51 / 234
ルカラカヘ
契約!
しおりを挟む
ケイとシヘンは緊張して座っていた。マルクエンも若干同じ気持ちだったが、ラミッタは堂々としている。
「私はこの街の冒険者ギルドのギルドマスターです。あなた方にご確認をしたいことがあるのですが……」
「はい、何でしょうか?」
マルクエンが返事をすると、ギルドマスターは話し続けた。
「先程、前線で戦っていたお二人、あなたとそちらの魔剣士の方は本当にDランクの冒険者なのでしょうか?」
どう答えようかマルクエンが考えていると、ラミッタが口を開く。
「そいつと私は確かにDランクの冒険者ですが、遠くの地で傭兵をやっていました」
「なるほど……。それで……」
ギルドマスターは納得したのか、していないのか、といった感じだ。
「この街の兵士長です。まずは感謝を申し上げる。そして、お願いをしたいことがあるのですが」
「私に出来ることでしたら」
そうマルクエンが言うと、「それでは」と兵士長は話し始めた。
「恐らく魔人であるあの者が、またいつ街を襲うとも分かりません。軍を要請する間、この街を守っていただけないだろうか?」
マルクエンはラミッタに視線を飛ばす。軽く頷くのを見て返事をした。
「えぇ、分かりました」
「感謝します」
話が纏まり、議長がマルクエン達に提案をする。
「軍が来るまで長期の滞在になるやもしれません。宿屋ではなく、街にある空き家をご用意致しますので、そこでしばらく滞在して頂けないでしょうか?」
ふむ、と思うマルクエン。悪い提案ではない。
だが、答えたのはラミッタだった。
「分かりました」
「ありがとうございます。最低限の家具はご用意しておりますが、他に必要な物がありましたら、こちらをお使い下さい」
手渡されたのは、ずっしりと重い袋だった。中には恐らく金が詰まっているのだろう。
「では、何かありましたら、ありがたく使わせて頂きます」
ラミッタが受け取ると、ギルドマスターが話す。
「もちろん、こちらとは別に、ギルドから報酬もご用意させて頂きますので」
「承知しました」
マルクエンの言葉を聞いて、対面の男達は立ち上がる。
「お話は以上になります。どうかよろしくお願い致します」
頭を下げる議長を見て、マルクエン達も礼を返し、部屋を出ていった。
「あー、何だか緊張したッス!」
「うん、私も」
一言も喋れなかったシヘンとケイはそんな事を言う。
「冒険者の御一行様ですねー! しばらくのお住まいにご案内させて頂きます!」
若い女性が建物の外で待っていた。制服姿を見るに、冒険者ギルドの関係者だろう。
「よろしくお願いします」
マルクエンが言うと「かしこまりましたー!」と元気に言葉が返ってくる。
「私はこの街の冒険者ギルドのギルドマスターです。あなた方にご確認をしたいことがあるのですが……」
「はい、何でしょうか?」
マルクエンが返事をすると、ギルドマスターは話し続けた。
「先程、前線で戦っていたお二人、あなたとそちらの魔剣士の方は本当にDランクの冒険者なのでしょうか?」
どう答えようかマルクエンが考えていると、ラミッタが口を開く。
「そいつと私は確かにDランクの冒険者ですが、遠くの地で傭兵をやっていました」
「なるほど……。それで……」
ギルドマスターは納得したのか、していないのか、といった感じだ。
「この街の兵士長です。まずは感謝を申し上げる。そして、お願いをしたいことがあるのですが」
「私に出来ることでしたら」
そうマルクエンが言うと、「それでは」と兵士長は話し始めた。
「恐らく魔人であるあの者が、またいつ街を襲うとも分かりません。軍を要請する間、この街を守っていただけないだろうか?」
マルクエンはラミッタに視線を飛ばす。軽く頷くのを見て返事をした。
「えぇ、分かりました」
「感謝します」
話が纏まり、議長がマルクエン達に提案をする。
「軍が来るまで長期の滞在になるやもしれません。宿屋ではなく、街にある空き家をご用意致しますので、そこでしばらく滞在して頂けないでしょうか?」
ふむ、と思うマルクエン。悪い提案ではない。
だが、答えたのはラミッタだった。
「分かりました」
「ありがとうございます。最低限の家具はご用意しておりますが、他に必要な物がありましたら、こちらをお使い下さい」
手渡されたのは、ずっしりと重い袋だった。中には恐らく金が詰まっているのだろう。
「では、何かありましたら、ありがたく使わせて頂きます」
ラミッタが受け取ると、ギルドマスターが話す。
「もちろん、こちらとは別に、ギルドから報酬もご用意させて頂きますので」
「承知しました」
マルクエンの言葉を聞いて、対面の男達は立ち上がる。
「お話は以上になります。どうかよろしくお願い致します」
頭を下げる議長を見て、マルクエン達も礼を返し、部屋を出ていった。
「あー、何だか緊張したッス!」
「うん、私も」
一言も喋れなかったシヘンとケイはそんな事を言う。
「冒険者の御一行様ですねー! しばらくのお住まいにご案内させて頂きます!」
若い女性が建物の外で待っていた。制服姿を見るに、冒険者ギルドの関係者だろう。
「よろしくお願いします」
マルクエンが言うと「かしこまりましたー!」と元気に言葉が返ってくる。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
もう、終わった話ですし
志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。
その知らせを聞いても、私には関係の無い事。
だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥
‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの
少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる