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第1章
26-R 待ち合わせ
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(き、緊張する……)
待ち合わせ場所に向かう電車は着々と玲奈を目的地に近づけていた。
放課後二人で待ち合わせて一緒に帰るのは平気なのに、どうして休日のデートだとこんなにドキドキしてしまうのだろう。
楽しみな気持ちと、今すぐ回れ右して帰りたい気持ちがないまぜになり、玲奈は軽くめまいを覚える。
(変、って思われないかな……)
今日の服装は迷いに迷って、結局パンツスタイルにしたのだった。
本物のアパレル店員である茜(と一応、祐輝)のお墨付きなので間違いはないはずなのだけれど、今更になってまた迷いがぶり返す。
(やっぱり女の子らしくスカートの方がよかったかな? デートと言えばワンピースとも聞くし……せめてどっちかにしていれば……)
もちろん今更どうしようもないことは重々承知しているのだけれど。
そうこうしているうちに、目当ての駅についてしまった。
待ち合わせ場所は、改札を出た正面にある時計台の前。念のため一本早い電車に乗ったので、十分近く前には着けそうだ。
玲奈はホームに降り立ち、人の流れに乗って階段を上った。
(……! やっぱり)
早めに着いたはずなのに、時計台から少し離れたところにはすでに拓海の姿がある。
玲奈は改札を抜け、まっすぐ拓海に駆け寄った。
「──玲奈」
玲奈が口を開く前にこちらに気づき、にっこりと笑う。
拓海は無地のTシャツにカーディガンと、シンプルにまとめていた。身長があるので様になっているし嫌味がない。
「けっこう待った?」
ファッションをほめようと思っていたはずなのに、ついそんな言葉が口をついて出てしまう。
「ううん。俺もさっき来たとこ」
本当かどうかはわからないが、拓海は定番の返事をした。それから、少しだけ首を傾げて玲奈を見る。
「大人っぽいね。私服」
そう言って拓海は微笑んだ。途端にまた心配と不安が襲ってくる。
「変……じゃない?」
恐る恐る尋ねてみると、拓海は笑って首を振った。
「いつも制服のスカート姿しか見てないから新鮮で。よく似合ってるよ」
拓海の言葉にほっとする。思わず「よかったー」と心の声が漏れてしまった。
すると、まるでそれで何かのつっかえが取れたように自然に言葉が出てきた。
「松岡くんもかっこいいよ」
玲奈にそんなことを言われるとは思っていなかったのだろう、拓海は一瞬驚いた顔をした。けれど、すぐに笑顔になる。
「ありがとう。じゃあ、行こうか」
そんな拓海の言葉に誘われ、玲奈は人混みの中を拓海と並んで歩きだした。
待ち合わせ場所に向かう電車は着々と玲奈を目的地に近づけていた。
放課後二人で待ち合わせて一緒に帰るのは平気なのに、どうして休日のデートだとこんなにドキドキしてしまうのだろう。
楽しみな気持ちと、今すぐ回れ右して帰りたい気持ちがないまぜになり、玲奈は軽くめまいを覚える。
(変、って思われないかな……)
今日の服装は迷いに迷って、結局パンツスタイルにしたのだった。
本物のアパレル店員である茜(と一応、祐輝)のお墨付きなので間違いはないはずなのだけれど、今更になってまた迷いがぶり返す。
(やっぱり女の子らしくスカートの方がよかったかな? デートと言えばワンピースとも聞くし……せめてどっちかにしていれば……)
もちろん今更どうしようもないことは重々承知しているのだけれど。
そうこうしているうちに、目当ての駅についてしまった。
待ち合わせ場所は、改札を出た正面にある時計台の前。念のため一本早い電車に乗ったので、十分近く前には着けそうだ。
玲奈はホームに降り立ち、人の流れに乗って階段を上った。
(……! やっぱり)
早めに着いたはずなのに、時計台から少し離れたところにはすでに拓海の姿がある。
玲奈は改札を抜け、まっすぐ拓海に駆け寄った。
「──玲奈」
玲奈が口を開く前にこちらに気づき、にっこりと笑う。
拓海は無地のTシャツにカーディガンと、シンプルにまとめていた。身長があるので様になっているし嫌味がない。
「けっこう待った?」
ファッションをほめようと思っていたはずなのに、ついそんな言葉が口をついて出てしまう。
「ううん。俺もさっき来たとこ」
本当かどうかはわからないが、拓海は定番の返事をした。それから、少しだけ首を傾げて玲奈を見る。
「大人っぽいね。私服」
そう言って拓海は微笑んだ。途端にまた心配と不安が襲ってくる。
「変……じゃない?」
恐る恐る尋ねてみると、拓海は笑って首を振った。
「いつも制服のスカート姿しか見てないから新鮮で。よく似合ってるよ」
拓海の言葉にほっとする。思わず「よかったー」と心の声が漏れてしまった。
すると、まるでそれで何かのつっかえが取れたように自然に言葉が出てきた。
「松岡くんもかっこいいよ」
玲奈にそんなことを言われるとは思っていなかったのだろう、拓海は一瞬驚いた顔をした。けれど、すぐに笑顔になる。
「ありがとう。じゃあ、行こうか」
そんな拓海の言葉に誘われ、玲奈は人混みの中を拓海と並んで歩きだした。
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