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望む未来 1
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マルとの交渉が終わり、部屋を一歩出ると、緊張の糸が切れた。
壁に背をつけて大きく息を吐く。身体が重い……。集中してたから、凄いなんか、色々消耗した心地だ。
普段通りに見える様に細心の注意を払ったつもりだけど、マルだからなぁ……それになんかやたらと精神的に揺さぶってくるし……ボロ出てるかなぁ……なんか失敗してる気がする。
会話の中に、何度か引っかかる部分もあった。
特に、姫様が男装をしてる理由。あの時はぐらかされたと強く感じた。
とはいえ、理由の一つ。という表現で、違和感は誤魔化されていたのだけれど。あれは確実に、意図して発した言葉の様に思う。
「ふー……、まあいいや。とりあえず、帰ってから続き、考えよう……」
重たい身体を壁から引き剥がして、自室に向かうため足を踏み出す。
今後のことを考えなきゃと思うのだが、まず頭を占めたのは、言わなければ、態度にしなければ、伝わらないと言われたこと。
だけど、サヤにはそれが出来ない。してはいけない。そうすれば、サヤはきっと俺が怖くなる。
そうなればきっとサヤは、この世界で安らげる数少ない場所を、ひとつ失ってしまう。
サヤを失いたくないなら、サヤを苦しませたくないなら、それはしちゃいけない。しちゃ、いけないんだ。
「……それともこれは、ただの逃げ……?」
俺が、サヤの傍に居たいがために、そう言い訳しているだけ?
分からない……サヤが望むことってなんだ……。何を考え、何をしようと、してるんだ……。
悩んでも悩んでも、その答えが分からない。
どうするのが正解か、何をすれば良かったのか、サヤが何を求めていたのか。
だけど……少なくともこのままじゃ、サヤは、俺から離れていくんだ……。
俺の為にって、離れていく……。
サヤが考える、俺の為って、なんだ……俺がどうなれば、サヤは納得するんだ……。
クリスタ様が姫様であったことや、ここにいらっしゃったことが、一体どう関係するんだ?
頭の芯が、鈍く痛む。それに顔をしかめっつ、よたよたと歩いて、玄関広間に差し掛かった時、上から声が降ってきた。
「レイシール? 何故一人でふらついているんだ」
クリスタ様だ。
従者の一人と、リーカ様を引き連れ、玄関広間上の渡り廊下から、俺を見下ろしていた。
咄嗟に背筋を伸ばし、気の抜けていた顔に喝を入れる。
クリスタ様……いや、姫様か。ああ、だけどまだ、知ったことを言うべきじゃない。下手にボロを出さない為にも、今はクリスタ様だと意識しておく方が良いはずだ。
「いえ、ちょっと野暮用で。今から部屋に戻るところなので、ふらふらしていたわけじゃないですよ」
「そうか。なら良いんだが……君は連日顔色が悪いから、つい心配になってしまう」
「あー……申し訳ありません。でも見た目ほど悪くもないんで、大丈夫です」
にっこりと笑ってそう言うと、クリスタ様は寄っていた眉を定位置に戻し、一応納得といった表情になった。そして、一瞬思案する様に視線を彷徨わせてから「なあ、少し……息抜きに付き合わないか」と、遠慮がちに誘いの言葉を投げかけてきた。
これひとつとっても、クリスタ様らしく、ないんだよな……。
学舎に居た頃は、有無など問われなかった。
これをするぞ。あれをしてこいと、決定事項を押し付けられた。
ずっと格上であるクリスタ様に、逆らうなんてことが発想できなかった俺は、ただその言われたことを必死でこなすしかなかったのだが、終われば良くやったと、笑顔で労って下さって、お前ならば任せられると思った僕の目に、狂いは無かったな! と、自信満々に仰るのだ。
あれが、どれほど俺を救ってくれたことだろう……。
俺ならばと思って下さったのだと……きっと出来ると思って頂けているのだと……クリスタ様の強気の笑顔が、足元の頼りない俺を、何度となく奮い立たせて下さったのだ。
「……クリスタ様のお誘いを、お断りするわけないじゃないですか」
この雨季が、クリスタ様の自由に出来る、最後の時間かもしれないと思ってしまったこともあり、俺はつい、そう答えてしまっていた。
体調は思わしくなかったけれど、去年に比べれば全然マシなのだ。少し付き合うくらい、どうってことないだろう。それに、もうじき昼食の時間なのだから、さして長引きもしまいと考えた。
階段を上がり、クリスタ様の前に立つと、どうしても見下ろしてしまう形になる。
なので二歩ほど手前で止まり、クリスタ様があまり上を向かず済む様、近付き過ぎないようにしたのだが、その距離感をクリスタ様は、少々不満に思った様子だ。むっと口元を歪め、大股で一歩、俺との距離を詰めて来た。
「レイシール……そういった気の使い方は嫌味だ」
「だってクリスタ様、縦に伸びてしまった俺は不服でしょう?」
「なっ、そ、そのようなことは言っておらぬ!ちょ、ちょっと、ずるいと、思っただけで……」
「はぁ……やっぱりずるいって思ってらしたんですね」
「ずるいではないか!あの様に愛らしかったくせに、何故そんな風になる⁉︎ 顔の造作は変わっておらぬのに、背が伸びただけでそんな……ずるいではないか!」
急に声を荒げられ、面食らってしまった。
情緒不安定なクリスタ様のお気に障ってしまったかもしれない。そう思って、慌てて謝ろうと姿勢をただしたのだが、リーカ様が口元を押さえてクスクスと笑う。
「クリスタ様、正直に凛々しくなられたと仰ればよろしいのに……」
「そっ、其方は余計な口を叩くな!」
「余計ではありませんわ。このままでは誤解を招いてしまいますもの。
クリスタ様は、幼い頃のレイシール様が可愛くて仕方がなかったのですわ。ですから、立派な青年になってらして……見た目だけではなく、本当に凛々しく成長なされていて、少々嫉妬されているのです」
遠慮なくずけずけと、笑顔で俺を褒めそやすから、こっちの方が恥ずかしくなってきた。
顔が熱い。絶対赤くなってる……。そんな俺に、リーカ様はほほほと上品に笑い、隣の従者も気の毒そうな笑顔になる。が、赤面する俺を見たクリスタ様の表情は、何故か怒りを孕んだ。
「ほぅ……リーカに褒められて満更でもないのか? 残念だったな。リーカは夫がいる身だ」
「な、なに言ってらっしゃるんですか⁉︎ 俺は別にっ……ち、違いますリーカ様、誤解です。
お、俺はただ、褒められ慣れていないもので……お世辞でも舞い上がってしまう……お恥ずかしい限りです」
「まぁ、お世辞だなんて! 私、クリスタ様のお言葉を代弁しただけですのよ?」
「リーカ! 僕をネタにするな!」
どっちにしても恥ずかしいから!
クリスタ様が女性だと知ってしまったから、女性から褒め言葉を頂いたと思うだけで恥ずかしい。自分が不甲斐ないのは、自分が一番よく知ってる。けれど、学舎に居た頃よりも成長したと言って下さることが、嬉しくて……どうしようもなかった。
「す、すいません。ちょっと落ち着いてきますから……。クリスタ様のお部屋へ伺えばよろしいですか?」
「ええ、ではお待ちしておりますわ」
猫の様に肩を怒らせて怒っているクリスタ様をあしらいながら、リーカ様がそう、言葉を返されたので、俺はすぐ伺います。と、クリスタ様のに前置きをしてから、部屋に戻る。
部屋には、ハインたち三人が待ち構えていたのだが、クリスタ様の元に伺ってくると伝えると、ハインから「お伴します」との返事。
「じゃあ、お願いする。……あ、マルとの交渉は、一応承諾を取り付けた。
自分の予定を阻害されない限りは協力してくれるって。詳しくは、また折を見て話すから、今はとりあえず、何も起こっていないことを前提にして、行動してくれ」
「分かった」
「レイ殿、俺も護衛として同行する。
ああ、心配するな。部屋の外で任務に当たる。何かあることも無いと思うが、呼んでもらえれば駆けつける」
ギルは部屋に戻るというので、皆で一緒に部屋を出た。
出たところで、去り際にギルが「無茶なことすんなよ」と言い、俺の頬を手の甲で軽く叩く。
顔色のことを言われているのだろう。喧嘩のことも、もう忘れたとばかりに流してくれている様子なので、ただありがとうと、感謝の気持ちだけ伝えておいた。
「サヤはまだ戻らない?」
「あと半時間程であると思いますが」
昼食まであと一時間ってところか。
ハインがいったん離れ、洗濯中のルーシーへ言伝を頼んで来た。
昼食の準備が済めば、連絡がある手筈だ。
そしてその足でクリスタ様のお部屋に向かった。
壁に背をつけて大きく息を吐く。身体が重い……。集中してたから、凄いなんか、色々消耗した心地だ。
普段通りに見える様に細心の注意を払ったつもりだけど、マルだからなぁ……それになんかやたらと精神的に揺さぶってくるし……ボロ出てるかなぁ……なんか失敗してる気がする。
会話の中に、何度か引っかかる部分もあった。
特に、姫様が男装をしてる理由。あの時はぐらかされたと強く感じた。
とはいえ、理由の一つ。という表現で、違和感は誤魔化されていたのだけれど。あれは確実に、意図して発した言葉の様に思う。
「ふー……、まあいいや。とりあえず、帰ってから続き、考えよう……」
重たい身体を壁から引き剥がして、自室に向かうため足を踏み出す。
今後のことを考えなきゃと思うのだが、まず頭を占めたのは、言わなければ、態度にしなければ、伝わらないと言われたこと。
だけど、サヤにはそれが出来ない。してはいけない。そうすれば、サヤはきっと俺が怖くなる。
そうなればきっとサヤは、この世界で安らげる数少ない場所を、ひとつ失ってしまう。
サヤを失いたくないなら、サヤを苦しませたくないなら、それはしちゃいけない。しちゃ、いけないんだ。
「……それともこれは、ただの逃げ……?」
俺が、サヤの傍に居たいがために、そう言い訳しているだけ?
分からない……サヤが望むことってなんだ……。何を考え、何をしようと、してるんだ……。
悩んでも悩んでも、その答えが分からない。
どうするのが正解か、何をすれば良かったのか、サヤが何を求めていたのか。
だけど……少なくともこのままじゃ、サヤは、俺から離れていくんだ……。
俺の為にって、離れていく……。
サヤが考える、俺の為って、なんだ……俺がどうなれば、サヤは納得するんだ……。
クリスタ様が姫様であったことや、ここにいらっしゃったことが、一体どう関係するんだ?
頭の芯が、鈍く痛む。それに顔をしかめっつ、よたよたと歩いて、玄関広間に差し掛かった時、上から声が降ってきた。
「レイシール? 何故一人でふらついているんだ」
クリスタ様だ。
従者の一人と、リーカ様を引き連れ、玄関広間上の渡り廊下から、俺を見下ろしていた。
咄嗟に背筋を伸ばし、気の抜けていた顔に喝を入れる。
クリスタ様……いや、姫様か。ああ、だけどまだ、知ったことを言うべきじゃない。下手にボロを出さない為にも、今はクリスタ様だと意識しておく方が良いはずだ。
「いえ、ちょっと野暮用で。今から部屋に戻るところなので、ふらふらしていたわけじゃないですよ」
「そうか。なら良いんだが……君は連日顔色が悪いから、つい心配になってしまう」
「あー……申し訳ありません。でも見た目ほど悪くもないんで、大丈夫です」
にっこりと笑ってそう言うと、クリスタ様は寄っていた眉を定位置に戻し、一応納得といった表情になった。そして、一瞬思案する様に視線を彷徨わせてから「なあ、少し……息抜きに付き合わないか」と、遠慮がちに誘いの言葉を投げかけてきた。
これひとつとっても、クリスタ様らしく、ないんだよな……。
学舎に居た頃は、有無など問われなかった。
これをするぞ。あれをしてこいと、決定事項を押し付けられた。
ずっと格上であるクリスタ様に、逆らうなんてことが発想できなかった俺は、ただその言われたことを必死でこなすしかなかったのだが、終われば良くやったと、笑顔で労って下さって、お前ならば任せられると思った僕の目に、狂いは無かったな! と、自信満々に仰るのだ。
あれが、どれほど俺を救ってくれたことだろう……。
俺ならばと思って下さったのだと……きっと出来ると思って頂けているのだと……クリスタ様の強気の笑顔が、足元の頼りない俺を、何度となく奮い立たせて下さったのだ。
「……クリスタ様のお誘いを、お断りするわけないじゃないですか」
この雨季が、クリスタ様の自由に出来る、最後の時間かもしれないと思ってしまったこともあり、俺はつい、そう答えてしまっていた。
体調は思わしくなかったけれど、去年に比べれば全然マシなのだ。少し付き合うくらい、どうってことないだろう。それに、もうじき昼食の時間なのだから、さして長引きもしまいと考えた。
階段を上がり、クリスタ様の前に立つと、どうしても見下ろしてしまう形になる。
なので二歩ほど手前で止まり、クリスタ様があまり上を向かず済む様、近付き過ぎないようにしたのだが、その距離感をクリスタ様は、少々不満に思った様子だ。むっと口元を歪め、大股で一歩、俺との距離を詰めて来た。
「レイシール……そういった気の使い方は嫌味だ」
「だってクリスタ様、縦に伸びてしまった俺は不服でしょう?」
「なっ、そ、そのようなことは言っておらぬ!ちょ、ちょっと、ずるいと、思っただけで……」
「はぁ……やっぱりずるいって思ってらしたんですね」
「ずるいではないか!あの様に愛らしかったくせに、何故そんな風になる⁉︎ 顔の造作は変わっておらぬのに、背が伸びただけでそんな……ずるいではないか!」
急に声を荒げられ、面食らってしまった。
情緒不安定なクリスタ様のお気に障ってしまったかもしれない。そう思って、慌てて謝ろうと姿勢をただしたのだが、リーカ様が口元を押さえてクスクスと笑う。
「クリスタ様、正直に凛々しくなられたと仰ればよろしいのに……」
「そっ、其方は余計な口を叩くな!」
「余計ではありませんわ。このままでは誤解を招いてしまいますもの。
クリスタ様は、幼い頃のレイシール様が可愛くて仕方がなかったのですわ。ですから、立派な青年になってらして……見た目だけではなく、本当に凛々しく成長なされていて、少々嫉妬されているのです」
遠慮なくずけずけと、笑顔で俺を褒めそやすから、こっちの方が恥ずかしくなってきた。
顔が熱い。絶対赤くなってる……。そんな俺に、リーカ様はほほほと上品に笑い、隣の従者も気の毒そうな笑顔になる。が、赤面する俺を見たクリスタ様の表情は、何故か怒りを孕んだ。
「ほぅ……リーカに褒められて満更でもないのか? 残念だったな。リーカは夫がいる身だ」
「な、なに言ってらっしゃるんですか⁉︎ 俺は別にっ……ち、違いますリーカ様、誤解です。
お、俺はただ、褒められ慣れていないもので……お世辞でも舞い上がってしまう……お恥ずかしい限りです」
「まぁ、お世辞だなんて! 私、クリスタ様のお言葉を代弁しただけですのよ?」
「リーカ! 僕をネタにするな!」
どっちにしても恥ずかしいから!
クリスタ様が女性だと知ってしまったから、女性から褒め言葉を頂いたと思うだけで恥ずかしい。自分が不甲斐ないのは、自分が一番よく知ってる。けれど、学舎に居た頃よりも成長したと言って下さることが、嬉しくて……どうしようもなかった。
「す、すいません。ちょっと落ち着いてきますから……。クリスタ様のお部屋へ伺えばよろしいですか?」
「ええ、ではお待ちしておりますわ」
猫の様に肩を怒らせて怒っているクリスタ様をあしらいながら、リーカ様がそう、言葉を返されたので、俺はすぐ伺います。と、クリスタ様のに前置きをしてから、部屋に戻る。
部屋には、ハインたち三人が待ち構えていたのだが、クリスタ様の元に伺ってくると伝えると、ハインから「お伴します」との返事。
「じゃあ、お願いする。……あ、マルとの交渉は、一応承諾を取り付けた。
自分の予定を阻害されない限りは協力してくれるって。詳しくは、また折を見て話すから、今はとりあえず、何も起こっていないことを前提にして、行動してくれ」
「分かった」
「レイ殿、俺も護衛として同行する。
ああ、心配するな。部屋の外で任務に当たる。何かあることも無いと思うが、呼んでもらえれば駆けつける」
ギルは部屋に戻るというので、皆で一緒に部屋を出た。
出たところで、去り際にギルが「無茶なことすんなよ」と言い、俺の頬を手の甲で軽く叩く。
顔色のことを言われているのだろう。喧嘩のことも、もう忘れたとばかりに流してくれている様子なので、ただありがとうと、感謝の気持ちだけ伝えておいた。
「サヤはまだ戻らない?」
「あと半時間程であると思いますが」
昼食まであと一時間ってところか。
ハインがいったん離れ、洗濯中のルーシーへ言伝を頼んで来た。
昼食の準備が済めば、連絡がある手筈だ。
そしてその足でクリスタ様のお部屋に向かった。
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