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裏庭が裏ダンジョンでした外伝『地獄の旅は道づれに』
地獄の旅は道づれに 2
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トレイは魔剣片手に魔物達へと突っ込む。向こうもこちらに走り出していた。
その中の1体を袈裟斬りにすると、切断面から業火が吹き出る。2体目3体目と横薙ぎに、下から縦斬りにと敵を斬った。
魔物たちは消し炭になって崩れ落ち、煙と共に消える。
「やるじゃないか」
サーラがわざとらしく拍手をすると、トレイは剣を鞘に収めて言う。
「これでも一応魔法使い兼剣士だったものでね」
廃墟を出るとトレイは思わず眩しさに目を細める。自分にとっては昨日の事である魔人の根城は、見る影もなく崩れ落ち、緑で覆われていた。
「勇者は今、ここから少し遠くにあるエルフの村に来ているそうだ
「エルフの村か」
「歩きながら説明する」
2人は廃墟を後にして歩く。そしてサーラはポツリポツリと話し始めた。
「魔人ドソクが居なくなって、魔物も数を減らして、世界は平和になった……。というのは間違いじゃないよ、人間にとってはね」
「人間にとっては?」
「魔物という戦いの対象が無くなった人間は、次にどうしたと思う?」
少しトレイは考えてから言う。
「お偉いさんが危惧していた隣国との戦争か?」
「いいや、違うね」
サーラは前を向いて歩いたまま答える。
「亜人だよ、魔物が居なくなった次はオークやエルフや獣人。その辺が標的になった」
「なっ、どういう事だ!?」
亜人が標的と聞いてトレイは驚く。どういう事だと。
「亜人は人じゃない。人間以下だってね、そう国で決められたんだ」
「そんな話、おかしいだろ!!!」
トレイは大きな声でサーラに言う。
「私に怒鳴らないでくれ、決めたのはアンタ達人間のお偉いさんだよ」
「あっ…… すまん」
つい感情的になったトレイは反省した。それを見てサーラは話を続ける。
「亜人は奴隷にしても良いって法律が出来たんだよ。奴隷じゃなくても、重い税が課されるようになった。抵抗するようなら討伐も仕方がないってさ」
「ちょっと待ってくれ、それで勇者が…… オガネがエルフの村の近くに向かっているって事は……」
「そう、抵抗する亜人たちを討伐して回ってるんだ」
それを聞いてトレイは血の気が引いた。
自分が信じていた未来は魔人が倒されて、皆が笑顔で居られる世界だったのに。
だが、実際には、剣として眠っていた間に様々な事が変わってしまっていたのだ。
「勇者が、勇者がそんな事をするなんて!!」
「魔物だって襲って皆殺しにしていたんだ。その延長線上だと考えれば割と納得できるけどね」
「魔物と亜人は違うだろう?」
「あのさ、私って一応、魔人の娘なんだけど」
つい忘れていたトレイは「あっ……」と言って言葉を失った。気まずい空気になる。
「まー、私達も人間を襲って敵対してたから、仕方ないと言えばそれまでだけどね」
「なんて言うか、すまん……」
「いいさ、私は勇者を殺せればそれで良い」
「もう少し先でエルフの村長と落ち合う事になっている」
「そうか……」
それ以降トレイとサーラの間に会話は無い。トレイは気まずい沈黙を終わらせるため、一刻も早くそのエルフの村長とやらに会い気持ちだ。
鬱蒼とした森の中、そこに村長は居た。
「お待ちしておりました。サーラ様」
そこには如何にもといった老人と付き添いの者が居る。長命のエルフが老人に見えるということは何百年と生きているのだろう。
「そちらが救世主様で?」
「あぁ、勇者をぶっ殺す救世主様だ」
「勝手にそんな物にしないでくれ」
救世主と言われてトレイは何だか体がむず痒くなった。
「私はエルフの村で村長をしております『ノオ』と申します」
「はは、こりゃどうも。俺はトレイって言います」
差し出されたシワだらけの枯れた手を握ってトレイは言う。
「それで、国の軍が来るまでどれぐらいだ??」
サーラが聞くと村長は答えた。
「偵察の話によればほんの数日のうちかと」
「数日か……」
トレイはそれを聞いてそのまま口に出すしか出来なかった。
その中の1体を袈裟斬りにすると、切断面から業火が吹き出る。2体目3体目と横薙ぎに、下から縦斬りにと敵を斬った。
魔物たちは消し炭になって崩れ落ち、煙と共に消える。
「やるじゃないか」
サーラがわざとらしく拍手をすると、トレイは剣を鞘に収めて言う。
「これでも一応魔法使い兼剣士だったものでね」
廃墟を出るとトレイは思わず眩しさに目を細める。自分にとっては昨日の事である魔人の根城は、見る影もなく崩れ落ち、緑で覆われていた。
「勇者は今、ここから少し遠くにあるエルフの村に来ているそうだ
「エルフの村か」
「歩きながら説明する」
2人は廃墟を後にして歩く。そしてサーラはポツリポツリと話し始めた。
「魔人ドソクが居なくなって、魔物も数を減らして、世界は平和になった……。というのは間違いじゃないよ、人間にとってはね」
「人間にとっては?」
「魔物という戦いの対象が無くなった人間は、次にどうしたと思う?」
少しトレイは考えてから言う。
「お偉いさんが危惧していた隣国との戦争か?」
「いいや、違うね」
サーラは前を向いて歩いたまま答える。
「亜人だよ、魔物が居なくなった次はオークやエルフや獣人。その辺が標的になった」
「なっ、どういう事だ!?」
亜人が標的と聞いてトレイは驚く。どういう事だと。
「亜人は人じゃない。人間以下だってね、そう国で決められたんだ」
「そんな話、おかしいだろ!!!」
トレイは大きな声でサーラに言う。
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「あっ…… すまん」
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「ちょっと待ってくれ、それで勇者が…… オガネがエルフの村の近くに向かっているって事は……」
「そう、抵抗する亜人たちを討伐して回ってるんだ」
それを聞いてトレイは血の気が引いた。
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だが、実際には、剣として眠っていた間に様々な事が変わってしまっていたのだ。
「勇者が、勇者がそんな事をするなんて!!」
「魔物だって襲って皆殺しにしていたんだ。その延長線上だと考えれば割と納得できるけどね」
「魔物と亜人は違うだろう?」
「あのさ、私って一応、魔人の娘なんだけど」
つい忘れていたトレイは「あっ……」と言って言葉を失った。気まずい空気になる。
「まー、私達も人間を襲って敵対してたから、仕方ないと言えばそれまでだけどね」
「なんて言うか、すまん……」
「いいさ、私は勇者を殺せればそれで良い」
「もう少し先でエルフの村長と落ち合う事になっている」
「そうか……」
それ以降トレイとサーラの間に会話は無い。トレイは気まずい沈黙を終わらせるため、一刻も早くそのエルフの村長とやらに会い気持ちだ。
鬱蒼とした森の中、そこに村長は居た。
「お待ちしておりました。サーラ様」
そこには如何にもといった老人と付き添いの者が居る。長命のエルフが老人に見えるということは何百年と生きているのだろう。
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「勝手にそんな物にしないでくれ」
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「はは、こりゃどうも。俺はトレイって言います」
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「それで、国の軍が来るまでどれぐらいだ??」
サーラが聞くと村長は答えた。
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トレイはそれを聞いてそのまま口に出すしか出来なかった。
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