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亜人の森
異世界のこと
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「みんな! 勇者様をお連れしたぞ!」
一斉に敬礼をされ、マルクエンも敬礼を返す。
「それじゃ一応壊せないかやってみましょうか」
「あぁ、そうだな」
マルクエンは青いオーラを身に纏って、光の刃を飛ばしてみる。
周りの兵士は息を呑んでそれを見守っていた。
しかし、箱は光の刃を弾く。
「うおおおおおおお!!!!」
今度は雄叫びを上げてマルクエンは全力で剣を叩きつける。
箱はびくともしなかったが、地中にめり込んだ。
その間、ずっと呪文を唱えていたラミッタの前に闇の断頭台が現れた。
鉱脈の竜を屠った時よりも、ずっと大きく、刃は鋭い。
「落ちろ!!!」
勢いよく落とされた断頭台の刃だったが、箱にあたると物凄い音を響かせて止まってしまった。
「ダメみたいね」
ラミッタは、はぁっとため息をつく。マルクエンはうーむと考えて言った。
「やはり、箱が緑色になって魔物を出している時以外はどうしようも無いのだろうか?」
「おそらく、ね」
まだ箱が破壊できる時ではないので、一旦宿屋に戻ったマルクエン達。
すっかり日は傾き、あたりは夕暮れ時になる。
「この音は何ですか?」
マルクエンは先程から聞こえだした音の正体をコラーに尋ねてみる。
「この音? あぁ、ひぐらしの鳴き声ですね」
「ひぐらし?」
マルクエンは聞き慣れない単語を聞き返す。
「カナカナカナって鳴く虫だぞ! マルクエン様!」
セロリが得意気に胸を張って言う。
「虫なんですか!? 知らなかった……」
「マルクエン様は異世界からの勇者って聞いてますが、その異世界には居なかったのですか?」
「えぇ、そうですね」
へぇーっとコラーは不思議そうな顔をする。
「マルクエン様、ラミッタ様、異世界の事聞いてもいいですか!?」
コラーは目を輝かせて言った。
「そんなに面白いもんじゃないわよ」
「まぁ、良いじゃないか。そうだな……。一緒に夕飯でも食べながら話そうか」
一緒に夕飯と言われ、コラーは手を前に突き出してブンブンと振るう。
「勇者様と一緒にお食事なんて恐れ多いです……」
「ですから、そこまで緊張しなくても良いですよ」
「私、マルクエン様とごはんしたい!」
「そ、それではお言葉に甘えて……」
マルクエンとラミッタは今までの生い立ちを簡単に語る。
コラーはうんうんと目を輝かせ、おとぎ話を聞く子供の様に聞いていた。
少し話すつもりが長話になってしまい。すっかり夜になってしまう。
「少し話しすぎましたか、まぁ、今お話した通りですよ」
「凄い、凄い話です!!」
コラーは大興奮だった。セロラは分かっているのかいないのかだったが。
一斉に敬礼をされ、マルクエンも敬礼を返す。
「それじゃ一応壊せないかやってみましょうか」
「あぁ、そうだな」
マルクエンは青いオーラを身に纏って、光の刃を飛ばしてみる。
周りの兵士は息を呑んでそれを見守っていた。
しかし、箱は光の刃を弾く。
「うおおおおおおお!!!!」
今度は雄叫びを上げてマルクエンは全力で剣を叩きつける。
箱はびくともしなかったが、地中にめり込んだ。
その間、ずっと呪文を唱えていたラミッタの前に闇の断頭台が現れた。
鉱脈の竜を屠った時よりも、ずっと大きく、刃は鋭い。
「落ちろ!!!」
勢いよく落とされた断頭台の刃だったが、箱にあたると物凄い音を響かせて止まってしまった。
「ダメみたいね」
ラミッタは、はぁっとため息をつく。マルクエンはうーむと考えて言った。
「やはり、箱が緑色になって魔物を出している時以外はどうしようも無いのだろうか?」
「おそらく、ね」
まだ箱が破壊できる時ではないので、一旦宿屋に戻ったマルクエン達。
すっかり日は傾き、あたりは夕暮れ時になる。
「この音は何ですか?」
マルクエンは先程から聞こえだした音の正体をコラーに尋ねてみる。
「この音? あぁ、ひぐらしの鳴き声ですね」
「ひぐらし?」
マルクエンは聞き慣れない単語を聞き返す。
「カナカナカナって鳴く虫だぞ! マルクエン様!」
セロリが得意気に胸を張って言う。
「虫なんですか!? 知らなかった……」
「マルクエン様は異世界からの勇者って聞いてますが、その異世界には居なかったのですか?」
「えぇ、そうですね」
へぇーっとコラーは不思議そうな顔をする。
「マルクエン様、ラミッタ様、異世界の事聞いてもいいですか!?」
コラーは目を輝かせて言った。
「そんなに面白いもんじゃないわよ」
「まぁ、良いじゃないか。そうだな……。一緒に夕飯でも食べながら話そうか」
一緒に夕飯と言われ、コラーは手を前に突き出してブンブンと振るう。
「勇者様と一緒にお食事なんて恐れ多いです……」
「ですから、そこまで緊張しなくても良いですよ」
「私、マルクエン様とごはんしたい!」
「そ、それではお言葉に甘えて……」
マルクエンとラミッタは今までの生い立ちを簡単に語る。
コラーはうんうんと目を輝かせ、おとぎ話を聞く子供の様に聞いていた。
少し話すつもりが長話になってしまい。すっかり夜になってしまう。
「少し話しすぎましたか、まぁ、今お話した通りですよ」
「凄い、凄い話です!!」
コラーは大興奮だった。セロラは分かっているのかいないのかだったが。
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