216 / 234
聖女様
ペンダント
しおりを挟む 行く当てもないので村へと帰るアザミヤ。
タカセの家を訪ねようとするが、また「しつこい」と言われたらどうしようと、思わず戸の前で立ち止まってしまう。
「何か用か?」
突然後ろから声を掛けられ、アザミヤはビクリとする。
「あっ、タカセっ……」
二人は気まずい沈黙があったが、アザミヤが話し始めた。
「タカセ、本当にまた冒険者目指すの?」
「あぁ、俺の夢だからな」
「そっか……」
言葉を聞いたその瞬間。アザミヤの中に黒い感情が渦巻く。
「でもね、ダメだよ。冒険者は危ないよ?」
「危険は承知の上だ」
見慣れないペンダントが光りだし、タカセは何だと目を凝らす。
「タカセはどこにも行っちゃダメ。もうどこにも行けないようにしてあげるから……」
そう言ってアザミヤが右手を斜め下に振ると、魔法でできた赤黒い剣が現れる。
「なっ、お前どこでそんな技を!?」
「手も足も取ってどこにも行けないようにしてあげる」
アザミヤはタカセに襲い掛かった。思わず剣を避け、距離を取るタカセ。
村人たちは何事だとそちらを見ていた。
「ふざけるな!!!」
タカセが叫ぶも、アザミヤは止まらない。
「待ってよタカセ。私、タカセの事が好きなの。ずっと一緒に居たいの」
アザミヤは剣を振り続ける。避けきれずに一発、右腕に深い傷を負った。
「あぐううっっ」
思わず右手を抑えるタカセ。黒く長い美しい髪を振り乱し、アザミヤは優しい笑顔を向ける。
「惜しかったぁ、もう少しだったね」
「くそっ、何なんだ!!」
タカセは一旦引こうとするが、アザミヤは逃さない。
「まずは足から逃げられないようにしようね」
まずいと思った、その時だ。
「貴様!! 何をしている!!」
タカセの前に村人から呼ばれたスフィンが立ちはだかった。
「聖女様!!」
「出たな……。泥棒猫!!」
凄まじい形相をするアザミヤを前に、スフィンは冷静だった。
「誰が泥棒猫だ」
剣をアザミヤに向けたまま後ろに下がり、タカセの腕を治してやる。
「スフィン将軍!!」
ラミッタが空を飛び、援護へと駆け付けた。
「邪魔しないで!!」
赤黒い剣をぶんぶんと振り回して暴れるアザミヤに、ラミッタは雷撃を飛ばす。
「やめて!!」
アザミヤは魔法の防御壁を貼ってそれらを防いだ。
「やるわね。こんな逸材が村に居たなんてね」
「いえ、アザミヤは戦いなんて知らない。様子がおかしいです!!」
タカセの叫びを聞いてラミッタは魔力探知を行う。
すると、胸元のペンダントから高く、禍々しい魔力が感じ取れた。
「遅くなってすまん!!」
「宿敵、遅いわよ!!」
魔力の正体を知ると同時に、マルクエンが走って増援にやって来る。
「どうやら、あのペンダントが怪しいわね」
タカセの家を訪ねようとするが、また「しつこい」と言われたらどうしようと、思わず戸の前で立ち止まってしまう。
「何か用か?」
突然後ろから声を掛けられ、アザミヤはビクリとする。
「あっ、タカセっ……」
二人は気まずい沈黙があったが、アザミヤが話し始めた。
「タカセ、本当にまた冒険者目指すの?」
「あぁ、俺の夢だからな」
「そっか……」
言葉を聞いたその瞬間。アザミヤの中に黒い感情が渦巻く。
「でもね、ダメだよ。冒険者は危ないよ?」
「危険は承知の上だ」
見慣れないペンダントが光りだし、タカセは何だと目を凝らす。
「タカセはどこにも行っちゃダメ。もうどこにも行けないようにしてあげるから……」
そう言ってアザミヤが右手を斜め下に振ると、魔法でできた赤黒い剣が現れる。
「なっ、お前どこでそんな技を!?」
「手も足も取ってどこにも行けないようにしてあげる」
アザミヤはタカセに襲い掛かった。思わず剣を避け、距離を取るタカセ。
村人たちは何事だとそちらを見ていた。
「ふざけるな!!!」
タカセが叫ぶも、アザミヤは止まらない。
「待ってよタカセ。私、タカセの事が好きなの。ずっと一緒に居たいの」
アザミヤは剣を振り続ける。避けきれずに一発、右腕に深い傷を負った。
「あぐううっっ」
思わず右手を抑えるタカセ。黒く長い美しい髪を振り乱し、アザミヤは優しい笑顔を向ける。
「惜しかったぁ、もう少しだったね」
「くそっ、何なんだ!!」
タカセは一旦引こうとするが、アザミヤは逃さない。
「まずは足から逃げられないようにしようね」
まずいと思った、その時だ。
「貴様!! 何をしている!!」
タカセの前に村人から呼ばれたスフィンが立ちはだかった。
「聖女様!!」
「出たな……。泥棒猫!!」
凄まじい形相をするアザミヤを前に、スフィンは冷静だった。
「誰が泥棒猫だ」
剣をアザミヤに向けたまま後ろに下がり、タカセの腕を治してやる。
「スフィン将軍!!」
ラミッタが空を飛び、援護へと駆け付けた。
「邪魔しないで!!」
赤黒い剣をぶんぶんと振り回して暴れるアザミヤに、ラミッタは雷撃を飛ばす。
「やめて!!」
アザミヤは魔法の防御壁を貼ってそれらを防いだ。
「やるわね。こんな逸材が村に居たなんてね」
「いえ、アザミヤは戦いなんて知らない。様子がおかしいです!!」
タカセの叫びを聞いてラミッタは魔力探知を行う。
すると、胸元のペンダントから高く、禍々しい魔力が感じ取れた。
「遅くなってすまん!!」
「宿敵、遅いわよ!!」
魔力の正体を知ると同時に、マルクエンが走って増援にやって来る。
「どうやら、あのペンダントが怪しいわね」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる