社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa

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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

193:同期の冒険者

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 俺はトゥンシム王国の冒険者ギルド来て、そこで有名なスラム街について聞いた。
 するとトゥンシム王国で有名なスラム街は、ヤンリュウマウルじゃないかと言ってくれた。俺たちは四本刀からヤンリュウマウルというのを聞いていて納得する。


「とりあえずはヤンリュウマウルまで行ってみるか」

「そうでござるな。聞いた事があるという事は、そこにいる可能性が高いでござる」

「そこにいれば良いけどのぉ」


 俺たちは有名で聞いた事があるヤンリュウマウルに向かう事を決めた。そこにギルド・ボガードと、ブギーマンがいる事を祈りながら向かう事にした。
 受付の女性にヤンリュウマウルの場所を聞いてから、冒険者ギルドを後にしようとした時、中央の席に座っていた男が俺たちに声をかけてきた。


「おい。お前たちはSS下位ランクのミナトファミリーだよなぁ? そしてお前がリーダーの《ミナト=カインザール》で間違いないな」

「ん? アンタは誰だ?」

「お前と同じく最近冒険者になって、それなりに名前をあげてるつもりなんだけどなぁ。お前たちがいなきゃ、俺はSランク冒険者でトップオブトップだったはずなんだけどなぁ」


 どうやら俺に声をかけてきた男は、俺と同じ世代の人間で俺がSSランクに対して、この男もSランクとルーキーな割に高ランクらしい。
 どうして声をかけてきたのかと思ったが、まぁ同世代の冒険者で同じく高ランクだからかと納得する。
 それにしても声をかけてきた冒険者は、同じ世代にしては整えられた顎鬚を生やしていて、本当に同世代かと思うくらいの貫禄を醸し出している。


「俺の事は知ってるみたいだけど名前を名乗れよ」

「名乗ってなかったな。俺は《金色の医師団》で、団長をやっている《バモン=ギオラ》だ」

「バモン……まぁ同じ世代って事なら、それなりによろしく頼むよ。俺たちは先を急ぐから、今日はここら辺で失礼させてもらうよ」


 名前を聞いたところ《バモン=ギオラ》と名乗ったので、聞いた事のない名前だったが同世代だったら名前を覚えておいても良いかと思った。
 話しかけてきてくれたのは嬉しいが、ギルド・ボガードを探さなきゃいけないので、挨拶してから冒険者ギルドを後にするのである。
 冒険者ギルドを出た、俺たちは馬車に戻って受付の女性に聞いた場所に向かう。そんな道中で、さっきのバモンの事を思い出して俺以外にもルーキーで、そこまで結果を残している人間は多いのかと気になった。


「俺レベルで結果を残してる同世代っているのかな?」

「そうでござるなぁ。拙者が知る限りでは、数人ルーキーで高ランクにいるのを知っているでござるよ」

「やっぱり俺だけじゃ無いんだなぁ。こういうところが調子に乗ってるんだなって分かるよなぁ」


 やっぱり俺だけじゃなくて、他にも同世代の中でも活躍している奴がいるんだなぁ。そう思うと俺が、自分自身を特別な人間だと思っているのは、周りから見たらナルシストなのでは無いのかと気づいてしまった。
 少し落ち込んでいると、ポンポンッとイローナちゃんが優しく肩を叩いてくれた。その優しさが、逆に俺の心を傷つけているのをイローナちゃんは………分かっている。絶対に、その笑顔は分かってやっているはずだ。


「そんな事よりも、そのヤンリュウマウルまでは少し距離があるみたいだけど」

「まぁそれは仕方ないよね。どう頑張っても3日はかかっちゃうんだからさ」

「そうじゃそうじゃ!! そんなに先を焦っても距離が縮まるわけじゃ無いからのぉ」


 赤の他人であれば、お前がいうなと言いたいところではあるがローズちゃんは本気で言っているので、そこに関しての追求やツッコミはしない方が良さそうだ。
 それにしても俺的には、先を急ぎたいところだが3日はかかる事に少し焦りを感じる。まぁ焦って事故ってもしかたないので、安全運転で目的地のヤンリュウマウルに向かおうと心を落ち着かせる。
 そして例に違わぬ俺の馬車酔いは健在で、横になって今日の行けるところまで進んでいく。すると馬車は急停止して俺は、転がって車内の壁に顔面をぶつける。


「痛っ!? ど どうしたの!?」

「い いや……突然、幼い子が飛び出してきたんでござるよ」

「なんだって?」


 顔面を強打して痛がりながら立ち上がって、馬車の外に出るとルイちゃんが困惑しながら説明してくれる。
 馬車が急停止したのは、馬車の走行路に小さな女の子が倒れてきたからだという。大変な事じゃないかと、俺も見てみると女の子が頭から血を流していた。


「急いで止血しないとダメだろ!! 馬車の中に包帯とかあったよな!!」

「あるよ。もう持ってきてる」

「イローナちゃん、ありがとう!! 直ぐに手当をしてやれば後遺症とか残らないだろ!!」


 俺は止血をして手当をしてやらないと、ダメだと思って馬車の中に包帯とか救急セットがあるのを思い出す。
 直ぐに取りに行こうとする。その時、既にイローナちゃんが馬車から手当に必要なものを持ってきてくれていて、やはりイローナちゃんの対応は適切だと思った。
 ハッと惚れ直している場合じゃないと思って、直ぐに血を止めてからガーゼと包帯をして出血を止める。そして馬車の中に運んで寝かせようとした時に、草むらの方から視線が感じたのである。


「どうかしたのでござるか?」

「いや、なんか草むらにいて俺の方を見ているような気がしたんだけど………何でもないや。俺の勘違いだったみたいだよ」

「そうでござるか? それなら早く来るでござるよ」

「う うん!!」


 俺が突然に止まって草むらの方を見ているのに、疑問を持ったルイちゃんは、どうかしたのかと聞いてきた。
 そこで俺は草むらの中に、誰かがいて俺の事を見ていたような感じがしたんだと話す。不思議そうにルイちゃんも草むらの方を見てみると誰もいない。
 俺の勘違いかと思っているところで、ルイちゃんは急いで馬車に戻ってくるように促した。俺も顔を馬車の方に戻して走って戻る。
 するとやはり草むらから獣の耳をした、何らかの生物が俺たちの方をジッと見ている。フーフーッと息を荒立てて今にも襲いそうな雰囲気があった。



* * *



 俺たちがトゥンシム王国に入国したと同時くらいに、クロスロード連盟軍のナミカゼ大尉たちも密かに身分を隠して入国するのである。


「やっとブギーマンの確保に乗り出せるなぁ」

「どうして、私までナミカゼの作戦に参加しなきゃいけないのよ………やってられないわ」

「そんなにボヤくの辞めようよ。というか俺が誘わないと、ダフネさんは仕事しないじゃんか」


 ナミカゼ大尉は、やっと念願のブギーマンの確保に動けるのでやる気になっている。
 それに対してダフネ中尉は、どうして自分がトゥンシム王国にやってきてしまったのかと、肩をガクッと落としてやる気が無くなっているのである。
 それでもナミカゼ大尉は、ダフネ中尉に仕事をしなきゃダメだと言ってやらせようとするが、ハァーッと深い溜息を吐いて明らかなやる気の無さを、ナミカゼ大尉にアピールしているみたいだ。
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