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剣を握る資格は

剣を握る資格は 6

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 フッと寂しげに笑ってアシノは話す。

「昨日まで一緒に旅して、酒のんで。なんなら朝飯も一緒に食った奴と突然、二度と話せなくなるんだ」

 ムツヤの頭には、モモやユモト、ヨーリィ、ルーの顔が思い浮かんだ。

「人殺しになれとは言わない、だが、剣を持つ以上覚悟はしておけ」

 そこまで言うとアシノは立ち上がった。

「ふん、説教なんて慣れないことしちまったな、私は部屋で昼寝でもするわ」

 アシノはそう言ってムツヤに背を向けて軽く右手を上げた。その背中にムツヤは声を掛ける。

「あの、アシノさん!!」

 返事もせずアシノは立ち止まった。

「その、ありがとうございました!」

 アシノは振り返らず右手を軽く上げて、そのまま居間を出ていってしまう。

 ムツヤは外に出てみる。モモはルーの出した精霊を相手に戦い。ユモトは雷の魔法でヨーリィと戦っていた。

「おー、ムツヤっちー! お話終わったー?」

 ルーはふざけている様に見えてすべてお見通しだったらしい。「はい」とムツヤは返事をする。

「何かムツヤっちイケメンになった? 顔がシュッとして凛々しくなったっていうか?」

 ルーは下からムツヤを覗き込みながら言った。

「まぁいいわ、みんなー休憩よー休憩ー」

 ルーが言うと皆戦いをやめてふぅと一息つく。そんな1人ひとりをムツヤはじっと見める。

「あらー、ムツヤっち私のことじっと見てどうしたの? 惚れちゃった?」

「ルー殿……」

「やだ、モモちゃん嫉妬してる! 禁断の三角関係!?」

「しっ、嫉妬って何ですかルー殿!!」

 わいわいとふざけるルーと顔を赤くしているモモを見てムツヤはハハハと笑った。

「賑やかですね」

 ユモトはムツヤに近づいて言う。ヨーリィは我関せずといった感じで家の中へと、トテトテ歩いて帰る。

「えぇ、本当楽しいです」

 ムツヤは言って一瞬目を閉じた。こんな日常を守るためだったら自分は、皆を守るために剣を握ろうと。

 そう思っていた。
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