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反乱の勇者
反乱の勇者 6
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イグチを連れて、一行は王都へと戻る。
急いで城へと向かうと、混乱で兵士達が慌ただしくそこら中を走り回っていた。
「イグチ様、よくぞご無事で……。近衛兵長として不甲斐ない戦いをしてしまった事、なんとお詫びして良いか……」
「良いのですよカミト殿。あなたもよくぞご無事で。あなた方の抵抗が無ければ王の身に万が一があったかもしれません」
そう言われはしたが、カミトも近衛兵の魔女であるイズミも目を伏せてしまった。
「私から王には詳しい話をします。あなた方は傷の手当てをして下さい」
「承知しました……」
イグチが言うとカミトとイズミは膝を付いてそう返した。
「アシノ様にも状況説明の為、ご同行願いたいのですが、よろしいですかな?」
「えぇ、構いません」
そう言って2人は城の中へと消えていった。残されたムツヤ達とサツキ達。
「私達はまた王都の外壁へ戻り警戒をしましょう」
サツキが言うとクサギとカミクガも頷いて付いていく。
残されたムツヤ達、皆がモモを心配そうに見上げると唇をギュッと結んで何とも言えない顔をしていた。
「モモさん……、あ、あの、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
ユモトが心配そうに声をかけると、モモは小さく言うが、大丈夫そうには見えない。
「外壁はサツキちゃん達が警戒してくれてるし、私達は宿にでも戻ろっか。やることも無いしー」
ルーが頭の後ろで手を組んで言う。一見モモの件に興味が無さそうだが、内心は物凄く心配をしていた。
「わがりまじだ……」
ムツヤも場の重い雰囲気を感じ取ってそう言うしか出来なかった。
玉座の間、イグチは王の隣に立ち、アシノは片膝を付いて報告をしていた。
「勇者トチノハが謀反を起こしたと聞いているが、真か?」
「はっ、私は人質に捉えられてしまい面目次第も御座いません」
「トチノハの奴め……」
王は肘掛けをドンッと殴って言う。
「して、何故やつは、ここまで来て撤退をしたのだ」
「恐らくは、勇者サツキ様達が思ったよりも早く到着して動揺したのでしょう」
「うむ、確かにそうかも知れぬが」
髭を触りながら王は納得がいかない感じに言った。
「まったく、本来であれば魔人と闘うべき時に謀反を起こすとは、恩知らずめが」
「えぇ、仰る通りで御座います。我が王」
イグチが言うとまた不機嫌そうに王は話す。
「それで、奴らの要求はキエーウのメンバーの処刑と囚人の解放だったか」
「はい、私が直接聞き及んだのは、キエーウのメンバーを裁判無しで速やかに処刑すること。亜人の囚人をすぐに解放することでした」
「キエーウはともかく、その様な要求が通るはずも無いだろう。馬鹿馬鹿しい」
「仰る通りで」
王は頭を悩ませる。魔人に勇者の裏切りに、隣国との緊張状態。問題は山積みだ。
「勇者アシノよ、下がって良いぞ。私はこれからイグチと共に、議員達と話をする」
「はっ、かしこまりました」
アシノは立ち上がり、敬礼をすると玉座の間を後にした。
急いで城へと向かうと、混乱で兵士達が慌ただしくそこら中を走り回っていた。
「イグチ様、よくぞご無事で……。近衛兵長として不甲斐ない戦いをしてしまった事、なんとお詫びして良いか……」
「良いのですよカミト殿。あなたもよくぞご無事で。あなた方の抵抗が無ければ王の身に万が一があったかもしれません」
そう言われはしたが、カミトも近衛兵の魔女であるイズミも目を伏せてしまった。
「私から王には詳しい話をします。あなた方は傷の手当てをして下さい」
「承知しました……」
イグチが言うとカミトとイズミは膝を付いてそう返した。
「アシノ様にも状況説明の為、ご同行願いたいのですが、よろしいですかな?」
「えぇ、構いません」
そう言って2人は城の中へと消えていった。残されたムツヤ達とサツキ達。
「私達はまた王都の外壁へ戻り警戒をしましょう」
サツキが言うとクサギとカミクガも頷いて付いていく。
残されたムツヤ達、皆がモモを心配そうに見上げると唇をギュッと結んで何とも言えない顔をしていた。
「モモさん……、あ、あの、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
ユモトが心配そうに声をかけると、モモは小さく言うが、大丈夫そうには見えない。
「外壁はサツキちゃん達が警戒してくれてるし、私達は宿にでも戻ろっか。やることも無いしー」
ルーが頭の後ろで手を組んで言う。一見モモの件に興味が無さそうだが、内心は物凄く心配をしていた。
「わがりまじだ……」
ムツヤも場の重い雰囲気を感じ取ってそう言うしか出来なかった。
玉座の間、イグチは王の隣に立ち、アシノは片膝を付いて報告をしていた。
「勇者トチノハが謀反を起こしたと聞いているが、真か?」
「はっ、私は人質に捉えられてしまい面目次第も御座いません」
「トチノハの奴め……」
王は肘掛けをドンッと殴って言う。
「して、何故やつは、ここまで来て撤退をしたのだ」
「恐らくは、勇者サツキ様達が思ったよりも早く到着して動揺したのでしょう」
「うむ、確かにそうかも知れぬが」
髭を触りながら王は納得がいかない感じに言った。
「まったく、本来であれば魔人と闘うべき時に謀反を起こすとは、恩知らずめが」
「えぇ、仰る通りで御座います。我が王」
イグチが言うとまた不機嫌そうに王は話す。
「それで、奴らの要求はキエーウのメンバーの処刑と囚人の解放だったか」
「はい、私が直接聞き及んだのは、キエーウのメンバーを裁判無しで速やかに処刑すること。亜人の囚人をすぐに解放することでした」
「キエーウはともかく、その様な要求が通るはずも無いだろう。馬鹿馬鹿しい」
「仰る通りで」
王は頭を悩ませる。魔人に勇者の裏切りに、隣国との緊張状態。問題は山積みだ。
「勇者アシノよ、下がって良いぞ。私はこれからイグチと共に、議員達と話をする」
「はっ、かしこまりました」
アシノは立ち上がり、敬礼をすると玉座の間を後にした。
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