3 / 16
3話 置き去りにされた私は
しおりを挟む
森に1人取り残されてしまった私。思えば、馬車に乗った時点で少しおかしかった。いつもなら護衛がつくのに、今日は護衛の人が1人もついていなかった。それに、私には私専用の御者がいるのにあれは、確かお兄様の御者だった。なぜ私は馬車に乗れと言われた時点で考えなかったのだろうか?抵抗しなかったのだろうか?
……後悔しても今更遅い。これからどうするかを考えていかなければならない。
まだ自分がゲーム世界に転生したことも整理がついていないというのに、いきなり困難が待ち受けてくるとは、私も大変ねえ……。
少し整理がついた頃。私は、これからどうするかを考え始めていた。
私は転生した。王女に。それはもうわかった。じゅうぶんにわかった。
問題は、これからどうするかだ。
このまま王宮に戻っても、また追い出されてしまうのではないだろうか?……いや、まずお父様……王様にお会いできれば公正な判断をしてくださるはず。お母様でもいい。私とお兄様の生みの親のお母様。お優しいお母様なら、私の受けた仕打ちがどれほど酷いことか分かってくださるはず。
「よし、目標は家に帰ることね!」
そう思い、足を動かそうとしたその時。私の心が私に待った!をかけた。
「ちょっと待って。」
私がお兄様の恋人をいじめた、というのは完全に冤罪だけれど、少し気にしておきたいことがある。ゲームでは、悪役令嬢ローズは王子と主人公が結ばれた後、国外に追放されているという事実だ。どれだけお父様が正義のヒーローのような人でも、どれだけお母様が聖女のような人でも、もしこの世界がゲーム通りの世界なら、私は追放されてしまうかもしれない。
それなら、外国で平民として暮らすのもいいかもしれないな。もともと日本人だったんだから、平凡な生活の方が合っているし……。
私はうん、と大きく頷くと、馬車が帰っていった方向とは反対の方向に向かって歩き始めた。頭の中に、この世界の世界地図を思い浮かべる。
確か、この森の奥には精霊の国、精霊国と、獣人の国、獣国の二つがあったはずだ。獣人は人間とかなり仲が良いときいたことがあるし、10人の国には人間も住んでいるという。だったら、獣人の国にたどりつければ良いな。
私は、獣人の国で1人の平民として生きていくんだ。たとえ何かあっても、大丈夫。私には、あの力があるんだから……。
……後悔しても今更遅い。これからどうするかを考えていかなければならない。
まだ自分がゲーム世界に転生したことも整理がついていないというのに、いきなり困難が待ち受けてくるとは、私も大変ねえ……。
少し整理がついた頃。私は、これからどうするかを考え始めていた。
私は転生した。王女に。それはもうわかった。じゅうぶんにわかった。
問題は、これからどうするかだ。
このまま王宮に戻っても、また追い出されてしまうのではないだろうか?……いや、まずお父様……王様にお会いできれば公正な判断をしてくださるはず。お母様でもいい。私とお兄様の生みの親のお母様。お優しいお母様なら、私の受けた仕打ちがどれほど酷いことか分かってくださるはず。
「よし、目標は家に帰ることね!」
そう思い、足を動かそうとしたその時。私の心が私に待った!をかけた。
「ちょっと待って。」
私がお兄様の恋人をいじめた、というのは完全に冤罪だけれど、少し気にしておきたいことがある。ゲームでは、悪役令嬢ローズは王子と主人公が結ばれた後、国外に追放されているという事実だ。どれだけお父様が正義のヒーローのような人でも、どれだけお母様が聖女のような人でも、もしこの世界がゲーム通りの世界なら、私は追放されてしまうかもしれない。
それなら、外国で平民として暮らすのもいいかもしれないな。もともと日本人だったんだから、平凡な生活の方が合っているし……。
私はうん、と大きく頷くと、馬車が帰っていった方向とは反対の方向に向かって歩き始めた。頭の中に、この世界の世界地図を思い浮かべる。
確か、この森の奥には精霊の国、精霊国と、獣人の国、獣国の二つがあったはずだ。獣人は人間とかなり仲が良いときいたことがあるし、10人の国には人間も住んでいるという。だったら、獣人の国にたどりつければ良いな。
私は、獣人の国で1人の平民として生きていくんだ。たとえ何かあっても、大丈夫。私には、あの力があるんだから……。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
隣人は不愛想な警部!大人の階段登りたい男性恐怖症のわたしはロマンチックを所望しています
はなまる
恋愛
念願の保育士になった胡桃沢はつね。彼女は高校生の時乱暴されて以来男性恐怖症だ。それでもやっと念願の一人暮らし。これからは新しい出会いもあると期待していた。ところがある日チャイムが鳴りモニター越しに見えた男性はなんとも無愛想な人で‥‥そしてひょんなことから彼を夕食に招くことになって、なぜか彼には恐い気持ちは浮かばない、それよりもっと別の気持ちが沸き上がる。これってもしかして‥‥でも兄の友人が訪ねて来た。彼がそれを目撃してからは、メールの一つもなくなった。そんなある日はつねは暗い夜道で襲われる。ちょうど通りかかった彼が助けてくれて…はつねは彼に縋りつく。もうわたしからずっと離れないでと… 再投稿です。設定はすべてフィクションになっています。警察組織関係は特に架空設定です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
貴方を捨てるのにこれ以上の理由が必要ですか?
蓮実 アラタ
恋愛
「リズが俺の子を身ごもった」
ある日、夫であるレンヴォルトにそう告げられたリディス。
リズは彼女の一番の親友で、その親友と夫が関係を持っていたことも十分ショックだったが、レンヴォルトはさらに衝撃的な言葉を放つ。
「できれば子どもを産ませて、引き取りたい」
結婚して五年、二人の間に子どもは生まれておらず、伯爵家当主であるレンヴォルトにはいずれ後継者が必要だった。
愛していた相手から裏切り同然の仕打ちを受けたリディスはこの瞬間からレンヴォルトとの離縁を決意。
これからは自分の幸せのために生きると決意した。
そんなリディスの元に隣国からの使者が訪れる。
「迎えに来たよ、リディス」
交わされた幼い日の約束を果たしに来たという幼馴染のユルドは隣国で騎士になっていた。
裏切られ傷ついたリディスが幼馴染の騎士に溺愛されていくまでのお話。
※完結まで書いた短編集消化のための投稿。
小説家になろう様にも掲載しています。アルファポリス先行。
身に覚えがないのに断罪されるつもりはありません
おこめ
恋愛
シャーロット・ノックスは卒業記念パーティーで婚約者のエリオットに婚約破棄を言い渡される。
ゲームの世界に転生した悪役令嬢が婚約破棄後の断罪を回避するお話です。
さらっとハッピーエンド。
ぬるい設定なので生温かい目でお願いします。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる