124 / 226
試練の塔
最上階!
しおりを挟む
部屋の奥には大きな噴水が見えていた。
「この先に待ち構えているのかしら?」
「あぁ、気を引き締めて行くぞ」
一歩一歩、噴水へと近づくマルクエンとラミッタ。
眼前まで来ると、噴水から光が溢れ、宙を舞う。
警戒して剣を引き抜くが、その光は一点に集中し始め一際眩しく光ったかと思うと、次の瞬間には目の前に長い金髪の美女が現れた。
「なっ!?」
驚くマルクエンへ宙に浮かぶ美女は優しく微笑みかける。
「よくぞここまで辿り着きました。異世界からの勇者よ」
「あ、あなたは!?」
マルクエンに問われると、美女はニコリと笑い返す。
「私はこの塔の女神。これより、あなた方に力を授けます」
「力をくれるってんなら、最初っから素直にここまで通してほしかったわね」
ラミッタが悪態をつくと、女神は悲しそうな顔をする。
「それは出来ないのです。この塔は試練の塔です」
「なるほど、試練を突破しなくてはと言うことですか?」
マルクエンが言うと、なんと女神は首を横に振って否定した。
「いいえ、それよりも大事なことがありました」
「そ、それは……!?」
試練よりも大事な事と聞いて、マルクエンは何だろうと考える。
「それは、何か二人の関係性がじれったいので、この際くっつけてやろうかと思いましてね」
女神の言葉に静寂が流れる。マルクエンは理解が追いつかなく、言葉の意味を考えていた。
ラミッタは顔を赤くしてプルプル震えながら女神に噛み付いて言う。
「なっ、なにいってるのかしらこの女神はぁ!!!!」
声が裏返っていた。
「くっつけるとは、つまり……」
マルクエンが思考の答えに辿り着きそうになるので、慌ててラミッタは妨害する。
「違う、違うから、それはこの女神の勘違い!! ほら、さっさと力を寄越しなさい!!」
「強情ですね……。しかし、今は世界の危機。あなた方の事はその内、解決できると信じて力を授けましょう」
女神が両腕を天に上げると、ラミッタは赤い光に、マルクエンは青い光に包まれた。
「私が力を与えるまでもなく、マルクエンさんは既に覚醒の片鱗を見せていましたが、これで真に覚醒した力が使えます」
「お、おぉ!?」
マルクエンは体が青白く光り、力が漲るのを感じている。
「そして、ラミッタさん。あなたは魔力で空を飛べるようになりました」
「空ぁ!?」
マルクエンとラミッタは驚いて、同じ言葉を叫ぶ。
「この先に待ち構えているのかしら?」
「あぁ、気を引き締めて行くぞ」
一歩一歩、噴水へと近づくマルクエンとラミッタ。
眼前まで来ると、噴水から光が溢れ、宙を舞う。
警戒して剣を引き抜くが、その光は一点に集中し始め一際眩しく光ったかと思うと、次の瞬間には目の前に長い金髪の美女が現れた。
「なっ!?」
驚くマルクエンへ宙に浮かぶ美女は優しく微笑みかける。
「よくぞここまで辿り着きました。異世界からの勇者よ」
「あ、あなたは!?」
マルクエンに問われると、美女はニコリと笑い返す。
「私はこの塔の女神。これより、あなた方に力を授けます」
「力をくれるってんなら、最初っから素直にここまで通してほしかったわね」
ラミッタが悪態をつくと、女神は悲しそうな顔をする。
「それは出来ないのです。この塔は試練の塔です」
「なるほど、試練を突破しなくてはと言うことですか?」
マルクエンが言うと、なんと女神は首を横に振って否定した。
「いいえ、それよりも大事なことがありました」
「そ、それは……!?」
試練よりも大事な事と聞いて、マルクエンは何だろうと考える。
「それは、何か二人の関係性がじれったいので、この際くっつけてやろうかと思いましてね」
女神の言葉に静寂が流れる。マルクエンは理解が追いつかなく、言葉の意味を考えていた。
ラミッタは顔を赤くしてプルプル震えながら女神に噛み付いて言う。
「なっ、なにいってるのかしらこの女神はぁ!!!!」
声が裏返っていた。
「くっつけるとは、つまり……」
マルクエンが思考の答えに辿り着きそうになるので、慌ててラミッタは妨害する。
「違う、違うから、それはこの女神の勘違い!! ほら、さっさと力を寄越しなさい!!」
「強情ですね……。しかし、今は世界の危機。あなた方の事はその内、解決できると信じて力を授けましょう」
女神が両腕を天に上げると、ラミッタは赤い光に、マルクエンは青い光に包まれた。
「私が力を与えるまでもなく、マルクエンさんは既に覚醒の片鱗を見せていましたが、これで真に覚醒した力が使えます」
「お、おぉ!?」
マルクエンは体が青白く光り、力が漲るのを感じている。
「そして、ラミッタさん。あなたは魔力で空を飛べるようになりました」
「空ぁ!?」
マルクエンとラミッタは驚いて、同じ言葉を叫ぶ。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?
ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。
それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。
「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」
侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。
「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」
※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい……
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】ちびっこ錬金術師は愛される
あろえ
ファンタジー
「もう大丈夫だから。もう、大丈夫だから……」
生死を彷徨い続けた子供のジルは、献身的に看病してくれた姉エリスと、エリクサーを譲ってくれた錬金術師アーニャのおかげで、苦しめられた呪いから解放される。
三年にわたって寝込み続けたジルは、その間に蘇った前世の記憶を夢だと勘違いした。朧げな記憶には、不器用な父親と料理を作った思い出しかないものの、料理と錬金術の作業が似ていることから、恩を返すために錬金術師を目指す。
しかし、錬金術ギルドで試験を受けていると、エリクサーにまつわる不思議な疑問が浮かび上がってきて……。
これは、『ありがとう』を形にしようと思うジルが、錬金術師アーニャにリードされ、無邪気な心でアイテムを作り始めるハートフルストーリー!
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
騎士志望のご令息は暗躍がお得意
月野槐樹
ファンタジー
王弟で辺境伯である父を保つマーカスは、辺境の田舎育ちのマイペースな次男坊。
剣の腕は、かつて「魔王」とまで言われた父や父似の兄に比べれば平凡と自認していて、剣より魔法が大好き。戦う時は武力より、どちらというと裏工作?
だけど、ちょっとした気まぐれで騎士を目指してみました。
典型的な「騎士」とは違うかもしれないけど、護る時は全力です。
従者のジョセフィンと駆け抜ける青春学園騎士物語。
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
【短編】冤罪が判明した令嬢は
砂礫レキ
ファンタジー
王太子エルシドの婚約者として有名な公爵令嬢ジュスティーヌ。彼女はある日王太子の姉シルヴィアに冤罪で陥れられた。彼女と二人きりのお茶会、その密室空間の中でシルヴィアは突然フォークで自らを傷つけたのだ。そしてそれをジュスティーヌにやられたと大騒ぎした。ろくな調査もされず自白を強要されたジュスティーヌは実家に幽閉されることになった。彼女を公爵家の恥晒しと憎む父によって地下牢に監禁され暴行を受ける日々。しかしそれは二年後終わりを告げる、第一王女シルヴィアが嘘だと自白したのだ。けれど彼女はジュスティーヌがそれを知る頃には亡くなっていた。王家は醜聞を上書きする為再度ジュスティーヌを王太子の婚約者へ強引に戻す。
そして一年後、王太子とジュスティーヌの結婚式が盛大に行われた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる