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第2章・モフモフで可愛いケモノっ子

038:この島に眠るもの

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 エッタさんの攻撃をもろともしなかったミア&クロエは、次は自分たちの番だと言わんばかりに攻め込んでくる。


「その可愛い首を、船首に飾ってやるよ!!」


 ミアは攻撃をして来たエッタさんに向けて飛び出すと、カットラスを振り上げて斬りかかろうとする。


「そう簡単にはいかないわん!!」

「ちっ!! この犬っころが!!」

「コイツは、私が押さえておくわん!!」


 エッタさんに刃が当たるかと思った瞬間に、カエデちゃんが横からヒーローの様に登場し、ガンガンに前で戦うミアは自分が相手になると前衛としての仕事を全うする。


「アンタの相手は、私がするわん!!」

「こぉのぉ……お前みたいな犬っころに、何ができるんだ!!」

「何ができるかだってわん? そんなの決まってるわん………お前をボコボコにしてやるわん!!」

「言ってくれるじゃ無いか………プラン変更だ。犬っころだけはミンチの挽肉にしてやる」


 カットラスを蹴られてカエデちゃんによって弾かれたミアは、着地するとカエデちゃんの事を犬っころと言って、威圧感を出して威嚇しようとするが、カエデちゃんは引くどころか前に出る。
 カエデちゃんが前に出た事で、女海賊たちとの距離が空いた為にシュナちゃんとエッタさんは距離を取る。
 そこからカエデちゃんに対する援護を行おうとするが、そんな事をクロエが許すわけがなく攻撃してくる。


「お前らは、あたしが殺してやるわ!!」

「そう簡単に攻撃は喰らわないわ!!」

・オリジナルスキル『神風ゴッド・ストーム

「近寄らないでにゃ………」

・氷魔法Level4《氷の時代アイス・エイジ

「ちっ!? また遠距離魔法か………」


 クロエが距離を潰そうとした瞬間に、エッタさんとシュナちゃんは阿吽の呼吸で互いに魔法を放って近寄らせない。
 風に氷と簡単に近寄れないクロエは着地すると、数歩後ろに飛んで距離を取り、エッタさんたちの様子を伺う。
 その瞬間を狙ってシュナちゃんとエッタさんは、互いに前後をスイッチしてシュナちゃんが前衛でエッタさんが後衛になる。


「猫娘が前衛かい………そんなのに前衛を任せるなんて、本当に お前らは雑魚だなぁ!!」


 シュナちゃんを前衛にした事をクロエは、大笑いをして雑魚に任せたなと馬鹿にしてくる。


「減らず口だにゃ………」

・氷魔法Level3《氷の矢アイス・アロー

「今更、そんな矢で何になるってんだ!!」

・波魔法Level4《空気の流れエア・ウェーブ

「それはフェイク………こっちが本命よ!!」


 シュナちゃんはクロエに向かって氷の矢を撃つが、今になって氷の矢くらいで倒せるわけがなく、クロエは水魔法から派生させた波魔法を使って空気中を揺らして矢を壊した。
 氷の矢で視界を塞ぐのと視線を誘導すると、そのうちにエッタさんが風でブーストを付けるようにして、クロエに向かって飛んできていた。


「これで吹き飛ばすわ!!」

・風魔法Level3《ウィンド・ボール》

「そんなガキの浅知恵が通用するか!!」

・波魔法Level3《蜃気楼の悪魔デビル・ミラージュ


 クロエの腹に空気を圧縮させたボールをぶつけて、吹き飛ばそうとしたがクロエは、己に波魔法を使って実体を歪ませるとエッタさんの攻撃を避ける事ができた。


「このまま吹き飛んじゃいな!!」

・波魔法Level4《衝撃の波オォンドゥ・ショック

「ゔぁわぁああああ!!!!!」


 エッタさんの攻撃が空振ると背中がガラ空きの状態になる。
 その隙をクロエが見逃すわけがなく、エッタさんの空気を圧縮したボールと同じ要領で、衝撃の波を集めたボールをぶつける。
 それによってエッタさんは衝撃波に飛ばされ、十数メートル飛んだのと背中に大きな傷をつけられる。



* * *



 場所はアキダクト島の中央に変わる。
 そこでは俺とジャックが真っ向から殴り合っており、俺は疲弊するがジャックはダメージでパワーが上がっていく。


「まるで倍々ゲームだ……面倒なスキルを持つんじゃねぇよ」

「知らねぇよ。まぁこれが世界の縮図だ……持ってる者だけが、この先の世界を生きていくんだ!! テメェは、その先に進む力も何も持ってねぇ!!」


 俺のパンチを真っ向から受け止めては殴り返してくる。
 ジャックの強さは確かに本物である事は間違いないが、このまま殴られるのも俺の性分じゃない。


「痛いのが気持ち良いってんなら、俺が最高に気持ち良いのを味合わせてやるよ………」

・砂魔法Level3《サンドハンド》
・闇魔法Level2《マッドハンド》

――――巨人の拳ジャイアント・フィスト――――


 闇で作った手とアランからコピーした砂魔法の手を合わせる。
 すると大きな頑丈な手となり、この手で痛み大好きなジャックに向かわせるのである。


「そうそう!! そういうのを待ってたんだよ!!」

・オリジナルスキル『痛み備蓄ストック
・火魔法Level2《ファイヤーハンド》


 ジャックは高威力の攻撃に興奮しながら、自分も真っ向からやってやるとオリジナルスキルに火を付与して立ち向かう。
 しかし俺の攻撃の方が火力高く、ジャックの拳を弾き飛ばしてから全身に巨大なパンチを喰らった。


「力勝ちしたが………どうせ、これくらいじゃあ倒れちゃいないんだろ?」

「ケッケッケッ……最高の攻撃だぁ。これだよ、これ………こんなにも気持ち良い攻撃ができるなんてな!!」

「つくづく気持ちの悪い男だ………そうだ、テメェに聞いておきたい事があったんだった」


 俺は倒しきれていないと分かっているので、構えてジャックの復帰を待っていると、ジャックは痛みから涙を目から流しながら大笑いをして戻ってきた。
 本当に気持ちが悪いと俺も笑ってしまうくらいだ。
 そんな俺はジャックが元気なうちに聞いておかなければいけない事を思い出して、ジャックに真っ正面から質問する。


「テメェは、どうしてアキダクト島とアカシア島に来た。テメェは言っていたよな、ここには儀式をやりに来たと……」

「あぁん? 俺たちが、ここにきて理由だと? あぁ……確かに儀式をやりに来たと言ったなぁ」

「何の儀式だ。どうせ、禁断の儀式なんだろうが………それに、そんな黒魔術はテメェらの様な低ランク者には不可能だ」


 俺はジャックに何の儀式をする為に、この島とアカシア島にやって来たのかを聞くと、ジャックは自分が儀式をやるなんて言ったかと上の方を見てから思い出す。
 しかしジャックを見ればわかるが、そう高度な魔法を使って儀式をやられ様な人間には見えない。


「確かに、高度な魔法は使えない………だが、俺の手にある聖剣があれば………あるを復活させ、俺は世界の頂点に立つ事ができる!!」

「ある兵器だと?」

「おっと、これ以上は余計な事になる………さてと、気持ち良いのを貰った礼しなきゃな!!」


 ジャックはボロボロの聖剣を儀式に使って、この島とアカシア島に眠る、ある兵器を復活させて世界を取ると話した。
 そんなものが小陸と中陸の中間地点にある島に眠っているのかと疑問が生まれたが、その先の話をジャックは話さない。
 ジャックは立ち上がると尻の土埃を払って、俺が打った高威力の礼をしてやると拳の骨をポキポキと鳴らす。


「こちとら日々の痛みを蓄えてるんだ。そこら辺のパンチと同じにするんじゃねぇぞ」

「臨むところじゃねぇか!!」


 ジャックは拳を強く握ると俺に向かって飛びかかってくる。
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