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反乱の勇者
反乱の勇者 4
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その頃、エルフの勇者であるトチノハは王の間を目指し走っていた。
途中で立ちはだかる兵士たちは爆風の魔法で吹き飛ばしていく。トチノハの前には何の障害にもならなかった。
そんな時、目の前にふと現れたのは。
この国の大臣であるイグチだ。
周りには兵士が護衛として付いている。そして、次の瞬間トチノハは目を疑った。
イグチは睡眠の魔法を周りの兵士たちに掛けたのだ。深い眠りにつく兵士達を見てトチノハは言う。
「何のつもりですか?」
「私はあなたと内緒の話がしたいのですよ。勇者トチノハ」
トチノハは右手を構えたままイグチを見つめる。
「内緒の話とは何でしょうか、私は王と直接の対話がしたいのですが」
「あの王と対話した所で何も変わりませんよ」
イグチは笑顔でそう答えた。トチノハは目の前の男の腹積もりを探る。
「それは話をしてみないとわかりませんね」
「話す前からわかっていますよ」
そこまで言った後笑顔をやめてイグチは続けて言う。
「あの様な愚かな王に何を言っても無駄です」
トチノハは一瞬、眉をピクリと動かしたが、動揺を悟られないように言葉を返す。
「大臣ともあろう方が王に随分な物言いですね」
「事実なのだから仕方がないでしょう」
はぁーっとイグチはため息を付いた。時間稼ぎをする為の妄言かと思ったが。
「私が仕えるのは国です。先代の王は素晴らしい方でした……。が、今の王はあまりにも傲慢で愚かです」
「どういうことですか?」
「私はあなた達と手を組みたいのですよ」
「今、なんと?」
「ですから、私…… いや、私達はあなた達と手を組みたいのです」
トチノハは右手を下ろして話を聞く気になった。
「この国には今の王に不満を持つ層が少なくありません。政界にも、です」
「なるほど、それは納得できます」
「私も今の王にうんざりとしている1人でしてね、なんとかする機会を伺っていたのですよ」
トチノハは黙ってイグチの話を聞く。
「魔人の襲撃とあなた達の反乱で、王都は、いや国は混乱の最中です」
「えぇ、そうでしょうね」
「だからこそ、そんな今だからこそ、聡明で強い王が必要なのです」
ふむ、とトチノハは考える。
「あなたはこの国を乗っ取るつもりですか?」
「そんな物騒なことはしません。私が仕えるのはあくまで国。この国の為には新たな王が必要と考えたまでです」
また笑顔を作ってイグチは話し続ける。
「捉えたキエーウのメンバーはすぐにとは行きませんが、処刑しましょう。罪がそこまで重くないものにも獄中で病死して貰います」
「それは嬉しい話です」
「そして、亜人も裁判とは別に私の裁量で、罪が重すぎると思う者は処刑をするふりをして1人1人と逃しましょう」
トチノハはイグチの話をどこまで信じて良いものか考えていた。そんな時、イグチは懐から何かを取り出してトチノハの足元へ投げてよこした。
「それは城の地下道の鍵です。そこから逃げればきっと安全でしょう」
足元に投げられた鍵を拾い上げるとイグチはまた話し始めた。
「そして、私が人質になりましょう。その間に反乱軍を逃して下さい」
「……取り敢えず今は信じますが、もし城から出るまでの間に偽りがあったら、死体が1つ増えることになりますが」
途中で立ちはだかる兵士たちは爆風の魔法で吹き飛ばしていく。トチノハの前には何の障害にもならなかった。
そんな時、目の前にふと現れたのは。
この国の大臣であるイグチだ。
周りには兵士が護衛として付いている。そして、次の瞬間トチノハは目を疑った。
イグチは睡眠の魔法を周りの兵士たちに掛けたのだ。深い眠りにつく兵士達を見てトチノハは言う。
「何のつもりですか?」
「私はあなたと内緒の話がしたいのですよ。勇者トチノハ」
トチノハは右手を構えたままイグチを見つめる。
「内緒の話とは何でしょうか、私は王と直接の対話がしたいのですが」
「あの王と対話した所で何も変わりませんよ」
イグチは笑顔でそう答えた。トチノハは目の前の男の腹積もりを探る。
「それは話をしてみないとわかりませんね」
「話す前からわかっていますよ」
そこまで言った後笑顔をやめてイグチは続けて言う。
「あの様な愚かな王に何を言っても無駄です」
トチノハは一瞬、眉をピクリと動かしたが、動揺を悟られないように言葉を返す。
「大臣ともあろう方が王に随分な物言いですね」
「事実なのだから仕方がないでしょう」
はぁーっとイグチはため息を付いた。時間稼ぎをする為の妄言かと思ったが。
「私が仕えるのは国です。先代の王は素晴らしい方でした……。が、今の王はあまりにも傲慢で愚かです」
「どういうことですか?」
「私はあなた達と手を組みたいのですよ」
「今、なんと?」
「ですから、私…… いや、私達はあなた達と手を組みたいのです」
トチノハは右手を下ろして話を聞く気になった。
「この国には今の王に不満を持つ層が少なくありません。政界にも、です」
「なるほど、それは納得できます」
「私も今の王にうんざりとしている1人でしてね、なんとかする機会を伺っていたのですよ」
トチノハは黙ってイグチの話を聞く。
「魔人の襲撃とあなた達の反乱で、王都は、いや国は混乱の最中です」
「えぇ、そうでしょうね」
「だからこそ、そんな今だからこそ、聡明で強い王が必要なのです」
ふむ、とトチノハは考える。
「あなたはこの国を乗っ取るつもりですか?」
「そんな物騒なことはしません。私が仕えるのはあくまで国。この国の為には新たな王が必要と考えたまでです」
また笑顔を作ってイグチは話し続ける。
「捉えたキエーウのメンバーはすぐにとは行きませんが、処刑しましょう。罪がそこまで重くないものにも獄中で病死して貰います」
「それは嬉しい話です」
「そして、亜人も裁判とは別に私の裁量で、罪が重すぎると思う者は処刑をするふりをして1人1人と逃しましょう」
トチノハはイグチの話をどこまで信じて良いものか考えていた。そんな時、イグチは懐から何かを取り出してトチノハの足元へ投げてよこした。
「それは城の地下道の鍵です。そこから逃げればきっと安全でしょう」
足元に投げられた鍵を拾い上げるとイグチはまた話し始めた。
「そして、私が人質になりましょう。その間に反乱軍を逃して下さい」
「……取り敢えず今は信じますが、もし城から出るまでの間に偽りがあったら、死体が1つ増えることになりますが」
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