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第2章・モフモフで可愛いケモノっ子

056:ムカつく野郎

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 ルクマリネ王国の左大臣は、王宮内を全力で走っており、その行き先は王の間だった。
 あまりにも全力で走った為に、息を切らしており王の前に出ても少しの間は喋られずにいる。


「そんなに慌てて、どうしたんだ? ここは品格を求められる王宮だぞ?」

「そ それが!! 遂にバラドンカンパニーによる戦闘で、市民に死者が出てしまいました!!」

「なんだと!? もうさすがに隠しきれんか………」


 エルマーとカエデちゃんたちとの戦闘で、遂に市民に死者を出してしまったと国王に報告される。
 それを聞いた国王は立ち上がり、もうバラドンカンパニーは隠しきれないだろうと国王は感じた。


「これ以上は隠しきれません!! このまま隠していれば、市民から不満が出てきてもおかしくありません!!」

「それもそうか。ならば、奴らとの関係も終わりだ………直ぐにクロスロード連盟軍を呼ぶのだ」

「はいっ!! 了解いたしました!!」


 国王は大いなる決断する。
 このままでは市民からの不満が出ないわけが無いと、クロスロード連盟軍に通報するように命令した。


「奴らは、良くやってくれたが………まだまだ獣人を排除できていないか」


 国王は早く、この国から樹人を追い出して人間だけの国を作りたいと野望を持っているのである。



* * *



 俺は単体でバラドンカンパニーの本社に乗り込む。
 チンピラは余裕でボコボコに倒して、社長室の扉の前に立つと扉を蹴り壊して中に入る。


「ノックをしないなんて、行儀のなってねぇガキだな」

「犯罪者が行儀なんて語ってんじゃねぇよ」

「これは1本取られたなぁ……それで獣人の仇でも取りに負けに来たってのか?」


 俺が社長室に入ると、エルマーは俺に背中を向けながら葉巻を吸っていた。
 1度俺に勝っている為に、エルマーは相当な自信があるみたいでキャスター付きの椅子で、ゆっくりと俺の方に振り向く。


「ゔっ!? いきなり人を殴り飛ばすとは、手癖の悪ぃガキだ」

「これで少しは悪い頭も良くなったんじゃねぇのか?」


 俺はエルマーが振り向いたタイミングで殴り、窓の外にエルマーを吹き飛ばしたのである。
 建物から人間が吹き飛んできた事で、近くにいた市民の人たちはきゃーっと悲鳴を上げながら避難していく。
 いきなり殴られ怒っているのかと思われたが、エルマーは比較的冷静に立ち上がって体の砂埃を払う。


「お前の頭の方が悪いだろ? 夢を語れる人間ってのは、金を持って才能がある人間だけだ………それじゃあ夢じゃ無い、ただの戯言なんだよ!!」

「関係ねぇよ!!」


 エルマーは立ち上がると足を爆発させて、速いスピードで俺との距離を詰めて攻撃してくる。
 そんなエルマーの攻撃を俺は顔スレスレで避けると、エルマーの腹を殴って、またも吹き飛ばすのである。
 その吹き飛ばしたところが武器屋で、俺は剣に持ち替えてエルマーに向かって構える。


「とことん舐められたもんだな!!」

―――大地の爆破アース・ボム―――

「地面を爆弾に変えたのか!? だけど、こっちも驚かせてやるよ!!」

・オリジナルスキル『爆発人間ボマー


 エルマーは地面を爆弾に変えて、俺に向け爆弾を着火させたが俺はエルマーの腹を殴った時に能力をコピーしていた。
 その為に俺は向かってくる爆発に、真っ向から爆発をぶつけて威力を抹消させたのである。


「なにっ!? 俺のオリジナルスキルを使っただと!?」

「俺のオリジナルスキルは《模倣コピー》だからな!! お前の体を触って能力をコピーしたんだ!!」

「お前も金のなる木だったか……だが、コピーがオリジナルに勝てると思うなよ」

―――建物爆弾バティマン・ボム―――

「コピーだろうが、なんだろうがテメェをブッ飛ばす!!」

・オリジナルスキル『爆発人間ボマー
・水魔法Level1《ウォーターボール》

―――消火爆弾スプリンクラー・ボム―――


 俺がエルマーのオリジナルスキルをコピーすると、自分のスキルを使われて驚くのである。
 しかしさすがは戦闘経験が豊富なエルマーで、直ぐに平常心を取り戻して建物を爆弾に変える技を使う。
 それに対してウォーターボールと組み合わせた、消火を目的とした技で爆発の被害を最小限に抑えた。


「まだ終わらねぇぞ!!」

「ちっ。さすがに隙が生まれたか!!」


 俺の魔法を使用した少しの隙をついて、エルマーは距離を潰してきて俺を爆発で建物まで吹き飛ばす。
 俺は壁を突き抜けて、さらに奥の壁まで突き破り、最終的に二軒隣まで吹き飛んでいく。


「痛っ。こんなところまで吹き飛ばしやがって………まだ能力が体に馴染んで無いのか? 使用するのに少しの誤差が出るな」


 俺はボマーの能力をコピーしたばかりで、体が馴染んでおらず使用するのに少しのタイムラグが生まれる。
 その隙を突かれると面倒だなっと思いながら立ち上がって、砂埃を取ってからエルマーの前に戻る。


「いやぁ~。最近、肩こりが凄くて少し楽になったわ………どうありがとう」

「ちっ。へらず口を叩きやがって………今度は、そんな事を言えない様にしてやるよ」


 俺の強がりにエルマーは苛立つ。
 そしてスキルを使って、俺に向かって加速してくるが真っ向から来たので、俺は直ぐに対処してやるとボマーを使おうとする。
 しかしエルマーはギリギリのところで地面に向かって爆発させて、俺の後ろに着地し背中に向かって爆発を当てる。


「うっ!? さすがは長く使ってるだけあんな………」

「当たり前だ。俺は、この力で金を稼いできたんだ………テメェの様な金の価値も分からねぇ奴に負けるかよ」

「テメェこそ金の価値ってのを理解できてんのか? 俺には、そうは見えないけどな!!」

―――大地の爆破アース・ボム―――


 俺はやり返しとして地面を爆弾にする技で、エルマーに仕掛けるが自分の能力を知り尽くしている為に防がれる。


「俺のスキルを、お前が使いこなせるわけねぇだろ!! 舐めんじゃねぇぞ、このガキが!!」

「じゃあ、この技は避けられるかな!!」

―――砂利投げディテイルド・ボム―――

「なんだと!? 砂利を爆弾にした!?」


 砂煙が無くなったところで、エルマーの目に入ったのは俺が砂利を爆弾に変えて自分に投げる姿だった。
 砂利自体を爆弾にしているので威力自体は大きく無いが、エルマーは完全にガードの体勢になる。


「小賢しいマネをしやがっ………バイソンのスキルもコピーしてたのか!!」

「お前をブッ飛ばすには良い能力だろ!!」

・オリジナルスキル『爆発人間ボマー
・オリジナルスキル『牛変化バイソン

―――最高級焼き肉トマホーク・スマッシュ―――


 エルマーがガードに徹しているうちに、俺はバイソン部長のスキルとエルマーのスキルを合わせた技で殴り飛ばす。
 俺は力一杯殴った事で、エルマーは建物を4軒も薙ぎ倒しながら吹き飛んでいくのである。
 俺の体はバイソンから普通の姿に戻って、砂煙の中でエルマーが、どうなっているのかと想像する。


「骨の髄までムカつく野郎だな………バイソンも後で、処罰を考えければいけないか」


 瓦礫を退かしながらエルマーは立ち上がって、バイソン部長も能力をコピーされている事に処罰を考える。
 エルマーからすれば、こんなにもムカつく出来事にあった事ないとフラストレーションが溜まっていく。
 このままでは絶対に終わらせてたまるかと、エルマーは俺の前に戻ってくる。
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