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小笠原雅

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采陰捕陽

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二十三、采陰捕陽

 「今度の動画は別チャンネル立てて咲子ちゃんが映って貰って貰おうと思っているんです。アトリエに付いたらネットで傾向調べて貰って幾つか案だして貰えませんか?」
 村上は事務的に話した。
 
 咲子は待ち合わせの駅で、車に乗った時に受け取ったカフェラテに温かいカップを両手で持ち頷いている。
 いつも通り山手の道路を畝りながら車は進む、アトリエの前で止まると、咲子が段取り良く降りて鍵を開けた。
 住宅地から少し上に上がっただけなのに山間の元作業所だったアトリエは森に囲まれたパーソナルな空間になっていた。

 鍵を開けて中に入る。
 プレハブは二階建てでドアから入った少しの所は吹き抜けになっている。
 二階部分に窓から光りが入り、プレハブの隙間から入って来たであろう埃がキラキラと光っている。

 後ろから村上が入ってきて、大きな作業机の上に咲子の為に買ったお菓子を乗せた。
 自分の飲み物を置いて車の中に戻って行った。

 アトリエの中の机に手を付いて、咲子は車から戻って来た村上に向き直り、先ほどまでの笑顔を消し去って大きく息を吸った。

「芸術さんは私に催眠術をかけていますね」
 さっき車の中で言った依頼事項は既に聞いた物ですよね。それを私が忘れてたと言うんですか?」

 采陰捕陽は村上の中ではこれ以上無い芸術的なセッションだ。でもそれが同意もなくそれも催眠術で行なっていた事がバレたら、これは淫交以外にない。

 咲子は村上のカラダが固まってしまったのをみて確信を得たようだ。

「何をしているのかちゃんと教えてください。」

 そう言って咲子は村上がいい加減に閉めたドアが半開きになっているのを見て、ドアを後ろ手で閉めた。逃げられませんよと言う意味もある。続いて言った。

「私は夢を見るんです。宇宙に浮いてる夢を。何度も何度もエクスタシィを感じていて気が狂いそうになったり。柔らかい物にしがみつきながら。宇宙に浮いてるのを。」

「そこに村上さんがいるんです。夢だけではなく今経験させてください。」

 そして真っ直ぐにむ村上を見つめ目を離す事をせず村上を見つめた。

「私を催眠術にかけて何をしたんですか?教えてくれないと、証拠は無いにしてもレイプされたと警察に話してもいいんですよ」

 真っ直ぐに見つめる咲子の頬に涙が流れて来る。信頼しているのに、そのままで良いのかどうかわからない。

 采陰捕陽の行の中で女神のように見える咲子が泣いている。涙の流れる筋を見つめて村上は覚悟を決めた。

 村上は身の上話をした。
 妻の照美が事故に遭い亡くなった事。
 高山に会い現在がある事
 照美の最後の気持ちを知る為に采陰捕陽を知り、咲子のカラダを借りて思いを遂げようとした事。


 全てを知って涙が止まらない。咲子は言った。
「私を騙していたんですね。」
 立って話をしていた村上は膝を折り両手を床についた。
「許してください。」
 力無く萎れた言葉が村上から溢れた。

 冷たい空気が流れた。

 大きな声で咲子が言った。
「芸術さん。あなたは間違ってます。それがわかりますか?」

「え?」
 村上は責めらる事を受け入れようとした。

 咲子は不思議そうに言った。
「わからないんですか?」

 村上は驚いて続けた。
「催眠術に頼った事かな?それは確かに悪いよ」

咲子は急に楽しそうに言った。
「違います。」

「え?」
 良くわからない村上は咲子を見つめた。

「芸術さんの言う境地は、
 采陰捕陽じゃなく、男女同修です。采陰捕陽は陰のマイナスの気を取り入れてプラスの気に刺激を与える、男の元気を養う為の修行です。」
「悟りを得るには、大きな気をエネルギーにする為には男女同修で一緒に気を練らないとダメです。」

「催眠術に入っていた時の私は気を練る事はやって無いと思いますよ。」

 村上は驚いて見上げる。咲子の背中からは窓から差し込む秋の日差しが咲子を優しく包み込む。
「女神だ」
 膝を着いている村上は床から手を離し咲子に抱きついた。

 村上は咲子の目を見て言った。
「君は女神だ、僕は女神を礼拝するためにセッションするよ」

 村上は女神は誘うように風呂場に連れていく。いつも以上に大切に清めた。それからいつものように咲子の体を優しく愛撫をして快感を積み上げた。

 咲子はこんな恥ずかしい事を毎回と思ったが手慣れた扱いで進めてくる儀式は、予想以上に素敵な事だった。

 カラダを密着させ気を回す、神秘的な感動が咲子を包む。
 キスをした時に頭に突き抜ける快感に手足が痺れた時、咲子は村上にしがみつきながら喘いでいた。夢で見た宇宙に浮く感覚がやって来た。

 村上は咲子の花唇の周りを村上のペニスで撫で回し、直ぐに刺し入れる事なく入り口を摩擦する。膝立ちになり、咲子の腰の下に枕を入れ、村上を迎入れる格好にさせる。
 咲子は恥じらいながらも期待に体を赤くし自分から膝を開いた。
 それからもクリトリス周りを弄び、愛液が溢れた頃にゆっくりと差し入れる。
「アア~気持ちいい!」
 咲子は身体をビクビクと痙攣させて快感の深さを味わっている。
「ジュルジュル」と咲子の股間から音が出る。
 村上はシンボルの先に深く抵抗を感じながら咲子の締め付けに耐えている。
「うう、あああ、堪らないよ」
 ゆっくりピストンをする。9回淺く突き9回目に深く突き入れる。焦ったい感覚に悶えて奥を突かれた時は咲子自身が腰を合わせてくる。
「アア~もっと欲しいの」抱きついていた手を胸に当てて揉みしだき、乱れて目は半開きで少しよだれを流している。
 本能ままという言葉がちょうどいい咲子の姿だ。散々乱れさせたあと、恥骨でクリトリスを圧迫するように抑える。押さえては緩めを繰り返す。キスをしながら時々乳首を舐めたりする。
 咲子はカラダを強張らせてくると絶頂の合図になる。胸を突き出し背骨を張り両手を強く握り閉めた。カラダを強張らせて足の指を強く曲げ綺麗な眉をねじ曲げている。
 強張りが強くなれば恥骨の押し付けを強くし、緩めば押し付けを弱くする。
「おううう、イクのイクの私変、ああああ」
 ますます高まって訳の分からない言葉や悶絶の表情で叫び声が出てくる。
「気持ちいい、あああ気持ちいい」
 シンボルの先を使わず根本を押し付け、グリグリと恥骨で摩擦すると、咲子はエクスタシィを感じて大声で逝きまくる。
「ああああイク、イク、イクーー」
この時カラダをはなしてしまわず、口は頬にキスする様にしながら、シンボル先をひくひくさせる事で村上は咲子の気を吸い取る。
 丹田の周りが熱い、背骨を伝って気が上がる気がする。
 咲子のカラダから強張りが抜けて緩んできたら、ゆっくり腰を動かしピストンをする。
射精しそうになれば、ピストンをやめでシンボルを止めて先をひくひくさせて気を吸い取る。
 これを一功と言い村上は10功を目指すのだ。女がエクスタシィを得た後に射精すれば男が気を吸い取る采陰捕陽となり、女がエクスタシィを得る前に男が射精すれば、女が気を吸い取る采陽捕陰となる。

同時にエクスタシィを得る事で男女同修となる。
 射精すればそれで終わってしまい、また一からになってしまう。
 10功は簡単では無い。
 女神を抱きしめ、その美しい顔をしかめて宝石の様な汗をかき、精一杯快感を感激として伝えてくれる。その上に悩ましく膣が動き子宮がペニスの先にくいつくのだ。
 ペニスを抜くのがやっとで逃げていつ終わるかわからないほど長く射精してしまう。

 男女双修見地に入り、2人の気の流れの良さは格段に良くなった。一度同時にエクスタシィが合った事がある。
 6功目だと言うのに大きなエネルギーの爆発に合う。村上も宇宙の中に放り出されて。
ペニスの先から村上の体が消えてしまう様な体験をした。終わった後村上もこの世の中にいる気がしない気持ちになった。

 今度こそはと気持ちが昂る。
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