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第2章・モフモフで可愛いケモノっ子

051:金の持つ力

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 カエデちゃんたちは、バラドンカンパニーのブタマン課長と戦闘を行っている。
 カエデちゃんが前衛をやっているが、ブタマンに捕まって強めのハグをされてしまっている。


「止めろわん!! 気持ち悪いわん!!」

「離さないもん!! 僕の宝物にするんだもん!!」

「カエデを離さにゃ!!」

・氷魔法Level1《アイスボール》

「痛っ!?」


 レベル1のアイスボールだが魔力を、たくさん詰め込んだ為に硬く大きなボールを出してブタマンに撃つ。
 するとブタマンの腹に命中して、ハグする腕が緩んだところでカエデちゃんが顎にヘッドバットをしてから脱出した。


「シュナ、ありがとうわん!!」

「気にしないで、あれが気持ち悪いのは同じにゃ………」

「2人とも真ん中を空けて………」


 カエデちゃんが抜け出したところで、助けてくれたシュナちゃんに感謝をしてからグータッチを行なう。
 すると後衛にいた、イローナちゃんが2人に真ん中を空ける様にいうので、2人はスッとサイドに寄って真ん中を空ける。


「ちょっと痺れるけど、死にはしないから………」

・雷魔法Level2《狩る電流ハント・ショック

「がわわわわわ!!!!!」

「雷魔法を使えるのかにゃ………」

「凄いわん!!」


 イローナちゃんは真顔のクールなまま雷魔法を使って、ブタマンを感電させると一瞬にして気絶させてしまった。


「先を急ごう………」

「そうだねわん!!」

「それにしても、ミナトさんたちの方から爆発音が聞こえてこないかにゃ?」


 イローナちゃんは先を急いだ方が良いと、2人を急かすと2人も確かにと言って先に進もうとする。
 しかし俺たちが担当している方から爆発音が、何度も聞こえる事からシュナちゃんたちは心配している。


「まぁミナトさんたちなら、心配はいらないと思うわん」

「それもそうにゃ。それじゃあ、イローナちゃんが言うように先に進もうかにゃ………」


 俺たちの心配はしてくれたが信頼してくれてもいるので、自分たちが行くまでも無いと判断して先に進む事にした。
 すると騒ぎを聞きつけたバラドンカンパニーのチンピラたちがやってくるを見て、3人は隠れ後をつける事にする。


「アイツらの後ろをついていけば、必ず本社まで辿り着けると思うわん………」

「カエデにしては良いアイデアにゃ」

「私をなんだと思ってるんだわん!?」


 カエデちゃんが出したアイデアに対して、シュナちゃんはニヤニヤ顔でイジるとカエデちゃんはムキーッとなる。
 そんなやりとりをしながらもカエデちゃんたちは、チンピラの後をつけていくとある会社の前に到着した。


「表向きは、仕入れの会社みたいわん………その裏で、戦争仕掛け人とかいう仕事をしてたんだわん?」

「そうみたいにゃ」

「これから、どうするの? このままミナトさんたちを待つ?」

「どうするかわん……」


 バラドンカンパニーは表向きは仕入れ会社らしいが、裏で色々な悪事に手を出している悪徳会社だ。
 本社を見つけられた3人だったが、このまま3人で潜入するのか俺を待つのかで意見が分かれている。



* * *



 俺はエッタさんに協力してもらって、バラドンカンパニーの社長であり戦争仕掛け人の異名を持つエルマーと戦闘している。
 しかしエルマーのオリジナルスキルと、戦闘経験の差によって勝つどころか触る事すらもできない。


「これで分かっただろ? お前らじゃあ、俺に触る事すらも無理なんだよ!!」

「舐めんなっ!!」

・炎魔法Level1:ファイヤーボール
・風魔法Level2:ストーム

――――炎龍の吐息ドラゴニック・ブレス――――

「こんな目眩しが通用すると……思うなっ!!」


 俺はエルマーの格が違うんだと言わんばかりの高笑いに腹が立って、フラストレーションが高まっていくのである。
 そこで俺は炎龍の吐息ドラゴニック・ブレスで、エルマーの視界を全て炎で覆い尽くす。
 しかしエルマーは最も簡単に爆風で炎を退かすと、エルマーの視界から俺は消えていた。


「どこへ消えたっ!! そんな小細工が通用すると思うな!!」


 俺の姿が消えた事でエルマーは吠えて、周りをキョロキョロと俺の姿を探すが、俺は息を殺して時を待っている。


「背中に目は付いていないだろ!!」

「エルマーの邪魔はさませんよぉ」


 俺は時が来たと思って物陰から飛び出すと、殴りかかろうとした瞬間に何処からか声が聞こえて煙玉のようなモノを喰らう。
 そのまま俺が地面に墜落するとエッタさんが駆け寄ってきて、心配してくれるが俺の視界が歪み始める。


「テメェ。俺の喧嘩を邪魔しやがったな?」

「邪魔だなんて言わんで下さいよ。わっちは、エルマーさんの安全が気になったんですから」

「そ その服は……どうして!?」


 俺の歪んでいる視界とエッタさんのハッキリとした視界に、ある服を着た人間がエルマーを助けたのだと分かった。
 その服とはクロスロード連盟軍の軍服だったのである。
 エッタさんは、どうして正義の軍隊が世界的大犯罪者を助け、ペコペコしているのかが理解できずにいる。


「どうだい? 俺の眠り玉は効果覿面だろぉう?」

「クロスロード連盟軍が、どうして俺に協力してるんだって顔をしてるな? だから、さっきから言っているが、この世は金が全てだ………正義も金で買えるんだよ!!」


 なんとクロスロード連盟軍の将校を、裏金を使って国での悪事を揉み消してもらっていたのである。
 それを聞いたエッタさんは、正義のクロスロード連盟軍が何をしているのかと驚きを隠せずにいる。
 しかしエッタさんは自分だけでは、2人に勝つ事はできないと判断して離脱を最優先に考える。


「さてとお嬢ちゃんも含めて、この世から消えてもらおうじゃ無いか」

「そんな事はさせない!!」

・光魔法Level6《後光の輝き》

「眩しっ!? ちっ。小賢しい野郎たちだ………まぁ袋のネズミだろうからな」


 エルマーが向かってくるのに対して、エッタさんは光魔法の全力を使った光らせると、さすがのエルマーでも目をやられて動きが止まったところで、エッタさんは俺を連れ出す。
 エルマーは逃げられた事に苛立ちを感じるが、この首都には多くの社員を配備している為に捕まえられる自信があった。
 そんな風に思っているとは知らずに、エッタさんは俺を小脇に抱えて戦線から離脱するのである。


「眠り玉って言ってたから、毒では無いと思うけど………ミナト様は大丈夫かな」


 エッタさんは戦場になった場所から、かなり離れて宿屋に急遽入って部屋を取ると俺を休ませてくれた。


「ミナト様は、ここで少し休んで居て下さい………私は、下の酒場で情報を収集してきます」


 エッタさんは俺を寝かしている間に、宿屋の1階にある酒場でバラドンカンパニーの話を集めに行ってくれた。
 下の酒場が思っていたよりも繁盛しており、これなら少しでも情報を集められるのでは無いかと、エッタさんは感じた。


「バラドンカンパニーっていう会社に、ついて聞きたいんですけど良いですか?」

「バラドンカンパニーだって!? エルフの嬢ちゃん、そんな大きな声で奴らの話はしない方が良いぜ………」

「知っているんですね!!」

「あぁ知ってはいるが、そんなの ここで話したら………俺の首が飛ばされちまうよ!!」


 話を知っている男の人がいるみたいだが、何やら大っぴらには話す事はできないと焦っている様子だった。
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