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…………


「いない……どこに居るんだろ……もーっ」

町に入って約1時間。
倒した魔物の数は10匹くらい。
私を見て逃げ出す魔物がいるのを見るに、この町にはかなり大量の魔物が侵入しているぽい。
多分、この町はもう駄目だ。

シルヴェちゃんの思惑通りに、滅んで行く。

……でも、まぁ、こんなイベントは記憶になかったからシルヴェちゃんが主人公達に会うのはまだまだ先の筈!

倒れている人達を敢えて見ないようにしながら、シルヴェちゃんを探す。

この町はそんなに広く無い。
ということは、シルヴェちゃんはもうここにはいない……?
そう考えると、全身がぞわっとして鳥肌が立った。

「まさか私を置いて……?」

まさかね。
そう思いながらも呟くと、身体がガクガクと震えだした。

(捨てられた……?私はまだ役に立てるのに……!)

「……え?」

私は自分の考えに首を傾げた。
流石に私も推しが消えたからってここまで過剰反応はしない。
そりゃ、近くにはいたいけどシルヴェちゃんが生きているならそれでいい。

……つまり、これは、私であって、私ではない、"メイ"の意思?

ややこしいな。

「……どんだけシルヴェちゃんに執着してるのよ……メイは」

ガクガクと震えたまま、呆れたように呟く。

(捨てないで、私にはシルヴェ様しかいない)
(シルヴェ様に捨てられたら、私は)

心が、煩い。

「いや、気持ちは分からなくもないよ。シルヴェちゃんは私の生きがいだしね。でもシルヴェちゃんの為に死んでもいいって点は同意するけどさ、私は2回目の人生だからであって、恐らく一度きりの人生を歩んでいるメイがどうしてそこまで……ぶは」

煩い心に対抗するかの如く、早口で一人ぶつぶつ喋っていた私は途中からまともに前を見ていなかったらしい。
思いっきり前にいた人にぶつかってしまい思わず額を抑えた。

「ん……子供……?!悪い、大丈夫か?」

どこか聞き覚えのある声とともに、ゴツくて大きい手が私に差し伸べられる。

「…………へ?は?」

その、声の主の顔を見て私は思考停止した。
別の意味で震えが止まらなくなる。

「ケガは……無さそうだな。ゴホン、この町の子かい?ここは危ないから早く避難を……って……聞いてる?」

私が震えている理由が警戒されているからだと考えたのか、男は口調を改め、覗き込んできた。

「……どうして、ここに……?」

「ん?俺のこと知っているのかな?この町を訪れる予定は無かったんだけど、近くを通り過ぎようとしたら焦げ臭いにおいがしてね。仲間を置いて走ってきたから今は一人なんだけど……」

あはは、と笑う男の顔を私は知っていた。

そう……彼はゲームのだ!!




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