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バスロータリー
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6、バスロータリー
いたずら心で知り合ったその男は、栗田悠太と名乗った。ネットの世界だから本名かどうかわからなかったが、最初から本名を使っていたのも誠実に思えた。気がつけばメッセージのやりとりをして1ヶ月近くになってる。「悠太さん」って呼ばせてもらっている。
これほど気が合う男に出会うのは初めてかもしれない。
彼は輸出関係の会社の社員で32歳で役職もあり、海外へも出張で行く。
女関係は駆け引きを嫌う様で、女特有のねっとりした関係をあっさり無視してきた結果、独身でいる。
大学時代はラクビー部でガタイも良くリーダー気質で、周りの期待に外れない様に頑張ってきたと言う。
5月も中頃だと言うのに夏日の様に暑い日。
太陽熱で茹で上がったビルが陽炎を作っている。
バスロータリーの外れにあるコンビニの中で悠太は背広の上着を腕に掛けて、長袖のカッターシャツを肘まで捲り上げて、汗を拭きながら立っていた。
文子は貰った画像から直ぐに彼に気がついた。
駆け寄っていく事で、ギリギリの待ち合わせ時間になった事と、私だよって事を身体で表した。
「こんにちは、待ちましたか?」
文子は背の低い女では無い。
ヒールを履いても少し見上げる様な背の高い悠太を見上げる様にして挨拶をした。
会ってみると清潔感と体育会系の雰囲気そのままで、筋肉がワイシャツの下から盛り上がっているのがわかる。男っぽい魅力と自信に溢れているように見えた。
「お疲れ様でした。初めて会ったって気がしませんね」
「ほんとにそうね、嬉しいわ時間を作ってくれて」
「今日はクライアントと打ち合わせだったんですよね」
「そうなのよ、資料をいっぱい預かって来ちゃってカバンが重たくなったわ。
早くお店に入って冷たい物が飲みたいな」
「早速行きましょうか」
その店は駅ビルの近くに有った。若い人が集まる気の使わない店にした。笑い声がこだまする居酒屋。
テーブルに向かい合い、2人でビールで乾杯をした。
悠太は得意分野になればよく喋る。
「スコットランドに行ったのが冬で雨ばかりだったんだよ」
上着を脱ぎネクタイを緩めながら悠太は片手ではビールジョッキを握っている。
首周りに鍛えた筋肉を惜しみなく見せびらかしながらビールを飲み干した。
彼が話しているのはスコットランドへ行った旅行の話だった。
スコットランドの草原とゴツゴツした岩場。そこに彼がラクビーのジャージを着て白い楕円形のラクビーボールを抱きながら佇んでいたなら、ずいぶんと様になっていただろうと、文子は関心しながら悠太を眺めていた。
こうして会って話しを聞きたいって思えたのは、彼が1人旅でイギリスに行った時の旅行話し。
ラクビーの観戦や、悠太の好きなモルトウイスキーの聖地、スコットランドのハイランドに寄ることができた事を教えてくれた事からだ。
文字だけではだけでは時間がかかる、旅行は私も好きだし話しを聞くだけで行った気持ちになれたりする。
その風景を直接聞きたいと私が話したら悠太は会うことを提案してくれた。
私はその呼びかけに喜んで受けることにした。私がお気に入りのレストランを予約し悠太が老舗のバーに連れて行ってくれるということです話しがまとまっている。
悠太の笑顔は初めて会った時から爽やかで私の女を掴んでいた。
花火の動画をみた時の直感は外れてなかった事が嬉しい
冷えたビールで喉を潤した2人は、楽しい料理と料理に合ったワインを楽しみその後場所を変えて悠太が行く老舗のカウンターバーに行くことになっている。
お酒は大好きな文子だがウイスキーは余り飲まない。でもバーテンダーのいる店は大好きだ。
その店は古びたビルの地下へ階段を降りた所にあった。程よく狭い店で、カウンター8名、奥にテーブル席がフカフカのソファーで用意してある。
飴色に光る拭き上げられたテーブル、キラキラと光るグラス棚の中にはバカラのグラスにライトが当たり宝石の様に輝いている。
嗅いだことのない独特なタバコの香りのする店だ。レンガ積み土台の長いカウンター。珍しく悠太が女連れなのを驚いたのかマスターがニヤけている。
ここではシングルモルトウイスキーと海外の葉巻やタバコを出してくれるらしい。
「悠太さんいらっしゃい。今日はねー良いシングルモルトが入りましたよいかがですか?18年ものです」
「いいですねそれじゃあ2フィンガーで。この人にはマッカランの香りの良いシングルモルト水割りでお願いします」
軽くグラスを掲げて乾杯した後、悠太はショットグラスをクイって感じで胃の中に放り込むように飲んだ。
喉が焼ける感覚を楽しんでいるのだろう。少し胸を張って余韻を楽しんでいるようだ。
そしてゆっくりとこっちをみて爽やかな笑顔で話してくれた。
「熟成が進むことでまろやかさと複雑みを増していくのがウイスキーの醍醐味なんですよ。タリスカーも10年と18年を比べると、さらにリッチな余韻がある」
文子はウイスキーよりも、若くてエネルギーに満ち溢れている「若い男の香り」を楽しんでいると言ってあげたかった。
いたずら心で知り合ったその男は、栗田悠太と名乗った。ネットの世界だから本名かどうかわからなかったが、最初から本名を使っていたのも誠実に思えた。気がつけばメッセージのやりとりをして1ヶ月近くになってる。「悠太さん」って呼ばせてもらっている。
これほど気が合う男に出会うのは初めてかもしれない。
彼は輸出関係の会社の社員で32歳で役職もあり、海外へも出張で行く。
女関係は駆け引きを嫌う様で、女特有のねっとりした関係をあっさり無視してきた結果、独身でいる。
大学時代はラクビー部でガタイも良くリーダー気質で、周りの期待に外れない様に頑張ってきたと言う。
5月も中頃だと言うのに夏日の様に暑い日。
太陽熱で茹で上がったビルが陽炎を作っている。
バスロータリーの外れにあるコンビニの中で悠太は背広の上着を腕に掛けて、長袖のカッターシャツを肘まで捲り上げて、汗を拭きながら立っていた。
文子は貰った画像から直ぐに彼に気がついた。
駆け寄っていく事で、ギリギリの待ち合わせ時間になった事と、私だよって事を身体で表した。
「こんにちは、待ちましたか?」
文子は背の低い女では無い。
ヒールを履いても少し見上げる様な背の高い悠太を見上げる様にして挨拶をした。
会ってみると清潔感と体育会系の雰囲気そのままで、筋肉がワイシャツの下から盛り上がっているのがわかる。男っぽい魅力と自信に溢れているように見えた。
「お疲れ様でした。初めて会ったって気がしませんね」
「ほんとにそうね、嬉しいわ時間を作ってくれて」
「今日はクライアントと打ち合わせだったんですよね」
「そうなのよ、資料をいっぱい預かって来ちゃってカバンが重たくなったわ。
早くお店に入って冷たい物が飲みたいな」
「早速行きましょうか」
その店は駅ビルの近くに有った。若い人が集まる気の使わない店にした。笑い声がこだまする居酒屋。
テーブルに向かい合い、2人でビールで乾杯をした。
悠太は得意分野になればよく喋る。
「スコットランドに行ったのが冬で雨ばかりだったんだよ」
上着を脱ぎネクタイを緩めながら悠太は片手ではビールジョッキを握っている。
首周りに鍛えた筋肉を惜しみなく見せびらかしながらビールを飲み干した。
彼が話しているのはスコットランドへ行った旅行の話だった。
スコットランドの草原とゴツゴツした岩場。そこに彼がラクビーのジャージを着て白い楕円形のラクビーボールを抱きながら佇んでいたなら、ずいぶんと様になっていただろうと、文子は関心しながら悠太を眺めていた。
こうして会って話しを聞きたいって思えたのは、彼が1人旅でイギリスに行った時の旅行話し。
ラクビーの観戦や、悠太の好きなモルトウイスキーの聖地、スコットランドのハイランドに寄ることができた事を教えてくれた事からだ。
文字だけではだけでは時間がかかる、旅行は私も好きだし話しを聞くだけで行った気持ちになれたりする。
その風景を直接聞きたいと私が話したら悠太は会うことを提案してくれた。
私はその呼びかけに喜んで受けることにした。私がお気に入りのレストランを予約し悠太が老舗のバーに連れて行ってくれるということです話しがまとまっている。
悠太の笑顔は初めて会った時から爽やかで私の女を掴んでいた。
花火の動画をみた時の直感は外れてなかった事が嬉しい
冷えたビールで喉を潤した2人は、楽しい料理と料理に合ったワインを楽しみその後場所を変えて悠太が行く老舗のカウンターバーに行くことになっている。
お酒は大好きな文子だがウイスキーは余り飲まない。でもバーテンダーのいる店は大好きだ。
その店は古びたビルの地下へ階段を降りた所にあった。程よく狭い店で、カウンター8名、奥にテーブル席がフカフカのソファーで用意してある。
飴色に光る拭き上げられたテーブル、キラキラと光るグラス棚の中にはバカラのグラスにライトが当たり宝石の様に輝いている。
嗅いだことのない独特なタバコの香りのする店だ。レンガ積み土台の長いカウンター。珍しく悠太が女連れなのを驚いたのかマスターがニヤけている。
ここではシングルモルトウイスキーと海外の葉巻やタバコを出してくれるらしい。
「悠太さんいらっしゃい。今日はねー良いシングルモルトが入りましたよいかがですか?18年ものです」
「いいですねそれじゃあ2フィンガーで。この人にはマッカランの香りの良いシングルモルト水割りでお願いします」
軽くグラスを掲げて乾杯した後、悠太はショットグラスをクイって感じで胃の中に放り込むように飲んだ。
喉が焼ける感覚を楽しんでいるのだろう。少し胸を張って余韻を楽しんでいるようだ。
そしてゆっくりとこっちをみて爽やかな笑顔で話してくれた。
「熟成が進むことでまろやかさと複雑みを増していくのがウイスキーの醍醐味なんですよ。タリスカーも10年と18年を比べると、さらにリッチな余韻がある」
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