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男子中学生は、説教される

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 俺は今、両親の前に正座で座り、説教されている。
 黒澤黒澤遊季くろさわゆうき15歳。金髪ロン毛で180センチの身長のある、男子中学生だ。
「遊季、お前ももうすぐ高校生だ。いつまでも不良みたいな見た目をしているんだ?」
 目の前の父親、黒澤学くろさわまなぶが睨み付けながら話す。目付きの鋭い父親だが、職業は外科医で、『不殺の外科医』と呼ばれ雑誌に特集される程有名だ。

「いやいや、学校に真面目に行ってるだろ?成績だって上から数えた方が早い程には、自信があるぞ?」
 俺は頭が良い。教科書は、丸暗記でき、数式などの応用もバッチリだ。
 何が問題なんだ?

「そうだな。遊季は頭が良い。そこは認める。だが!その髪型だけは納得できん!」

「髪型?この金髪か!これはロックバンド『ジュエルグラス』のシュートを意識しているけど、似合っていないのか」
 ジュエルグラスは、イギリスのロックバンドで世界的には、人気ではないが、俺が大好きなロックバンドだ。

「それは、分かる!格好良いからな。だが日本人には、似合わない!それは、人種によって似合う髪色があるだろ!」

 父もジュエルグラスの歌が好きで、バンドメンバーも知っている。俺が中2の夏休みに金髪に染めた時も、良いじゃん!と言ってくれたが、今まで金髪でいるとは思わなかったのだ。

「格好良いって言ったじゃないか!」

「それは、一時の好奇心だろうと思ったが、受験間際までこの髪型だとは思わないだろ!それとなく言ってきたが、さすがに将来の為に元の黒髪に戻せ!」

「確かに受験くらいは真面目にするが、高校行ってから金髪にするからな!」

「もちろんかまわない。見た目で遊季が馬鹿になるわけ無いのは、俺たちは、知っている。担任からも、成績良いから強く言えないで、放置されているだろ?受験シーズンだけ黒髪に戻せ。」

「分かった。話は終わりか?」

「いや。高校は、どこを受験するんだ?」

白薔薇しろばら高校だけど。推薦して貰うように、担任に言った。」
 東京白薔薇高校。東京一の進学校で、有名企業の子供達が通うことで有名だ。

「だから担任から連絡が来たのか。推薦したいが、見た目が問題だからな。」

 俺は成績優秀で、無遅刻無欠席の優等生と呼ばれてもおかしくない、学校生活を送ってきた。金髪ロン毛だけ問題だったみたいだ。

「分かった。黒髪に戻すよ。母さんも何か言う事ある?」
 俺の母親、黒澤香里奈くろさわかりなを見る。書道の先生をしていて、家でも着物を着ていて凛とした見た目が評判の女性だ。
 今では大人しい母親だが、昔はヤンチャしていたらしい。人生どう変わるかわからないものだな。

「ユー君の見た目は、カッコイイけど、金髪は無いかな。黒髪の時の方が100倍カッコイイよ。だからやめろ。」
 香里奈は、目を細め言い放つ。

「はい。」

「ユー君モテるのに、彼女もつくれないで、悲しい中坊生活を送っているのよ?黒髪にすれば彼女の1人や2人、5人や10人出来て、ハーレム状態も出来るのにその髪のせいで.....」

 10分後。

「とにかくその髪型は、やめろ。ハゲるぞ。」

「はい。分かりました。二度と金髪にしません。ハゲたくありません。」
 母さんは、よっぽど溜まってたのかな。ハゲるのは、嫌だからな。

「あと彼女は、一人にしなさいよ。浮気したら殺される覚悟をしなさい。わかったね。もちろん学さんもよ?」
 香里奈が笑顔で、学を見る。父さんは、頷いている。俺も頷く。

「よろしい。それでは、床屋に行って来なさい。」

「はい。行ってきます。」

 俺は財布を持って床屋へ、とぼとぼ歩いて行く。



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