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食えない男
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「お疲れ様、ユーリ。これで一通りの魔術は教えた。短い期間だったが、よく頑張ったね」
ゼェハァと息も絶え絶えな悠里の頭をいい子いい子と撫でるクリストファー。
明日帰るために魔力に余力を残すため、今日は軽めに午前中のみの特訓となった。
悠里はリラクゼーションの能力のお陰か、一晩寝ると魔力も体力もMAXに戻る、ドラク○みたいなシステムが備わっていた。
これに関してはウォルフとクリストファーもびっくりしていた。
教えている方も悠里と接しているからか、大して疲れない。
だから余計に特訓もハードルが上がって行った。
「ユーリは思った以上に得難いかもしれません」
ウォルフが呟いていたのが印象的だった。
特訓が終わればアルスのお茶が待っている。
毎日それだけを楽しみに頑張ってきた。
今日は最終日。
アルスも張り切って、三段重ねのアフタヌーンティーを用意してくれた。
悠里の好きなものを詰め込んでくれた夢のタワーだった。
甘い物だけで無く、サンドイッチやポテトなど、しょっぱいものまである。
永遠に食べられるコンビ。
「もう、アルスさん、本っっっっ当に神!!」
「おかわりもありますからね。ふふ。そんなに喜んでくれて、用意した甲斐があります」
「明日は一旦帰る予定なので、後でポメになります」
「お願いします」
食い気味で返事された。どんだけ楽しみ(笑)
この特訓で悠里はある程度自在にポメラニアンになれるようになっていた。
動物好きと聞いた悠里がポメラニアンになると、アルスは大喜びしてくれたのだ。
彼のブラッシングテクもカットテクも素晴らしい。
さすが出来る執事。トリマーまで出来る。
食いしん坊と動物好き、需要と供給がこれ程マッチした二人もいない。
クリストファーが飲んでいた紅茶のカップをソーサーに戻す。カチャリともしない
「向こうに着いたら、連絡してくれ。上手く通信が使えるか確認もしたいし」
「もちろん。あちらでもクリストファーと、繋がってるなんてなんだか不思議だね」
「すぐに戻れそう?」
「う~ん、どうだろう。仕事のこともあるし、家族がどう反応するかわからないし・・・友達にも会いたいしね」
「・・・そうか」
(うぅ、捨てられた子犬のような目をされると弱い)
「でもなるべく早く戻るから、心配しないで。毎日連絡するし」
「わかった」
にこりとする。
素直になったクリストファーに悠里はドギュンと胸を撃ち抜かれっぱなしだ。
元々素が秀麗すぎるのに、そこに可愛い要素まで持ったら無敵である。
殺す気か!悶え殺す気か!!と心の中で絶叫していた。
お茶の後も『今日はずっと悠里と一緒にいる』と離れないクリストファーに心中、可愛いかよっっっっ!!
とずっと絶叫していた。
夕食後には約束通りポメラニアンになって、アルスがブラッシングと毛先のカットをしてくれ、お手製の洋服まで着せられて屋敷の皆さん総出で撮影会になった。
代わる代わる抱っこされ、一通り皆さんを癒してから人に戻った。
「ユーリ、うちのお風呂広いよ一緒に行こう」
さらりとクリストファーが誘ってきたから危うくOKするとこだった。
もちろん断ると、残念、またね、と去って行った。
ちょっとその辺散歩しようなテンションで言わないで欲しい。
(危ない!この人、狙ってるのか天然なのか判断し難い)
さすがレオナルドの息子、なかなかクセが強い。
(まさか、ポメラニアン扱いで女って思ってないんじゃ・・・)
否定出来ない悠里だった。
広いお風呂から出た後も『明日帰ってしまったらしばらく会えないから、一緒に寝よう』と、またしても本気か天然かわからない発言をされ、ぐるぐる考えた挙句、ポメラニアンならと妥協案を出して、クリストファーのベッドに潜り込んだ。
夜中。
そっとまぶたを開けたクリストファー。
スヤスヤと腕にいるポメラニアンを悠里に戻し、髪をかき分けて首筋に擦り寄る。
正面からは見えにくいやや後ろを魔力を込めてちうっっと吸い付く。
跡が付いたのをみて満足し、キュッと抱きしめた。
朝聞かれても、寝ぼけて戻ったと言えば良い。
(絶対に離さない)
本気も本気、大本気だった。
アルスに誘導されたとはいえ、自分の理想100%なのだ。
惚れない方がおかしい。
今のところ接する人が悠里に興味がない人ばかりなので許してるが、そうでなければ、第二隊の部屋になど置いておきたくない。
上手く魔法陣で繋いでおいたが、気が気じゃ無かった。
この1週間で意識させるよう接してきた。
何かにつけて触れるようにし、朝と就寝前のハグにキスまでは挨拶だからと普通に応じてくれるようにした。
悠里が慣れてないから怖がらせないよう、あまり真剣さを出してないだけで、応じてくれるなら遠慮するつもりなどさらさら無かった。
食えない男はここにもいたのである。
————————————————————————
ケルベロスは手強いぞ、頑張れクリストファー。
ゼェハァと息も絶え絶えな悠里の頭をいい子いい子と撫でるクリストファー。
明日帰るために魔力に余力を残すため、今日は軽めに午前中のみの特訓となった。
悠里はリラクゼーションの能力のお陰か、一晩寝ると魔力も体力もMAXに戻る、ドラク○みたいなシステムが備わっていた。
これに関してはウォルフとクリストファーもびっくりしていた。
教えている方も悠里と接しているからか、大して疲れない。
だから余計に特訓もハードルが上がって行った。
「ユーリは思った以上に得難いかもしれません」
ウォルフが呟いていたのが印象的だった。
特訓が終わればアルスのお茶が待っている。
毎日それだけを楽しみに頑張ってきた。
今日は最終日。
アルスも張り切って、三段重ねのアフタヌーンティーを用意してくれた。
悠里の好きなものを詰め込んでくれた夢のタワーだった。
甘い物だけで無く、サンドイッチやポテトなど、しょっぱいものまである。
永遠に食べられるコンビ。
「もう、アルスさん、本っっっっ当に神!!」
「おかわりもありますからね。ふふ。そんなに喜んでくれて、用意した甲斐があります」
「明日は一旦帰る予定なので、後でポメになります」
「お願いします」
食い気味で返事された。どんだけ楽しみ(笑)
この特訓で悠里はある程度自在にポメラニアンになれるようになっていた。
動物好きと聞いた悠里がポメラニアンになると、アルスは大喜びしてくれたのだ。
彼のブラッシングテクもカットテクも素晴らしい。
さすが出来る執事。トリマーまで出来る。
食いしん坊と動物好き、需要と供給がこれ程マッチした二人もいない。
クリストファーが飲んでいた紅茶のカップをソーサーに戻す。カチャリともしない
「向こうに着いたら、連絡してくれ。上手く通信が使えるか確認もしたいし」
「もちろん。あちらでもクリストファーと、繋がってるなんてなんだか不思議だね」
「すぐに戻れそう?」
「う~ん、どうだろう。仕事のこともあるし、家族がどう反応するかわからないし・・・友達にも会いたいしね」
「・・・そうか」
(うぅ、捨てられた子犬のような目をされると弱い)
「でもなるべく早く戻るから、心配しないで。毎日連絡するし」
「わかった」
にこりとする。
素直になったクリストファーに悠里はドギュンと胸を撃ち抜かれっぱなしだ。
元々素が秀麗すぎるのに、そこに可愛い要素まで持ったら無敵である。
殺す気か!悶え殺す気か!!と心の中で絶叫していた。
お茶の後も『今日はずっと悠里と一緒にいる』と離れないクリストファーに心中、可愛いかよっっっっ!!
とずっと絶叫していた。
夕食後には約束通りポメラニアンになって、アルスがブラッシングと毛先のカットをしてくれ、お手製の洋服まで着せられて屋敷の皆さん総出で撮影会になった。
代わる代わる抱っこされ、一通り皆さんを癒してから人に戻った。
「ユーリ、うちのお風呂広いよ一緒に行こう」
さらりとクリストファーが誘ってきたから危うくOKするとこだった。
もちろん断ると、残念、またね、と去って行った。
ちょっとその辺散歩しようなテンションで言わないで欲しい。
(危ない!この人、狙ってるのか天然なのか判断し難い)
さすがレオナルドの息子、なかなかクセが強い。
(まさか、ポメラニアン扱いで女って思ってないんじゃ・・・)
否定出来ない悠里だった。
広いお風呂から出た後も『明日帰ってしまったらしばらく会えないから、一緒に寝よう』と、またしても本気か天然かわからない発言をされ、ぐるぐる考えた挙句、ポメラニアンならと妥協案を出して、クリストファーのベッドに潜り込んだ。
夜中。
そっとまぶたを開けたクリストファー。
スヤスヤと腕にいるポメラニアンを悠里に戻し、髪をかき分けて首筋に擦り寄る。
正面からは見えにくいやや後ろを魔力を込めてちうっっと吸い付く。
跡が付いたのをみて満足し、キュッと抱きしめた。
朝聞かれても、寝ぼけて戻ったと言えば良い。
(絶対に離さない)
本気も本気、大本気だった。
アルスに誘導されたとはいえ、自分の理想100%なのだ。
惚れない方がおかしい。
今のところ接する人が悠里に興味がない人ばかりなので許してるが、そうでなければ、第二隊の部屋になど置いておきたくない。
上手く魔法陣で繋いでおいたが、気が気じゃ無かった。
この1週間で意識させるよう接してきた。
何かにつけて触れるようにし、朝と就寝前のハグにキスまでは挨拶だからと普通に応じてくれるようにした。
悠里が慣れてないから怖がらせないよう、あまり真剣さを出してないだけで、応じてくれるなら遠慮するつもりなどさらさら無かった。
食えない男はここにもいたのである。
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ケルベロスは手強いぞ、頑張れクリストファー。
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