54 / 1,121
交流 1
しおりを挟む
「ハインさん……私、ここに残りたくありません。
ギルさんの所が嫌なんじゃ、ないんですよ?
私が、レイの為にできることがあるなら……側にいたい、それがしたいです」
レイの呪いについて、一通り話し終わったのち、サヤは改めて、俺たちにそう言った。
もう泣いてはいない。その代わりの様に、何か決意を胸に秘めている。そんな顔だ。
サヤは見た目より余程、芯が強い。泣くことに意味はないと、悟ったのだと思う。
泣いている暇があるなら、レイの為に何か一つでもしたいと、そう思ってくれたのだ。
その顔は、普段のどこか、ふんわりした様子と違い、何か、凛々しく美しい。
「ならば、サヤをきちんと連れ帰る為に、対策を練らねばなりませんね。
どちらにせよ、大店会議が終わるまではここに居るのですから、数日猶予があります。
その間に考えを改めていただく様、努力しましょう」
冷静な声音でハインがそう言い、やらなければいけないことを指折り、数えだす。
ひとつ、マルと交渉し、河川敷の立案の代行させつつ、責任者を押し付ける
ひとつ、大店会議で資金を調達しつつ、土嚢の優良性を周知する
ひとつ、土嚢作成のための備品調達と、土留め作りのための人員手配
ひとつ、サヤの夏場における服装の対策
「私?」
こてんと、首をかしげるサヤ。先程の凛々しさが嘘の様に消え、やたら愛くるしい。
なんだかなぁ……落差が激しくて妙に、目を惹く……。この可愛らしい顔と、先程の凛々しい顔。どちらがサヤらしいサヤなのか……と、考えてしまう。
とはいえ、レイの邪魔をする気は無い。なので意識して、サヤから目を引き剥がした。
「まずは何をしたらいい」
ハインにそう問う。と、何故かギッと、睨みつけられた。な、なんだよ……?
「寝る間を惜しんで働いてもらいます。容赦しません……。
ギル、貴方はサヤが夏場でも快適に男装できる服を、早急に作ってください。
それが無いと、レイシール様の気持ち以前に連れ帰れません」
ハインの言葉に、俺は溜息を吐く。
うん、まあ。それは重々分かっている。
「……分かってるけどな。これだけは理解しておいてくれ。
サヤは肌の露出を増やすと性別がバレやすくなる。努力はするが、暑いもんは暑いぞ」
せいぜい、長衣の袖を取ったり、細袴を短くしたりする程度のことしか出来ないはずだ。
あとは生地に何を使うか……その辺の試行錯誤になると思うんだが……ハインは、俺の返答がお気に召さなかったらしい。俺を睨む目に、怒りが篭る。
「ほぉ、ことの発端は貴方だというのに、責任を取ることもしないのですか……。見上げた根性ですね。感服します」
「あのな……何で俺が発端なんだよ。努力はするって言っただろ。だが出来ることと出来ないことがある。肌の露出ができないサヤに、暑くない服なんて皆無だっつってんだよ」
「貴方はそれでも専門家ですか。貴方が考え無しに男装させるななどと、馬鹿なことを宣ったお陰で、レイシール様に引導が渡されたのですよ!」
「悪かったな! だがサヤに男装を続けさせて、それでぶっ倒れでもしてみろ、結局レイは責任感じて同じことになったろうよ!」
あっという間に言い合いになってしまった。
売り言葉に買い言葉で応酬してしまい歯止めが効かない。
レイがいるときは、ヤツが何やかやと横槍を入れてくるのだが、今はそれを望むべくもない。
そして、結局俺たちは、レイのことが心配で、多少イライラしている。
そうであればどうなるかって、お互いに八つ当たりするのが常だ。こうなる。
俺たちからすれば、これは一種の日常で、交流の一環でしかないのだが、サヤにはやはり、喧嘩に見えるのだと思う。
オロオロと俺たちを見回し、ワドに視線をやり、ワドが微笑ましく見守るだけの姿勢であることに混乱をきたし、ガタリと長椅子から立ち上がった。
止めに入ろうと一歩を踏み出すが、男が間合いの内に入ることが怖いサヤには、間に割って入って止めることもままならない。
結果、声を振り絞り、こちらの興味を引くという作戦に出た様だ。
「あ、あ、あの、あのっ! わ、私も手伝いますから、落ち着いてください!
えっと、その……あっ、あります、涼しくする方法! 一つ思いつきましたから!」
なに⁉︎
俺とハインの動きがピタリと止まった。
「……おや、言ってみるものですね。あるのですか」
ほぉ…言ってみるものですね…だと?
「……お前、それ、いちゃもんつけてただけってことか? 殴るぞ?」
「かっ、描くものを、描くものを貸して貰えますかっ、言葉で説明しにくいので、描きますから!」
また一触即発となった俺たちの会話に、サヤが大慌てで介入する。
近づけないから遠巻きにして声を張り上げるのだから、なんだかおかしな感じだ。
なんとなく毒気を抜かれてしまった。
そんな俺たちのやり取りをよそに、ワドがいつの間にやら移動して、部屋の片隅にある衝立を片付けている。
「失礼致します。サヤ様、こちらの執務机をお使い下さい。
紙と筆のみで宜しゅうございますか?」
衝立は、作業用の執務机を隠しておくためのものだったので、出てきた机にサヤはそそくさと近付いていった。ワドにお礼を言って、席に着く。
また俺たちが喧嘩を始めないうちにって考えてる顔だな……やたらとアワアワしながら木筆を手に取ったのだが、力加減を間違ったのか、パキリと折った。ひいぃ⁉︎ と、血の気の下がった顔をするサヤに、俺は溜息をつく。
「右の引き出し、替えはいくらでもあるから、落ち着け。
しばらく休戦しといてやるから……」
「そうですね。先ずはサヤ、涼しくする方法というのを描いて下さい」
俺とハインが一致した意見を述べたので、サヤは何度か深呼吸し、気持ちを落ち着けた。
そして、木筆を墨壺に突っ込み、紙に視線を送る。
「えっと……私の世界にある服なんですけど……ホルターネックっていうデザインがあるんです。
首に引っ掛けて、背中を大きく開ける服なんですけど……あっ、この前、ルーシーさんが着せて下さった、ドレスに近い形ですね」
紙の上に、線を引き出す。
描く……とは、文字通り何かを描くことだった様だ。
それにしても……ホルターネック、デザイン、ドレス……という、謎の言葉が飛び出した。
何を言っているのかさっぱり分からない。
「サヤ、ドレスというのは、礼服のことですか? デザインというのは?」
「あっ、……す、すいません…てな。はい、ドレスは女性用の礼服ですね。デザインは……草案? 意匠?」
「ああ、意匠のことなのか。じゃあ、ホルターなんとかというのは何だ?」
「えっと……それはこれから描きます。多分、見た方が早いので」
サヤの右手が、墨壺と紙の上を行ったり来たりしながら、何かを描いていく。
手馴れてるな……河川敷の図も相当だと思ったが……サヤはどうやら、手先が器用らしい。
当たりをつけて、線を引いていく。それは簡略化された人の裸体図で、斜め前から見た図、斜め後ろから見た図を、描き表していた。そして裸体図を描き終えた後、更に線を加えていく。
「私の世界では、暑さを感じる一番の場所は背中の上半分と認識されてます。
汗を掻くのもだいたいここが中心で、次は脇の下とかですよね。
だから、背中や脇が大きく開けば涼しいと思うんです
実際、腹掛けという、背中が大きく開く服があって、飛脚とか火消しとか……暑さと戦うような職種の方が、着てました」
「いや……それしたらお前、補整着丸見えだぞ」
つい突っ込みを入れてしまった。
サヤの描いた衣装は、肩や背中が大きく開いている。確かにルーシーが着せて、体調を崩した礼服に酷似しているな……大丈夫なのか?違う部分は、首回り。 立ち襟の部分だ。
襟はきちんと付いている……。…………ほぅ……初めて見る形だが、作れるな。
成る程、これがホルターなんとかってやつか。
「はい、このままだと丸見えですから、これに上着を着るんですよ。
布を重ねるから暑いのですし、この際見えない部分は犠牲にします。
このホルターネックの短衣に上着を重ねれば、肩も背中も見えないでしょう?」
そう言いつつ、サヤはホルターネックの短衣横に、上着を描く。
襟無しの、礼服通りの首回りだ。だが、上着の丈としては少々長い。更に、肩の部分に何故か切れ込みというか、空間があった。
従者や貴族という職業は、年がら年中上着を着用している。
人目のある場所で袖をまくったり、上着を脱いだりということをしない。夏場でも、炎天下でも、上着を羽織っているのだ。
当然暑い。更に従者は、主人より確実に動く。余計に暑い。結果、体調を崩す人間が続出するのだ。
正直、従者という職種は、男装していなくても結構過酷なんだよな……。
「私の国……一千年ほど前の服に、水干とか、狩衣っていうのがあるんですが、袖はあるのに、縫い止めているのが背中の一部分だけなんです。面白いですよね。
だから、肩の部分に風を通す構造を作れば、それなりに涼しいんじゃないかなって。
背中を大きく開けて、上着を羽織り、上着の一部に風を通す仕掛けを付けるってことです。
切れ込みは、あまり深いとだらんとしてしまいそうだから、上半分くらいですかね……。
もしくは、袖や脇の一部にラインとして、メッシュの部分を作っても良いと思うんです」
だんだん……サヤの言っていることの意味が分からなくなってきた……。ラインって何だ、メッシュって?
サヤは集中してきたのか、顔を上げることなく、一心に描き込んでいる。
言ってることの意味は分からないのだが、描いているものはとても分かり易かった。
ふーん、つまり肩が一部出るのか……ある意味今年らしい意匠だな……。肩を出すのは女の流行りだが、男がしてはいけないなんて道理は無いわけだしな……。
「この線の部分がメッシュなのか?ラインってのは何だ」
「ラインとは線のことです。まっすぐここに、通っているでしょう?メッシュというのは、網目状の、隙間の多い布です。線状に、メッシュの部分を作るんです。
問題は、肩に穴を開けたり、服の一部が透けたりする意匠が、受け入れてもらえるかどうか……ですけど……これ、許容範囲でしょうか……?」
描き上がったようだ。
出来上がったものを、おずおずと、サヤが差し出してくる。
俺はそれを受け取って、じっくりと眺めた。
無駄な線も多い、下図の状態だ。だが、言わんとすることは伝わっている。
上手いな……。襟はそのまま、前身頃が襟から腰にかけて続いているのか。確かに女性の礼服に似ているから、応用すれば表現できるな。
上着の丈が長めなのは、腕を動かしても背中が見えないようにということか。
肩の切れ込みも、見頃に変化を付けず、袖の縫い付けのみ考えれば何とかなりそうだな。案外簡単に表現できる加工ばかりだ。肩の切れ込み部分は、下の短衣も袖が無い。だから素肌が見えてしまうわけだが、流行だと思えば別段、問題も感じない。このメッシュだかの方に至っては、透けているとはいえ素肌も出ないのだからさらに問題無いだろう。
「うん! 良いんじゃないか?」
結論として、それに至った。
「今年らしい。肩を出すこの意匠はありだな!
上着の首元に留め金を付けておけば、上着がはだける心配も無い。
サヤの場合、腰の細さを隠す必要もあるんだが…腰帯を上着で隠せばそれも解決するしな。
上着の丈はもう少し長い方が見た目が整う気もするが……あー……だがそうすると、剣帯をしにくくなるか……」
腕を上げた時のことを考えると、もう少し上着の長さが欲しいんだが……そうすると剣の柄に上着が掛かってしまって邪魔だ。かといって、上着の上に剣帯を巻くと動きにくくなりそうだしな……。
俺がそう思案していてると、サヤがまた首をこてんと傾ける。そして暫く思案した後、別の紙にまた何かを描き出した。
「私、剣など持ちませんから、剣帯を巻いたりもしませんけど……必要なら、脇に、スリットを入れれば良いと思いますけど?スリットというのは、割れ目のことです。
それに、上着の丈を色々変えても良いなら、剣帯を巻きやすい上着の形もありますよ」
そう言いながら、サラサラと幾つもの上着を描き連ねていく。
いとも簡単に、さっさと五つほど、描き上げてしまった……。
どれもこれも、今までに見たことがない形状だ。
「剣帯を巻くなら、これや、これです。腰回りを隠す必要が無い場合は、こんな風にするのも可愛いですかね。あ、背中心にも割れ目を入れておけば、乗馬もしやすいと思います」
上着を指差しつつ解説を始める。
俺はだんだん、背中に冷や汗が伝う心地になってきていた。
サヤは……素人だよな……?サヤの国の服を描き連ねているのだとしても……慣れ過ぎてやしないか?
意匠を描けるものは限られる。服の構造自体を把握しておかねば、それを布や紙の上に起こすこともままならないからだ。描けるものと作れるものは違う。だがサヤの描くものは、どれもこれも再現できそうなものばかり。敢えて描いているとしか、思えねぇ……。
「上着はまあ、良いとしてだ。細袴はどうするんだ?
丈を短くするとか、メッシュとやらを入れるとかするわけか?」
とりあえず、話題を振ってみることにした。
敢えて描いているなら、細袴に関しても、配慮された案を出すはずだ。
サヤは、墨壺に木筆を戻し、あごに指を当ててしばし考え込む……。
「えっと、調節できるようにするのはどうでしょう」
調節?細袴の何をどう調節するんだ……。
「少しゆったり目の細袴にして、裾の内側に、紐を通すための折り返しをつけるんです。
普段は長靴の中ですから目立ちません。涼しくしたいときは、たくし上げて紐を括ります。
水干の袴が同じ仕様なんですよね。
あとは……ギルさんの言うように、長靴の中に裾をしまうのではなくて、外に出す仕様にするのはありですよね。
私の世界では、キュロットとか、ガウチョとか……裾に向けて広がる袴があります。
ああ、私の国の袴も合うかもしれません。ここのと少し形が違って、こんな風なんですけど……」
またスラスラと描き出す。
俺は頭を抱えたくなった。やっぱりこいつ、素人じゃない!
袴の形状すら提案してきやがった!しかも形自体は単純なのだ。
単純……言い換えれば、洗練されているとなる……。実用に即してるということだ。
「ワド、ちょっと来てくれ。これ、どう思う」
俺はワドを呼んだ。俺だって生まれた瞬間からこの仕事に触れてきているわけだが、ワドは俺の倍以上の時間をそうして過ごしている。
やってきたワドは、サヤの衣装をじっくりと見比べてから、やはりにこりと笑った。
「そうでございますね。正式な場ではともかく、日常や、外出時にはとても重宝しそうです。それにいたしましてもサヤ様は……服を作るということを、よくご存知でらっしゃいますね。
再現できない部分はございません。素晴らしい出来映えです」
ワドが認めた……。そうだよな……そんな感想になるよなこれは……なんせ、縫い合わせの場所すら書き記してある……サヤ……こいつは一体、なんなんだ……⁈
「サヤ……お前、元の世界では何してた?」
「何って……只の、学生です……」
「お前の世界の学舎は、服の作り方まで習うのか?」
「は、はい……それも多少習いますけど……これはその……クラブ活動で……」
「……クラブカツドウって、なんだ」
少し、口調が厳しくなってしまった。
サヤが描き上げた服の数々だが、正直、我が家の意匠師に引けをとらない……。
下手をしたら、意匠師の描く図柄よりも分かり易く表現してあるのだ。なにせ図が立体に描かれている……。
こいつは、何なんだ。クラブカツドウってのは、一体なんだ。
少し思考に没頭したあと、サヤに視線を戻し、ギョッとした。
サヤがまた真っ赤になっていた。
なんなんだ……なんで赤くなる必要が……? 俺がまるで、羞恥を煽るようなことを聞いたみたいじゃないか……。
……いや、まさか……そんな質問してないよな…………?
言葉の意味が分からないだけに、一瞬で背中が寒くなった。
だってな、サヤの反応が何なのか、読めないのだ。意図せず危険な言葉を口にして体調を崩されたりしたら、レイに言い訳できねぇ……。
「えっと、クラブ活動というのは……やりたいことが同じ人たちで集まって、そのやりたいことをするという活動です。
私の学校は、放課後、授業が一通り終わった後に、クラブに所属して活動するのが義務でしたから……必ずどこかに所属しなきゃいけなくて……。
私はその…………ふ……服を作るクラブに入ってたんですっ!」
そこまで言って、顔を両手で隠して机に突っ伏してしまった。……いや、ちょっと待てって、なんでそんな反応なんだ……。恥ずかしがるような内容なのか?
「だって恥ずかしいです!
あのクラブ、服飾デザイン部とは名ばかりの、いわゆるおたくクラブで……ほとんどの活動は……こ、コスプレ衣装作りだったんです‼︎」
…………謎の言葉が入り乱れ過ぎていて、一体何を言っているのかさっぱり分からない……。
サヤは、机に突っ伏したままで、モゴモゴと説明を続ける。続けるが、やはり意味が分からなかった。
「祖母の影響で……大学は服飾系の学科をと思っていたんです。だから、勉強になるかなって、コスプレ衣装作りが活動内容だと知らずに入部してしまったんです!
あっ、でも、すごく勉強にはなったんですよ? コスプレ衣装って、和や洋ごちゃ混ぜだし、再現不能なものなんかも多くて、これをどうやって作れば良いのかって、凄く考えるし、資料もたくさん調べるんです!
あと、所属してる部員全員女の子でしたし、漫研と兼業の子も多くて、デザイン画の書き方がちょっと漫画寄りというか……でも分かり易いから良いと思ってっ。
私はコスプレなんてしなかったので、もっぱら制作要員でした。
だから、型紙から自分たちで作ってたし、服の構造はある程度知ることができました。でも……独学だし、結構色々誤魔化して作ってたりしていたし、本職のギルさんに見られるなんて……よく考えたら凄く、恥ずかしいですっ!」
羞恥のあまり真っ赤になって身を捩り、恥じらうサヤを見ているこっちがなんか恥ずかしいんだが……。
どうにも視線のやり場に困る反応だ……。
「まあ、あれだ。とりあえずお前が凄いんだということは、分かった」
なんかもう、いちいち気にするのが馬鹿らしい気がしてきた……。
土嚢やら河川敷やら、特殊なことを知ってるわ……武術の達人だわ、服飾の知識まで有してるわ……お前の世界って、一体なんなんだ。たかだか十六年の歳月で、いったいどれほどの知識と経験を詰め込んでるんだ……?
「サヤ、本当は、賢者か学者か何かなのでは?」
とりあえず、ただ黙って状況を観察していたハインが、最後に一言だけそう聞いた。
そうだよな……実はこいつ外見年齢以上の年齢をした賢者だって言われた方が納得できる。
じっとりした目でサヤを見つめていると、サヤは半泣きになりつつ叫んだ。
「ごく一般的な、女子学生です!」
ギルさんの所が嫌なんじゃ、ないんですよ?
私が、レイの為にできることがあるなら……側にいたい、それがしたいです」
レイの呪いについて、一通り話し終わったのち、サヤは改めて、俺たちにそう言った。
もう泣いてはいない。その代わりの様に、何か決意を胸に秘めている。そんな顔だ。
サヤは見た目より余程、芯が強い。泣くことに意味はないと、悟ったのだと思う。
泣いている暇があるなら、レイの為に何か一つでもしたいと、そう思ってくれたのだ。
その顔は、普段のどこか、ふんわりした様子と違い、何か、凛々しく美しい。
「ならば、サヤをきちんと連れ帰る為に、対策を練らねばなりませんね。
どちらにせよ、大店会議が終わるまではここに居るのですから、数日猶予があります。
その間に考えを改めていただく様、努力しましょう」
冷静な声音でハインがそう言い、やらなければいけないことを指折り、数えだす。
ひとつ、マルと交渉し、河川敷の立案の代行させつつ、責任者を押し付ける
ひとつ、大店会議で資金を調達しつつ、土嚢の優良性を周知する
ひとつ、土嚢作成のための備品調達と、土留め作りのための人員手配
ひとつ、サヤの夏場における服装の対策
「私?」
こてんと、首をかしげるサヤ。先程の凛々しさが嘘の様に消え、やたら愛くるしい。
なんだかなぁ……落差が激しくて妙に、目を惹く……。この可愛らしい顔と、先程の凛々しい顔。どちらがサヤらしいサヤなのか……と、考えてしまう。
とはいえ、レイの邪魔をする気は無い。なので意識して、サヤから目を引き剥がした。
「まずは何をしたらいい」
ハインにそう問う。と、何故かギッと、睨みつけられた。な、なんだよ……?
「寝る間を惜しんで働いてもらいます。容赦しません……。
ギル、貴方はサヤが夏場でも快適に男装できる服を、早急に作ってください。
それが無いと、レイシール様の気持ち以前に連れ帰れません」
ハインの言葉に、俺は溜息を吐く。
うん、まあ。それは重々分かっている。
「……分かってるけどな。これだけは理解しておいてくれ。
サヤは肌の露出を増やすと性別がバレやすくなる。努力はするが、暑いもんは暑いぞ」
せいぜい、長衣の袖を取ったり、細袴を短くしたりする程度のことしか出来ないはずだ。
あとは生地に何を使うか……その辺の試行錯誤になると思うんだが……ハインは、俺の返答がお気に召さなかったらしい。俺を睨む目に、怒りが篭る。
「ほぉ、ことの発端は貴方だというのに、責任を取ることもしないのですか……。見上げた根性ですね。感服します」
「あのな……何で俺が発端なんだよ。努力はするって言っただろ。だが出来ることと出来ないことがある。肌の露出ができないサヤに、暑くない服なんて皆無だっつってんだよ」
「貴方はそれでも専門家ですか。貴方が考え無しに男装させるななどと、馬鹿なことを宣ったお陰で、レイシール様に引導が渡されたのですよ!」
「悪かったな! だがサヤに男装を続けさせて、それでぶっ倒れでもしてみろ、結局レイは責任感じて同じことになったろうよ!」
あっという間に言い合いになってしまった。
売り言葉に買い言葉で応酬してしまい歯止めが効かない。
レイがいるときは、ヤツが何やかやと横槍を入れてくるのだが、今はそれを望むべくもない。
そして、結局俺たちは、レイのことが心配で、多少イライラしている。
そうであればどうなるかって、お互いに八つ当たりするのが常だ。こうなる。
俺たちからすれば、これは一種の日常で、交流の一環でしかないのだが、サヤにはやはり、喧嘩に見えるのだと思う。
オロオロと俺たちを見回し、ワドに視線をやり、ワドが微笑ましく見守るだけの姿勢であることに混乱をきたし、ガタリと長椅子から立ち上がった。
止めに入ろうと一歩を踏み出すが、男が間合いの内に入ることが怖いサヤには、間に割って入って止めることもままならない。
結果、声を振り絞り、こちらの興味を引くという作戦に出た様だ。
「あ、あ、あの、あのっ! わ、私も手伝いますから、落ち着いてください!
えっと、その……あっ、あります、涼しくする方法! 一つ思いつきましたから!」
なに⁉︎
俺とハインの動きがピタリと止まった。
「……おや、言ってみるものですね。あるのですか」
ほぉ…言ってみるものですね…だと?
「……お前、それ、いちゃもんつけてただけってことか? 殴るぞ?」
「かっ、描くものを、描くものを貸して貰えますかっ、言葉で説明しにくいので、描きますから!」
また一触即発となった俺たちの会話に、サヤが大慌てで介入する。
近づけないから遠巻きにして声を張り上げるのだから、なんだかおかしな感じだ。
なんとなく毒気を抜かれてしまった。
そんな俺たちのやり取りをよそに、ワドがいつの間にやら移動して、部屋の片隅にある衝立を片付けている。
「失礼致します。サヤ様、こちらの執務机をお使い下さい。
紙と筆のみで宜しゅうございますか?」
衝立は、作業用の執務机を隠しておくためのものだったので、出てきた机にサヤはそそくさと近付いていった。ワドにお礼を言って、席に着く。
また俺たちが喧嘩を始めないうちにって考えてる顔だな……やたらとアワアワしながら木筆を手に取ったのだが、力加減を間違ったのか、パキリと折った。ひいぃ⁉︎ と、血の気の下がった顔をするサヤに、俺は溜息をつく。
「右の引き出し、替えはいくらでもあるから、落ち着け。
しばらく休戦しといてやるから……」
「そうですね。先ずはサヤ、涼しくする方法というのを描いて下さい」
俺とハインが一致した意見を述べたので、サヤは何度か深呼吸し、気持ちを落ち着けた。
そして、木筆を墨壺に突っ込み、紙に視線を送る。
「えっと……私の世界にある服なんですけど……ホルターネックっていうデザインがあるんです。
首に引っ掛けて、背中を大きく開ける服なんですけど……あっ、この前、ルーシーさんが着せて下さった、ドレスに近い形ですね」
紙の上に、線を引き出す。
描く……とは、文字通り何かを描くことだった様だ。
それにしても……ホルターネック、デザイン、ドレス……という、謎の言葉が飛び出した。
何を言っているのかさっぱり分からない。
「サヤ、ドレスというのは、礼服のことですか? デザインというのは?」
「あっ、……す、すいません…てな。はい、ドレスは女性用の礼服ですね。デザインは……草案? 意匠?」
「ああ、意匠のことなのか。じゃあ、ホルターなんとかというのは何だ?」
「えっと……それはこれから描きます。多分、見た方が早いので」
サヤの右手が、墨壺と紙の上を行ったり来たりしながら、何かを描いていく。
手馴れてるな……河川敷の図も相当だと思ったが……サヤはどうやら、手先が器用らしい。
当たりをつけて、線を引いていく。それは簡略化された人の裸体図で、斜め前から見た図、斜め後ろから見た図を、描き表していた。そして裸体図を描き終えた後、更に線を加えていく。
「私の世界では、暑さを感じる一番の場所は背中の上半分と認識されてます。
汗を掻くのもだいたいここが中心で、次は脇の下とかですよね。
だから、背中や脇が大きく開けば涼しいと思うんです
実際、腹掛けという、背中が大きく開く服があって、飛脚とか火消しとか……暑さと戦うような職種の方が、着てました」
「いや……それしたらお前、補整着丸見えだぞ」
つい突っ込みを入れてしまった。
サヤの描いた衣装は、肩や背中が大きく開いている。確かにルーシーが着せて、体調を崩した礼服に酷似しているな……大丈夫なのか?違う部分は、首回り。 立ち襟の部分だ。
襟はきちんと付いている……。…………ほぅ……初めて見る形だが、作れるな。
成る程、これがホルターなんとかってやつか。
「はい、このままだと丸見えですから、これに上着を着るんですよ。
布を重ねるから暑いのですし、この際見えない部分は犠牲にします。
このホルターネックの短衣に上着を重ねれば、肩も背中も見えないでしょう?」
そう言いつつ、サヤはホルターネックの短衣横に、上着を描く。
襟無しの、礼服通りの首回りだ。だが、上着の丈としては少々長い。更に、肩の部分に何故か切れ込みというか、空間があった。
従者や貴族という職業は、年がら年中上着を着用している。
人目のある場所で袖をまくったり、上着を脱いだりということをしない。夏場でも、炎天下でも、上着を羽織っているのだ。
当然暑い。更に従者は、主人より確実に動く。余計に暑い。結果、体調を崩す人間が続出するのだ。
正直、従者という職種は、男装していなくても結構過酷なんだよな……。
「私の国……一千年ほど前の服に、水干とか、狩衣っていうのがあるんですが、袖はあるのに、縫い止めているのが背中の一部分だけなんです。面白いですよね。
だから、肩の部分に風を通す構造を作れば、それなりに涼しいんじゃないかなって。
背中を大きく開けて、上着を羽織り、上着の一部に風を通す仕掛けを付けるってことです。
切れ込みは、あまり深いとだらんとしてしまいそうだから、上半分くらいですかね……。
もしくは、袖や脇の一部にラインとして、メッシュの部分を作っても良いと思うんです」
だんだん……サヤの言っていることの意味が分からなくなってきた……。ラインって何だ、メッシュって?
サヤは集中してきたのか、顔を上げることなく、一心に描き込んでいる。
言ってることの意味は分からないのだが、描いているものはとても分かり易かった。
ふーん、つまり肩が一部出るのか……ある意味今年らしい意匠だな……。肩を出すのは女の流行りだが、男がしてはいけないなんて道理は無いわけだしな……。
「この線の部分がメッシュなのか?ラインってのは何だ」
「ラインとは線のことです。まっすぐここに、通っているでしょう?メッシュというのは、網目状の、隙間の多い布です。線状に、メッシュの部分を作るんです。
問題は、肩に穴を開けたり、服の一部が透けたりする意匠が、受け入れてもらえるかどうか……ですけど……これ、許容範囲でしょうか……?」
描き上がったようだ。
出来上がったものを、おずおずと、サヤが差し出してくる。
俺はそれを受け取って、じっくりと眺めた。
無駄な線も多い、下図の状態だ。だが、言わんとすることは伝わっている。
上手いな……。襟はそのまま、前身頃が襟から腰にかけて続いているのか。確かに女性の礼服に似ているから、応用すれば表現できるな。
上着の丈が長めなのは、腕を動かしても背中が見えないようにということか。
肩の切れ込みも、見頃に変化を付けず、袖の縫い付けのみ考えれば何とかなりそうだな。案外簡単に表現できる加工ばかりだ。肩の切れ込み部分は、下の短衣も袖が無い。だから素肌が見えてしまうわけだが、流行だと思えば別段、問題も感じない。このメッシュだかの方に至っては、透けているとはいえ素肌も出ないのだからさらに問題無いだろう。
「うん! 良いんじゃないか?」
結論として、それに至った。
「今年らしい。肩を出すこの意匠はありだな!
上着の首元に留め金を付けておけば、上着がはだける心配も無い。
サヤの場合、腰の細さを隠す必要もあるんだが…腰帯を上着で隠せばそれも解決するしな。
上着の丈はもう少し長い方が見た目が整う気もするが……あー……だがそうすると、剣帯をしにくくなるか……」
腕を上げた時のことを考えると、もう少し上着の長さが欲しいんだが……そうすると剣の柄に上着が掛かってしまって邪魔だ。かといって、上着の上に剣帯を巻くと動きにくくなりそうだしな……。
俺がそう思案していてると、サヤがまた首をこてんと傾ける。そして暫く思案した後、別の紙にまた何かを描き出した。
「私、剣など持ちませんから、剣帯を巻いたりもしませんけど……必要なら、脇に、スリットを入れれば良いと思いますけど?スリットというのは、割れ目のことです。
それに、上着の丈を色々変えても良いなら、剣帯を巻きやすい上着の形もありますよ」
そう言いながら、サラサラと幾つもの上着を描き連ねていく。
いとも簡単に、さっさと五つほど、描き上げてしまった……。
どれもこれも、今までに見たことがない形状だ。
「剣帯を巻くなら、これや、これです。腰回りを隠す必要が無い場合は、こんな風にするのも可愛いですかね。あ、背中心にも割れ目を入れておけば、乗馬もしやすいと思います」
上着を指差しつつ解説を始める。
俺はだんだん、背中に冷や汗が伝う心地になってきていた。
サヤは……素人だよな……?サヤの国の服を描き連ねているのだとしても……慣れ過ぎてやしないか?
意匠を描けるものは限られる。服の構造自体を把握しておかねば、それを布や紙の上に起こすこともままならないからだ。描けるものと作れるものは違う。だがサヤの描くものは、どれもこれも再現できそうなものばかり。敢えて描いているとしか、思えねぇ……。
「上着はまあ、良いとしてだ。細袴はどうするんだ?
丈を短くするとか、メッシュとやらを入れるとかするわけか?」
とりあえず、話題を振ってみることにした。
敢えて描いているなら、細袴に関しても、配慮された案を出すはずだ。
サヤは、墨壺に木筆を戻し、あごに指を当ててしばし考え込む……。
「えっと、調節できるようにするのはどうでしょう」
調節?細袴の何をどう調節するんだ……。
「少しゆったり目の細袴にして、裾の内側に、紐を通すための折り返しをつけるんです。
普段は長靴の中ですから目立ちません。涼しくしたいときは、たくし上げて紐を括ります。
水干の袴が同じ仕様なんですよね。
あとは……ギルさんの言うように、長靴の中に裾をしまうのではなくて、外に出す仕様にするのはありですよね。
私の世界では、キュロットとか、ガウチョとか……裾に向けて広がる袴があります。
ああ、私の国の袴も合うかもしれません。ここのと少し形が違って、こんな風なんですけど……」
またスラスラと描き出す。
俺は頭を抱えたくなった。やっぱりこいつ、素人じゃない!
袴の形状すら提案してきやがった!しかも形自体は単純なのだ。
単純……言い換えれば、洗練されているとなる……。実用に即してるということだ。
「ワド、ちょっと来てくれ。これ、どう思う」
俺はワドを呼んだ。俺だって生まれた瞬間からこの仕事に触れてきているわけだが、ワドは俺の倍以上の時間をそうして過ごしている。
やってきたワドは、サヤの衣装をじっくりと見比べてから、やはりにこりと笑った。
「そうでございますね。正式な場ではともかく、日常や、外出時にはとても重宝しそうです。それにいたしましてもサヤ様は……服を作るということを、よくご存知でらっしゃいますね。
再現できない部分はございません。素晴らしい出来映えです」
ワドが認めた……。そうだよな……そんな感想になるよなこれは……なんせ、縫い合わせの場所すら書き記してある……サヤ……こいつは一体、なんなんだ……⁈
「サヤ……お前、元の世界では何してた?」
「何って……只の、学生です……」
「お前の世界の学舎は、服の作り方まで習うのか?」
「は、はい……それも多少習いますけど……これはその……クラブ活動で……」
「……クラブカツドウって、なんだ」
少し、口調が厳しくなってしまった。
サヤが描き上げた服の数々だが、正直、我が家の意匠師に引けをとらない……。
下手をしたら、意匠師の描く図柄よりも分かり易く表現してあるのだ。なにせ図が立体に描かれている……。
こいつは、何なんだ。クラブカツドウってのは、一体なんだ。
少し思考に没頭したあと、サヤに視線を戻し、ギョッとした。
サヤがまた真っ赤になっていた。
なんなんだ……なんで赤くなる必要が……? 俺がまるで、羞恥を煽るようなことを聞いたみたいじゃないか……。
……いや、まさか……そんな質問してないよな…………?
言葉の意味が分からないだけに、一瞬で背中が寒くなった。
だってな、サヤの反応が何なのか、読めないのだ。意図せず危険な言葉を口にして体調を崩されたりしたら、レイに言い訳できねぇ……。
「えっと、クラブ活動というのは……やりたいことが同じ人たちで集まって、そのやりたいことをするという活動です。
私の学校は、放課後、授業が一通り終わった後に、クラブに所属して活動するのが義務でしたから……必ずどこかに所属しなきゃいけなくて……。
私はその…………ふ……服を作るクラブに入ってたんですっ!」
そこまで言って、顔を両手で隠して机に突っ伏してしまった。……いや、ちょっと待てって、なんでそんな反応なんだ……。恥ずかしがるような内容なのか?
「だって恥ずかしいです!
あのクラブ、服飾デザイン部とは名ばかりの、いわゆるおたくクラブで……ほとんどの活動は……こ、コスプレ衣装作りだったんです‼︎」
…………謎の言葉が入り乱れ過ぎていて、一体何を言っているのかさっぱり分からない……。
サヤは、机に突っ伏したままで、モゴモゴと説明を続ける。続けるが、やはり意味が分からなかった。
「祖母の影響で……大学は服飾系の学科をと思っていたんです。だから、勉強になるかなって、コスプレ衣装作りが活動内容だと知らずに入部してしまったんです!
あっ、でも、すごく勉強にはなったんですよ? コスプレ衣装って、和や洋ごちゃ混ぜだし、再現不能なものなんかも多くて、これをどうやって作れば良いのかって、凄く考えるし、資料もたくさん調べるんです!
あと、所属してる部員全員女の子でしたし、漫研と兼業の子も多くて、デザイン画の書き方がちょっと漫画寄りというか……でも分かり易いから良いと思ってっ。
私はコスプレなんてしなかったので、もっぱら制作要員でした。
だから、型紙から自分たちで作ってたし、服の構造はある程度知ることができました。でも……独学だし、結構色々誤魔化して作ってたりしていたし、本職のギルさんに見られるなんて……よく考えたら凄く、恥ずかしいですっ!」
羞恥のあまり真っ赤になって身を捩り、恥じらうサヤを見ているこっちがなんか恥ずかしいんだが……。
どうにも視線のやり場に困る反応だ……。
「まあ、あれだ。とりあえずお前が凄いんだということは、分かった」
なんかもう、いちいち気にするのが馬鹿らしい気がしてきた……。
土嚢やら河川敷やら、特殊なことを知ってるわ……武術の達人だわ、服飾の知識まで有してるわ……お前の世界って、一体なんなんだ。たかだか十六年の歳月で、いったいどれほどの知識と経験を詰め込んでるんだ……?
「サヤ、本当は、賢者か学者か何かなのでは?」
とりあえず、ただ黙って状況を観察していたハインが、最後に一言だけそう聞いた。
そうだよな……実はこいつ外見年齢以上の年齢をした賢者だって言われた方が納得できる。
じっとりした目でサヤを見つめていると、サヤは半泣きになりつつ叫んだ。
「ごく一般的な、女子学生です!」
0
お気に入りに追加
836
あなたにおすすめの小説
義娘が転生型ヒロインのようですが、立派な淑女に育ててみせます!~鍵を握るのが私の恋愛って本当ですか!?~
咲宮
恋愛
没落貴族のクロエ・オルコットは、馬車の事故で両親を失ったルルメリアを義娘として引き取ることに。しかし、ルルメリアが突然「あたしひろいんなの‼」と言い出した。
ぎゃくはーれむだの、男をはべらせるだの、とんでもない言葉を並べるルルメリアに頭を抱えるクロエ。このままではまずいと思ったクロエは、ルルメリアを「立派な淑女」にすべく奔走し始める。
育児に励むクロエだが、ある日馬車の前に飛び込もうとした男性を助ける。実はその相手は若き伯爵のようで――?
これは若くして母となったクロエが、義娘と恋愛に翻弄されながらも奮闘する物語。
※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。
※毎日更新を予定しております。
「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。
チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。
なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!
こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。
※注:すべてわかった上で自重してません。
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス3巻が発売しました!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍のイラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
7巻は6月17日に発送です。地域によって異なりますが、早ければ当日夕方、遅くても2~3日後に書店にお届けになるかと思います。
今回は夏休み帰郷編、ちょっとバトル入りです。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
【完結】愛する人にはいつだって捨てられる運命だから
SKYTRICK
BL
凶悪自由人豪商攻め×苦労人猫化貧乏受け
※一言でも感想嬉しいです!
孤児のミカはヒルトマン男爵家のローレンツ子息に拾われ彼の使用人として十年を過ごしていた。ローレンツの愛を受け止め、秘密の恋人関係を結んだミカだが、十八歳の誕生日に彼に告げられる。
——「ルイーザと腹の子をお前は殺そうとしたのか?」
ローレンツの新しい恋人であるルイーザは妊娠していた上に、彼女を毒殺しようとした罪まで着せられてしまうミカ。愛した男に裏切られ、屋敷からも追い出されてしまうミカだが、行く当てはない。
ただの人間ではなく、弱ったら黒猫に変化する体質のミカは雪の吹き荒れる冬を駆けていく。狩猟区に迷い込んだ黒猫のミカに、突然矢が放たれる。
——あぁ、ここで死ぬんだ……。
——『黒猫、死ぬのか?』
安堵にも似た諦念に包まれながら意識を失いかけるミカを抱いたのは、凶悪と名高い豪商のライハルトだった。
☆3/10J庭で同人誌にしました。通販しています。
もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!
結ノ葉
ファンタジー
目が冷めたらめ~っちゃくちゃ美少女!って言うわけではないけど色々ケアしまくってそこそこの美少女になった昨日と同じ顔の私が!(それどころか若返ってる分ほっぺ何て、ぷにっぷにだよぷにっぷに…)
でもちょっと小さい?ってことは…私の唯一自慢のわがままぼでぃーがない!
何てこと‼まぁ…成長を願いましょう…きっときっと大丈夫よ…………
……で何コレ……もしや転生?よっしゃこれテンプレで何回も見た、人生勝ち組!って思ってたら…何で周りの人たち布被ってんの!?宗教?宗教なの?え…親もお兄ちゃまも?この家で布被ってないのが私と妹だけ?
え?イケメンは?新聞見ても外に出てもブサメンばっか……イヤ無理無理無理外出たく無い…
え?何で俺イケメンだろみたいな顔して外歩いてんの?絶対にケア何もしてない…まじで無理清潔感皆無じゃん…清潔感…com…back…
ってん?あれは………うちのバカ(妹)と第2王子?
無理…清潔感皆無×清潔感皆無…うぇ…せめて布してよ、布!
って、こっち来ないでよ!マジで来ないで!恥ずかしいとかじゃないから!やだ!匂い移るじゃない!
イヤー!!!!!助けてお兄ー様!
【R18・完結】おっとり側女と堅物騎士の後宮性活
野地マルテ
恋愛
皇帝の側女、ジネットは現在二十八歳。二十四歳で側女となった彼女は一度も皇帝の渡りがないまま、後宮解体の日を迎え、外に出ることになった。
この四年間、ジネットをずっと支え続けたのは護衛兼従者の騎士、フィンセントだ。皇帝は、女に性的に攻められないと興奮しないという性癖者だった。主君の性癖を知っていたフィンセントは、いつか訪れるかもしれない渡りに備え、女主人であるジネットに男の悦ばせ方を叩きこんだのだった。結局、一度も皇帝はジネットの元に来なかったものの、彼女はフィンセントに感謝の念を抱いていた。
ほんのり鬼畜な堅物騎士フィンセントと、おっとりお姉さん系側女によるどすけべラブストーリーです。
◆R18回には※がありますが、設定の都合上、ほぼ全話性描写を含みます。
◆ヒロインがヒーローを性的に攻めるシーンが多々あります。手や口、胸を使った行為あり。リバあります。
婚約も結婚も計画的に。
cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。
忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。
原因はスピカという一人の女学生。
少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。
「あ、もういい。無理だわ」
ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。
ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。
ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。
「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。
もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。
そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。
ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。
しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~)
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる