上 下
268 / 1,121

癒えぬ苦しみ 1

しおりを挟む
 雨季が明けた。
 前日まで、まるで降り止む様子のなかった雨。空も灰色一色であったのに、眩しくて目を覚ましたら、窓の外が、青空だった。
 夢にうなされ、サヤに起こされた時は、窓を叩く雨音を聞いていた記憶がある。

「……明けた」

 つい、そう呟いていた。
 寝台を下りて、布靴を足に引っ掛け、窓辺に向かう。
 窓を大きく開け放つと、まだ水気を多く含む、重たい空気の匂い……。

「だけど、明けた……!」

 窓を開け放ったまま、俺は衣装棚前に移動した。
 雨季の間は汚れの目立たない、暗い色合いの細袴を選びがちであったから、気分転換に淡い色を手に取る。それに履き替え、長衣をどうしようかと悩んでいたら、コンコンと扉が叩かれ、おはようございます。と、サヤの声。

「おはようっ」
「お早いですね。何かございましたか?」

 弾む声音で返事をした俺に、やって来たサヤが首を傾げるものだから、俺は長衣選びを放り出して、サヤの手を取った。

「え?」
「こっち」

 窓の方に引っ張って進み、外を見せる。夜番用の寝室には、窓なんて無いから、気付いていない様子だったのだ。
 サヤはされるがままに引かれて歩き、止まった俺の横で、不思議そうに俺を見上げ……。

「あの?……あっ、青空⁉︎」
「ああ、明けた」

 サヤが、窓枠に手を掛けて、外に身を乗り出す。
 そして何故か胸いっぱいに、空気を吸い込んでから、破顔した。

「まだ、雨の匂いしかしいひんのに、青空!」

 輝く笑顔でそう言ってから、跳ねる様にして、俺の方に向き直る。

「おめでとうございます!」

 と、満面の笑顔で言った。
 とうとう雨季が明けた。氾濫を、防ぎ切ったのだ。

「全部、サヤのおかげだ……ありがとう」
「違います。皆さんが、頑張ったからです」

 笑顔でそう言うサヤ。
 だけど俺も、違うと首を横に振る。

「サヤだよ。君が居なかったら、この瞬間は絶対に、無かったんだ。
 だから、サヤのおかげだ。全部君から始まった。ありがとう、本当に」

 この世界に来てくれて、俺の傍に居てくれて、ありがとう。
 愛おしくて、つい抱きしめたくなったけれど、そこはぐっと堪える。

「サヤ、すぐに着替えるから、朝食までの間に、少し……散歩に出ないか?
 ちょっと早起きし過ぎてしまったし、久々に晴れた外を、歩きたい気分なんだ」

「うんっ」
「ありがとう」

 サヤは、久しぶりに浴びる朝日の中で、とても魅力的に輝いてみえた。
 男装してたってそう見えるのだから、始末におえない。
 この前から特に……サヤが美しく見えて仕方がない。
 指の動き一つにすら、視線が引き寄せられてしまう。
 なんでだろうかと考え、きっと、少し弱ったサヤを見たからだと気付く。
 自分が嫌いだったと言った、あの時のサヤの言葉が、彼女を守りたいと言う気持ちに、大きく作用しているように思えた。

 サヤに手伝ってもらい、着替えを終えた。
 そうしたら、執務机に向かい、ハインに言伝を残す。

 ちょっとさんぽしてくる、さやがいっしょだからしんぱいするな

 そうしておいてから、二人で館を出た。
 まずは村の中を散策することにする。
 村の畑は雑草が蔓延り、畑の合間にある民家の扉はまだ閉ざされている。
 貴重な農閑期は、勤勉な村の皆の朝も少し遅くなる。だが、それでも例外はある様子で、途中でユミルとカーリンに遭遇した。

「レイ様!   サヤさんも、おはようございます!」
「やあ、なんだか久しぶりな気がするね。こんな早くから仕事なの?」

 そう声を掛けると、二人は顔を見合わせてニッコリと笑った。

「ありがとうございます!」
「……え?   何が?」

 急にありがとうって言われても意味が分からない……。
 すると二人は、クスクスと笑いあい、俺に言うのだ。

「何がって、嫌だわレイ様、全部ですよ」
「です。川のことも、仕事のことも、全部のお礼です」
「雨季、明けたんですよ?   氾濫起きなかったんです!   そりゃお礼、言いますよ!」
「何度も水が川岸を乗り越えたのは知ってます。でも、全部あの壁が防いでくれました。
 だから、お会いしたら一番にお礼を言おうねって、今話してたところだったんです」

 二人で畳み掛けるようにそう言われて、少々たじろぐ。
 だけど、お礼を言われる様なことじゃない。川の氾濫防止は、俺の仕事の一環なのだし、この二人だって、とても沢山、頑張ってくれたのだ。

「うん、ありがとう……。
 けど、二人だって賄い作りを頑張ってくれた。その働きがあってこそなんだよ。
 だから二人にも、ありがとう」

 そう伝えると、キャー!  と、手を取り合って喜ぶ二人。
 その微笑ましい様子に、サヤの表情も自然と綻んだ。柔らかく微笑む優しい顔に、俺の心臓が跳ねる。こんなに美しく見えてしまっては、男装がバレるのじゃないかと、ヒヤヒヤしていると、

「レイ様は、サヤさんを伴ってどちらに?   こんな早朝から、お仕事ですか?」
「いや……せっかく雨季が終わったから、見回りがてら、散歩をね」
「そっか。私たちも、つい早く家を出ちゃったもんね」

 どうやら動機は俺と同じであったらしい。少し笑ってしまった。
 俺は二人に、今日も美味しいご飯をお願いするよと伝える。
 すると二人は、笑顔ではいっ!   と、良い返事を返してくれた。そうして一礼してから、軽い足取りで食事処の方へと歩いていく。

 二人を見送ってから、土嚢壁へと向かった。
 夜通し経過観察を続けてくれていた近衛方々に、お疲れ様ですと声を掛けると、ピッと、折り目正しいお辞儀を返される。

「おめでとうございます」
「えっ?   あ、あの……」

 ここではおめでとうときた。
 慌てる俺に、近衛の方は爽やかな笑顔で「無事、雨季を乗り切られましたこと、心よりめでたいと思いましたもので」と、説明してくれる。

「い、いえ……こんな田舎まで来て頂いて……王家の盾である皆様に警護やら観察やらさせておいてあの……本当に、ありがとうございます」
「大変、有意義な体験でした。
 沢山のことを学ぶことが出来たと思います」

 お一人がそう言って、また頭を下げる。
 やめて下さいとお願いして、なんとか顔を上げてもらったのだが、すると今度は、もう一人の方が、口を開いた。

「貴方様は、姫様の愁いを祓って下さいました。むしろ我々が感謝を述べるべきかと」

 そう返されて、更に焦った。こ、近衛の方に貴方様とか言わせてしまったっっ!

「ち、違いますっ、そんなことじゃ……たまたまですあれはっ!」

 たまたまだ。状況が上手く転がったというだけのこと。感謝される様なことじゃない!
 慌てふためく俺に、近衛の方々は微笑みを絶やさない。そうして更に、こんなことを言うのだ。

「正直はじめは……何故姫様が、この様な田舎の、妾腹出に執着するのか……とすら、思っていました。自分の無知を恥ずかしく思います。身分など、所詮生まれた場所でしかないのだと、分かっていた筈であったのに……。
 お恥ずかしいながら、嘆願書を見ても、この事業のなんたるかが、私にはきちんと理解出来ていなかった」
「……自身の未熟さを痛感致しました。ここに来ることは、確かに必要なことだった。
 実際自ら行動し、こうして成果も得た今、この瞬間に立ち会えましたことを、誇りに思っています」
「お、俺なんかにそんな、やめて下さい⁉︎
 俺は何もっ、一人では何もできない未熟者なんです!   全部皆に、周りに助けてもらって、結果的にこうなったというだけで、俺は何もしておりませんから!」

 必死でそう言う俺を、二人は微笑ましく見つめてくる。居た堪れなくなった俺は、では失礼します!   と、その場を逃げ出してしまった。
 暫く走ってから、サヤを置いてきてしまったことに気付き、慌てて振り返る。
 あ、ついて来てた。
 脱力する俺に、サヤはくすくすと笑う。そうしてから、

「レイ、謙遜しすぎや。そんなに恥ずかしがらんでもええのに」

 普段の口調でそう言い、息を切らせる俺の背中を手でさすってくれた。
 彼女の息は乱れてもいない……ううぅ、体力つけないと……。
 女性に大敗を喫している状況に少々落ち込んでいると、

「レイは、凄いで。
 無理やって思う状況に、人は普通、足を止めるんや。
 成功するかどうか、分からへんことには、尻込みしてしまうもんなんや。
 なのにレイは、動いた。ちゃんとやり遂げたやろ?
 今のこの形になるまで進む為に、みんなの前に立った。それは、簡単に出来ることやない。
 みんな、それを褒めてくれてはるんやろ?   後ろ盾のない、成人前のレイが、その覚悟を全うしたことを」

 そんな風に言って、誇らしげに、笑う。

「まあ、それでも自分は何もしてへんって、当たり前みたいに言うて、人を褒めるレイが、私は好きやけど」

 …………好き?

 びっくりして息が止まった。
 好き……好き?   え?
 さらりと言われた、その言葉の解釈について暫く戸惑う。
 なんでもないことみたいに、口にしてたし……ただ好感が持てるという意味の好きなのだろうとは思う。恋愛的なものじゃなく。
 そう結論付けたにも関わらず、何故か、ぶわりと顔が熱を持った。
 心臓が意味もなく暴れて、愛おしさというか、何かムズムズとするものが込み上げてくる。

 俺の反応を見て、サヤも自分が何を言ったのかに気付いたらしい。
 表情が固まったかと思うと、彼女も一気に顔が赤くなる。
 そうしてから、恥じらう姿を隠すみたいに、後ろを向いてしまった。
 馬の尻尾の様に纏められた髪の合間から、火照って色付いたうなじや耳たぶが見える。

「わ、私っ、は……レイのそういう、身分とか関係なく、人を、大切にするところ、ホンマに、好きやって思う。よ?」

 否定されたり、勘違いするなと諌められたりするのだと思っていた。
 なのにサヤは、それをしないどころか、まさかの上塗りをしてきた。
 頭に血が上って、手を伸ばしそうになる。愛おしくて、腕の中に収めてしまいたい衝動に駆られていた。

 その時、急に強い風が吹いて、サヤの髪が舞った。
 跳ねた毛先に視線を奪われ、それがパサリと元の位置に戻る……。
 しかし俺の視線はその毛先のあった場所に留まっていた。
 川を挟んだ向こう側、丘の中程に見える、無骨な……っ。

 一気に血の気が引いた。
 駄目だ。これじゃ……サヤが……サヤが幸せになれない。

「サヤ、行こう」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界に引っ越しする予定じゃなかったのに

ブラックベリィ
恋愛
主人公は、高校二年生の女の子 名前は、吉原舞花 よしはら まい 母親の再婚の為に、引っ越しすることになったコトから始まる物語り。

義娘が転生型ヒロインのようですが、立派な淑女に育ててみせます!~鍵を握るのが私の恋愛って本当ですか!?~

咲宮
恋愛
 没落貴族のクロエ・オルコットは、馬車の事故で両親を失ったルルメリアを義娘として引き取ることに。しかし、ルルメリアが突然「あたしひろいんなの‼」と言い出した。  ぎゃくはーれむだの、男をはべらせるだの、とんでもない言葉を並べるルルメリアに頭を抱えるクロエ。このままではまずいと思ったクロエは、ルルメリアを「立派な淑女」にすべく奔走し始める。  育児に励むクロエだが、ある日馬車の前に飛び込もうとした男性を助ける。実はその相手は若き伯爵のようで――?  これは若くして母となったクロエが、義娘と恋愛に翻弄されながらも奮闘する物語。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。 ※毎日更新を予定しております。

「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
 ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。  チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。  なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!  こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。  ※注:すべてわかった上で自重してません。

余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~

藤森フクロウ
ファンタジー
 相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。  悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。  そこには土下座する幼女女神がいた。 『ごめんなさあああい!!!』  最初っからギャン泣きクライマックス。  社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。  真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……  そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?    ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!   第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。  ♦お知らせ♦  余りモノ異世界人の自由生活、コミックス3巻が発売しました!  漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。  よかったらお手に取っていただければ幸いです。    書籍のイラストは万冬しま先生が担当してくださっています。  7巻は6月17日に発送です。地域によって異なりますが、早ければ当日夕方、遅くても2~3日後に書店にお届けになるかと思います。  今回は夏休み帰郷編、ちょっとバトル入りです。  コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。  漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。  ※基本予約投稿が多いです。  たまに失敗してトチ狂ったことになっています。  原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。  現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。  

【完結】愛する人にはいつだって捨てられる運命だから

SKYTRICK
BL
凶悪自由人豪商攻め×苦労人猫化貧乏受け ※一言でも感想嬉しいです! 孤児のミカはヒルトマン男爵家のローレンツ子息に拾われ彼の使用人として十年を過ごしていた。ローレンツの愛を受け止め、秘密の恋人関係を結んだミカだが、十八歳の誕生日に彼に告げられる。 ——「ルイーザと腹の子をお前は殺そうとしたのか?」 ローレンツの新しい恋人であるルイーザは妊娠していた上に、彼女を毒殺しようとした罪まで着せられてしまうミカ。愛した男に裏切られ、屋敷からも追い出されてしまうミカだが、行く当てはない。 ただの人間ではなく、弱ったら黒猫に変化する体質のミカは雪の吹き荒れる冬を駆けていく。狩猟区に迷い込んだ黒猫のミカに、突然矢が放たれる。 ——あぁ、ここで死ぬんだ……。 ——『黒猫、死ぬのか?』 安堵にも似た諦念に包まれながら意識を失いかけるミカを抱いたのは、凶悪と名高い豪商のライハルトだった。 ☆3/10J庭で同人誌にしました。通販しています。

もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!

結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)  でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない! 何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ………… ……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ? え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い… え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back… ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子? 無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布! って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない! イヤー!!!!!助けてお兄ー様!

【R18・完結】おっとり側女と堅物騎士の後宮性活

野地マルテ
恋愛
皇帝の側女、ジネットは現在二十八歳。二十四歳で側女となった彼女は一度も皇帝の渡りがないまま、後宮解体の日を迎え、外に出ることになった。 この四年間、ジネットをずっと支え続けたのは護衛兼従者の騎士、フィンセントだ。皇帝は、女に性的に攻められないと興奮しないという性癖者だった。主君の性癖を知っていたフィンセントは、いつか訪れるかもしれない渡りに備え、女主人であるジネットに男の悦ばせ方を叩きこんだのだった。結局、一度も皇帝はジネットの元に来なかったものの、彼女はフィンセントに感謝の念を抱いていた。 ほんのり鬼畜な堅物騎士フィンセントと、おっとりお姉さん系側女によるどすけべラブストーリーです。 ◆R18回には※がありますが、設定の都合上、ほぼ全話性描写を含みます。 ◆ヒロインがヒーローを性的に攻めるシーンが多々あります。手や口、胸を使った行為あり。リバあります。

婚約も結婚も計画的に。

cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。 忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。 原因はスピカという一人の女学生。 少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。 「あ、もういい。無理だわ」 ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。 ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。 ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。 「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。 もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。 そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。 ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。 しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~) ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

処理中です...