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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

195:弱肉強食

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 助けた少女に話を聞く限りでは、狼人族の4人が村を襲撃したらしく多くの村人を殺したみたいだ。そしてその惨劇の生き残りが、この少女らしいのである。
 この子を助ける為にも、とにかく村に戻って様子を見る必要がある。そういう事もあって、少女に村までの道を案内してもらう。


「このまま真っ直ぐ行ったところが私の村です」

「このまま真っ直ぐだね」


 少女に案内されるまま村に向かっていると、周りの草むらからガサガサッという音が聞こえてくる。俺は草むらに向けてオリジナルスキルで、コピーしたサーチを使って様子を見てみる。
 すると俺のサーチに引っかかるモノが見つかった。


「何かいるぞ!! この気配は………亜人種だ!!」

「本当でござるか!?」


 俺のサーチに引っかかったのは亜人種だった。
 もしかしたら狼人族ではないのかと警戒していると、やはり草むらから狼人族の4人が現れた。
 俺たちを囲むよう四方に立って、どこにも逃さないという意思が伝わってくるのである。


「へっへっへっ。まだ、あの村のガキが生き残っていたとはな!!」

「やっぱりテメェらが、この子の村を襲った張本人みたいだな………こうやって出てきたからには、それなりの覚悟ができてるんだろうな」


 俺たちの前に現れたんだから、それなりの覚悟ができているんだろうなと狼人族に言い放った。それを聞いて狼人族たちは、ニヤニヤしている為に馬鹿にしているのは確実なんだろうな。


「イローナちゃん、この子を守っておいて………あの狼人族たちは、俺たちで対処するからね」

「分かったわ。ミナトたちでも、相手は狼人族………けっして弱くは無いわよ」

「あぁ分かってるよ。もちろん無実な人を殺しておいて相手も手加減してもらえるなんて思ってないさ」


 イローナちゃんに少女を守るように頼んでから、俺たちは馬車から降りて狼人族の4人と迎え打つ。
 ルイちゃんは無実な人を殺している狼人族に嫌悪して額を歪ませている。そしてローズちゃんは、強いと噂の狼人族と戦えるので、それなりに楽しみだと手をポキポキとさせてニヤニヤしている。
 今にも互いに飛び出しそうな緊張感が走る。
 そして先に飛び出したのは狼人族の方だった。4人は一気に俺たちに向かって襲いかかってくる。


「おらっ!! 狼人族だろうが何だろうが、罪のない人を虐殺するような野郎は手加減しねぇからな」

「な 何なんだ!? コイツ、人間のガキなのに凄い強いぞ………」

「気をつけろ!!」


 俺はシンプルに筋力増強魔法を使って殴っただけではあるが、狼人族は吹き飛んでいき驚かせる。
 狼人族的には人間の子供が、そんなに強いわけがないと思っているので驚いている。そして俺には気をつけろと周りで共有しようとするが、共有して実際に注意する前にルイちゃんと、ローズちゃんにやられてしまった。
 それによって1人を残して、3人はバタンッと地面に倒れてしまった。残された自分は、どうしたら良いのかとドキドキしながら冷や汗をかいている。


「ど どうして、こんなに強いんだよ………」

「それで話を聞かせてもらおうじゃねぇか。どうして村なんかを襲った? どうして罪のない人たちを、虐殺して回ったんだ!!」


 地面に尻餅を着いて、ジョロジョロと恐怖心から失禁してしまったのである。そこまで緊張するような事じゃないだろと思いながら、俺は狼人族の前に「よいしょ」と言って屈んで質問をする。
 どうして罪のない人間を、殺すような蛮行を行なったのかと問いただす。それを聞かれて、何故か分からない狼人族の奴に少し表情に余裕が出た。


「人間っていうのは亜人種の中で最弱なんだよ!! そんな奴が、俺たちの縄張りを侵略してくる事に腹が立つんだよ!!」

「あぁそういう感じの主張なのか………確かに人間が住処を奪ってる事実はあるかもしれないな」


 狼人族の主張を受けて、確かに住処を奪われたという事実はあるし、そういう主張なのかと理解できた。


「それで? じゃあ罪のない人も殺して良いという理論で合ってるか?」

「この世界は弱肉強食だっ!! 殺される方が悪いんだよ!!」

「確かにそういう考えも理解はできる。それじゃあ俺たちが、今からお前たちを殺すが弱肉強食で仕方ないって事なんだよな?」


 確かに弱肉強食というのは理解できる理論だ。
 ならば俺たちが、その村の人たちの仇を取る為に狼人族を殺しても弱肉強食という事で仕方ないわけだ。
 そんな風に俺が少しオーラを出して凄むと、狼人族の奴はプルプルとチワワのように震えている。こんなに殺されるのが嫌ならば、自分が殺される側にならないように立ち回れば良いだけの話だろう。
 俺たちは狼人族に詰め寄って、今にも殺されるという雰囲気を作り出すのである。さっきまでの自信は、どこかに消えてしまったのだろうか。


「ま 待ってくれ!! 何でもするから許してくれ!!」

「本当に何でもするのか? 俺たちが要求する事を、全て呑めると約束できるか?」

「あぁ!! この命を助けてくれるというのなら、お前たちのいう事を絶対に聞くと約束する!!」

「そうかそうか………それなら死ねよ」


 とてつもなく見苦しい命乞いをしてきた。
 その自分側は殺しても良いが、自分自身が死ぬとなると醜く命乞いをする奴が俺は大嫌いだ。
 そんな為に一瞬の希望を見せてやってから、俺はバイソンになって狼人族の1人の頭を潰して殺した。長く苦しめるのは申し訳ないので、一瞬で逝かせてやった。
 かろうじて生きている狼人族の奴は、俺が命乞いをしている仲間を殺した事で、この場にいたら殺されるのは必死だと思ったので何とか体を動かして走り出す。


「やばい!! やばい!! アイツらは確実に化け物みたいに強い………ここは生き延びる事が先決だ!!」

「そう簡単に逃げられるとでも思っているのかのぉ?」

「なっ!? お 俺のスピードは狼人族でも、それなりに有名なんだぞ!!」


 それなりには早いスピードで、森の中に入ると俺たちを振り切る為に全力で走る。恐怖の気持ちで、心いっぱいになっていて俺たちの強さに慄いている。
 どこまで引き離したかと、後ろを見てみるとニヤニヤしているローズちゃんが背中にピタッと付いていた。
 あまりにも驚いて狼人族の男は、尻餅を着いて倒れ込むと、逃げなきゃと思って這いつくばりながら匍匐前進で逃げよう逃げようとする。
 そんな狼人族の男の足を、ローズちゃんはカプッと噛み付いてチューチューッと血を吸う。あまりにも痛い為に、噛まれていない方の足でローズちゃんを蹴り飛ばそうとするが、ローズちゃんは足を掴む。


「あんなに血を流してるのに、こんなに美味しいとはのぉ。お主には見どころがあるぞ!!」

「そ それなら見逃してくれよ!! こんなところで死ぬわけにはいかないんだよ!!」

「そんな事が妾に関係あると思っておるのか? だとしたら、恐怖や絶望っていうのは血を飲む上でのスパイスになるんじゃあ!!」


 狼人族の血を振ってみて美味しかったらしく、ドンドンと干からびるくらいに血を飲んだ。
 どうやら絶望感や恐怖心によって、血の味も変わるみたいでローズちゃん的には万々歳だ。
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