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交際スタート!

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朝起きたら自分のベッドにいた。
着替えて一階に降りると、父と母が朝食を取っていた。
弟妹はいないところを見ると部活だろう。

「あら、おはよう。ミランダ。昨日は楽しかったみたいね」
「おはよう、ミランダ。体調はどうだい?」

にこやかな父と母がこちらを向い言った。
機嫌は悪くないみたい。ホッ。

「おはよう。昨日は遅くなってごめんなさい」
「良いのよ。お陰でグラントさんとお話ししちゃった」

え?母とグラント副隊長が?何話したんだろ。

「良いなぁサマンサ。僕もグラントさんと話したかったな。体張って仕事してる人ってカッコイイよね。俳優より全然カッコイイよ」
「あら、あなたも素敵よ」
「サマンサ・・・」

はいはいはい、いつものが始まった。
私もご飯食べようっと。
キッチンで目玉焼きとチーズトーストを作る。
トーストが焼ける間に紅茶を淹れていた。

うん、イイ感じ。
出来上がったのでダイニングで朝食を取る。

「ミランダ、グラントさんに結婚を前提とした交際申し込まれてるんでしょ」

ブッフォォ。紅茶を吹き出しそうになった。

「な、何で知ってるの!?」
「だって、グラントさんに聞いたもの」
「そうなの!凄いじゃないか!あのグラントさんに交際申し込まれるなんて。もう結婚しちゃいなよ。そうなったら自慢の息子だよ」

父はやたらと嬉しそうだ。
そんなにか、そんなに好きか。

「あなたのことも、役によにっては資格までとるプロ意識に感服するって言ってたわよ」
「嬉しいなぁ。そんな風に思ってくれる人がいて。がんばって来てよかったな」

へぇ~、そんな事を言っていたのか。
って、何でそんな話までしてるのさ。

「お母さん、グラントさんといつ話したの?」
「あんたが酔い潰れてグースカ寝てる時」

ぐっっ。そうだった。結局あの後グダグダになったけど、やっぱり交際することになる?のかな?
酔っ払った私見て、やっぱりやめたってなってないよね。
ちょっと不安。
妄想必要ないって、いつでもリクエストに答えるって、言ってたけど。
ボタン三つ外した色気ダダ漏れのグラント副隊長を思い出す。
ヤバイ、鼻血出そう。

「あんた、お礼言っときなさいよ。わざわざ運んで寝かせてくれたのよ」
「そうなの!?」

恥ずかしいなぁもう。酒は飲んで飲まれるな!をモットーにあまり飲まなかったんだけどな。
昨日はグラント副隊長のペースに巻き込まれて飲みすぎちゃった。

後で連絡しよう。

時刻は昼を回ったところだった。
丁度良い。連絡してみるか。

2階の自分の部屋に戻り、通信機を手に取って、グラント副隊長に連絡する。

プルルルル、ガチャ。

『はい。ロックスです』
「あ、あの、デパルです。昨日はとんだご迷惑をおかけしました。送っていただき、ありがとうございました」

一息に言い切った。ぜぃはぁ。

『ミランダか?体調は?こちらこそ、俺の調子で飲んでしまってすまなかった』
「体調は大丈夫です。すみません飲み代払わなくて」
『こちらが誘ったんだから気にしなくていい。今日は何か予定ある?』
「いえ、特には」
『そうか、良かったら出かけないか?夕飯も食べよう』
「いいんですか?昨日の今日で」
『昨日はあまり話せなかったなかったから、会いたい』

会いたいっ!!!たっはぁー!!
グラント副隊長、積極的。
はっ、返事しなきゃ。

「はい、あの、私も・・・会いたいです。何時ごろが良いですか?」

通信機の向こうで笑う気配がする。

『どのくらいで支度できるものなの?』

えーっと、今からシャワー浴びて、着替えて化粧して・・・

「一時間後くらいなら」
『わかった。迎えに行くよ。ご両親がいらっしゃるならご挨拶したいし』
「わかりました。両親にも伝えておきます」

じゃ、また後で、と通信機を切った。
こうしちゃおれん、速攻風呂入って着替えだ!
おっと、その前に両親に言っておかなくちゃな。

ダダダと一階に降りてリビングに行く。
父と母は仲良くテレビを見ていた。
よく見たら、父の出てた朝ドラじゃないか。
本当に好きだな母は父の事が。

「一時間後にグラントさん来ます。挨拶に来るって」

父と母は顔を見合わせ、にっこりした。

私はとにかくシャワーを浴び、急いで髪を乾かして軽く化粧をした。
髪はどうしよう。サイドを捻って緩くハーフアップにした。
服!服はこの間買った、J.Sのワンピースにしよう。
お!イイんじゃない?

よし、一時間前に終わった。

一階のリビングでソワソワしながら待機する。
見ると、父もソワソワしていた。何故だ?

ジャスト一時間後に玄関のチャイムが鳴った。

「はーい。今出ます」

玄関を開けると、いつもよりラフな私服のグラント副隊長が立っていた。
ヤダ!カッコイイ!
スタンドカラーの淡いブルーのストライプシャツがなんて似合うのかしら。
今日もボタン外されたら鼻血出そう。

「いらっしゃいませ。どうぞ」

ボヤっとしている私の横で母がキビキビとスリッパを出している。
見惚れてる場合では無かった。

「上がって下さい」
「失礼します。これ良かったら」

あ、これ王都で人気のチョコの店だ。
洒落た手土産まで持参して。くっ、どこまで出来る男なのだ。


うちのリビングのソファにグラント副隊長がいる。
父と母と談笑している。
母は昨日少し話をして、既にグラント副隊長を気に入ったようだ。
さすが老若男女虜にする副隊長さまだ。

父は言わずもがな。

「って、ミランダ、聞いてるの?」

母の声でハッとした。聞いてませんでしたぁ。

「もう、この子ったらグラントさんに見惚れちゃって。推しだからって仕事中までボンヤリしちゃダメよ」

ちょっと!!そんな事を言わんで良いよ!!
ワタワタしてる私を微笑ましげに見てくれる。
うっ!一生ついて行きます、グラント先輩っ!!

「仕事中は有能ですよ。朝ミランダさんが淹れてくれるお茶が楽しみなんです」
「僕が特訓したんだよ」
「紅茶マイスターをお持ちとか。凄いですね。なかなか取れないって聞きました」 

いやぁ照れるなぁ、と父はまたも頬を赤らめる。
どこまでうちの父を虜にするつもりなのだこの人は。

「そういえば、グラントさんね、ミランダを事務官にするために今まで褒賞受け取らなかった代わりにって団長に掛け合ったんだって」
「そうなんですかっ!!」

知らなかった。あのイチャモン、当たらずとも遠からずって事だったんだ
彼を見ると、うっすらと耳が赤くなってサッと視線を外した。

「我儘だったから恥ずかしいな」

ぐほっっっ!!3人揃って悶える。
デパル家はもうグラント副隊長の虜っす。

いゃ~しかし。そんな経緯で事務官になったんかぁ。
今まで以上に頑張らないとなっっ!!

グラント副隊長が背筋を伸ばした。
釣られてうちらも背筋を伸ばす

「今日は、ミランダさんと結婚を前提に交際させいただきたく、お願いにあがりました」
「お父さん、お母さん、私からもお願いします」
「グラントさん、うちの娘をよろしくお願いします」
「グラントさん、ミランダをよろしくね」

父と母も賛成してくれたようだ。
ふー、ちょっと緊張した。

「はい。ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。では、そろそろ、行こうかミランダ」
「あ、はい。じゃあちょっと出かけてくるね。夕飯は食べてくる」
「わかったわ。楽しんできて」
「グラントさん、また」
「失礼します」


よっしゃぁぁぁ、これで晴れて、交際スタートだ!





















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