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執着 9

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 なんでそんなにしょっちゅう遊戯を挟むのかと問うてみた。

「動きにくくしてるんですよ。
 各班の連帯責任が発生すれば、単独行動し難くなりますからねぇ。
 班の雰囲気が悪くなれば目につきやすいですし、そうすれば目的持って行動している人間は行動しにくくなるでしょう?   報酬が絡むなら尚更です。
 それと、行動できないように焦らしておけば、こちらが事を起こしてほしい時を見計らって誘導しやすいんですよ。
 まあ、当面何事もなく過ごせるんじゃないですか?   とりあえず、今人足達は、土嚢の練度を上げることに躍起になってますから、その場の雰囲気を乱す行動はしないでしょう」

 昼食を取りつつ、マルは、そんな話をしてくれていた。
 工事が始まって早六日。
 日々順調に工事は進み、畑を均した地面の上に、土嚢の壁が少しずつ、作られていっていた。
 まだ腰ほどの高さもない、たかだか三列程度の土嚢壁。だが、着実に進んでいる。

「うあ~美味しい。もうこれだけあれば生きていける。サヤくん、これ余り無いのかな?   明日の朝食、麺麭にこれ付けて食べたいんだけど」
「駄目です。健康に良い食べ方じゃないです」
「えええぇぇぇ、僕がちゃんと食べるってだけで免罪符にならない?」
「じゃあ、卵も食べて下さるなら、とっておきのを用意しますよ」
「……え、肉も重いのに……朝に卵まで食べるの……?」
「朝は、一番しっかり食べなきゃいけないんですよ、本来は。
 もの凄く美味しいですよ、卵とマヨネーズのアレ。まあ、嫌なら別に……」
「待って、いま決意固めてるから。…………うん、分かった。卵も食べるからマヨネーズ頂戴」
「……マルさんってマヨラーですね」

 話が脱線していた。
 マルがマヨネーズをこんなに気に入るとは思わなかったな。
 五日前の昼食の賄いで食べてから、もう取り憑かれているのだ。
 サヤの作る特殊な調味料は、海の向こうの異国にある、貴族も富豪も滅多に手にできない特別な調味料として、村人にも人足達にも受け入れられていた。それが惜しげも無くふんだんに使われているのだから、美味でない筈がない。
 栄養もしっかり取れている様子で、暑さに参って倒れる様な者は出ていない。
 また、各休憩所ごとに、樽に入れた経口補水液を毎日用意していた。
 ほんのりと甘いそれを、人足達は酒より喜んで飲んでいる。肉体労働の後は、殊の外美味に感じる水であるらしいのだ。

「マル、脱線してるから話を戻すよ。
 問題が起きないのは良いことだよ。けど……結局それでは、身中に虫を飼っているようなものだろう?   今は良いけど、後々問題になったりはしないのか?  それとも、虫の居所はもう目処が立っているから、泳がせている……っていうことなのか?」

 三日程前から、メバックの衛兵達が現場に参加していた。
 夜間の見回りと警護。非番の者は土嚢壁作りを担当してくれていて、とても助かっている。やはり規律正しい組織である為、練度の上昇が早い。数日遅れての参加であったけれど、昨日の班別遊戯では早々に一位を掻っ攫っていた。
 だから今、人足達は燃えている。菓子を取り返せ!   が合言葉だ。

「ええ。随分と絞り込めてますよ。
 各人足達が、誰とどう繋がりがあるかも、だいたい把握しました。
 一匹はもう、バレバレというか、初めからあからさまでしたしね。
 二匹目の方が、縛り過ぎたか、もともと臆病なのか……なかなか飛ばなくてねぇ。経過観察中です」
「待て……二匹目って何……」
「妨害工作を目論んでいる者が二組以上いるってことですけど?」
「きっ……聞いてないよ⁉︎」
「ええ、言ってませんでしたからね。
 目的が違うみたいなんですよ。いえ、妨害したいという部分では一緒なんですけどね、なんか途中から方針が若干すり替わった様子でね……動きが変わってしまったから読み直してるんです」

 事も無げにマルが言う。
 妨害を目的とした者が二組だなんて考えてもみなかった。
 焦る俺に、マルは「一匹目は宿屋組合長の完全なる嫌がらせですよ」と言った。

「あの方、酒と博打で個人的な借金が結構凄いんですよぅ。だから会議の時、バルチェ商会に賛成票を売ったんです。借金減額の為にね。
 人足達の質が悪かったのも、同じ理由ですし、妨害工作もそうでしょう。
 こっちはほっといたって良いですよ。どうせ監視も無いですし、雇われた人たちも賃金と食事と景品で、任務はもう、どうでも良いみたいですから」

 宿屋組合長って……。大した面識もない相手に借金返済目的で嫌がらせ出来る様な人なのか……一体どれくらい巨額の借金なんだ……想像したくない。

「まあ、要はバルチェ商会からの依頼だってことですね。
 問題はここです。どうもエゴンが黒幕じゃないですね。いや、宿屋組合長の方の黒幕はエゴンなんですけど……うーん……はじめはエゴンだったのかな?   どうも命令系統が錯綜してる節があって……違う指示者からの命令が出てるのかなと。それで今、探ってるんですけどね」

 どこか上の空になりかけているマルの肩を掴んで揺さぶった。
 頭の中の図書館に行くのはちょっと待て。
 マルが見当違いの部分を探ろうとしているのではと、直感が働いたのだ。そこは、違うぞ。

「……マル、ウーヴェは違うぞ」
「えぇ?   そこはちゃんと調べてから結論を……」
「違う。そういう奴ではない」
「……またそうやって……。無条件に相手を良い方に解釈するんですから……」
「違うから」

 核心はある。けれど、説明はできない。雰囲気としか言いようがないんだ。
 だってな、そんなことができる奴なら、親の仕事を継ぐ責任と、嫌悪感の板挟みに悩んだりしない。嫌いなものを切り離せなくて、苦しんだりしないと思う。
 感情なんてものは簡単に歪むしブレるから、参考程度にしかなりませんと、マルは言うのだが、俺はウーヴェに関しては、間違っていないと思っていた。

「……はぁ。じゃあ、とりあえず保留しときます。先に他の方面に力を入れますよ。
 でも、そっちがダメだった時は勘弁して下さいよ」
「ああ、ありがとう」

 俺たちのやり取りを聞いていたサヤが、ホッと肩の力を抜いた。サヤもウーヴェを心配していた様だ。
 ウーヴェか……。どうしてるかな。
 ルカもこちらに入り浸りだし、一人で困ってなきゃ良いんだが……。
 あれからそろそろ半月近くが経過するんだな。一度ルカに、ウーヴェの様子を見に行く様、言った方が良いのだろうかと、本気で悩む。

「まあ、そんなわけですから……ちゃんと考えてやってますから、レイ様は気にせず馬術練習に行ってきたらどうですか?
 サヤくんも行きたそうですよ」

 そう促されて、結構時間が経っていたことに気付く。やばい。サヤは賄い作りがあるから、練習時間が減ってしまう。
 虫の話はまた夕食の時に改めようと決めて、俺はサヤを呼び、席を立った。

 サヤの腰帯は、完成したベルトというものに代わった。
 まさか輪になった金属二枚で、間を通した布が固定できるだなんて考えてもみなかったのだが、実際目の前できちんと止まっているのだから凄い。いつものことながら感心してしまう。

 厩で、用意されていた二頭を適当に受け取って、俺はその場で馬上の人となった。
 サヤにとって馬の鞍は、自身の肩よりも上だ。なのに、サヤも馬の背に両手をつくと、ひらりと跳躍して鞍の上に収まった。まるで羽の様な身軽さ。昨日から厩前で馬に乗り、見回りに出る様にしたのだが、厩番も感心する身のこなしだ。馬に乗り始めて数日の人間だとは、誰も思うまい。

 サヤは、もう常歩なら問題無い。速歩もサマになってきた。
 初めはブルブル震えていたというのに、あれはなんだったんだと言いたいくらいの上達ぶりだ。
 ものの数時間で馬に慣れ、翌日にはもう馬の背を怖がらなくなった。相変わらずの有能ぶりなのだ。
 後で何に怯えていたのか聞いてみると、生き物の背に乗ったこと自体が初めてで、乗っている場所が動くということにびっくりしたのだそうだ。実際やってみるまで実感が湧かなかったらしい。
 じゃあサヤの世界は一体何で移動するのか……。まさか全て徒歩ではあるまいしな、数百年先の文明世界なのだから。
 それをサヤに聞くと、難しい顔をした。

「なんと言って説明すれば良いか分かりません……。
 描く事は出来ますけど、それを見ても多分、理解できません……」

 サヤの世界は、人力や燃料により動く機械というもので移動が可能なのだとか。セイバーンからメバックに行くくらいのことは、小一時間ほどで出来てしまうらしい。
 馬と違い、機械は燃料が切れなければ動く。疲れたりもしないそうだ。
 その機械には沢山の種類があり、空を飛ぶもの、大量の人を運ぶもの、一人で動かすものと、様々であるらしい。
 うん……確かに聞いても想像出来ないし、描いてもらったとしてもきっと無理だろう…。
 巨大な鳥の背に人が大量に乗っているのだとか、巨大な蛇の背に人が大量に乗っているのだとか、もう馬でしかないものとか、そんな風にしか想像できません……。
 命の無いものがどうやって動くというのだろう。

「構造の基本は、人も機械も変わりませんよ。
 燃料を消費し、脳からの電気信号により動くんです。自立しているか、手動かの差でしょうか」

 人がデンキシンゴウで動くってどういう意味だ?   俺は俺の意思で動かしているつもりなんだけど?
 まあとりあえず想像出来はしない世界なのだという結論が出た。

「先程のマルさんの話……どういうことなんでしょうね……」

 物思いに耽っていたら、サヤにそんな風に問われ、気付けばほぼ見回りを終えている事に唖然とした。
 村人と挨拶をしていた記憶がうっすらとある……惰性で日課をこなしてしまっていたらしい。うあぁ、俺ってホント駄目だな……最近特に。仕事を疎かにし過ぎな気がする。

「私も考えてみてたのですけど……バルチェ商会に指示を出す者がいるとしたら、役人や貴族でしかないと思うんですけど……二年、何も無かったのですよね?」
「うん。俺もそれが不思議で……。
 バルチェ商会と一緒に甘い汁を吸っていた虫がいるとすれば、こちら側だと思う。
 けど、特別不満を述べて来る連中がいたわけじゃないし、何か画策された風でもなかったし……サヤの言う通り、なんで二年、何も無かったのかが意味不明だよ。三年目に動く理由は何だ?」

 メバックにおける、反乱対策に関しての中間工程を省略したのは二年も前だ。
 バルチェ商会は、金を貸し渋るという行動には出ていたけれど、何か妨害をしてきたとか、そういったことは特に無かった。
 メバックの役人ら役職を持つ者に至っては、更に何かがあったわけでもなく、普通に申し送りと挨拶を交わし、労をねぎらって終了だった。

「あの、二年前に、大店会議を行うよう変更した理由って、顔を見て直接のやり取りをしたい。ということ以外に、何かありますか?」

 サヤにそう問われて、うん……まあ、あるけど。と、それを口にする。

「時間が掛かり過ぎたんだ。
 寄付や貸付を希望するか否かの判断を、俺はギリギリまで待ちたかったし……。毎年毎年借りてその場を凌ぐって、なんか変だろ?   そんなに毎年のことなら、もっときちんと予算を組むべきだし。
 でも、判断をギリギリまで待っていたら、氾濫が起きてしまった時、手元に金が入ってないなんて事になりかねなかった。
 だいたい、街から資金を集め、役人に渡し、役人からセイバーンに輸送され、また役人に渡し、確認を済ませてから現場に到着なんて、まどろっこしいよ。書類が増えて、手間ばかり掛かって意味が見出せない。
 だから、会議のついでに集金して、直接関係書類を作るようにしたんだ」

   どうせ氾濫対策に必要な物資の調達もメバックで行うのだ。一旦セイバーンに送ってまたメバックに持って行くなんて、馬鹿みたいだろ?
 しかも前のやり方だと、資金が手元に届くまでに、下手をしたら三ヶ月近く掛かっていたのだ。
 雨季の前に資金を確保して、反乱対策を磐石なものにしようと思ったら、年明け早々に動くくらいでないといけない。だけどそんな時期に、夏場の川の水位がどうかなんて判断がつくわけがない。

「今まで何も無かった……。今までと、今の違いは何があるでしょう……?」
「うーん……本腰入れた氾濫対策をしている事?」

 ていうか、今年は何もかも違うよな……。
 まず俺が夢に翻弄されて死にそうになってない。
 俺とハインだけで色々をこなしていたのに、サヤやマルがいて、土建組合が無料で工事に参加してて……今までは予算的に頼めなかったんだよな……。しかも毎年やることは一緒だから、来てもらうまでもなかったというか……。

「何もかも違い過ぎて、困る……」
「……そうですね。よく考えたら、まず全てが違うんですよね」

 …………………………。
 サヤは、気付いているのかな……。
 サヤがセイバーンに来て、今日で丁度一ヶ月が過ぎたのだと、いうことに。

 一ヶ月前の自分を思い出す。
 夢に魘されて、ハインに怒られて、裏山を登って、泉で項垂れていた。
 自分の存在意義が見出せず、夢で母にもそれを突きつけられ、苦しくなっていた。
 夢の母を認めてしまったら、ここに自分が居る意味が分からなくなる……。
 役割を与えられても、それを満足にこなすこともできず、時間の経過に身を削られ続けて、最後にはきっと、朽ちるのだと思っていた……。
 一日一日をただ過ごし、だけど自分を終わらせてしまうことは出来ないから、不運で壊れるか、削れ過ぎて壊れるか、ある日もう、何もかもがどうでもよくなった時に、自らを壊すか……そんな先しか、無いと思っていたのに……。
 父上が快復するまでの繋ぎだと、そう言ってはいたけれど…。
 父上が俺の前に姿を現して下さる日は、もう無いのだと、薄々感じている。
 ここに戻り二年を過ぎても、父上からは何も無いのだ……。
 仕事熱心だった父上が、領地運営を蔑ろにして療養されているとは考えられない。
 俺が引き継ぎ続けていれば、何かしら反応があるのではと、期待するのは……はじめの一年で終わりにした。
 何も無いのは、快復の兆しが無いのか、父がもう壊れてしまているのか……どちらかなのだと思う。
 だからもう、俺に残されているのは、先細ってくる荒野の獣道のみ……そうであったのに……。今俺には、別の道が見えているのだ。
 その道を示してくれたのは、どう考えてもサヤだ。
 あの日、あの場所から、始まった。

「サヤ。ちょっと練習がてら、速歩でもう少し先まで行ってみよう」
「先……ですか?」
「うん、ちょっと行きたい所があるんだよ」
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