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スズの指輪編
第51話 スズの指輪 最終話 ☆
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琉生斗とアレクセイが消えると、カリーナ達は呆然とした顔で、お互いを見た。
チロバ厶も、信じられない、という顔だ。
「あ、アレクセイ殿下は、聖女様を、寵愛なさっているみたいですね……」
「当たり前ですわー。寵愛で、溺愛で、狂愛なんですわよ」
ルッタマイヤがうっとりしている。
「あ、ただの変態ですよ~」
「お騒がせしてすみません。失礼しました。僕らはこの辺でーー」
劇団キャットラビットの劇団員達は、皆呆然と兵馬達を見送ったが、チロバ厶は突然手を叩いた。
「狂気的な愛の話、誰か書けないか?」
「あ、おもしろいかもねー」
皆が賛同した。
彼らは劇団員、どんなことでも芸の肥やしになるのだろうー。
「ーーねえねえ、ジュナ。殿下と何してたの?」
町子と別れた後、兵馬達はアジャハン国に戻った。
二人は寄りそうようにソファに腰を下ろす。
「うんー。王太子が婚約者にネックレスを贈りたいから、デザインやってたのー。アレクセイもルートに作るってついでにねー」
「ルート、ネックレスは聖女の証があるでしょ」
じゃらじゃらは好きじゃないよ。
「ふふっ、ルートはネックレスじゃないよー。また出来上がりをお楽しみにー」
ラルジュナは兵馬にキスをした。
「ジュナも忙しいひとだね」
「ジュエリーデザイナーは、趣味でやってるだけだからねー」
きらきらと光り、ラルジュナの姿が変わる。
奇抜な金の眼鏡をした、神経質そうな青年の姿だ。
「ーー前と違うけど。ステラプルケリマ先生」
「キャラが定まらないんだよねー」
「だいたい、ステラプルケリマなんだから、バッカイア帝国の人はわかってるんだよね?」
「ボクの名前なんか、知ってる国民のほうが少ないよー」
ふふふっ、とラルジュナが笑う。
「ラルジュナ・ステラプルケリマ・ユリアムド・アルジュナル・キャロライン・バッカイア」
「すごいねヒョウマー!一度で覚えるなんて、さすがはボクのお嫁さんだー☆」
頬を擦り寄せられるが、眼鏡があたる。ラルジュナは変化の魔法を解いた。
「両親の名前と、神様の名前が入るんだね」
「うん。普通はパパからなんだけどねー。パパのこだわりでママが先になったのー」
ーー後悔、してないのかな……。
少し俯いた兵馬の顎を向け、ラルジュナはキスをした。眼鏡を外し、深いキスに誘う。
「ーーねえ。いいー?」
キスの合間にラルジュナは尋ねる。
「ーーまだ……」
「嫌ならやめるからー、ねえー?」
甘えるように言うと、兵馬が赤くなってラルジュナの目を見た。
「……ほんと?」
「うんー。約束するよー」
ぼんやりと自分を見る目に、ラルジュナはにっこりと微笑んだ。
フットインザドアが成功するかしないかーー、いや、みっともなくてもいいから、真剣に頼み倒してみようーー。
広がるのは夜の暗い海。
ほのかに光るのはクラゲかホタルイカかーー。
景色を堪能する間もなく、二人は互いにキスを贈り合う。
「ルート……、私を置いて行っては、駄目だろうー」
わかっているな?
琉生斗がキスの深さにくらくらしながら頷いた。
「アレクー……」
琉生斗を四つん這いにして、アレクセイの指が秘部をいじりだす。動きのやらしさに、琉生斗が頭を下げる。
後孔がひくひくと鳴きだす。すぐに男根を挿れることができる状態だ。
「やん、もういいからぁー。アレクのちょうだいー」
「欲しい?」
少し笑って、アレクセイは問う。
「ーーうん」
琉生斗が潤んだ瞳でアレクセイを見つめた。
「ずっと、つながってたいーー」
琉生斗の甘えるような声に、アレクセイの理性はどこかへ旅立っていったー。
ほんの少し残った理性は、どうせまた誰かの入れ知恵なんだろうと、わかってはいたのだがーー。
挿れたモノで琉生斗の感じる部分を攻める。
「あんっ!あっ、あっ、あっ!」
嬌声にアレクセイのモノが質量を増していく。荒い息をはきながら、妻の締め付けをじっくりと味わう。
「ルートー、愛しているー」
耳やうなじを舌でねぶり、手で愛らしい乳首をいじれば、琉生斗の喘ぎは悲鳴のようになる。
「あぁっ~!あぁぁ~~!ーーぅふっ!!」
「ーーかわいいーー」
体位を変えて自分の上に跨らせる。そのあまりにも扇情的な姿に、アレクセイの息があがっていく。
「美しいな……」
「何、言ってんだよ……。なあ、あそこ誰か泳いでないかー?」
琉生斗は外が気になった。景色はいいのだが、海からは丸見えだ。アレクセイの希望で灯りはつけられたままなので、暗い所からなら室内はよく見えるだろう。
「私が君の姿を他にさらすわけがないーー」
手を押さえられ、琉生斗は腰を固定される。
「あっ……」
琉生斗の目に、この先を期待する色が浮かぶ。
「ルート……。さあ、どこまで耐えられるかな?」
「ーーそれはおまえもだろ」
挑発するようなきつい眼差し。ゾクゾクする感覚が身体を走る。
ふふっ、とアレクセイは楽しそうに笑った。
「町子ー」
翌日、琉生斗は神殿帰りに魔導師室に寄った。
「はあい~。ルート君、昨日はお疲れさま~。どうだった~?」
「文字どおり、壊れるほど愛されたぜ」
琉生斗は引きつりながら言う。
「やだも~、変態~」
しっしっしっ、と町子に手で払われる。
「で、ティンさんどうだった?」
尋ねた琉生斗に、町子がにやけてみせた。
「なんだよ、その顔ー」
「保留だって~。わたしが、二十歳になっても気持ちがそのままなら考えます、だって~」
「ほーん」
町子は誕生日が十一月だ。それぐらい町子なら大丈夫な気がする。
琉生斗は手を出した。
町子とハイタッチをする。
その右手には、スズの指輪がつけられていた。
チロバ厶も、信じられない、という顔だ。
「あ、アレクセイ殿下は、聖女様を、寵愛なさっているみたいですね……」
「当たり前ですわー。寵愛で、溺愛で、狂愛なんですわよ」
ルッタマイヤがうっとりしている。
「あ、ただの変態ですよ~」
「お騒がせしてすみません。失礼しました。僕らはこの辺でーー」
劇団キャットラビットの劇団員達は、皆呆然と兵馬達を見送ったが、チロバ厶は突然手を叩いた。
「狂気的な愛の話、誰か書けないか?」
「あ、おもしろいかもねー」
皆が賛同した。
彼らは劇団員、どんなことでも芸の肥やしになるのだろうー。
「ーーねえねえ、ジュナ。殿下と何してたの?」
町子と別れた後、兵馬達はアジャハン国に戻った。
二人は寄りそうようにソファに腰を下ろす。
「うんー。王太子が婚約者にネックレスを贈りたいから、デザインやってたのー。アレクセイもルートに作るってついでにねー」
「ルート、ネックレスは聖女の証があるでしょ」
じゃらじゃらは好きじゃないよ。
「ふふっ、ルートはネックレスじゃないよー。また出来上がりをお楽しみにー」
ラルジュナは兵馬にキスをした。
「ジュナも忙しいひとだね」
「ジュエリーデザイナーは、趣味でやってるだけだからねー」
きらきらと光り、ラルジュナの姿が変わる。
奇抜な金の眼鏡をした、神経質そうな青年の姿だ。
「ーー前と違うけど。ステラプルケリマ先生」
「キャラが定まらないんだよねー」
「だいたい、ステラプルケリマなんだから、バッカイア帝国の人はわかってるんだよね?」
「ボクの名前なんか、知ってる国民のほうが少ないよー」
ふふふっ、とラルジュナが笑う。
「ラルジュナ・ステラプルケリマ・ユリアムド・アルジュナル・キャロライン・バッカイア」
「すごいねヒョウマー!一度で覚えるなんて、さすがはボクのお嫁さんだー☆」
頬を擦り寄せられるが、眼鏡があたる。ラルジュナは変化の魔法を解いた。
「両親の名前と、神様の名前が入るんだね」
「うん。普通はパパからなんだけどねー。パパのこだわりでママが先になったのー」
ーー後悔、してないのかな……。
少し俯いた兵馬の顎を向け、ラルジュナはキスをした。眼鏡を外し、深いキスに誘う。
「ーーねえ。いいー?」
キスの合間にラルジュナは尋ねる。
「ーーまだ……」
「嫌ならやめるからー、ねえー?」
甘えるように言うと、兵馬が赤くなってラルジュナの目を見た。
「……ほんと?」
「うんー。約束するよー」
ぼんやりと自分を見る目に、ラルジュナはにっこりと微笑んだ。
フットインザドアが成功するかしないかーー、いや、みっともなくてもいいから、真剣に頼み倒してみようーー。
広がるのは夜の暗い海。
ほのかに光るのはクラゲかホタルイカかーー。
景色を堪能する間もなく、二人は互いにキスを贈り合う。
「ルート……、私を置いて行っては、駄目だろうー」
わかっているな?
琉生斗がキスの深さにくらくらしながら頷いた。
「アレクー……」
琉生斗を四つん這いにして、アレクセイの指が秘部をいじりだす。動きのやらしさに、琉生斗が頭を下げる。
後孔がひくひくと鳴きだす。すぐに男根を挿れることができる状態だ。
「やん、もういいからぁー。アレクのちょうだいー」
「欲しい?」
少し笑って、アレクセイは問う。
「ーーうん」
琉生斗が潤んだ瞳でアレクセイを見つめた。
「ずっと、つながってたいーー」
琉生斗の甘えるような声に、アレクセイの理性はどこかへ旅立っていったー。
ほんの少し残った理性は、どうせまた誰かの入れ知恵なんだろうと、わかってはいたのだがーー。
挿れたモノで琉生斗の感じる部分を攻める。
「あんっ!あっ、あっ、あっ!」
嬌声にアレクセイのモノが質量を増していく。荒い息をはきながら、妻の締め付けをじっくりと味わう。
「ルートー、愛しているー」
耳やうなじを舌でねぶり、手で愛らしい乳首をいじれば、琉生斗の喘ぎは悲鳴のようになる。
「あぁっ~!あぁぁ~~!ーーぅふっ!!」
「ーーかわいいーー」
体位を変えて自分の上に跨らせる。そのあまりにも扇情的な姿に、アレクセイの息があがっていく。
「美しいな……」
「何、言ってんだよ……。なあ、あそこ誰か泳いでないかー?」
琉生斗は外が気になった。景色はいいのだが、海からは丸見えだ。アレクセイの希望で灯りはつけられたままなので、暗い所からなら室内はよく見えるだろう。
「私が君の姿を他にさらすわけがないーー」
手を押さえられ、琉生斗は腰を固定される。
「あっ……」
琉生斗の目に、この先を期待する色が浮かぶ。
「ルート……。さあ、どこまで耐えられるかな?」
「ーーそれはおまえもだろ」
挑発するようなきつい眼差し。ゾクゾクする感覚が身体を走る。
ふふっ、とアレクセイは楽しそうに笑った。
「町子ー」
翌日、琉生斗は神殿帰りに魔導師室に寄った。
「はあい~。ルート君、昨日はお疲れさま~。どうだった~?」
「文字どおり、壊れるほど愛されたぜ」
琉生斗は引きつりながら言う。
「やだも~、変態~」
しっしっしっ、と町子に手で払われる。
「で、ティンさんどうだった?」
尋ねた琉生斗に、町子がにやけてみせた。
「なんだよ、その顔ー」
「保留だって~。わたしが、二十歳になっても気持ちがそのままなら考えます、だって~」
「ほーん」
町子は誕生日が十一月だ。それぐらい町子なら大丈夫な気がする。
琉生斗は手を出した。
町子とハイタッチをする。
その右手には、スズの指輪がつけられていた。
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