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王都の皆には内緒だよ!

王都の皆には内緒だよ! 1

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 翌日、アシノが欠けたムツヤ達と勇者サツキのパーティは王都を出発する。

「皆さんよろしくお願いします」

 アシノが居ない事と、その仲間と一緒ということに不機嫌になってサツキは言った。

「サーツーキー、失礼っしょ!! どうもすんません、よろしくお願いします」

 クサギはペコペコと言う。

「クスクス、よろしくお願いしますねぇ」

 カミクガも、相変わらずどこか見下したような笑顔で言った。

「オッケー、よろしくぅー!」

 ルーが親指を立てて言うと、ムツヤ達もそれに続く。

「よろしくお願いします」

 ムツヤ達は馬車に乗り、サツキとクサギは馬、カミクガは自身の足で走る。

「カミクガ殿、疲れないのか?」

 馬車を運転するモモが気を使って言うが、カミクガは平気そうな顔をして返す。

「ご心配ありがとうございますぅー、でも大丈夫ですぅ、足には自信があるのでぇ」

 試練の塔は王都から2日程離れた場所にある。直線距離で行くので今日は野営だった。

 道中は何事もなく、あっという間に日は沈みかけ、野営の準備をする。

「さて、ここまで来れば大丈夫かな。ムツヤっち、追手はいる?」

 ムツヤは千里眼と探知スキルを使って辺りを調べた。

「大丈夫ですね」

 この行為に1番に反応したのは聖女クサギだった。

「ちょっ、何この探知スキルの範囲!? マジパないんすけど!?」

「そんなに凄いのか?」

 サツキも魔力の気配は察知したが、クサギの驚きようを見て驚いた感じだ。

「まだまだ驚くのはこれからよー? そーれ!!」

 ルーが木に赤い玉をぶつける。するとそこを中心として長方形に破片が飛び散り。

「よう、見えてるか?」

 アシノが現れた。

 勇者サツキパーティに動揺が広がる。

 いつも掴みどころがないカミクガでさえも驚きの表情を隠せずにいた。

「こ、これは、これは何ですか!?」

 サツキはムツヤ達とアシノを交互に見ながら言う。

 そして、ハッと気付いた。

「もしかして、アシノ先輩の能力ですか!?」

 アシノは首を横に振ってそれを否定する。

「違う、これは」

 アシノは前を見据えてハッキリと言った。

「裏の道具、裏ダンジョンの道具だ」

「う、裏ダンジョン!?」

 クサギは声を裏返して言葉を放つ。何か変な夢を見ているようだった。

「そうだ、信じられないかもしれないが、信じてくれ。で、お前達の後ろに居るムツヤは裏の世界から来た」

 思わず三人は一斉にムツヤの方を振り向いた。

 この冴えないアホ面をした男が裏の世界の住人!? 到底、信じられない。

「ま、待って下さい。どういう事か説明して下さい!!」

「わかった。手短に説明をする。と言っても長くなるから取り敢えず落ち着いて座れ」
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