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第2章 王都編 ①出発の時

王都への旅立ち

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 翌日。王都出発日。

 時刻朝6時。
  
 リールは家族達と朝食を食べていた。

「今日から王都へ向かうから。少し家に帰って来ないから。」

「えー!いいな!ルカも行きたい!」と妹のルカが言う。

「仕事で行くからダメだ。またいずれ行こう。」

「うん。お土産買って来てね!」

「ああ、何でもいいだろ?父さん、母さんもお土産買ってくるから。」

「気を付けて行ってこいよ!」

「怪我しないようにね。」

「ああ、気を付けていってくる。」

 食事も終わり冒険者ギルドへ向かう。


 時刻午前7時50分

 冒険者ギルド前。

「私が今回の依頼人フレデント商会のサンクです。王都までの護衛よろしくお願いします。」

「お願いします。」ザンバードとホワイトペガサスの7人は頭をさげる。

「まずブルーホースが2匹が荷馬車を引きます。中の荷物はマジックバックがあるので5人ほどしか乗れません。魔物や盗賊がでてきたらよろしくお願いします。」

 ブルーホース。青い毛並みの馬でDランクの魔物だ。移動の為に飼育している。他にレッドホースやイエローホースなどが飼育されている。

 サンクは荷馬車をブルーホースに引かせ門へ向かう。女性4人は荷馬車へ乗り込み、リールが後ろ、右にケイン、左にジュウドが外で護衛する。

「いきますよ。」とサンクはブルーホースに指示を出しブルーホースは走り出す。リール達3人も走り出す。

「オールアップ」とリールは唱えスタミナとスピードをあげる。

 ケインとジュウドがリールを見る。

「やるか?」

「「お願いします。」」

 リールは2人に触りオールアップをかける。スタミナとスピードが上がる。

 門を出て森の間の街道をブルーホースは走る。

「大丈夫ですか?」とサンクが聞く。

「ああ、大丈夫だが試したい事ができた。一回止まってくれ。」とリールは伝える。

「サンクさん、このまま行くと王都までいつ着くんだ?」

「そうですね。休憩と夜営をして明後日の夜ですね。」

 普通なら3日かかる、道のりだ。

「これができたらもっと早く着くんだ。いいか?」

「はい。何をするのですか?」

「ウインドウォール」とリールは荷馬車の下に風の壁を作り浮かす。

「オールアップ」とブルーホース2匹に触れてスタミナとスピードを増えるイメージで唱える。

『ヒヒーン』と元気よく嘶く。

「よし、行きましょう」とリールはサンクへ促す。
  
「行くぞ!」サンクはブルーホースへ指示を出す。ブルーホースが走り出すと、風の壁の上の荷馬車が揺れもなく動きだす。左右後ろにリール達3人は風の壁に立っている。

 ブルーホースは荷馬車の重さを感じ無いで全力で走る。
  
「サンクさん、これでいけますか?」

「はい!速さもあがって荷馬車も揺れませんね。魔法ですよね?疲れませんか?」

「はい。大丈夫です。お昼休憩までこれで行きましょう。」

「わかりました。12時頃休憩しましょう。」

 ユリカは荷馬車を降りて後ろのリールの元によって行く。

「こんな事出来るんだ。楽しいね」ユリカは笑顔でリールによりかかる。

「そうだな。思ったら出来るもんだ。魔力は使うが余裕はあるからな。」

「そうだ!これ買って来たんだ。皆に渡してくれ。」リールはマジックバックの中からフルーツジュースを8つ取り出す。

 リールとユリカは全員に渡す。

「私まですみません」サンクは頭をさげる。

「いえ、せっかくの旅です。楽しんで行きましょう。」

「こんな移動手段、思い付いても普通やりませんよ。馬達なんて普段より張り切ってる様にみえます。」

「そうですね。5倍くらい速くなるように魔法をかけました。疲れも残らない様になってるので安心してください。」

「そうですか。これなら今日の夕方には着きそうですね」

「はい。気を付けて行きましょう。」

 リールとユリカは後ろに戻る。


「リール君、よくやるわね。」ユキも後ろにきた。

「ああ、野営って嫌だろ?これなら速く着くからいいよな?」

「ええ、リール君がいいなら良いよ。」


 リール達の荷馬車が異常な速さで走っていく。すれ違う商人達は目を見開き。追い越した商人は何か言ってたがわからない。

 普通立ち寄る村も止まらずリール達は、進んで行く。


 時刻12時20分

 リール達は森から離れた場所で止まる。

「そろそろ休憩しましょう。ここなら盗賊が来ませんので。」サンクかブルーホース達を止める。

「確かに、盗賊は来ないが魔物は強いのがでるがな。」ケインは言う。

「御二人のパーティーなら、大丈夫ですよね」

「ああ、任せろ。強い魔物がでてきたら稼げるから余計良い」リールは言う。


「それでは昼食にしましょう。」


 サンクはブルーホースに餌と水を与えにいく。ブルーホースは、疲れもなく座っている。

「ほら」

 リールはオーガ肉のサンドイッチと野菜とオーガ肉のスープを広げる。ざっと20人前以上ある。

「リールさん。多過ぎませんか?」

「ケイン。美味しい物は食べたいだろ?最悪何日も美味しい物が食べれないのは悲しくなるだろ?だからこれだ」


「そうですか。」

 ケインは

「そうだ。サンクさんもどうぞ」

「ありがとうございます。オーガの肉を普通に食べる贅沢が出来るなんて。来た時と比べると全然ちがいます。」

 サンクは美味しそうに食べ始めた。ホワイトペガサスの4人とユキも食べ始める。

「ちょっと離れるぞ」リールは森近くへ歩きだす。

「何するの?」ユリカが右腕に掴まり聞いてくる。

「強い魔物がいるらしいから誘き寄せる。稼げるならありがたいからな。」

 リールはマジックバックから、ウルフを1匹取り出す。魔物寄せの為に入れていたのだ。

 ウルフの肉を炙り放置する。肉が焼ける匂いが広がる。リールは風魔法で匂いを森へ送っていく。ウルフの周りに毒の壁を作り、荷馬車へ戻っていく。

「これで昼食終わったら魔物がいればいいが。」

「そうだね。王都での旅費になるかな?」

「ああ、良い所に泊まり、旨いものを食べよう。」

 リールとユリカも食べ始める。


 ガサガサガサガサガサガサ

「あ、熊だ」

「悪魔?」

「いや、そんなベタな事しないよ。熊がきた。」

「そうだね。3メートルくらいあるね。」

 ビックベアー。Cランクの魔物。群れで行動する。爪と牙で襲ってくる。

「1匹?いやまだくるな。」

 ガサガサガサガサバタンガサガサバタン

 毒の壁を越えようとした、ビックベアーが絶命していく。


「何ですか!あれは!」サンクは驚き騒ぎだす。

「熊ですよ。」

「ビックベアーじゃないですか!Cランクの魔物があんなに簡単に倒されて。」

「買い取りできますか?」

「はい。毛皮や爪、牙は買い取りが高いですが、肉は安いですよ。肉はキロ銀貨1枚ですね。」

「わかりました。全て買ってくれますか?」

「数によりますね。王都の店に行ったら話ましょう。」

「わかりました。」

 話をしている間も熊達は倒れて動かなくなった。


「ジュリアできるか?」ケインは聞く。

「いいえ。無理ね。致死性の毒で離れて維持するなんて。魔力が持たないわ。発動に5000魔力くらい必要よ。それを維持したら倍は必要ね。」

「軽く1万魔力か。俺の魔力じゃ足りないな。」

「私だってギリギリよ!一瞬できたら跳び跳ねて喜ぶわ。」

「リールさんってどこまで行くきだ?」

「知らないわよ。それよりはこのサンドイッチ美味しいわね。冒険で美味しい物なかなか食べれないけどこんな美味しいの食べてるのかしら?」

「美味しい物を食べるのを楽しみにしてるみたいだからな。この肉はオーガの肉らしいし、全てリールさんが料理してるみたいだぞ。」

「オーガ肉!魔力が強化されると言われている!普通では食べれないわね。」

「そんな肉を皆に振る舞うなんて、器がデカイもんだ。身体もでかいが。」

「ふふふ、そうね。全てが大きいわね。王都に行くまで大金持ちになりそうね。」

「そうだな。出来るだけ一緒に入れるよう努力しよう。」

「目標変わったの?」

「リールさんを越える!」

「一生かかるわね。」ジュリアは笑っている。




「お!大きな赤い熊だ」

「凄いねー」

 リールとユリカは昼食を食べながらのんびり見ている。


「いやいや、ブラッドベアーよねあれBランクの。」とユキは眺めながら呆れていた。


 時刻午後1時30分

 リールはマジックバックに熊達をしまい、出発の準備をする。

「頑張ってくれよ。オールアップ」ブルーホース達に身体強化の魔法をかける。

 荷馬車を風魔法で持ち上げ出発する。

 盗賊も魔物も遭遇しないで王都近くについた。


 ブルーホースに荷馬車を引いてもらい、王都の門へ向かう。




 時刻午後5時30分

 王都ロンダールへ到着した。




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