9 / 234
再会
胸の傷
しおりを挟む
ラミッタの反応を見て、マルクエンはポカーンとしたが、自分の発言を省みて、あっと声を出す。
「ち、違う! ほら、俺はその、剣でお前の胸を貫いただろ? その傷が無いかどうか確認がしたいだけだ!」
「なっ、そういう事!! 紛らわしいのよ!! バーカバーカ!」
マルクエンは焦りつつも、冷静なもう一人の自分がラミッタにも恥じらいがあるんだなと思っていた。
「えっと、それで、どうなんだ? 胸の傷は」
「教えない」
すっかり機嫌を損ねたラミッタはそっぽを向く。
「や、やっぱりあるのか傷?」
心配そうなマルクエンに対し、ラミッタはふんっとご機嫌ナナメのまま言った。
「宿敵に体の心配をされるほど落ちぶれちゃいないわ」
そんなラミッタだったが、何かに気付いてピクリと反応する。そして、先程まで居たトーラ村の方角を見た。
「何か、魔物の気配がするわ」
「本当か!?」
マルクエンの言葉よりも早く、ラミッタは千里眼を使った。間違いない、また魔物が村へ近付いている。
「っ! 付いて来て宿敵!!」
「わかった!」
二人は来た道を走って引き返していく。
「こんな小さな村に一個中隊が壊滅させられたって聞いたがよー。どこかに生意気な冒険者でもいるんじゃねーのか?」
村は至る所が炎で燃え盛っていた。警備や増援の兵隊たちも倒されてしまっている。
住民も、冒険者たちですらガタガタと震えながらその者を見ることしかできない。
「お、お前は……」
ケイがシヘンの前に立ち塞がり宙を飛ぶ者を見て言った。
「俺様は魔人コンソ様だ、どうやら雑魚しか居ないみたいだ。わざわざ俺様が来るまでも無かったな。無駄足を踏ませた責任を……」
コンソと名乗る魔人は右手に魔力を集中させる。オレンジ色の光が段々と大きくなっていった。
「死を持って償え!!」
もうやられる。ケイがそう思った瞬間だった。
「魔法反射!!」
魔力が魔法の防御壁にぶち当たり、反射される。ケイと魔人の間にはラミッタが立っていた。
「ラミッタさん!?」
ケイが驚いて言う。それと同じくしてマルクエンも現れ、宙へ飛び上がり魔人に斬りかかった。
「ほう、少しは楽しめそうな奴がいるじゃねえか」
魔人コンソはニヤリと笑い、武器である長槍を構えた。どう絶望を与えてやろうかと考えていたが、次の瞬間。思考が止まる。
マルクエンの剣を槍で受け止めたコンソはそのまま地面に叩きつけられていた。
「なっ、がはっ」
仰向けで寝転ぶコンソ。息がうまく出来なくなる。
「一気に行くぞ!!」
ラミッタも剣を引き抜いて詠唱をしながら構える。光で出来た剣が彼女を中心に何本も現れ、一斉にコンソへ飛んでいった。
串刺しになるコンソへ止めとばかりに、宙から落ちてきたマルクエンが剣を下に構えて貫く。
「ば、馬鹿な、この俺が!!」
手も足も出なかった相手があっという間に倒される様を冒険者と数十の兵士たちは見ていた。
「ち、違う! ほら、俺はその、剣でお前の胸を貫いただろ? その傷が無いかどうか確認がしたいだけだ!」
「なっ、そういう事!! 紛らわしいのよ!! バーカバーカ!」
マルクエンは焦りつつも、冷静なもう一人の自分がラミッタにも恥じらいがあるんだなと思っていた。
「えっと、それで、どうなんだ? 胸の傷は」
「教えない」
すっかり機嫌を損ねたラミッタはそっぽを向く。
「や、やっぱりあるのか傷?」
心配そうなマルクエンに対し、ラミッタはふんっとご機嫌ナナメのまま言った。
「宿敵に体の心配をされるほど落ちぶれちゃいないわ」
そんなラミッタだったが、何かに気付いてピクリと反応する。そして、先程まで居たトーラ村の方角を見た。
「何か、魔物の気配がするわ」
「本当か!?」
マルクエンの言葉よりも早く、ラミッタは千里眼を使った。間違いない、また魔物が村へ近付いている。
「っ! 付いて来て宿敵!!」
「わかった!」
二人は来た道を走って引き返していく。
「こんな小さな村に一個中隊が壊滅させられたって聞いたがよー。どこかに生意気な冒険者でもいるんじゃねーのか?」
村は至る所が炎で燃え盛っていた。警備や増援の兵隊たちも倒されてしまっている。
住民も、冒険者たちですらガタガタと震えながらその者を見ることしかできない。
「お、お前は……」
ケイがシヘンの前に立ち塞がり宙を飛ぶ者を見て言った。
「俺様は魔人コンソ様だ、どうやら雑魚しか居ないみたいだ。わざわざ俺様が来るまでも無かったな。無駄足を踏ませた責任を……」
コンソと名乗る魔人は右手に魔力を集中させる。オレンジ色の光が段々と大きくなっていった。
「死を持って償え!!」
もうやられる。ケイがそう思った瞬間だった。
「魔法反射!!」
魔力が魔法の防御壁にぶち当たり、反射される。ケイと魔人の間にはラミッタが立っていた。
「ラミッタさん!?」
ケイが驚いて言う。それと同じくしてマルクエンも現れ、宙へ飛び上がり魔人に斬りかかった。
「ほう、少しは楽しめそうな奴がいるじゃねえか」
魔人コンソはニヤリと笑い、武器である長槍を構えた。どう絶望を与えてやろうかと考えていたが、次の瞬間。思考が止まる。
マルクエンの剣を槍で受け止めたコンソはそのまま地面に叩きつけられていた。
「なっ、がはっ」
仰向けで寝転ぶコンソ。息がうまく出来なくなる。
「一気に行くぞ!!」
ラミッタも剣を引き抜いて詠唱をしながら構える。光で出来た剣が彼女を中心に何本も現れ、一斉にコンソへ飛んでいった。
串刺しになるコンソへ止めとばかりに、宙から落ちてきたマルクエンが剣を下に構えて貫く。
「ば、馬鹿な、この俺が!!」
手も足も出なかった相手があっという間に倒される様を冒険者と数十の兵士たちは見ていた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
もう、終わった話ですし
志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。
その知らせを聞いても、私には関係の無い事。
だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥
‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの
少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる