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ビル・グルドはついてない
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グリードエンド王国の王都のギルド。
ここについてない男が一人いた。
ビル・グルド 31歳。独身。
夕日の様な波打つ鮮やかな赤い髪。
深い海の様な印象的な青い瞳。
193cmの高身長。
ギルドマスターであり、冒険者ランクはSランク。
父親はバルパスのカリスマ国王アーサー。
実はバルパス第一王子。ただし、王太子は弟。
父にそっくりな彫りの深い整った精悍な顔立ち。
意外とハイスペック。
なのに独身。
最近、学生時代からの友人、浄化師のクリストファーが結婚した。
その結婚式に出席していた新婦側の友人、蘭を見て、好みすぎると一目惚れしたものの、振られてしまったのだ。
まあ、それは仕方ない。
最近まで、史上最低の恋愛テクニック指南書、純ノート秘伝モテクニックを愛読し、暗記までして、あろう事かそのまま女性を口説く手段としていたのだから、いただけない。
もはやそれは呪いである。非モテの呪い。
だから独身。
原因はウォルフ。あの涼しい顔した腹黒ドS宰相だ。
かつての渡り人、ジュンジ・サカタが、異世界に来て30歳も年下の女性と恋愛結婚したと聞いて、感銘を受けたビルは、その人が書いたという恋愛指南書が欲しいとウォルフにせがみ、譲り受け、丸ごと信じてしまったのだ。
ウォルフは冗談半分、面白半分で渡したのだが、まさかそのまま信じてるとは思わなかった。
内心はちょっと悪かったと思ってる。
今度、グラントと一緒に慰めよう、ぐらいには悪いと思っている。
その呪いも解けた、はず。
さあ、ここから巻き返し、男は30からだ!と思った矢先に、師匠から手紙が届いた。
ビルの師匠であり、恩人、ガヴィル・ガヴァン。
北に住む、伝説の少数戦闘民族。ガヴァン一族の長だった。10年前は。
ほぼ一族間でのみ婚姻を繰り返した結果、全員が青銀の髪に揺らめく黄金の瞳。
一説によるともっとも美しく、最も強い民族だと言う。
そして、その一族の始祖は銀の竜だという都市伝説があった。
そう、この世界の誰もが子供の頃に読む、あの童話。
『銀の竜と赤い髪のお姫様』
その銀の竜だと。
まあ、あれは所詮童話だからな、見た目からそう言われたのだろうと、届いた手紙をガサゴソと開いて読んだ。
速攻で読み終わる。何しろ、一行しかないからだ。
『俺が死んだら孫を頼む』
あのジイさん、そんな歳だっけ?と思ったが、結構年だった。
枯れ木の様に細いくせに、やたらと目力強くて、恐ろしく強かった。
魔力も多く、存在感も圧倒的なジイさんだった。
そういえば、孫いたな、生意気そうな坊主が一人。
ビルは10年前を思い出した。
ここについてない男が一人いた。
ビル・グルド 31歳。独身。
夕日の様な波打つ鮮やかな赤い髪。
深い海の様な印象的な青い瞳。
193cmの高身長。
ギルドマスターであり、冒険者ランクはSランク。
父親はバルパスのカリスマ国王アーサー。
実はバルパス第一王子。ただし、王太子は弟。
父にそっくりな彫りの深い整った精悍な顔立ち。
意外とハイスペック。
なのに独身。
最近、学生時代からの友人、浄化師のクリストファーが結婚した。
その結婚式に出席していた新婦側の友人、蘭を見て、好みすぎると一目惚れしたものの、振られてしまったのだ。
まあ、それは仕方ない。
最近まで、史上最低の恋愛テクニック指南書、純ノート秘伝モテクニックを愛読し、暗記までして、あろう事かそのまま女性を口説く手段としていたのだから、いただけない。
もはやそれは呪いである。非モテの呪い。
だから独身。
原因はウォルフ。あの涼しい顔した腹黒ドS宰相だ。
かつての渡り人、ジュンジ・サカタが、異世界に来て30歳も年下の女性と恋愛結婚したと聞いて、感銘を受けたビルは、その人が書いたという恋愛指南書が欲しいとウォルフにせがみ、譲り受け、丸ごと信じてしまったのだ。
ウォルフは冗談半分、面白半分で渡したのだが、まさかそのまま信じてるとは思わなかった。
内心はちょっと悪かったと思ってる。
今度、グラントと一緒に慰めよう、ぐらいには悪いと思っている。
その呪いも解けた、はず。
さあ、ここから巻き返し、男は30からだ!と思った矢先に、師匠から手紙が届いた。
ビルの師匠であり、恩人、ガヴィル・ガヴァン。
北に住む、伝説の少数戦闘民族。ガヴァン一族の長だった。10年前は。
ほぼ一族間でのみ婚姻を繰り返した結果、全員が青銀の髪に揺らめく黄金の瞳。
一説によるともっとも美しく、最も強い民族だと言う。
そして、その一族の始祖は銀の竜だという都市伝説があった。
そう、この世界の誰もが子供の頃に読む、あの童話。
『銀の竜と赤い髪のお姫様』
その銀の竜だと。
まあ、あれは所詮童話だからな、見た目からそう言われたのだろうと、届いた手紙をガサゴソと開いて読んだ。
速攻で読み終わる。何しろ、一行しかないからだ。
『俺が死んだら孫を頼む』
あのジイさん、そんな歳だっけ?と思ったが、結構年だった。
枯れ木の様に細いくせに、やたらと目力強くて、恐ろしく強かった。
魔力も多く、存在感も圧倒的なジイさんだった。
そういえば、孫いたな、生意気そうな坊主が一人。
ビルは10年前を思い出した。
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