捕まって、応接室に連行された。
先ぶれ無しの急な訪問にも関わらず、熱烈歓迎だ。周りの使用人らの視線すら熱い。……なんなんだ?
「俺のせいって何が?」
「何がってそんなのひとつっきゃねぇだろうが。
あの交易路計画だよ馬鹿。商人が食いつかないわけねぇだろ。近いうちにもっとおおごとになるから覚悟しとけ」
「え⁉︎ まだ公にすらしてないだろ⁉︎」
びっくりして振り返った俺に、こっち向くなとギルが力技で頭の向きを直してくる。長衣の袖丈を調節していた針子が、それを待って針を打ち直した。
到着早々、今直ぐ衣装を用意しなければならないと言われ、今まで作ったことのなかった夜会用の礼服を仕立てるからと、上半身をいきなり剥かれた状態だった。そこで仮縫いの済ませてあった長衣を着せられ、今は袖の調節作業だ。
因みに、サヤも、ハインすら別室に拉致られた。全員分必要であるらしい。
「してるも同然なんだよ。そもそも資材の発注が全部メバック経由だし、人だって使ってる。
ここにごっそり金を落とす事業が発生してる時点で結構浮き足立ってんのに、公爵家の馬車やら近衛兵の一団やらが通過してったんだぞ? この片田舎に!
おかげでお前の名声は急上昇してんだよ。しかもやり口がまたアレだしな……」
アレなやり口……それはつまり、大店会議で問題となった資金調達についてだろう。
別の伝手で集めると言った資金……。その別の伝手というのが、貴族の知人からの支持と出資だったのだから。
そしてその友人の中に公爵家やら王家やら含まれていたわけで……しかもそれが、ここを通過していった方々によってまる分かりだったわけで……そこまで考えたら頭が痛くなった。それは確かに、おおごとになる……。しまった、異母様方への影響しか考えてなかったけど、よくよく考えたらそっちも問題だったか……。
しかしその公爵家と王家、同一人物だしな……。
「まあ、あの段階じゃ、手段なんか選んでられなかったんだし、仕方がない。
今のこの状況は、甘んじて受け入れるしかねぇ。
でだ。
その名声が急上昇しているお前とお近づきになりたい。って思ってる奴が、虎視眈々とお前に関わる機会を伺ってる。
だから、紋章を隠してここに来たのは上出来だ。時間が稼げた。
まずは祝賀会用の衣装を早急に用意する」
「いや……それ以前にさ、祝賀会って何……」
来て早々剥かれて測られて夜会用の礼服を作るとか言われても……しかも今度は祝賀会? 夜会用の礼服って、その祝賀会用ってこと? なんの祝賀会なんだ?
「何って……氾濫対策に成功した祝賀会だろ」
「……は⁉︎ え? 祝賀会なんか考えてないぞ? そういうんじゃなくて、ちょっとギルやルーシーとお祝いする程度のつもりで……!」
「それは分かってる。俺もそのつもりだったんだけどな。
マルが来やがってよ……大々的に開催すべきだからって、礼服用意しとけって言いやがったんだよ。
予定は休暇明け直ぐだ。だから早めに来てくれて助かった。
お前、また身長伸びてるからな。
袖丈が合わなくなってるから、まだ袖の部分が全く進んでなかったんだ。お陰で助かった。
で、この際だから今のうちに全部測り直す。んで、半年後に一番美しくなる寸法を今きっちり調べておく。
ふふふふふふ、なんて絶好の機会……っ。そしてサヤの意匠を売り込む最大の好機!
俺が妥協すると思うな⁉︎ 今まで散々お前に振り回されたんだから、今度はこっちに付き合ってもらうからな!」
……? いまいちよく分からないことを口にしている。そう思ったものの、今まで散々振り回したのは自覚しているので、付き合うのは吝かではない。
大人しく針を打たれつつ、なんで半年後? と、首を傾げたら、また首の位置を修正された。細かい……。
「……そんな、数粍の誤差なんか気にしなくても……」
ついぽろっと、本音が口をついて出る。
身長が伸びたって、もうたいした伸びじゃないだろうに。
言ってしまってからハッとした。……し、しまった……っ!
「ふざっけんな⁉︎ お前はうちの広告塔なんだぞ!
うちの製品しか身につけてねぇんだから、そこ自覚しろ!
半端なもん戴冠式で身に付けられてみろ、バート商会の沽券にかかわるんだよ‼︎」
ガーッ! と、凄い剣幕で怒られた。
服を疎かにする発言は厳禁だったのに俺の馬鹿!
だけどちょっと待て……。
……いま、戴冠式……って単語が、混じってなかったか……?
「えっと……ギル?
これ、祝賀会用の、礼服を作ってるんだよな?
今、戴冠式……って、言わなかったか?」
「勿論言った。
お前は絶対に呼ばれんだから、今のうちにそっちの準備も始めとく。半年しかないんだ、ギリギリなんだよ」
「なんでだよ⁉︎ 俺が戴冠式に呼ばれるわけないだろ⁉︎」
ギルの方を向いた頭を、今度は鷲掴みで戻された……。握力が尋常じゃないので頭が割れそうだ。大人しく頭の向きを戻す。
いやだって、半年後だろうと、俺はまだ成人してない。呼ばれるわけがないだろ……。
「承諾したんだろうが。矢面に立つって。
そうしたらもう、お前はこの事業の発案者で、戴冠式の場に立つって決まったも同然だ。賭けてもいい。絶対に呼ばれる」
「……なんで知ってる? まだ説明してなかったよな?」
「そんなん、手紙持ってきたマルを締め上げたに決まってんだろうが」
マル……俺を売ったろ、お前……。
「成人前だろうが、成人貴族と同じに扱われる。
だから、礼服もきっちり全種類揃える必要がある。最低五着!
そっちの準備は俺に任せとけば良い。
それよりもまずは、祝賀会だ。
こっちだって気を抜けねぇんだ。だから頭動かすな……黙って立ってろ」
…………ギルが、本気だ……。
悪魔に取り憑かれたのかと疑いたくなるような嬉々とした……というか鬼々とした、怒ってるのか笑ってるのか、なんとも表現しがたい表情で俺を睨め下ろす……。
逆らったら、ダメなやつだ……。
よく理解したので、とりあえず言われるがまま、忠実に協力することにした。
「それでだな……、土嚢壁完成の祝賀会。これに、お前は一人で参加すべきじゃない。
その意味は、分かるな?」
一通り測り終え、ひと段落したと思ったら、ギルに低い声でそう言われ、俺の眉間にもシワが寄る。
あぁ……まぁ、そっちの心配をしなきゃならないってことだよな……。
「お近づきになりたい連中が、厄介ってことだよな。
まあでもその辺は、ハインがいればだいたい大丈夫じゃないか?」
あの怖い顔が眉間にしわを寄せて睨め付ければ、八割は追い払える自信がある。
そう思っていたのだが、ギルには「違う」と言われた。
「そっちの心配はしてない。お前の言う通り、ハインが張り付くだろうしな。
俺が言ってんのは……サヤもカメリアで貼り付けとけってことだよ。
多分あれだ……蝶が、わさわさ寄ってくる」
蝶。
…………いや、なんで?
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