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朝焼けの女神⑥
しおりを挟む朝焼けの女神、⑥
北海道の思い出
最終日は宿泊棟の外壁をペンキで塗り潮風対策をしていた。美味い飯を食い、オーナー自慢の風呂に入り、三浦はベットでスマホを眺めていた。
ふと昔ブロックされてしまった元彼女のことを思い出していた。
その日は、
どうやら一年前から付き合っていた彼女の井口飛鳥からブロックされてしまったようだ。
スマホでラインをブロックされてしまった時の対応方法を調べているが、結局は連絡が取れてもそこから先が肝心だから、ブロックされた事実をラインの運営会社が丸く隠してくれてるのを引き剥がしても、自分の傷を舐めるだけって事か。
ゴールデンウィークを使って北海道に旅行に行った時の話だ。
2人とも旅行が好きで一泊の旅行に行ったりしていたのだが、どうしても喧嘩をしてしまう。
それでも北海道は2人が行ってみたい場所だ、仲直り出来るかもしれない。旅行代金も頑張って飛鳥の負担を少なくしてあげて三か月も前から予約をとった。
旅行への期待が2人の会話を華やかにした。幾つもの案を話しては短い旅が楽しくなるのか考えながらも、飛鳥の喜ぶ顔が見たくて彼女中心の旅になっていった。
行って見ると、5月の札幌はまだ寒い。桜が咲くぐらいの暖かさだった。楽しみにしていたライラック畑は遠くから見ると土の色のままで、小さな葉が首を出した程度だった。ライラック畑を見渡せる場所にレンタカーを止めて2人で肩を並べてため息をついた。楽しみにしていたから残念だったが、丘陵の形に畝る畑を見ているだけで北海道に来たんだと思えて嬉しかった。
開放感があって広い空と大地のんびりとした時間があって素敵な旅行だった。
札幌のホテルが最終日の宿だった。予約を取った寿司屋で美味しい寿司を食べて、飲み足らずコンビニで買ったお酒でホテルの部屋で乾杯しながら今回の旅の反省会をした。
意外に飛鳥は楽しい事ばかりを教えてくれた。寿司屋が1番の感激だったらしい。大きなネタが口の中いっぱいになった様を楽しく笑いながら話してくれた。
いっぱい笑って少し酔いが回ったのかソファーに並んで座っていると、三浦の肩に頬を預けて来てくれた。
三浦はずっとこうして2人でいたいと、気持ちを込めた言葉を出そうとしたが、飛鳥の乾杯の声で機会を無くしてしまった。
部屋も広く窓も大きく、札幌の都会の街並みがホテルの窓の外に見える夜景が綺麗だ、重なって窓に並んでまったりしている2人が映る。
もっと飛鳥を感じたくて、肩を抱いて引き寄せた。飛鳥も窓を眺めている。
脇を抱く様に腕の位置を変えて見た、シャワー後に着ていたスエットの下にはブラを付けていない。下から手を差し込んでサワサワと胸を揉んでいった。乳房が大きい飛鳥の胸を押し上げる様にするだけで興奮してしまう。
飛鳥の顎が仰反る様に上に上がる、その首筋の白い肌にキスをした。
そのまま飛鳥は立ち上がり両手をバンザイする様にベットに寝ころんだ。
三浦の顔を見上げて見ている。
うっとりとした飛鳥の顔を見て興奮してしまった三浦はそのままスエットをたくし上げて胸の突起に舌を這わせた。
「強くしないで」と飛鳥が呟くと可愛い声に興奮が膨らんで来る。
興奮したまま胸の揉んでスエットとパンツを脱がせて舌で飛鳥が1番感じる所に舌を這わせた。溢れるぐらい飛鳥の愛液を感じたらギンギンになったシンボルを突き刺した。
「アアン、待って」
聞こえたが聞く耳を持たない、飛鳥はこれが好きなんだと信じて疑わない。
飛鳥は俺の物だと身体でわかって貰う為に一つなんだと知って貰う為に腰を動かして愛を伝えた。
「ハァハァ」と飛鳥の喘ぎ声が部屋に響いている。どうしてこの女はこんなに可愛いのだろう。
どこを触っても柔らかい。脇の汗の匂いがたまらないいい匂いがする。
こうして楽しめる、こんな毎日がきっと来るはずだ。この確か感覚がそう思わせる。三浦は甘い夢を見ながら夜を過ごした。
最終日遅い時間の
自宅に帰った日、お土産の振り分けをしてたら「別れ」を言われた。
その日は、空港に着いたら思いっきり疲れが出てしまいそままタクシーで三浦の家に向かった。
飛鳥の家も近いので一度、三浦の家で荷物を整理してその後食事と一緒に彼女の家まで車で送る事にした。
早速荷物を解いて部屋に土産物を並べた。
「冷凍パックの物はこれだけだな、これはうちの冷凍庫に入れるから冷凍箱ものそのまま持って行って良いよ」
せっかくの旅行だったのに飛鳥はうなだれている。気分がコロコロ変わる人だから気にしないのが1番いい方法かもしれない。
「風呂入るよ?少し待ってて、どこかで飯食ってそのまま家に送るよ」
三浦は立ち上がって背伸びをしてそう言った。
その後ろから、
「好きな人ができたの別れようね、この旅行はお別れの旅行だったのよ」
「ええー何言ってるの?」
三浦がふりかるとガサガサと荷物をまとめて、忘れて物がないか周りを見渡している。
それから飛鳥は何も言わず、荷物を持って1人で部屋を出て行こうとした。
「何言ってるの、ちょっと待ってよ」
「ここからは1人で帰れるから」
強くそう言って立ちあがろうとした。
パニックになって強く肩を掴んだ。
「そんなとこが嫌い!」
振り払う様に身を捩り背中を丸めて三浦の部屋から出て行った。
殴って引き留めるのか?追いかけて泣きつくのか?ただ見送る様に立ち尽くしてドアの閉まる音を聞いていた。
気分屋の飛鳥だから時間が経てば気分も変わるだろう。スマホで撮った写真データを送れば返事も来るだろう。
そう思って3日が経ったが返事も無い。
そして今ラインがブロックされている事を知ってまた落ち込んでる。
どうも恋愛は続かない。
女って信用できない。
これはどうしたら良いんだろう。
もう一年以上前の話しだ。
それから旅は1人旅になった。自然にだけ向き合い、人とも話さず自然と向き合っている。
ヨガ教室に通って入るが女性とは距離をとってしまう今はそれが自分に合ってる気がする。
浜辺で見かけた女もそうだ。
知らないうちに居なくなってしまう。
忘れてしまいたい。
あの浜辺の朝焼けの女神を心を奪われてしまわないうちに。
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