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第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子

157:最後の2人

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 ローズちゃん砦の中に入るとルンルンッとスキップをしながら探索していると、迎えと後ろから大勢の兵士たちがやってきて挟み撃ちにされてしまう。


「おうおう!! 中々の人数じゃのぉ。全身全霊をかけて妾を楽しませろ!!」

「ガキが何を言っているんだ!! こんなガキが、1人で来るなんて馬鹿みたいだな!!」


 砦の中の兵士たちはローズちゃんの見た目が、普通の女の子だからと侮っている。しかし戦闘狂のようなところがあるローズちゃんとしては、侮られると全力で戦えないからと兵士たちに全力でやれという。


「このガキを殺してから、直ぐに残りの3人のところにいくぞ!!」

「はい!!」

「そうなれば良いけどのぉ。妾としては、全力でやってくれれば良いだけじゃ………それじゃあ少しは、時間を持たせてもらおうかのぉ!!」


 ローズちゃんは、武人のような笑みを浮かべてから真っ正面にいる兵士たちに向かって走っていく。それに合わせて兵士たちも剣で斬りかかるが、それをスルスルッとかわしながら兵士たちの背後に回る。


「なんだと!? この大人数の中をすり抜けて、背後を取るだと!!」

「ここから本番じゃ!!」


 ローズちゃんは自分の血で剣を作ると、兵士たちをズバズバッと切り裂いて行った。


「どうなってるんだ!?」

「だから言ったじゃろ」


 ローズちゃんの実力を侮っていた兵士たちは、目の前で起きている光景に怯える。それもそのはず、普通の女の子が仲間たちを圧倒的に倒していく。そんなのを見れば怯えて体が強張ってしまうのである。
 そこをローズちゃんが、警告をしたから仕方ないよねと片っ端から兵士たちを斬り捨てていく。あまりにも手がつけられず、兵士たちは剣を捨てて敗走してしてしまう。それを見つけても俺の影響なのか、ローズちゃんは逃げる敵を仕留めはしない。


「こんなものでは満足できんのじゃが。もっと強い敵はおらんのかのぉ」

「悲しいわぁ……こんなにノースカリクッパ王国兵の遺体があるなんて、とても悲しいわぁ」

「なんじゃ、お主は………とてもじゃないが、ノースカリクッパ王国の人間とは違うのぉ」


 乃ローズちゃんが一通り倒したところで、グスングスンッと女性の鳴き声が聞こえてくる。ローズちゃんは声が聞こえる方を見てみると、そこには泣いている鬼の仮面を付けた人間が現れたのである。
 そして床に転がっているノースカリクッパ王国兵を見て、心が痛むと泣いている。しかし体から放っているオーラからして普通の人間ではなく、容易に兵士たちと別の括りの人間なんだとローズちゃんは分かった。


「私は無駄な殺生は嫌いなのですぅ。こんなに兵士さんの死体があるなんて、この人たちにも家族がいたというのにぃ………とても悲しいですぅ」

「おかしな奴じゃのぉ。さっさと自分の名前と身分を明かさぬか!! お主は何者じゃ!!」

「私ですかぁ? 私はギルド・ボガードの幹部《ストレガ》様の四本刀が1人《ソロウ》ですぅ」

「おぉ!! お主がギルド・ボガードの人間だったか。それじゃあ捕まえて詳しい話を聞くとするかのぉ」


 やはりローズちゃんの前に現れた人間は、四本刀とかいう奴の1人だった。ローズちゃんはギルド・ボガードの人間だと分かって、思ったよりも早く見つけられたので嬉しくなって声のトーンが上がる。
 しかし楽しそうなローズちゃんに対して、ソロウに関してはメソメソしていて強そうには見えない。ないているならとローズちゃんは早速攻撃を仕掛ける。


「残念ですぅ……貴方も殺さなきゃいけないなんてぇ」

「なっ!? 危なかったところじゃった………お主、やはりやりおるのぉ」


 ローズちゃんが殴りかかろうとしたところで、ローズちゃんとソロウの間の空間に謎の亀裂が生まれた。瞬時に危ないと察知したので、ローズちゃんは後ろに飛んで距離を取るのである。


「この亀裂は、お主のスキルなのだろう? どんなスキルをしておるのだ?」

「私のスキルわぁ」

――空間亀裂スペース・クラック――

「ほぉほぉ。面白いスキルを使うのぉ………それなりに楽しめそうで良かった」


 ソロウのオリジナルスキルは、自分の任意の空間に亀裂を生まれさせる能力だった。



* * *



 俺が1番心配しているイローナちゃんは、エティーニャの指輪をはめて効率よく兵士を倒す。さすがはイローナちゃんと言ったところで、俺たちにも攻撃力は全くもって劣らない。俺の心配は杞憂だったかもしれないな。


「どうしたって、こんなに不幸ってのは続いちゃうもんなのかねぇ。まぁ僕ほど、この世の中というものを楽しんでいる人はいないと思うが………お嬢ちゃんは、どう思っているのかな?」

「アンタは何者………その謎の仮面に、不思議なオーラとノースカリクッパ王国の人間には見えない」

「その通りだ。この僕はギルド・ボガードの幹部《ストレガ》様の四本刀は1人《ファン》だ!! お嬢ちゃんと楽しく戦えると良いなぁ」


 四本刀の最後の1人《ファン》が現れた。俺たちが狙っていたギルド・ボガードの人間が、こんなにも居るとは俺たちからしたら驚くべき事だ。
 そういったところでファンは、細身の長身に楽しそうにしている鬼の仮面を被っている。そして何よりも特徴的なのは、他の四本刀よりも戦うのが楽しそうだ。


「他のところにも、お嬢ちゃんの敵がいるのだろう? お嬢ちゃんも強そうだけど………他のところにも行っている人たちも強そうで皆んな良いなぁ」

「他の人たちは、私よりも強いよ。だから、アンタは1番弱い人間と当たったんだよ?」

「それも良かろう!! 僕としては、お嬢ちゃんを楽しんでから、他のところに行こうと思ってるからねぇ」


 ファンの戦いを楽しむ姿勢に、イローナちゃんは顔をムスッとさせて不快に思っている。そこで意地悪というのには少しアレだが、イローナちゃんは自分は4人の中で1番弱いと言い切ったのである。
 すると気にする素振りもしないで、ファンはイローナちゃんを倒して俺たちの誰かのところに行って、新しく楽しい戦いをすると言い切ってきた。


「私が、そんな事をさせると思うの? 他の人のところに、私が行かせるわけがない………絶対に、アンタを食い止めてみせる」

「楽しい事は好きだけど、ダラダラと面倒なのは嫌いだから………面倒な子なら倒しちゃお!!」


 イローナちゃんは俺たちのところに向かわせてたまるかと、イローナちゃんなりに気合を入れる。そしてファンに関しては、面倒な事なら嫌いだからとイローナちゃんを倒して、別のところにいくと宣言した。
 その宣言と同時にファンは、イローナちゃんに向かって飛び出したのである。思ったよりもファンは、スピードが速くイローナちゃんは少し驚く。


「おぉ!! 今のを避けるとは、お嬢ちゃんも弱いわけじゃなさそうだね。これはこれで楽しめそうだ………」

「楽しめるのかは分からないけど、それなりに足止めはさせてもらう………アンタを先には通さない」

「セリフが逆になっちゃったねぇ!!」


 本当にイローナちゃんが嫌いなタイプなのだろうと、ここに俺がいるのならばイローナちゃんに変わって、ファンと戦うんだろうなと思った。
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