上 下
187 / 201
第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

183:王都の惨劇

しおりを挟む
 俺たちは街を出発して王都に向けて出発する。砦攻略の失敗を受けて、俺は少し凹んでいるがローズちゃんの心臓を取り戻す為に無理にでも切り替える。そして何よりも馬車に酔って横になる。


「今日中には王都に到着するかな? それとも夜になる前に、着かないなら野営した方が良いかな?」

「そうでござるなぁ。聞いた話と地図によれば、夜には到着する見込みでござるな」

「それなら別に野営しなくても良いか」


 俺は夜になっての移動は危険だと思って、夜に到着しないのならば今のうちから野営した方が良いと思って、ルイちゃんに聞いたところ夜には着くと言った。それなら野営しなくても良いかと止まらずに進む事した。
 俺は寝ながら王都に向かうと、確かに日が落ち始めている時に王都へと到着した。しかし到着したのは良いがある異変を感じるのである。


「まぁ100歩譲って夜だからって言っても、王都にしては静か過ぎないか………」

「確かに人がいる気配が無いでござるな」

「でも血の香りがするぞ?」

「調べてみた方が良いと思う………」


 俺たちが感じた異変とは、王都だというのに人の気配もしないで静か過ぎる。どうなっているのかと思っていると、ローズちゃんは鼻をクンクンッと空気中の嗅いでみると血の匂いがするという。どうして血の匂いがするのかとイローナちゃんは、調べた方が良いのでは無いかと言ったので調べてみる事にした。


「こ これはどういう事だよ………王都で一体何があったんだよ」

「こんなに血が撒かれてたら、そりゃあ妾の鼻に引っかかるわけじゃ」


 俺たちが王都の中に入ると市民と思われる死体が、そこら中に転がっていた。ローズちゃんではなくても血の匂いが鼻の奥に刺さる感じがした。
 もっと詳しく調べてみると、俺たちがくる前に市民たちが何者かによって虐殺されたのだと見当がつく。王都が、これなら王城はどうなっているのかと、俺たちは小走りで王城の中に入る。


「やっぱり王城の中の人たちも、1人残らず殺されてるみたいだね」

「ん? この匂いは………こっちからする!!」

「ローズちゃん!? 一体どこにいくの!!」


 王城の中の人間たちも例外なく殺されていた。殺されたにしたって、こんな事ができるのは現在の俺たちには1つの組織しか思い浮かばない。
 そんな事を思っているとローズちゃんは、何らかの匂いを嗅ぎつけて走り出すのである。いきなりのダッシュだったので、どうしたのかと思って俺たちも追いかけると王の間に行き着いた。
 やっとローズちゃんに追いついたと思ったら、ローズちゃんは何かに威嚇するように唸っている。向こうに誰かいるのかと見てみると王座に座っている仮面を被った男がいたのである。


「ローズちゃん、アイツは一体誰なんだ………」

「アレがブギーマンじゃ!! 妾の嫌いな匂いをプンプンッとさせておるわ!!」

「アレがブギーマン!? ギルド・ボガードのボス。こんなところで会えるなんてな!!」


 俺は目の前にいる男がブギーマンだと聞いて、片足を後ろに下げてグッと構える。そりゃあローズちゃんは、ブギーマンの匂いがしたら走り出すわけだ。
 俺たちが構えているところに、ブギーマンはスッと立ち上がって俺たちに向けて拍手をしてきた。どうして俺たちに拍手しているのかと困惑していると、ブギーマンは口を開いて喋り出す。


「まさか四本刀を倒すなんて思わなかったぞ。それだけでも賞賛に値する………しかし我々は、冒険者風情に舐められる程、人ができているわけじゃ無いんでね」

「俺も深傷を負いながら、お前の情報を集めていたところだったんだ。そっちから顔を出してくれたのなら、探す手間が省けて良かったぞ」


 ブギーマンは四本刀を倒した事は賞賛に値するが、冒険者なんかに舐められるわけがいかないのなという。それに言い返すように、俺は自分たちも無傷で勝ったわけじゃ無いし、この傷を負ったのもブギーマンを探しているところだったからだ。ならば、目の前にいるブギーマンを倒せばローズちゃんの心臓を取り戻せる。


「お前から絶対に心臓を取り返してやるからな」

「心臓? そうか。どこかで、そっちのチビを見た事があると思ったけど………あぁヴァンパイア族の女か」

「覚えておるなら話は早いのぉ!!」


 ブギーマンは少し考える動作をしてから、ローズちゃんの顔をジーッと見る。それによって自分たちが、ヴァンパイア族のガキかと思い出した。
 ブギーマンが思い出した瞬間に、ローズちゃんは覚えているなら話が早いと飛び出した。ブギーマンに向かって襲い出したのである。飛び出した時に、自分の血から剣を作って斬りかかった。


「馬鹿みたいに真っ正面から、襲いかかる奴が怖いわけが無いだろう!!」

「なっ!? ローズちゃんの攻撃を簡単に避けた」


 ローズちゃんが真っ正面から、斬りかかったとはいえどもそう簡単に避けられるはずは無い。しかしブギーマンはローズちゃんの攻撃を避けると、マーシャルアーツの鉄拳を使ってローズちゃんを殴り飛ばした。
 俺は吹き飛んできたローズちゃんのところに、駆け寄って無事かと確認しにいくと、腹にはブギーマンの拳の跡が残るくらいの威力を喰らったのだと分かる。しかし目の前に仇がいる為に、負けるわけにはいかないと根性でローズちゃんは立ち上がる。


「俺たちにもローズちゃんの手伝いをさせて!! 俺たちもローズちゃんの心臓を取り戻す為に、全力でブギーマンと戦うから!!」

「お主ら……」

「悪を倒してこそ侍でござる!!」


 ルイちゃんもブギーマンを倒してこそ侍だと言って、居合の抜刀術で斬りかかっていくのである。ブギーマンは攻撃を見切ってローズちゃんの時のように、避けてからカウンターの攻撃を入れてやると構えている。
 しかしルイちゃんは、ブギーマンとの間合いに入った瞬間に、さらに加速してブギーマンの胸を切り裂いた。俺は最も簡単にブギーマンに傷をつけたので、ルイちゃんは凄いとボソッと溢れるくらいに思った。


「確かに刀の扱い方や身体能力は高い方だろうな………それだけじゃあ戦いってのは有利に運ばないんだよ」

「な なに!? ルイちゃんの攻撃を受けて、普通に立っていられるのか………」

「オリジナルスキルや魔法は使い方を間違えれば、それはただの不細工な攻撃になる!! オリジナルスキルの使い方を教えてやるよ!!」

・オリジナルスキル『体熱向上オーバーヒート


 ローズちゃんの攻撃を受けてもブギーマンは倒れるどころか、ピンピンして攻撃にケチをつけてきた。俺は威力を知っているので、攻撃を受けながらも仁王立ちしている事に驚きを覚えるのである。
 そして自分が手本を見せてやると言わんばかりに、ブギーマンは瞬間移動したかのように、ルイちゃんに近寄るとブギーマンのオリジナルスキル『オーバーヒート』を使った。オーバーヒートは体の熱を自在に操り、温度を上げる事で発火させる事も可能だ。
 そのオリジナルスキルを使って、距離を詰めたところで鉄拳とオーバーヒートを合わせた技でルイちゃんを、俺たちのところに殴り飛ばした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?

趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

紫南
ファンタジー
魔法が衰退し、魔導具の補助なしに扱うことが出来なくなった世界。 公爵家の第二子として生まれたフィルズは、幼い頃から断片的に前世の記憶を夢で見ていた。 そのため、精神的にも早熟で、正妻とフィルズの母である第二夫人との折り合いの悪さに辟易する毎日。 ストレス解消のため、趣味だったパズル、プラモなどなど、細かい工作がしたいと、密かな不満が募っていく。 そこで、変身セットで身分を隠して活動開始。 自立心が高く、早々に冒険者の身分を手に入れ、コソコソと独自の魔導具を開発して、日々の暮らしに便利さを追加していく。 そんな中、この世界の神々から使命を与えられてーーー? 口は悪いが、見た目は母親似の美少女!? ハイスペックな少年が世界を変えていく! 異世界改革ファンタジー! 息抜きに始めた作品です。 みなさんも息抜きにどうぞ◎ 肩肘張らずに気楽に楽しんでほしい作品です!

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

私とお母さんとお好み焼き

white love it
経済・企業
義理の母と二人暮らしの垣谷操。貧しいと思っていたが、義母、京子の経営手腕はなかなかのものだった。 シングルマザーの織りなす経営方法とは?

「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
 ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。  チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。  なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!  こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。  ※注:すべてわかった上で自重してません。

目が覚めたらαのアイドルだった

アシタカ
BL
高校教師だった。 三十路も半ば、彼女はいなかったが平凡で良い人生を送っていた。 ある真夏の日、倒れてから俺の人生は平凡なんかじゃなくなった__ オメガバースの世界?! 俺がアイドル?! しかもメンバーからめちゃくちゃ構われるんだけど、 俺ら全員αだよな?! 「大好きだよ♡」 「お前のコーディネートは、俺が一生してやるよ。」 「ずっと俺が守ってあげるよ。リーダーだもん。」 ____ (※以下の内容は本編に関係あったりなかったり) ____ ドラマCD化もされた今話題のBL漫画! 『トップアイドル目指してます!』 主人公の成宮麟太郎(β)が所属するグループ"SCREAM(スクリーム)"。 そんな俺らの(社長が勝手に決めた)ライバルは、"2人組"のトップアイドルユニット"Opera(オペラ)"。 持ち前のポジティブで乗り切る麟太郎の前に、そんなトップアイドルの1人がレギュラーを務める番組に出させてもらい……? 「面白いね。本当にトップアイドルになれると思ってるの?」 憧れのトップアイドルからの厳しい言葉と現実…… だけどたまに優しくて? 「そんなに危なっかしくて…怪我でもしたらどうする。全く、ほっとけないな…」 先輩、その笑顔を俺に見せていいんですか?! ____ 『続!トップアイドル目指してます!』 憧れの人との仲が深まり、最近仕事も増えてきた! 言葉にはしてないけど、俺たち恋人ってことなのかな? なんて幸せ真っ只中!暗雲が立ち込める?! 「何で何で何で???何でお前らは笑ってられるの?あいつのこと忘れて?過去の話にして終わりってか?ふざけんじゃねぇぞ!!!こんなβなんかとつるんでるから!!」 誰?!え?先輩のグループの元メンバー? いやいやいや変わり過ぎでしょ!! ーーーーーーーーーー 亀更新中、頑張ります。

婚約も結婚も計画的に。

cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。 忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。 原因はスピカという一人の女学生。 少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。 「あ、もういい。無理だわ」 ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。 ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。 ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。 「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。 もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。 そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。 ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。 しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~) ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

誕生日当日、親友に裏切られて婚約破棄された勢いでヤケ酒をしましたら

Rohdea
恋愛
───酔っ払って人を踏みつけたら……いつしか恋になりました!? 政略結婚で王子を婚約者に持つ侯爵令嬢のガーネット。 十八歳の誕生日、開かれていたパーティーで親友に裏切られて冤罪を着せられてしまう。 さらにその場で王子から婚約破棄をされた挙句、その親友に王子の婚約者の座も奪われることに。 (───よくも、やってくれたわね?) 親友と婚約者に復讐を誓いながらも、嵌められた苛立ちが止まらず、 パーティーで浴びるようにヤケ酒をし続けたガーネット。 そんな中、熱を冷まそうと出た庭先で、 (邪魔よっ!) 目の前に転がっていた“邪魔な何か”を思いっきり踏みつけた。 しかし、その“邪魔な何か”は、物ではなく────…… ★リクエストの多かった、~踏まれて始まる恋~ 『結婚式当日、婚約者と姉に裏切られて惨めに捨てられた花嫁ですが』 こちらの話のヒーローの父と母の馴れ初め話です。

処理中です...