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「推しの配下になってる時点で嬉しすぎて死ねるんだけどしかもモブとか言いながら普通にメイ可愛いし神様ありがとうございます……ゲホッ」
早口で言い切り、ちょっとむせた。
これではいかんと深呼吸する。
「でも……ゲーム通りならここにいるシルヴェちゃんもいつか死んじゃうってことだよね」
ついでにメイもシルヴェちゃんを庇い死ぬ。
メイが命をかけて守ったのに、その後すぐにシルヴェちゃんが死ぬストーリーを考えたシナリオライターを呪ってやりたい。
これではメイの無駄死にではないか。
モブの命をなんだと思ってるんだ。
「私的には推しを庇って死ねるなら本望なんだけど……無駄死には嫌だな……シルヴェちゃんには生きてて貰いたいし」
そう、私はいいのだ!
もうどうせ一度死んでるし。
だがしかし、シルヴェちゃんが死ぬ未来だけは許せない。
と、いうことで私はその後数時間、悩みに悩んで一つの結論を出した。
「見てなさい!推しとの距離を近づけつつ、なんとか更生させて死亡エンドを回避して見せるわ!」
ビシィッとドアを指差し、ポーズを決める。
そう、極めて簡単な問題であった。
更生させてしまえばいいのだ!
最強最悪の敵キャラと呼ばれたシルヴェちゃん。偽情報を流し大規模な戦争を起こしてみたり、一度国を救ってから自ら滅ぼしてみたり、国……いや、世界規模でかなりえげつない事をやっていたりする。しかも、楽しみながら。
そのせいで正義感の強い主人公の手によって殺されてしまうのだ。
悪役なシルヴェちゃんだからこそ推していたっていうのもなくは無い。
けど、更生すれば主人公に会っても敵対することなくむしろ仲間として共闘するシーンも見れるかもしれないと考えれば、悪くはない。
そうなれば多分……私、メイも死なずに済むし。
……因みに、推しとの距離を近づけつつ、というセリフは仲良くなった方が更生させやすいかだ。うん。私の願望だけじゃない。
「正義のシルヴェちゃんも見てみたいかも……ふふふ……」
そんな事を言っていると、扉が開き誰かが部屋に入ってきた。
少しドキドキしたが、一番に白銀の髪の毛が目に入り、緊張は歓喜に変わる。
「シルヴェちゃん……!」
先手必勝!そう思い抱きつこうとしたら避けられた。
勢い余り、壁に激突する。
「いでっ……」
そんな私をシルヴェちゃんはニコニコと眺めてこう言った。
「元気そうで、なによりですね。ところで、とうとう頭でもおかしくなりましたか?」
笑顔が怖い。
「ふぁ……えっと……これは不可抗力といいますか……も、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!」
ズサササー、とスライディング土下座をかます私。
そして気づいた。
メイはシルヴェの手下……部下みたいなものである。つまり、部下は上司に抱きつこうとしたりしない。寝ぼけて顔をペタペタ触るようなこともしない。タメ口で話しかけることも無いだろう。キャラ崩壊が著しいにもほどがある。
やらかしたぁぁぁぁぁ!
早口で言い切り、ちょっとむせた。
これではいかんと深呼吸する。
「でも……ゲーム通りならここにいるシルヴェちゃんもいつか死んじゃうってことだよね」
ついでにメイもシルヴェちゃんを庇い死ぬ。
メイが命をかけて守ったのに、その後すぐにシルヴェちゃんが死ぬストーリーを考えたシナリオライターを呪ってやりたい。
これではメイの無駄死にではないか。
モブの命をなんだと思ってるんだ。
「私的には推しを庇って死ねるなら本望なんだけど……無駄死には嫌だな……シルヴェちゃんには生きてて貰いたいし」
そう、私はいいのだ!
もうどうせ一度死んでるし。
だがしかし、シルヴェちゃんが死ぬ未来だけは許せない。
と、いうことで私はその後数時間、悩みに悩んで一つの結論を出した。
「見てなさい!推しとの距離を近づけつつ、なんとか更生させて死亡エンドを回避して見せるわ!」
ビシィッとドアを指差し、ポーズを決める。
そう、極めて簡単な問題であった。
更生させてしまえばいいのだ!
最強最悪の敵キャラと呼ばれたシルヴェちゃん。偽情報を流し大規模な戦争を起こしてみたり、一度国を救ってから自ら滅ぼしてみたり、国……いや、世界規模でかなりえげつない事をやっていたりする。しかも、楽しみながら。
そのせいで正義感の強い主人公の手によって殺されてしまうのだ。
悪役なシルヴェちゃんだからこそ推していたっていうのもなくは無い。
けど、更生すれば主人公に会っても敵対することなくむしろ仲間として共闘するシーンも見れるかもしれないと考えれば、悪くはない。
そうなれば多分……私、メイも死なずに済むし。
……因みに、推しとの距離を近づけつつ、というセリフは仲良くなった方が更生させやすいかだ。うん。私の願望だけじゃない。
「正義のシルヴェちゃんも見てみたいかも……ふふふ……」
そんな事を言っていると、扉が開き誰かが部屋に入ってきた。
少しドキドキしたが、一番に白銀の髪の毛が目に入り、緊張は歓喜に変わる。
「シルヴェちゃん……!」
先手必勝!そう思い抱きつこうとしたら避けられた。
勢い余り、壁に激突する。
「いでっ……」
そんな私をシルヴェちゃんはニコニコと眺めてこう言った。
「元気そうで、なによりですね。ところで、とうとう頭でもおかしくなりましたか?」
笑顔が怖い。
「ふぁ……えっと……これは不可抗力といいますか……も、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!」
ズサササー、とスライディング土下座をかます私。
そして気づいた。
メイはシルヴェの手下……部下みたいなものである。つまり、部下は上司に抱きつこうとしたりしない。寝ぼけて顔をペタペタ触るようなこともしない。タメ口で話しかけることも無いだろう。キャラ崩壊が著しいにもほどがある。
やらかしたぁぁぁぁぁ!
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