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アムールトへ

しんみりと

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 マルクエンは夢中でパクパクとパフェを食べ進めていた。

「私の国でも氷魔法を使用したアイスクリームはあったが、これはまた別格に美味いな」

「ルーサのアイスはもっと美味しいわよ」

 ラミッタが言うと、マルクエンは興味津々だ。

「ルーサのアイスか。食べてみたいものだな」

「無理に決まっているじゃない、戦争中よ?」

 この二人はイーヌ王国とルーサが終戦したことを知らない。

「あぁ、そうかもしれんが……」

 攻撃を仕掛けたのはイーヌ王国だ。マルクエンは思わず俯く。

「……まぁ、今の私達には関係ないことよ」

「ラミッタ。私達が死んだ後、戦争はどうなったと思う?」

「ちょっ、誰かに聞かれたらどうすんのよ!!」

 今更になってラミッタは会話を誰かに聞かれていないかと焦るが、賑やかな店内では誰もこの会話を聞いていないみたいだ。

「あっ、あぁ、すまない」

「戦争なんていつかは終わるわ」

「そうだな。そうだと……良いな」

 あからさまにテンションが下がるマルクエン。

「もう、せっかく美味しく食べていたのに。台無だいなしよ」

「いや、すまん……」

「……、私も話題にしたから悪かったわ」

 気まずい空気が流れ、黙々とパフェを食べる二人。

「お客さーん。お味の方はいかがですかにゃ? って、何か元気なさそうだにゃ! 美味しくなかったのかにゃ!?」

 やって来た猫のウェイトレスが、しんみりとする二人を見て慌てていた。

「いえ、料理は美味しかったです。ちょっと昔のいざこざを思い出してしまいまして……」

「ありゃ、そうだったのですかにゃ。まぁ、美味しいパフェ食べて忘れてほしいですにゃ」

「えぇ、そうですね」

 マルクエンは笑ってそう返す。ウェイトレスも安心したようで別の客の所へと向かっていった。

 食べ終えた二人は席で会計をして店を後にする。

「またのお越しをお待ちしていますにゃー」




 またも、目的もなく街を歩く二人。少し気まずさがあるが、お互い気持ちを切り替えようとしている。

 そんな時、マルクエンはある提案をした。

「そうだラミッタ! 服でも買わないか?」

 突拍子もない言葉にラミッタは一瞬理解が追いつかない。

「は? 服?」

 聞き返すと、マルクエンは「あぁ」と言った。

「ほら、前に買った青いワンピースは火事で燃えてしまっただろ? また、改まった場で着る服があると良いんじゃないかって……」

「あぁ、そういう事ね」

 一応そういう事は考えているんだと少しマルクエンを見直すラミッタ。
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