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元勇者

元勇者 3

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 ムツヤは探知盤と遠距離用の連絡石を取り出し、トチノハへと渡す。

「信じてくれてありがとう」

 受け取ったトチノハはムツヤ達に言う。そこでキヌが気まずそうに話す。

「あー、それで使い方も教えてもらえたら嬉しいんだけど……」

「そ、それじゃ僕が……」

 ユモトが名乗りを上げ、探知盤の操作を教えることにした。その間待たされるネックは娘に話しかける。

「モモ、元気にやっているか?」

「父上……」

 あれほど会いたくて仕方が無かったのに、何を話せば良いのか分からなかった。

「王都ではみっともない所を見せて済まなかったな」

 そう詫びを入れる。モモは意を決して聞いてみた。

「父上は、村を出てから何をなさっていたのですか?」

「そうだな。色々とあって、トチノハ様の護衛に就くことになった」

「何故、数年も便りが無かったのですか!?」

 モモが少しの怒りと共に聞いてくるので、少し気まずそうにネックは言う。

「キエーウとの戦いもあった。無駄な心配を掛けたくなかったのだ」

「それでも、便りが無い方が心配になります!!」

「悪かったな」

 久しぶりの親子の会話をムツヤ達は遠巻きに見ていた。

「キエーウと言えば、トチノハ……。いや、停戦してるしな。トチノハさん、あんたはキエーウとの戦いの時に何をしていたんだ?」

 アシノが尋ねると、素直に答えだす。

「我々は探知盤を持っていなかったので、キエーウ達の足取りを掴めずに居ました」

 残念そうな顔をしてトチノハは続けて言う。

「尋問して裏の道具の存在を知った時には、災厄の壺が発動するほんの数日前でしたので。急いで向かっても間に合わない場所でした。お力になれずに申し訳なかった」

「そうですか」

 そんな裏事情があったのかと、アシノは思った。

「よし、探知盤の使い方は分かった」

 しばらくすると、キヌが言う。アシノはそれを聞いてトチノハにまた尋ねた。

「それで、あなた方はこれからどうするのですか?」

「我々はお尋ね者です。アシノ様達が達が出来ないような、汚れ役は我々が引き受けましょう」

 その言葉を聞いてモモは父を案じて少しだけ不安になる。

「確かに、これから裏の道具の回収は一筋縄ではいかないでしょう。お任せしますよ」

「それでは、入山許可が要るとはいえ見物人が来たら厄介です。我々は失礼します」

 そう言ってトチノハ達は消えていった。
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