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第一章

優しい兄達の腕に抱かれ、弟は初めての発情期を迎える

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それは、嵐の夜の出来事だった。幼い兄弟は、ある計画を実行する。誰にも見つからないように、生まれたばかりの末弟を連れて村を離れる事にしたのだ。
「兄者っ。無理だよ、こんな夜にっ」
5歳になったばかりの玖蘭が泣きそうな声で叫ぶ。雨や風がすさまじく、互いの姿さえはっきりとは見えない。
「村を出るには今夜しかないんだっ。このままじゃ、颯真が奪われるんだぞっ」
7歳の亜蘭が玖蘭を怒鳴る。その腕の中には、スヤスヤと眠る赤子がいた。兄弟は用意しておいた小舟に飛び乗ると、荒れた海へと漕ぎ出した。何度も波にさらわれそうになりながらも、兄弟は必死に遠くの島を目指した。全ては、愛しい弟を守るために。

兄弟が村を出てから、20年という長い歳月が過ぎた。
「玖蘭。颯真はどうした?」
26歳となった亜蘭が尋ねる。
「また山に行ったよ。何でも、兄者に木苺を食べさせたいんだとさ」
24歳に成長した玖蘭が、大きな斧を振りかざし丸太を次々と割っていく。
茶色く長い髪と琥珀色の美しい瞳を持つ亜蘭と玖蘭は、双子のように顔立ちがよく似ていた。違いがあるとすれば、亜蘭よりも玖蘭の方が少し背が高い事ぐらいだ。
「・・・もう、20年か」
亜蘭が感慨深げに呟く。誰もいなかったこの島で、幼い兄弟達は互いに助け合いながら生きてきた。畑を耕し、魚をとり、穏やかな日々を送ってきた。このまま、ずっとなんでもない日が続くと思っていた。
「なぁ。本当に、颯真は獣化するのか?」
玖蘭が心配そうに尋ねる。
亜蘭と玖蘭が生まれた一族は、獣の血を引いている。
「あんなの、おとぎ話だろ?」
「そう思いたいがな」
かつて、一族の娘が獣と恋に落ちた。娘は、獣との子を生み一族を栄えさせた。だが、その代償として一族の中には獣と化す者が現れるようになった。その証しは、漆黒の髪と緋色の瞳だという。まさしく、颯真がそれだったのだ。その事を知った母親は半狂乱となり、父親は嘆き悲しんだ。親族は慌てふためき、生まれたばかりの颯真を森の主へ捧げようと言う者まで現れたのだ。
「成人した獣は、人の心を失うという」
「そんな・・・っ」
颯真は、数日前に成人を迎えた。初めての発情期は、いつ来てもおかしくない。その発情期こそ、颯真の運命を左右するのだ。
「いいか。決して、颯真を獣にしてはならない」
「わかってるって」
亜蘭の言葉に玖蘭が神妙な顔で頷く。と、ガサガサッという音がして、茂みから小柄な影が飛び出してくる。
「兄様達、ただいまぁっ」
明るい声と弾けるような笑顔で、颯真が高く飛び上がる。人間では決して無理な跳躍力で、一目散に亜蘭の腕の中へと収まった。その口許には、ベッタリと木苺の汁がついている。どうやら、かなりつまみ食いしたらしい。
「お帰り。楽しかったかい?」
颯真の身体をしっかり受け止めた亜蘭が微笑む。颯真は大きく頷くと、袋に入った木苺を差し出した。
「兄様に食べてもらおうと思って、これだけ摘んできた」
「おい、颯真。俺には?」
「玖蘭兄様は、この間僕の分を勝手に食べたからやらないよーだ」
「こいつっ」
笑いながらじゃれ合う2人の弟達を、亜蘭は複雑な想いで見つめた。成人したとは思えない颯真の幼い言動。本当に、発情期を迎えるのだろうか。できたら、子供のままでいてほしいと亜蘭は思っていた。不意に、颯真の表情が艶っぽく見えた。
それは、ドキッとするぐらいの色香だった。慌てて近づけば、玖蘭の表情まで変わっている。『男』の表情になっているのだ。颯真の細い指が、玖蘭へと伸びる。玖蘭は、颯真に触れられ引き寄せられるように顔を近づけた。亜蘭の手が、2人を引き離す。ハッと玖蘭が我に返った。
「颯真。早く手を洗っておいで。夕飯の準備をするよ」
「はーい」
亜蘭が声をかければ、颯真がいつも通りの無邪気な表情を見せる。先程までの色気は、嘘のように消えていた。颯真が走っていくと、玖蘭がハァハァと短い呼吸を繰り返しながら座り込んだ。
「大丈夫か?」
「兄者。今のが・・・?」
「発情は、近そうだ」
亜蘭と玖蘭は、その日から颯真から目を離さないようにした。

(身体が、熱い・・・っ)
颯真は、布団の中で眠れない時間を過ごしていた。最近、いつもこうだ。眠ろうとすると、身体の奥が熱くなってくる。どこがと聞かれても、具体的な場所はわからない。
(兄様達に、相談した方がいいのかな)
颯真は、2人の兄が大好きだった。物心ついた時から、颯真の世界には亜蘭と玖蘭しかいなかった。優しく月のように包み込んでくれる亜蘭と、太陽のように明るい玖蘭。できたら、2人には心配させたくない。
「颯真。どうかしたのか?」
扉が開き、亜蘭と玖蘭が入ってくる。そして、汗で全身をビッショリと濡らした颯真の身体を抱き上げる。
「もう大丈夫だ」
亜蘭の手が、ゆっくりと帯を解き浴衣を脱がせる。白い肌は桜色に染まり、乳首や性器は硬くなっていた。颯真は、自身の身体の変化が信じられなかった。
「兄様・・・っ、僕の身体、どうしたの?なんで、こんなに、熱いの・・・っ?」
ハァハァと浅い呼吸を繰り返せば、亜蘭が大丈夫だと囁く。そして、優しく口づけた。ビクッと颯真の身体が震える。舌を絡めとられ、歯列を優しくなぞられた。颯真の全身を、言いようのない快楽が駆け抜ける。
「気持ちいいか?颯真」
「気持ち、いい?」
颯真には、この感覚が気持ちいいのかどうかわからなかった。ただ、亜蘭に口づけされた瞬間。言葉には表せない感覚が全身を支配していた。
「じっとしていなさい」
「ん・・・むっ」
亜蘭は颯真の唇を再び塞ぐと、硬くしなる性器に指を絡めた。そして、上下に優しくしごく。颯真にとっては予期せぬ行為だったため、大いに慌てた。
「兄様っ、やだっ」
「大丈夫だ。怖くない」
シュッ、シュッと音がするぐらい擦られながら、颯真はやがて快楽の波に呑まれた。何も考えられなくなり、やがて熱い液体が迸る。その瞬間。颯真の中をすさまじい感覚が襲った。
「あっ、何っ、これっ、やだっ、兄様っ、兄様ぁっ」
「玖蘭っ」
手足をバタバタと動かせば、亜蘭がその手足を抑える。そして、玖蘭は颯真の性器をなんの躊躇いもなく口に含んだ。ヒッという短い悲鳴と共に、颯真の抵抗が止む。たまらない気持ちよさに、身体が火照ってくる。ピチャピチャと舌が湿った音を立てる中、亜蘭が颯真に説明をする。
「颯真。お前が、獣の血を引いている事は説明したな?」
「う、ん。成人、したら、変化していくって・・・」
話を聞きながら、颯真は頬を真っ赤に染めてブルブルと足を震わせた。
「窓を、見てごらん」
優しく言われ、颯真は側にある窓を見た。そして、変化した自身の姿に表情を強張らせた。
「な、に、これ・・・」
黒々とした髪は銀色となり、緋色の瞳はその赤みを増した。手を見れば、そこには鋭く尖った爪が伸びている。
「このままでは、お前は獣と化してしまうだろう」
「そんな・・・っ、嫌だっ、嫌だよっ」
亜蘭の言葉に、颯真が青ざめる。
「大丈夫だ。私達が、今からお前を元に戻してやる。だから、力を抜いていなさい」
「ん。あっ、ふぁっ」
亜蘭が、小さな乳首を左右から弄る。クニュクニュと揉まれ、颯真の声が甘く掠れた。下半身は、玖蘭によって好きにされている。両方を同時に攻められ、颯真はブルブルと身体を震わせた。やがて、再び何かが這い上がってくる。
「玖蘭、兄様っ、口、離して・・・っ」
だが、玖蘭は決して颯真の分身を放そうとなしなかった。亜蘭が優しく颯真に囁く。
「大丈夫だよ。玖蘭の口の中に出しなさい」
「やっ、いやぁぁぁぁぁぁあっ、あっ、ああっ、あっ」
玖蘭の唇が颯真の先端を強く吸うと同時に、颯真は熱を放った。初めての事に唖然とする颯真の、無防備な蕾に亜蘭は指を挿入した。
「んっ、やっ、兄様っ。指を抜いてぇ・・・っ」
「こうしないと、颯真が辛いんだ。我慢しなさい」
「やっ、あっ、あぁぁっ」
前と後ろを同時に愛撫され、颯真は連続して絶頂を迎えた。意識を手放した颯真が、亜蘭の腕の中に倒れ込む。

「なぁ、兄者。本当にするのか?」
颯真を抱き締めながら、玖蘭が尋ねる。
「元に戻ったんだから、それでいいじゃないか」
そんな弟の戸惑いの声に、亜蘭は厳しい表情をした。
「意識がないうちがいい。今の内に颯真を犯し、主導権を握る」
「颯真の意志はどうなるんだよっ。こんな事、望んでないはずだっ」
「発情期の時には、朝までおさまる事はない。颯真の本能が目覚める前に、抱かれる快楽を教える必要があるんだ」
「でも・・・っ」
「さっきの颯真の姿を見ただろっ。お前は、弟が化け物になるのを見たいのかっ」
獣と化す者は、発情期にはすさまじい性欲を発揮する。子孫を残すために、手当たり次第に襲うと言うのだ。やがて、その姿は人の形すら留めなくなってしまうと言う。
「獣にならないようにするためには、これしかないんだ」
「でも・・・っ」
言い合っている兄弟は気づかなかった。玖蘭の腕の中で、颯真の髪が少しずつ銀色になっていくのを。
「颯真・・・っ」
最初に気がついたのは玖蘭だった。顔をあげさせれば、颯真の犬歯が伸びている。
「玖蘭・・・っ」
わずかな隙に、玖蘭の身体が床に押さえつけられる。筋肉質な玖蘭が、華奢な颯真の力に敵わないのだ。玖蘭の怯えた表情に、颯真が微笑む。それは、とても妖艶で美しかった。
「やめろっ。颯真・・・っ」
颯真が、玖蘭の下半身に昂った欲望を押し当てる。入り込んでくる感覚に、玖蘭はギュッと目を閉じて耐えた。
「許せっ、颯真・・・っ」
亜蘭が、やや乱暴に颯真を後ろから貫く。
「うぁ・・・っ、あっ」
颯真の背中がのけぞり、唇からは甘い吐息がこぼれた。亜蘭が乱暴に突きながら前をしごく。
「ふぁ・・・っ、あっ、ん・・・っ」
妖艶だった表情が、だんだん切なげに変わっていく。長く伸びた爪も引っ込み、いつもの颯真に戻った。亜蘭は自身の欲望を注ぎ込むと、ゆっくり抜いた。玖蘭が、力の抜けた颯真を抱き留める。
「私も、悩んだ。悩んで出した結論だ。颯真は、俺達が守る」
「・・・わかった」
亜蘭が再び颯真の細い身体を穿てば、小さな唇から甘い吐息と唾液がこぼれる。玖蘭は優しく口許を拭うと、前から颯真を優しく愛撫した。やがて、虚ろだった颯真の瞳に輝きが戻ってくる。
「玖蘭、兄様?な、なんで、あっ、亜蘭兄様っ、何をしてるのっ」
ズッズッと根本まで性器を挿入されているのだ。颯真が戸惑うのは仕方ない。玖蘭は、ボロボロと大粒の涙をこぼす颯真にゆっくり真実を話した。
「兄様達と交わらないと、獣に?」
「大丈夫だ。俺達が、お前を守るから」
青ざめて震える颯真を、玖蘭が慰める。何度も唇を重ね、安心させる。この行為が、決してふしだらなものではないと教え込む。
「く・・・っ」
亜蘭の体力も限界に近かった。
なにせ、既に3時間も颯真を抱いているのだ。それなのに、颯真の熱はまだ冷めないのだ。
「颯真。今度は、俺と交わろう。おいで」
抱かれる快楽を覚え始めた颯真は、玖蘭の差しのべた腕にそのまま身を任せた。向かい合い、玖蘭の膝に乗る形で颯真が腰を沈める。
「うぁっ、ひっ、あっ、まだ、足りないよぉ、兄様・・・っ」
甘えるように腰を揺らす颯真が、かわいくて仕方なかった。
「俺達が、何度だって抱いてやる。安心しろ」
「颯真は、黙って気持ちよくなっていればいいんだ」
亜蘭が、颯真の背中から腕を回し玖蘭ごと抱き締めた。ググッと深くまで繋がり、颯真が歓喜の声を上げて達した。


「兄様達ぃ、こっちに魚がいるよっ」
バシャバシャと川に入っていった颯真が、泳いでいた魚を捕まえる。その様子を、亜蘭と玖蘭は目を細めて見つめた。発情期の時が嘘のように、颯真はいつも通りだ。
「兄者。俺、颯真が好きみたいなんだ。これって、変だよな」
玖蘭の戸惑いは、颯真に対して性欲を抱いた事だった。兄として守らなくてはいけないのに、気がついたらその身体を欲している。まるで、自分の方が獣みたいだと、玖蘭が自嘲した。
「獣となる者は、無意識に周囲を虜にするらしい。かつて獣と化した者は、無理矢理相手を犯したのではないんだよ」
「そう、なのか」
「おそらく、花が蝶を誘うのと同じなのだろう」
獣は、その存在だけで人を惹きつけるのだ。
「私も、お前と同じ気持ちだ」
弟として愛してきた颯真。だが、抱きつかれる度に頬を寄せてくる度にどうしようもない欲が煽られる。男としての欲望に、逆らう事ができない。
「私は、颯真から離れられそうもない」
「・・・俺もだ」
弟の無邪気な笑顔を見つめながら、これからも変わらぬ愛情を確信した。

発情期が訪れる度に、颯真は兄達と交わった。何度も後ろを犯され、前を愛撫される。これは、獣にならないための行為なのだ。だが、颯真はいつしか発情期を待ち望むようになっていた。発情期が来れば、兄達に抱いてもらえる。そう思うようになったのだ。
(これって、間違ってるよね?)
川に映る自分の顔をジッと見つめた。漆黒の髪は短く、瞳は鮮やかな緋色。いつもの自分だ。
(兄様達は、好きでしているわけじゃないのに)
数ヶ月前。颯真は、初めて発情期を迎えた。体内で暴れる熱を、亜蘭と玖蘭が鎮めてくれた。
(ああいう事は、きっと好きな人とするんだ)
今だに、颯真は交わる事の意味がわからない。だけど、以前にクマの交尾を見た事がある。何をしているのかと玖蘭に聞いたら、子供を作る行為だと教えてもらった。
(ま、まさか。僕も・・・?)
発情期の度に、兄達の精液を注がれている。颯真は、別の意味で青ざめた。
「こんな所にいたのか?」
明るい声に振り向けば、すぐ上の兄である玖蘭が立っていた。濃い茶色の髪はボサボサで、颯真はよくオオカミみたいだとからかった。琥珀色の瞳が優しく細められる。
「兄者が、そろそろ夕食にしようってさ。行こう」
「う、うんっ」
伸ばされた手に手を重ねた瞬間。颯真の胸がドキリと鳴る。
(変なの。ドキドキが止まらない)
この時、もし玖蘭が颯真の顔を見ていたら気づいたかもしれない。緋色の瞳が赤みを増し、唇が艶めいていた事に。
「今夜は、猪の肉と茄子の辛子煮だよ。颯真が好きな無花果の砂糖漬けもあるから、たくさん食べなさい」
「はいっ」
玖蘭と顔は似ているが、亜蘭の印象はとても穏やかだ。濃く長い髪を後ろで束ね、琥珀色の瞳が優しく細められる。亜蘭は27歳、玖蘭は先日26歳の誕生日を迎えた。来月には颯真が21歳になる。和やかに食卓を囲む風景は、平和そのものだった。
だが、今日は特別な夜になる事を兄弟は互いに意識していた。
「兄様。どうしても、しなきゃダメなの?」
風呂上がり。浴衣を羽織っただけの颯真が、オズオズと亜蘭に申し出る。亜蘭は、不安そうな颯真の髪を優しく撫でた。
「お前が獣にならないためには、必要なんだよ」
困ったように微笑む亜蘭に、颯真の胸が痛む。
「で、でも。あの、こんなにしたら・・・」
「ん?」
「あ、赤ちゃんができるかもっ」
颯真が真っ赤な顔をして言えば、亜蘭と玖蘭が声を上げて笑った。
「に、兄様?」
「ごめん、ごめん。颯真があまりにもかわいい事を言うから・・・」
亜蘭と玖蘭が、両方から颯真の浴衣を脱がす。髪や頬に唇を当てながら、乳首や性器に指を絡めながら。
「あっ、んっ」
立ったまま優しく愛撫され、颯真は膝を震わせた。
「颯真。男同士では赤ん坊はできないんだよ」
亜蘭が跪き、颯真の分身をゆっくり咥え込む。
「そうだぞ。だから、安心しろ」
玖蘭も同じように跪き、颯真の蕾を舌で潤す。
「あっ、はあっ、あっ、ダメッ、そんなに、されたらぁぁっ」
前と後ろからグチュグチュと音がする。颯真はのけぞり、亜蘭の髪に指を絡めた。
「今夜も、私達がいる」
「力を抜いていろ」
亜蘭は胡座をかいて座ると、颯真を後ろから抱きかかえるように座った。玖蘭が、颯真の両足を肩に担ぐ。
「いくぞ、颯真」
「んっ、んんっ」
ググッと奥まで玖蘭を受け入れる。颯真は眉を寄せると、痛みに背中を反らした。亜蘭の唇が首筋をなぞる。
「ふぁ・・・っ、あっ、やぁっ」
無意識に玖蘭を押し返そうとする颯真の両手を、亜蘭が優しく抑えた。颯真が、更に奥へと進める。
「大丈夫。いつもしている事だろう?」
亜蘭と玖蘭の指が、颯真の弱い部分を刺激する。
「はぁぅ、あっ、ああっ」
颯真は、白濁を吹き上げるとグッタリと亜蘭の腕に倒れた。
「今夜は、ここまでにしておこう」
「そうだな。よく耐えたな」
代わる代わる頭を撫でられ、颯真は恥ずかしさに俯いた。そして、離れていこうとする兄達2にの腕を掴む。
「颯真?」
「あ、あのね、兄様。今夜は、もっと側にいて」
離れたくない。颯真の本能がそう訴えていた。それは、これまでにない感情だ。だが、それをどう伝えていいかわからない。颯真の真紅の瞳から、ポロポロと涙が溢れる。と、身体がザワッとしてきた。髪が再び銀色に変化していく。
「落ち着きなさい、颯真」
亜蘭が抱き締めてくれるが、熱が引かない。
「僕、変なんだ。兄様達ともっとしたい・・・っ」
それは、恋心というものだった。だが、他者と接触してこなかった颯真にはこの気持ちの正体さえわからない。
身体を震わせて感情を乱す颯真を、亜蘭と玖蘭が抱き締めた。
「大丈夫だ。変な事じゃない」
「ずっと、お前の側にいるから」
颯真は、亜蘭と玖蘭から交互に口づけされ朝まで愛された。
朝。颯真は、裸の亜蘭と玖蘭に抱き締められながら目を覚ました。二度と離れないと思えるほど、しっかりと足が絡み合っている。
3人は、それからも自分達だけの世界で平穏を保った。






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