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第29話 干し肉、知らない態度

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 翌日、ポーションの点滴を交換しているグレースさんが私の栄養状態を検査するために腕から少し血を抜いて行った……らしい。と言うのも、その作業を私が昼寝している間にして行ったので私は全然気付かなかったのだ。グレースさんは出来る人だと思った。

 最近はもうベッドにいるしかないのでよくPCでドラマやアニメを観たりしているが、今のグレースさんの行いは時代劇に出てくる忍者のように感じられた。起きたときにベッドの上のテーブルに『血を抜きました グレース』とそれだけ書かれたメモが置いてあったのだ。うん、彼女は出来る人に間違いない。

 そして3限を終えたタライさんが、お昼休みに私のベッドの部屋に自分の弁当を持ってきてくれたのだった。

「タライさんそのお弁当どうしたんですか?」

 私が聞くと、これ?とバンダナで包まれたお弁当箱を少し持ち上げて答えた。

「自分で作ったに決まってるやん、誰が俺に作ってくれるねん!」

 笑いながら答えるタライさんに私は驚いた。彼は料理が出来るんだ!

「えー!?作れるんですね!」

「俺を誰やと思っとんの?服屋の前はシェフやぞ。見習いやったけど。」

 そうだったんだ!納得した。

 カラカラと昼食を運ぶワゴンの音が聞こえてくると、タライさんはベッドの横の椅子に座って弁当はベッド横のサイドテーブルの上で広げ始めた。

「そろそろお昼やろ?一緒にご飯食べよーや。」

 隣のベッドに料理が運ばれた音がした後に、私の部屋のカーテンがしゃっと開いた。

「あっ!?」

 カーテンを開けてきたいつも見ないレッドローブの男性がタライさんを見て声を上げた。弁当を膝に置いたタライさんはその彼を見てえっと反応する。私は何が起きているのかと、その男性スタッフさんとタライさんを交互に見ていた。

「ちょっと高崎さんですよね?ああ、いいところにいた!このポーション作成した方ですよね?」

「あっ!そうですねぇ……何かしました、僕?」

 タライさんが心配そうに聞く。

「いえ、そうではなくて。ちょっとお願いしたいことがあるので彼女にこの食事運んだら一回ちょっと僕に付いて来てくれます?すぐ済むので、多分。」

「わっかりましたー……」

 そう言って、何やろ?と私と目を合わせると、私に食事が運ばれるのを待ってからその男性に続いてタライさんが出て行った。

 その時チラッとカーテンが開いたので気が付いたが、私の前の部屋はガランとしていてもうそこにいた生徒は医務室を出たようだった。そうするともうこの部屋には私と、隣にいる足を怪我していると思われる男性だけだ。

 とにかく、食べよっと。
 いただきますと小声で呟き、スプーンでおかゆを食べ始めた。あぁ白米もまた美味しく感じる。たまごスープのようなものを頂く。これも美味しい。これで退院したらまた干し肉生活に戻るのか思うと、それは少し考えたくなかった。

 またおかゆを口に入れようとした時にシャッとカーテンを開けてタライさんが険しい表情で入ってきた。後ろを向いてカーテンを閉め、口をぎゅっと閉じやれやれと呆れた目で私を見た。

 何が起きたの?どうしたの?あまり見ないタライさんのイラついた雰囲気にちょっとビビる。タライさんは椅子に座り、ため息とともにベッドのテーブルに右手をバンと置いた。

「おい、何してんねん。」

 超睨んできた。全く心当たりがないので私は構わずおかゆを食べることにした。

「何が?」

 おかゆを口に含んだところでタライさんにパシンと頭を叩かれた。

「何がちゃうやろ!しかもなんで平然と食べてんねん!俺が言いたいのは栄養状態の検査の結果や!もう信じられへんわ!」

 大きくなった声に私がシーッとするとそれはごめん、と小声で言った。

「あんなぁEやでE。ABCDEFランク中のEや。言ってる意味わかる?ご丁寧に説明すると餓死寸前と言う意味やで?ホンマこんなんでよう生きれるわ!」

「ええ!?そんなに悪いんですか?」

 予想以上に私の栄養状態は悪かったらしくて本気で驚いてしまった。

「そうや!ん、見てみ。」

 そう言ってタライさんは検査結果の紙を見せてきたが、書いてあることが私にはあまり理解出来なかった。Eと赤い文字で大きく書いてあるのは分かる。

「この表は、体の栄養状態の詳細が書いてあるんや。とにかく何でさっきのスタッフに呼び出されたかって、この栄養状態のほとんどがこの万能ポーションを持ってもここまでしか回復してないから、もっと栄養価をあげてくれって言われてしもたんや!もうこっちもとびっきりのをお見舞いしたはずなんやけどね!」

 タライさんはそう言い切るとその紙を丸めて私の肩をパシンと叩いてから、ジト目で私に質問をした。

「あのさ、どう言う食生活してたか正直に言ってくれる?」

 貧乏ゆすりをしながら私を睨んでいる。まあそうだよね……彼は頑張ってポーションをお見舞いしてくれたのに私の栄養状態は危険なままなんだから、ポーションに原因があると思われちゃうよね……それは大変ですよね。

 じゃあ、正直に言ったほうがいいですよね。ちょっと言いづらいけど、もしかしたらこの食生活が原因じゃないかもしれないよね。うーん!
 私は頭を搔くとポツポツと話し始めた。

「大体、肉中心ですかね……。」

「ああ!?じゃあ朝はいつも何食べてんの?」

 タライさんが質問方法を変えてきた。やばい。
 私は彼の方を見ずに答えることにした。

「大体干し肉ですかね……。」

「じゃあ昼は?食堂で定食か?」

「うーん……大体干し肉ですかね……。」

「夜は?」

「まあ……うん。干し肉?」

「は……?本気で言うてる?」

 恐る恐るタライさんの顔を見てみると、すごく引きつっていて怖かった。

「……そ、それが本当だとしたら、ちなみにいつからその干し肉パーティ始めたん?」

 どうしよう言うべきか迷ったが、ポーション作りもあるし正直に言った。そうだ、よく考えたら何も干し肉だけ口に入れていた訳じゃないよ!それでフォローを入れつつ答えることにした。

「ここに来てからです。あっ!でも麦茶も飲んでいます!」

「ここに来てから干し肉しか食うてへんの!?アンタ!?」

 フォローしたのにスルーされて悲しくなった。タライさんが私の肩をギュムッと掴んで結構痛い。私は手のひらを何度も下げて、落ち着いてと態度で示す。

「いえっ!でも誘いがあれば食堂とかほら!食事会で色々食べましたから!あと聞いてました?麦茶を飲んでま・し・た!」

「俺の誘いなんてそんなん1週間に1度あるかないかやん!このアホンダラ!それに何をさっきから麦茶飲んでるアピールしとんねん!麦茶なんかどうでもええねん!ビタミンや鉄分、カルシウムがえらい不足してるのにミネラルばっか摂取してどないすんの!」

「でもミネラルも大事でしょアイタっ!」

 タライさんはまた頭を軽く叩いてきた。その目は怖い。つり目で瞳も黒い彼にそうやってマジな表情されると結構威厳があって怖い。

「スミマセンでした。」私は肩をすくめて謝った。

 一度深いため息をついたタライさんは優しい口調で聞いてきた。

「で、何で干し肉ばっか食べてたんや…」

 どうしよう、記憶のことは話せない。私は何とか嘘を考えようと思ったが、人生経験の不足している私にとって、嘘をつくということはとても難しいことだった。私が悩み始めたのを見ているタライさんはもう一度、鼻から大きな息を吐いて言った。

「まあ、それも言えへんのやな。しかしそれが続くようやと放ってはおけへんよ?今は怪我があってこの医務室におるけど、それが無くても栄養状態の時点でもうここにいてもおかしくないって、さっきの彼にも言われたんや。」

 そうだったのか……意外と体ってのは弱いところもあるんだと思った。そうなら何とか食事を考えなければならない。

「分かりました、心配かけてごめんなさい。それと迷惑もかけ「迷惑ちゃうよ、心配はするけどな……俺はヒーちゃんの親友やん?そうやろ?もう何でも言ってよ。」

 タライさんが優しく微笑んでくれた。優しい。それに私のことを親友だと思ってくれていたんだ。人生で初めて親友を持てた。それが嬉しくて、もう心配をかけさせたくなくてこれから頑張ろうと思った。

「ありがとうタライさん。私、どうにか料理を勉強しようと思います」

 すると彼は笑顔になって言ってくれた。

「まあ聞きたいことあったら俺に聞いてくれてもええからな!オレ流の料理やけど」

 ありがとうともう一度言おうとしたその時に、サイドテーブルに置いてある私の携帯が鳴った。

 メールがきたのか。チラッと震えた携帯を一瞬気にすると、タライさんが読んだら?と言って弁当を食べ始めたので私は従うことにした。

 ____________
 ヒイロ、ごめん。
 あれからずっと
 この前のこと
 考えてるし後悔してる
 シュリントン先生
 に言われて
 もうヒイロは駄目だって
 決めつけて俺は
 大きな間違いを犯した
 今もボロボロな状態なのに
 気遣えずにこんな
 メール送ってごめんな。
 許してくれるとは思わない
 でも、本当にごめん。
 リュウ
 ____________


 リュウからだった。正直まだ許せる境地までたどり着けていないけれど、彼の申し訳ないと思う気持ちはとても伝わってきたのでメールを返すことにした。

 ____________
 メールありがとう
 まあ、正直まだちょっと
 許せないけど大丈夫。
 もう少し時間ちょうだい
 でも怪我は大丈夫だよ!
 だからあまり自分を
 責めないでね
 おっけーおっけー!
 ヒイロ
 ____________


 するとわかった、とだけ短い文のメールが帰ってきたのだった。でも少しずつリュウに対して怒る気持ちが、和らいできてる気がする。

 携帯をサイドテーブルに置いたらすぐそこに座っているタライさんと目が合った。彼は唐揚げをかじりながら聞いてきた。

「何や、リュウ?」

「え?何でわかるんですか?」

「だってヒーちゃんメールするのって俺とリュウと家森先生ぐらいやん?家森先生はこのお昼休みは調合室におって忙しい筈やし」

 そうなんだよね……私は悲しいほどに交友関係が狭い。しかしその中でも、タライさんと仲良くなれて良かったと思った。きっと彼が何かあったときに側で支えてくれるから、記憶が無い状態でも何とかスムーズに学園生活を送れているのだ。

「タライさん、ここまでしてくれて本当にありがとうございます。タライさんがいてくれて希望が持ててます。」

「ええ!?そこまで言われたら照れるやん……もうそんなええよ、ええよ。困ったときはお互い様やん?何やヒイロも可愛らしいところあるんやね~」

「ええ!?タライさんに可愛いとか言われたらなんか寒気する~」

「あ!?何や人が折角気を遣って言ってやったのにその言い草は何なん!?」

「はぁ!?気を遣った!?じゃあ嘘じゃん」

「嘘ちゃうもん!もうヒイロなんか知らなーい!プーッ!」


 *********



 二人とも気付いていないのだろうか……ヒイロのカーテンの部屋の前に、僕がいることを。

 この昼休みは調合室で、一連の騒動で不足した薬草やポーションの発注を電光石火の勢いでこなして急いでここにやってきたのだが……先客がいた。

 高崎頼人……以前からヒイロと一緒にいた姿は何度か見かけたが、こんなにも彼女と親しいとは思わなかった。もしポーションの配合担当に任せただけでここまで仲良くなっているのなら、少し訳を聞きたい。

 僕の知らないヒイロの雰囲気、僕の知らない彼女の笑顔、態度、僕と一緒にいれば出来ないであろうああ言ったふざけ合い……いけないと思いながらも一人の女性にここまで執念を燃やし始めている自分をひしひしと感じた。

 高崎、僕が調合室にいる予定を知っていたからその隙にここへやってきたのか?先程の発言はそれを意味している筈だ。それについても、少し訳を聞きたい。

「ほな行くね!また連絡するわーって、明日ポーションの配合率を変えた配合書ここに持ってくるからその時また少し寄るよ。あんたずっとここにいて退屈そうやし。」

「退屈じゃないですし!」

「ああそう?大好きなアニメチャンネルでも見るん?でもまあここ寄ってあげるわー」

「別にアニメチャンネルばかり見てません!まあでもお願いしますわーふふっ!」

「おっ俺の真似か?まだまだやなーヒッヒッヒ!」

 ヒイロと高崎は楽しげに笑いあっている。
 なかなか終わらないやり取りにしびれを切らした僕は苛立ちを込めて勢いよくカーテンを開けた。

 シャッ!

「おおっ!?」

 目の前のカーテンが突然開き、高崎は目を見開いて僕のことを見ている。ベッドに座るヒイロも目を丸くして、それまでの笑顔を残したまま驚きの顔をぼくに向けた。

「あっ家森先生お疲れ様ですー。」

 高崎は目の前の男が自分のクラスの担任だと理解すると、よそよそしく通り抜けようとしてきたので僕は彼の前に立ちはだかる様に立った。

「お疲れ様です。高崎はお見舞いですか?」

 思ったよりも冷たい声になってしまったか。少し高崎は戸惑いながら答えた。

「ま、そうですねー。彼女色々退屈そうやったんでちょっと。」

 ヒイロはまた言ってると思ったのか高崎を少し睨んでいる。それすらも可愛い。

「そうでしたか。少し耳に挟んだので話しますがポーションの配合率、変更するなら僕にも配合書を頂けますか?」

「あっじゃあ2枚分用意してきますわ。じゃあ失礼しますー。」

 高崎はそそくさ出て行った。少し彼に冷たくしすぎたかもしれない。
 ベッドのヒイロの方を振り向くと、彼女はじっと一点を見つめて考え込んでいた。

「どうしましたヒイロ?」

「……うーん。どうして家森先生怒っているのかと思って。」

 ヒイロは怖いものを見るかの様に僕のことを見つめてきた。そうか……今の態度、高崎だけでなくヒイロも怖がらせてしまったか。そうなれば少し考えなければならない。

 僕は男である前に、教師だ。それを決して忘れてはならない。

「ヒイロごめんなさい。少し考えることがあって先程の様な言動を。あなた達は悪くありません……」

「そうだったんですね!まあ、私に怒ってるんじゃなくて良かったです!ふふっ」

 ヒイロはいつもの明るい表情に戻って僕の方を見てくれた。僕は嬉しい気持ちのままベッド横の椅子に座ったが、まだそこには別の人間の温かさが残っていた。
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