空の落とし子

四葉

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プロローグ

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数千年と昔人類が住まう世界〈ヒューマライト〉と魔人が住まう世界〈ゲヘナト〉は互いに血で血を洗う戦を起こし、魔人よりも力が劣る人類は次第にその数を減らしていった。
やがて、それを哀れに思ったかつての天界の〈神〉は不思議な力を宿した石〈ムーンライトコア〉と呼ばれるものを人々に授け、その力を宿した者達により戦は終わりを迎えた……かのように思えた。

だが、今再び争いの火蓋が切って落とされようとしていた……

―××××年△月◯日 
天界〈グランドフェザーレ〉は巨大な塔を抱く中央の都〈エデンの園〉を守るように大きな柱をそれぞれ一つずつ抱える5つの都から形成されていたが、今まさにそれら全ての都から怒号や争いの音が響渡っていた。
そして『柱守(はしらもり)』と呼ばれている彼―シモンのいる〈エデンの園〉も例外ではなかった。

―キイイッン!!
2つの刃が交差する音が鳴り響く。

「この力……さすがは〈柱守〉と言ったところか」

金髪の髪の男性が振るった大剣をいとも容易く防いだ青年が暗く澱んだ蒼い双眸を細め賞賛の言葉を口にした。
その際首から顔に掛かるようにある青い結晶が輝いた。

「簡単に防いでおいて褒められたって嬉しくないってーのっ!!」

叫びながらも再び剣を振るうがまたも水色の長い髪を持つ青年に防がれてしまう。
そのままギリギリと大剣と双剣による鍔迫り合いが起こる。

「ていうか、その首から顔にかけての結晶……お前〈コア持ち〉だろ?コア持ちは俺たち天使か人間の中でごく僅かしか生まれない…でも俺はお前みたいなやつここでは見たことがないしそうするとお前は〈人間〉って事になる」
シモンの空のように美しい水色の視線が剣越しに相手を貫く

「―だとしたらなんだというのだ」
一度相手と切り結び再び距離を置きながら
「なんで〈人間〉が〈魔人〉なんかと手を組んでる?」
核心をつく質問を投げかける。

しかし青年はその問いに答えるつもりはないのか
「私とばかりそんなに悠長に会話をしていていいのか?」
包帯に隠されている口元を緩め空を見上げた。

青年の視線を追うようにシモンが空を見ると大きな黒い羽を携えた魔人が巨大な塔を守るように張られた結界にひびを入れていた。

「なっ!?結界にひびが!!」

―いやここだけじゃねぇ……他の柱の結界にもいくつか亀裂が生じてるっ!!

シモンの額に焦りによる汗が滲む。
(〈天卵〉を奴らに奪われたら終わりだ!!)
この状況で彼に残された手段はただ一つであった。
覚悟を決めシモンは大剣を地面へと突きたてる。

「悪いみんな……けど必ず迎えにいくっ!!」

彼の足元に不思議な模様が浮かび上がったのと同時にその日天界は暖かな光に包まれた――……………
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